ご近所の玄関先の「白花さるすべり」が、満開だ。
「さるすべり」は真夏を代表する花木で、天真爛漫に咲くので観る者の心まで解き放ち、明るくしてくれる。鬱々とした悩みを抱えた方には、お勧めの夏花だ。
漢字で書けば「百日紅」で、名前の通り「紅花」が圧倒的に多いようだ。稀にはこの「白花」や、紫がかった花も時には見かけることもある。夏から秋にかけて、何処でも見かける花木だが、咲き初めてから次々に咲き続けることから、「百日」の名前を授かったようだ。実際には、一度咲いた花が散っても、枝先から再度芽が出て花をつけるため、結果的に咲き続けているように見えるのだ。
真夏の酷暑の時節に、天真爛漫に咲き続けるその勢力には、脱帽だ。植物学者に伺えば、どの様にしてそのエネルギーを生み出しているのか、解説して頂けるであろうが、暑さに辟易の老生としては、その秘訣を「百日紅」に伝授して貰いたいものだ。
沢山の花が団子状に群れて咲いているが、一輪づつの花を見ると、花びらの縁はごく繊細なフリルになっていて、蕊と合わせて表情も極めて豊かだ。青空に枝を伸ばして「白花さるすべり」が咲いていたが、近くに寄り添って花と語れば、また別な側面も見せて呉れる「百日紅」の花だ。
「百日紅」の蕊は、受粉すれば身を屈め、小さく寄り集まって萼に身を寄せ、「さく果」の中に結実する。真夏の思ひを、実に託すのだ。
満開の白花かかげてさるすべりは
天に届けと枝を伸ばしぬ
真夏日に小花は群れて歓声と
笑みふりまくや天真爛漫に
さるすべりの小花小花はほほを寄せ
押し合い圧し合う祭りの夏かな
炎熱の猛暑にも萎えず百日も
咲き続けるかも「さるすべりの花は」
近く観ればフリルの花びら乙女らの
こころを写すや妙なる姿は
それぞれの小花はおのれの思ひをば
蕊に託しぬフリルに包みて
枯葉散る秋の小枝に残るらむ
真夏の思ひを「さく果」にとどめて