「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「うつろ庵の血赤珊瑚」

2013-08-17 00:15:13 | 和歌

 「うつろ庵」の珊瑚樹の実が真夏の炎熱を享けて、「血赤珊瑚」の実房に変身した。

 「うつろ庵」は何の変哲もない寓居で、雅号の「虚庵」を捩って「うつろ庵」と称してはいるが、生垣の「血赤珊瑚」の実房だけが自慢なのだ。

 ご存知の向きも多いと思われるが、珊瑚樹は元来が樹勢の旺盛な庭木ゆえ、生垣には不向きなのだ。手入れを怠れば、忽ち樹高も枝も好き放題に徒長するので、殊に、春から初夏にかけてはかなり頻繁な剪定作業が必要だ。

 加えて、珊瑚樹の分厚い葉は虫たちの大好物で、彼等にとっては恰好の食糧補給基地だ。従って、害虫予防の消毒も欠かせない。見るも無残に害虫に食い荒らされた珊瑚樹をよく見かけるが、自然界ではそれが当たり前の持ちつ持たれつの関係に違いあるまい。しかしながら住宅地の生垣としては、そんな無残な姿は許されまい。そんなこんなで、珊瑚樹の生垣を当り前の姿に保つのは、並大抵ではないのだ。

 春には珊瑚花が咲くが、不思議なことに剪定の行き届いた生垣では、剪定されずに残った細い枝先にのみ、花房をつける。と云うことは、生垣の枝々の中ほどに籠って花が咲くことになる。そこで、細い枝を撓ませて、花房を陽当りの良い環境に移動してやる気配りが求められるのだ。

 珊瑚樹とのそんな遣り取りの結果を、「うつろ庵の珊瑚花」にご紹介した。それから二ヶ月を経て、虚庵居士自慢の「血赤珊瑚」の実房をお披露目する次第だ。本物の血赤珊瑚であれば、一房百万両は下るまい。この時期だけは、虚庵夫妻は大金持ちの気分でご満悦だ。

 


           何も無き庵を囲む生垣を

           血赤珊瑚の実房飾りぬ


           四十度 炎熱の地をおもんぱかり

           暑中見舞いに珊瑚樹写しぬ


           生垣の緑葉透かす涼風は

           真夏の恵みぞ海風なるらむ


           緑葉に血赤珊瑚の実房かな

           炎暑の真夏に彩り清しき




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