「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「白花さるすべり」

2013-08-09 00:34:03 | 和歌

 ご近所の玄関先の「白花さるすべり」が、満開だ。

 「さるすべり」は真夏を代表する花木で、天真爛漫に咲くので観る者の心まで解き放ち、明るくしてくれる。鬱々とした悩みを抱えた方には、お勧めの夏花だ。

 

 漢字で書けば「百日紅」で、名前の通り「紅花」が圧倒的に多いようだ。稀にはこの「白花」や、紫がかった花も時には見かけることもある。夏から秋にかけて、何処でも見かける花木だが、咲き初めてから次々に咲き続けることから、「百日」の名前を授かったようだ。実際には、一度咲いた花が散っても、枝先から再度芽が出て花をつけるため、結果的に咲き続けているように見えるのだ。

 真夏の酷暑の時節に、天真爛漫に咲き続けるその勢力には、脱帽だ。植物学者に伺えば、どの様にしてそのエネルギーを生み出しているのか、解説して頂けるであろうが、暑さに辟易の老生としては、その秘訣を「百日紅」に伝授して貰いたいものだ。

 沢山の花が団子状に群れて咲いているが、一輪づつの花を見ると、花びらの縁はごく繊細なフリルになっていて、蕊と合わせて表情も極めて豊かだ。青空に枝を伸ばして「白花さるすべり」が咲いていたが、近くに寄り添って花と語れば、また別な側面も見せて呉れる「百日紅」の花だ。

 「百日紅」の蕊は、受粉すれば身を屈め、小さく寄り集まって萼に身を寄せ、「さく果」の中に結実する。真夏の思ひを、実に託すのだ。

 


           満開の白花かかげてさるすべりは

           天に届けと枝を伸ばしぬ


           真夏日に小花は群れて歓声と

           笑みふりまくや天真爛漫に


           さるすべりの小花小花はほほを寄せ

           押し合い圧し合う祭りの夏かな


           炎熱の猛暑にも萎えず百日も

           咲き続けるかも「さるすべりの花は」


           近く観ればフリルの花びら乙女らの

           こころを写すや妙なる姿は


           それぞれの小花はおのれの思ひをば

           蕊に託しぬフリルに包みて


           枯葉散る秋の小枝に残るらむ

           真夏の思ひを「さく果」にとどめて








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