「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「アメリカ犬ほうずき」

2013-08-23 00:02:16 | 和歌

 ご近所にお住いだった老夫妻がお亡くなりになって、数年があっという間に過ぎた。後継者のご子息は同居していなかったので、お住まいは横須賀基地の士官向けに賃貸契約をして来られたが、新築して再び同様の契約を継続することにしたようだ。より良い契約条件を目指して、日本家屋を米国人好みの仕様に切り替え、お盆休も無しで急ピッチの建築が進行中だ。

 

 どの様な新築家屋になるものなのか興味津々だが、そんな虚庵居士の思いをせせら笑うかのように、建築現場の空きスペースには何時の間にか「アメリカ犬ほうずき」が大きくなっていた。花の大きさは五ミリ程度の、ごく小さな白花を咲かせて、よく見れば、既に緑色の液果をも付けていた。

 「アメリカ犬ほうずき」の花は、目を凝らして見れば「悪茄子」の花によく似ているが、花びらは若干細く、悪茄子の液果のヘタには剛毛が生えていたとの記憶だ。
「アメリカ犬ほうずき」の液果は真ん丸で、蔕には剛毛など見当たらない。 液果はやがて濃い紫色を帯びて、その後は黒色に変色する筈だ。

 自然の世界は洋の東西を問わず、様々な草花が思いもかけない伝搬をしているが、ここでは、新築工事の施主の思いを察知して、何処からか「アメリカ犬ほうずき」が一歩先に腰を下ろしたようだ。

 かつて「うつろ庵」のお隣にも、若い士官のご夫妻が住んで、細やかなプレゼントの交換や笑顔のご挨拶が印象的であった。
新築の家屋には、どの様な米軍士官の家族が住むことになるのであろうか? 
ご近所とのお付き合いも、気さくな交流を重ねて欲しいものだ。













           同世代のご夫妻つとに身罷られ

           住まいの賃貸いくたび替わるや


           基地近くば米人好みの住宅に

           衣替えとか新築工事は


           ほど近きお宅の事情は分からぬも

           新築貸家に違和感おぼえぬ


           願わくば国籍・世代の枠を超え

           人と人とのふれ合い望みぬ


           住み人の露払いなれ野の花の

           犬ほうずきの ご挨拶かな