「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「門扉の風船蔓」

2013-08-19 00:13:05 | 和歌

 この頃の気温の上昇は、常軌を逸しているようだ。
最高気温は気象庁の観測が始まって以来の、41度にも達したとの報道だ。
横須賀は海風に恵まれるのでかなり凌ぎやすいが、それでも「うつろ庵」の原始的な寒暖計では、これまでに経験したことのない、最高気温34度であった。

 暑さに負けぬためにも、毎日の散歩を極力続ける虚庵夫妻であるが、昨今の暑さでは日中の散歩等は及びもつかない。
夕涼みを兼ねて、ミニ散歩で我慢するこの頃だが、それでも帰宅すれば全身汗まみれだ。

 ミニ散歩の途上で、門扉に絡みついた「風船蔓」に出合った。昨今の建売住宅などではお目に掛れぬ、コンクリート門柱に鋼鉄の門扉の、時代がかった大層な門であったが、それに比べれば「風船蔓」は如何にも頼りなげに見えた。

 しかしながら、この家の主は「風船蔓」に門扉を占領させて、ご家族の出入りは勝手口風の枝折戸で我慢している気配であった。嘗て、「朝顔に釣瓶とられて貰い水」との句が人口に膾炙したが、このお宅の情景は将にそれを地で行くかに見えた。

 


           朝顔のひそみに倣うや鋼鉄の

           門扉に絡む風船蔓は


           大層な門柱・門扉に絡ませて

           風船蔓を愉しむ君かな


           鋼鉄の門扉の脇のプランターに

           住み人の思いを垣間見るかも


           絡みつく風船蔓に託す思ひの

           せめての風情を門扉に観るかな


           近寄れば風船蔓は風に揺れて

           話しかけるや道行く爺にも