「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「姫女苑・ひめじょおん」

2013-08-15 06:41:20 | 和歌

 道端でよく見かける、「姫女苑・ひめじょおん」をご紹介したい。
「赤詰草・あかつめぐさ」や「犬麦・いぬむぎ」と絡み合って、草叢に咲いていた。 

 5月の末に、 「春女苑・はるじょおん」をご紹介した際に、よく似た「姫女苑」にも「何れご登場願いたい」と、半ば予告してあったが、やっとお約束を果たすことになった。

 「春女苑」も「姫女苑」も野の花で、草丈も花のイメージもごく似ているので、よーく比較しないと区別がつき難い。

 二つの花を見比べれば、違いがかなり明白になる。細い花弁が糸状に重なり、数も多いのが「春女苑」、「姫女苑」は細い花弁を綺麗に並べたイメージだ。また「春女苑」の莟は項垂れるが、「姫女苑」の莟は頭を上げたまま開花する。

 春に咲くのが「春女苑」、遅く咲き始めて秋口まで咲き続けるのが「姫女苑」だ。従って、真夏に野原で咲いているのはまず「姫女苑」だと思ってよかろう。 何れにせよ、野に群れて咲くので「女苑」の名は、彼女らに相応しいネーミングだ。
たかが野草の名前ではあるが、先人たちのセンスには感服だ。

 夕涼みの散歩ながらに、草叢の「姫女苑」と共に涼風を楽しみたいものだ。

 


           野に来ればあまたの草ぐさ絡み合い

           凭れて語るや姫女苑の花と


           犬麦は穂先を隣の姫女苑に

           凭れかかりて貴女が頼りよと


           草叢に乙女ら語るや群立ちて

           華やぐ声を聞く心地する


           乙女らを仰ぎ見るらし詰草は

           仲間になりたや つま先立ちして


           姫女苑の花咲く野辺の夕暮れは

           白花おぼろに名残の揺れかな