地形図 黒部川扇状地 を観る
典型的な扇状地です。
後背地に黒部峡谷で代表される急流をもち、それが宇奈月町愛本で一気に平坦地に放出されてできた扇状地です。
1/20万地勢図でその概要を知り,1/5万地形図でその詳細を知ることができます。
さらに、平野部に放出された流れは、河口部の自然公園(緑地公園)で邪魔され、愛本新の船見面と、西側の入善面に分かれています。
その標高差は20~30mもあります。入川を境に歴然と分かれているのが下の断面図でよく解ります。
そして、愛本から広がった扇状地には散村が広がっています。
散村は河岸段丘上部の舟見面にも見れます。
これは、いかに水量に恵まれ、水田耕作に好都合であったかを物語っています。
縦横に走る水路と、日本でも有数といわれる豊富な湧水で、その様子が想像できます。
しかし、同時に洪水の禍にも苦労されたことでしょう。
なお、舟見面には散村に囲まれた街村も発達しています。高台のため洪水の心配がなかったためでしょうか。
江戸時代、前田氏は防衛と技術上の問題から黒部川に橋を架けなかったそうです。
しかし、あまりにも不便なため、愛本の地に初めて橋を架けました。
しかし、氾濫の度に流失し、終いには橋脚のない全長63mもの刎橋(今はない)を造ったそうです。
この愛本刎橋は錦帯橋、猿橋と並ぶ日本三奇橋の一つにされています。