家族に仕送りするため、はるばる日本にやってきたフィリピン人女性らを待ち受けていたのは、「性奴隷」としての運命だった。女性らをわいせつ目的で売り渡すなどしたとして、フィリピンパブの元経営者夫婦らが6~7月に人身売買容疑などで警視庁保安課に逮捕、起訴された。「カネを稼げる」という甘い言葉で勧誘し、8000キロ離れた中東から女性らを呼び寄せた現代の女衒(ぜげん)。平成の世で繰り広げられていた人身売買のおぞましい実態とは-。
■監視の目を盗み脱走…通行人に「助けて!」、大使館で告白
「私は逃げてきたけど、友達がまだ捕まっている。助けて!」
5月中旬のことだった。川崎市高津区内の住宅街を着の身着のままで歩いていたフィリピン人女性のA子さん(28)が、通行人にすがりつくように助けを求めた。近くの民家に閉じ込められ、監視の目を盗んで抜け出してきたところだという。
A子さんは通行人の自宅で一晩かくまわれ、翌15日に東京都港区六本木の駐日フィリピン大使館に駆け込んだ。女性の口から語られたのは、とても現代の話とは思えないほどおぞましい人身売買の実態だった。
「性奴隷として日本人男性に30万円で売られた」
大使館から連絡を受けた保安課は、A子さんが監禁されていた民家を特定。別のフィリピン人女性のB子さん(28)に殴る蹴るの暴行を加えたなどとして、フィリピンパブ元経営者の松本功(64)と妻のマツモト・カルメリータ・エストレリア(60)の両容疑者ら4人を6月に監禁致傷容疑などで逮捕した。
さらに、フィリピン人女性のC子さん(23)をわいせつ目的で売買していたことが分かり、松本容疑者夫婦と川崎市高津区の塗装業、中村久容疑者(66)の3人が人身売買容疑で逮捕、起訴された。
中村被告がC子さんを買い取るために松本容疑者夫婦に支払ったのは、150万円。妻子と同居する自宅とは別に川崎市内のマンションを借り、C子さんを住まわせていた。起訴内容を認め、こう供述しているという。
「愛人として買った。2月に親の遺産をもらったばかりで余裕があった」
■「カネ稼げる」と勧誘、来日後に脅迫…「結婚しないと捕まる」
日本から遠く約8000キロ離れた中東・アラブ首長国連邦(UAE)の中心都市ドバイ。ホテルでベッドメイキングなどの仕事をして生計を立てていたA子さんらのもとに5月初旬、フィリピン人ブローカーが現れてささやいた。
「日本に行けば、もっとカネを稼げる」
家族への仕送りも、自分たちで自由に使えるカネも増える-。ブローカーの話を信じたA子さんらは、ドバイから飛び立った。
ただ、同月7日、A子さんらがたどり着いた成田空港に出迎えはなく、ブローカーから紹介されたマツモト被告に「自分たちでウチまで来い」と命令された。さらに、マツモト被告から告げられた言葉に、A子さんらは奈落の底に突き落とされる。
「このまま日本に居座れば、不法滞在に引っかかる。すぐに結婚しないと捕まるよ」
A子さんらの滞在資格は、3日間だけの寄港地ビザ。逮捕におびえるA子さんらに示された選択肢は一つ。結婚とは名ばかりの、日本人男性の性奴隷になることだった。
A子さんと別にやってきたC子さんは、日本人男性と数十万円で偽装結婚させられ、フィリピンパブで働かされる予定だったが、「150万円で買う」と申し出た中村被告に売り渡されることになった。150万円という“高額”の提示に、マツモト被告は「神のおぼしめしだ」と狂喜乱舞したという。
■模造刀突きつけ「殺してもわからない」…恐怖で支配、売春も強要
マツモト被告らは、女性たちを恐怖で支配した。B子さんには殴る蹴るなどの暴行を繰り返したほか、日本刀の模造刀を持ち出し、「あなたなんか殺したって分からない」と脅迫するなど、不法滞在に後ろめたさを感じていることを最大限に悪用していた。
女性たちを売り渡すまでには、知人男性たちとの性行為を強要。男性たちに選ばせた上で、売買していたとみられる。「不法滞在で逮捕されるのが怖かった」。保護された女性らは、一様にこう打ち明けているという。
フィリピンでの開業資金を集めていたというマツモト被告。人身売買の疑惑は、今回の事件だけにとどまらない。
自宅からはフィリピン人女性の写真とプロフィルをまとめた書類が見つかっており、「10年ほど前から偽装も含め20~30件の結婚を斡旋(あっせん)した」と供述している。
ただ、警視庁幹部は「自宅にあった書類だけで数十枚あり、白紙の婚姻届も大量にあった。結婚の斡旋は100件以上に上る可能性もある」と指摘。保安課は、全容解明に向けて捜査を続けている。
捜査関係者によると、マツモト被告は取り調べにも何ら悪びれることなく、さながら独演会の場と化しているという。
「全く悪いこととは思っていない。むしろ良いことをしたと思っている」
「女性たちにしても、出稼ぎで家族を助けることができる」
「心ではなく、損得で考えることが重要だ」
警視庁幹部はマツモト被告に諭すように訴える。
「現代に起きたとはとても思えないひどい事件。あきれた言い訳は警察には通用しない」
@拝金で社会が壊れているという一つの事象にしか映らない事が怖い事件です。松本という人間が日本人かどうか分かりませんが(カルメリータ・エストレリアという女房は名前からしてフィリピンだと思います)、普通大事な商品は大切に扱うものです。昔も今も・・・・・
■監視の目を盗み脱走…通行人に「助けて!」、大使館で告白
「私は逃げてきたけど、友達がまだ捕まっている。助けて!」
5月中旬のことだった。川崎市高津区内の住宅街を着の身着のままで歩いていたフィリピン人女性のA子さん(28)が、通行人にすがりつくように助けを求めた。近くの民家に閉じ込められ、監視の目を盗んで抜け出してきたところだという。
A子さんは通行人の自宅で一晩かくまわれ、翌15日に東京都港区六本木の駐日フィリピン大使館に駆け込んだ。女性の口から語られたのは、とても現代の話とは思えないほどおぞましい人身売買の実態だった。
「性奴隷として日本人男性に30万円で売られた」
大使館から連絡を受けた保安課は、A子さんが監禁されていた民家を特定。別のフィリピン人女性のB子さん(28)に殴る蹴るの暴行を加えたなどとして、フィリピンパブ元経営者の松本功(64)と妻のマツモト・カルメリータ・エストレリア(60)の両容疑者ら4人を6月に監禁致傷容疑などで逮捕した。
さらに、フィリピン人女性のC子さん(23)をわいせつ目的で売買していたことが分かり、松本容疑者夫婦と川崎市高津区の塗装業、中村久容疑者(66)の3人が人身売買容疑で逮捕、起訴された。
中村被告がC子さんを買い取るために松本容疑者夫婦に支払ったのは、150万円。妻子と同居する自宅とは別に川崎市内のマンションを借り、C子さんを住まわせていた。起訴内容を認め、こう供述しているという。
「愛人として買った。2月に親の遺産をもらったばかりで余裕があった」
■「カネ稼げる」と勧誘、来日後に脅迫…「結婚しないと捕まる」
日本から遠く約8000キロ離れた中東・アラブ首長国連邦(UAE)の中心都市ドバイ。ホテルでベッドメイキングなどの仕事をして生計を立てていたA子さんらのもとに5月初旬、フィリピン人ブローカーが現れてささやいた。
「日本に行けば、もっとカネを稼げる」
家族への仕送りも、自分たちで自由に使えるカネも増える-。ブローカーの話を信じたA子さんらは、ドバイから飛び立った。
ただ、同月7日、A子さんらがたどり着いた成田空港に出迎えはなく、ブローカーから紹介されたマツモト被告に「自分たちでウチまで来い」と命令された。さらに、マツモト被告から告げられた言葉に、A子さんらは奈落の底に突き落とされる。
「このまま日本に居座れば、不法滞在に引っかかる。すぐに結婚しないと捕まるよ」
A子さんらの滞在資格は、3日間だけの寄港地ビザ。逮捕におびえるA子さんらに示された選択肢は一つ。結婚とは名ばかりの、日本人男性の性奴隷になることだった。
A子さんと別にやってきたC子さんは、日本人男性と数十万円で偽装結婚させられ、フィリピンパブで働かされる予定だったが、「150万円で買う」と申し出た中村被告に売り渡されることになった。150万円という“高額”の提示に、マツモト被告は「神のおぼしめしだ」と狂喜乱舞したという。
■模造刀突きつけ「殺してもわからない」…恐怖で支配、売春も強要
マツモト被告らは、女性たちを恐怖で支配した。B子さんには殴る蹴るなどの暴行を繰り返したほか、日本刀の模造刀を持ち出し、「あなたなんか殺したって分からない」と脅迫するなど、不法滞在に後ろめたさを感じていることを最大限に悪用していた。
女性たちを売り渡すまでには、知人男性たちとの性行為を強要。男性たちに選ばせた上で、売買していたとみられる。「不法滞在で逮捕されるのが怖かった」。保護された女性らは、一様にこう打ち明けているという。
フィリピンでの開業資金を集めていたというマツモト被告。人身売買の疑惑は、今回の事件だけにとどまらない。
自宅からはフィリピン人女性の写真とプロフィルをまとめた書類が見つかっており、「10年ほど前から偽装も含め20~30件の結婚を斡旋(あっせん)した」と供述している。
ただ、警視庁幹部は「自宅にあった書類だけで数十枚あり、白紙の婚姻届も大量にあった。結婚の斡旋は100件以上に上る可能性もある」と指摘。保安課は、全容解明に向けて捜査を続けている。
捜査関係者によると、マツモト被告は取り調べにも何ら悪びれることなく、さながら独演会の場と化しているという。
「全く悪いこととは思っていない。むしろ良いことをしたと思っている」
「女性たちにしても、出稼ぎで家族を助けることができる」
「心ではなく、損得で考えることが重要だ」
警視庁幹部はマツモト被告に諭すように訴える。
「現代に起きたとはとても思えないひどい事件。あきれた言い訳は警察には通用しない」
@拝金で社会が壊れているという一つの事象にしか映らない事が怖い事件です。松本という人間が日本人かどうか分かりませんが(カルメリータ・エストレリアという女房は名前からしてフィリピンだと思います)、普通大事な商品は大切に扱うものです。昔も今も・・・・・