「ドイツの秋はゲンゼ・エッセン ー鵞鳥の丸ごとロースト」

2015年11月21日 | ドイツ・ヨーロッパの「食」

秋が深まり冬に向かう途中、毎年、近所の友達夫婦が集まり、
年に一回の鵞鳥の丸ごとローストを楽しむ集いがあります。
何ヶ月も前から招待状を出したり、何日も前からこの日の料理を
準備したり、招く側も招かれる側も、今年もつつがなく一年を
暮らせた思いを有難く祝う日でもあると思います。



朝から用意してきたテーブルセッティングも終わって、
いよいよ宴の始まりです。



今日のホストは料理上手のエルケ。去年大好評だった赤ビーツの
カルパッチョ、ラプンツェルとくるみと山羊のソフトチーズを
乗せて、ラズベリーのビネガーとバルサミコを合わせた、
甘酸っぱいソースがかかっています。
「綺麗で美味しくて、変な飾りがない、こういう料理はいいなぁ。」
と思います。



ご主人のホルストと僕は、毎年切り分けの係です。



はさみで左右二つに切り分けて、中からりんごの詰め物を
取り出します。



さて、メインディッシュの鵞鳥のローストの付け合わせになるのは、
定番中の定番、手作りの「カルトッフェルクレーセ/ジャガイモ団子」
と「ロートコール/甘酸っぱく炊いた赤キャベツ」に、上の写真の
りんごの詰め物です。
この三つが全て、ドイツの秋から冬の訪れを伝える旬の食材です。
肉汁ベースのブラウンソースと共に、ドイツのジビエのレシピには
必ず付き物の、美味しい組み合わせです。



食卓のお皿の上では、この黄金トリオがこんな感じで
盛り付けられます。



右から、ジャガイモ団子、赤キャベツ、ローストの中の詰め物だった
甘酸っぱいりんごの三種です。
そして正面の空白のところに、切り分けたお肉がどーんとサーブされ、
各人が自分の好みで好きなだけブラウンソースをかけます。



キッチンで切り分けられ、大皿に盛り付けられた鵞鳥のローストが
いよいよ、皆が待つ食卓に運ばれます。



「グーテン・アペティート! 」ー「美味しく召し上がれ、今日の日に乾杯!」

僕は30年経っても相変わらず異邦人ですが、こんな時は
「ああ、学生の頃から暮らしてきたドイツの良いところだなあ。
僕の子供達もドイツをこうして母国として育ち、暮らしていく
のだろう。良い人達に巡り合いますように」
と思う時です。