清酒の話
懐かしかった。立ち止まってつい試飲してしまった。灘の酒『櫻正宗』。きょうの帰り道、東京駅八重洲の大丸百貨店の地下の酒売り場でのことだ。20代の若いころによく飲んだ思い出の酒である。といっても安月給取りの身ではなかなか飲めない酒だった。その当時は安酒を飲んで酔っ払っていればご機嫌だった。先輩がたまにこの櫻正宗を飲ませてくれた。口上は決まっていた。「宮内庁御用達の酒だから、心して飲めよ」
40年も清酒を飲んでいると、嗜好が時代とともに変わることが分かる。自らの舌が体験してきたことだ。かつては新潟の酒に代表される淡麗辛口。冷やで吟醸酒がはやった。私もこの20年は「〆張鶴」が定番になった。ところがいまの傾向は濃醇な純米酒を熱燗で飲む。団塊の世代の常識からすれば、いい酒を熱燗でやるなんていったらバカかと言われたものだ。試してみた。これがうまかった。こんな楽しみ方があるんだと教えられた。
いまの季節は“にごり酒”を楽しんでいる。にごりといえば、甘くべたべたして悪酔いするというイメージだ。ところがいまはこれも50℃の熱燗にすると不思議ワールドに導かれる。たぶん舌なめずりするよ。
正月と2月に酒が集まった。下に記した酒が台所の隅と床下収納庫にある。家内からは邪魔だと文句を言われる。風邪でも引かないかぎり365日酒を飲む。体調がよくないと、どんないい酒もまずい。だから体調管理に気を使う。家での晩酌は、まず「〆張鶴」を冷やで、次は濃醇な純米を選んで熱燗でやる。口福だね。
秋 田=〔天の戸・美稲80純米無濾過生原酒〕
福 島=〔大七・H15BY生もと純米山田錦〕〔末廣・山廃純米〕
茨 城=〔武勇・純米〕
埼 玉=〔神亀・純米〕
神奈川=〔いづみ橋・恵海老名耕地〕
新 潟=〔〆張鶴・月〕〔八海山・本醸造〕
富 山=〔勝駒・純米吟醸〕
石 川=〔天狗舞・山廃純米吟醸〕 〔加賀鳶・純米大吟醸〕
福 井=〔福千歳・山廃純米〕〔花垣・純米にごり〕
静 岡=〔 開運・大吟醸〕
和歌山=〔黒牛・純米〕
鳥 取=〔日置桜・純米復刻ラベル〕
島 根=〔扶桑鶴・純米にごり〕
広 島=〔賀茂鶴・純米大吟醸〕〔小笹屋竹鶴・H16BY生もと純米〕〔竹鶴・純米〕〔竹鶴・純米にごり〕〔竹鶴・雄町純米にごり〕〔竹鶴・雄町純米
□冒頭の「櫻正宗」にちなみ、これはカンヒサクラ(寒緋桜)。2月25日に撮影したもの。3分咲きかな?