広島大大学院の安達教授らの研究チームは、損傷した膝関節の半月板を修復したり再生したりする新たな治療法の開発に向け、特殊なタンパク質を使った治験を実施すると発表した。
日本医療研究開発機構の支援事業に採択され、2027年3月までに、まずは修復術の実用化を目指す。
半月板は軟骨と並び、膝関節のクッションの役割を担う。
加齢やスポーツですり減ったり変形したりすると慢性的な痛みをもたらす。
患者が国内に1千万人いるとされる変形性膝関節症にもつながりかねない。
軟骨については治療法の開発が進んでいるが、半月板は血流が少なく修復が難しい。
縫合してもくっつきにくく、切除する治療が主流という。
今回の治験では、共同研究者の三洋化成工業が提供するタンパク質を使う。
組織の修復に必要な細胞を呼び込む力に優れ、ゲルやスポンジ状に加工できる特長がある。
縫合の際にゲル状にしたタンパク質を半月板の患部に注入しておくとくっつきやすくなる。
切除した場合には、切り取った半月板を砕いてスポンジ状のタンパク質と一緒に患部へ埋め込むと再生が期待できるという。
治験は2022年度に開始する。
8月18日、広島市南区の広島大震キャンパスで記者会見した安達教授は「半月板を切除すれば膝の機能が損なわれる。 生涯、自分の膝で歩いてもらえるよう温存や再生の方法を確立したい」と述べた。
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