認知症や知的障害などで判断力が不十分な人の財産管理や生活を支援する成年後見を巡り、親族らに代わって市区町村長が2017年度に利用を申し立てた件数は、人口当たりで比べると、都道府県間で最大約6倍の差があることが厚生労働省の調査を基にした分析で分かった。
申し立てが適切に行われていない自治体では、独居の高齢者らが消費者被害に遭ったり、福祉サービスを利用できていなかったりする恐れがある。
政府は権利擁護の観点から成年後見の利用を促しているが、自治体による取り組みの差をどう埋めるかが課題になりそうだ。
成年後見は家庭裁判所に利用を申し立てる。
親族が申立人になることが多いが、身寄りがなかったり親族が虐待したりしている場合、首長が申し立てることができる。
厚労省調査は、全1741市区町村について2017年度の首長申し立ての件数を調べた。
全国で7336件あり、対象者は84%が高齢者、残りが知的・精神障害者だった。
これを基に共同通信が総務省の人口推計などを使って都道府県別に高齢者と知的・精神障害者計10万人当たりの件数を算出すると、宮崎県が最多で43・0件。
次いで岡山県(42.4件)、東京都(37・3件)と続いた。
最も少ない栃木県(6・8件)と最多の宮崎県では6倍強の差があった。
全体の43%に当たる741自治体では件数がゼロだった。
申し立てが低調な理由には、制度に関する職員の知識不足や、自治体側の手間、費用負担が生じることがあるとみられる。
厚労省の担当者は「一定の人口があるのにゼロ件の自治体では、支援が必要な人がこぼれてしまっている恐れがある」として、本年度から実施する自治体職
員向けの研修で首長申し立ての手法を周知する考えだ。
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