楽天の携帯電話参入が決まった。
自前の回線網を持つ4番手として、割安プランで大手3社の寡占市場に割って入る。
これが起爆剤となり、携帯業界では料金やサービスを巡る競争が再燃する可能性がある。
自前回線による新規参入は13年ぶりで、消費者にとっては久しぶりに携帯会社の選択肢が増えることになる。
楽天は、他社から回線を借りて格安スマートフォンを展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)として2014年から「楽天モバイル」を展開。
さらなる事業展開をじわじわ練ってきた。
民間調査会社の調査でMVNO内でのシェアは22%でトップ。
実績はある。
携帯業界は3社が顧客を分け合う状況が長く続いた。
乗り換え競争が激しい時期もあったが、料金やサービスの差は小さい。
米アップルのiPhoneの取り扱いで足並みがそろってからは、各社の特徴が一段と薄れた。
最近はおおむねNTTドコモ約45%、KDDI(au)約30%、ソフトバンク約25%のシェアに変動はない。
業界はマンネリ気味なだけに、政府も「全国的なモバイル環境の整備につながる」(野田総務相)と新規参入を歓迎。
料金低下やサービスの多様化など競争効果に期待を寄せる。
市場が関心を寄せるのが、5200億円超としている楽天の設備投資額だ。
大手首脳は「その額では無理だ」と本気度に疑いの目を向ける。
だが三木谷会長兼社長は「十分できる」と意に介していない。
電力会社の鉄塔などに基地局を設置させてもらう独自の作戦を考案。
すでに東京電カホールディングスや中部電力の協力を取り付けた。
楽天の狙いには先がある。
三木谷氏は今月、通信会社の将来像について「長期的には、もはや通話ではない)と指摘、「運転や産業機械を含めたオートメーション(自動化)に関わってくる」と言い切った。
実際、自動運転を巡っては業種や国をまたいだ開発競争が激化しており、日本の通信大手も「安全確保のため高速で安定した通信は命綱」(ソフトバンク幹部)と本腰を入れている。
携帯アプリでタクシーを呼び出すと自動運転車が迎えに来るといったサービスも現実味を帯びつつある。
楽天は小型無人機ドローンの活用で先行しているが、自動運転やロボットでは出遅れ気味で、今後、これらの分野でも動きが出てきそうだ。
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