マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から体外の培養だけで卵子を大量に作ることに世界で初めて成功したと、九州大や京都大などのチームが10月17日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
この卵子と通常の精子を体外受精させることで、8匹のマウスが誕生。
今回の作製方法に磨きがかかれば、数年以内に人の卵子作りが実現する可能性もある。
これまでの手法では、作製過程で別のマウスの卵巣に移植する必要があった。
一人の場合には体外で卵子を作らざるを得ず、今回の成功で人への応用の可能性が出てきた。
ただ人の卵子の作製は将来、子の誕生につながり得る技術のため倫理的な課題も浮上しそうだ。
チームの林・九州大教授は「不妊女性のiPS細胞を使って卵子の形成を再現すれば、不妊の原因究明につながる。 体外で大量の卵子を作ることができれば、絶滅危惧種の保護にも利用できるかもしれない」としている。
チームは、生後10週目のマウスの尻尾から作ったiPS細胞で、卵子や精子のもととなる「始原生殖細胞」を作製。
その後、体内で卵子ができる約5週間の過程を3段階に分け、さまざまな試薬を用いて培養した。
その結果、特定の条件下で計約4千個の卵子ができた。
今回の体外受精でマウスが誕生した割合は、1%未満だった。
九州大によると、通常の卵子を使う体外受精の成功率は60~70%。
培養条件を改良するなどして卵子の質を高めることが、今後の課題という。
これまでもマウスのiPS細胞から始原生殖細胞は作られていたが、受精が可能な卵子にするには、別のマウスの卵巣へ移植する必要があり。
一度に卵子を作製できる数には限りがあった。
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