切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 名所江戸百景 高輪うしまち 

2014年06月03日 | Weblog

高輪うしまち」 (東京都港区高輪

 「うしまち」は牛町のことであるが、これは俗称で、正規には車町という。増上寺建立のさい、京都から牛車を多く入れ、その牛の小屋があったのでこの名がある。高輪大木戸に近く、前はすぐ品川の海で、広重は牛車を岸に大きく据え、海を眺望した図とした。かじり捨てた路上の西瓜の皮に夏の季節を知らせ、天空に弓なりに引いた虹が、夕立のあとの空気を伝える。切れわらじの緒をくわえた犬ころの姿に現実昧がある。虹と車輪の二つの弧のはさむスペースに品川湾が展開し、黒い御台場に対し、藍をぼかし上げた海面の白さが水光の反射と見え、明るく爽やかな画面となっている。

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