「高輪うしまち」 (東京都港区高輪)
「うしまち」は牛町のことであるが、これは俗称で、正規には車町という。増上寺建立のさい、京都から牛車を多く入れ、その牛の小屋があったのでこの名がある。高輪大木戸に近く、前はすぐ品川の海で、広重は牛車を岸に大きく据え、海を眺望した図とした。かじり捨てた路上の西瓜の皮に夏の季節を知らせ、天空に弓なりに引いた虹が、夕立のあとの空気を伝える。切れわらじの緒をくわえた犬ころの姿に現実昧がある。虹と車輪の二つの弧のはさむスペースに品川湾が展開し、黒い御台場に対し、藍をぼかし上げた海面の白さが水光の反射と見え、明るく爽やかな画面となっている。
春日井市在住、1935年私的な挿絵等に全て自由にご使用ください。
コメント利用規約に同意する
フォロー中フォローするフォローする
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます