切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 名所江戸百景浅草田甫酉の町詣

2016年10月13日 | Weblog

「浅草田甫酉の町詣」

格子窓のはまったこの部屋は、吉原の妓楼の二階座敷のようである。窓の外には浅草の田んぼが広がり、酉の市でにぎわう鷲神社が見える。浅草寺の奥院ともいわれる鷲神社で毎年11月の酉の日に行なわれる市は、いつも縁起物の熊手や頭芋を求める人でにぎわった。夕日に赤く染まる西の空、そろそろ遊里も本格的に忙しくなる時刻である。畳の上には、熊手形の洒落た簪が置かれている。これも酉の市帰りの遊客からの贈り物なのだろう。窓辺の猫のふんわりとした様子は「きめだし」によって表現されている。「寵の中の鳥」ならぬ箱入りの猫は、年季明けを待ちわびる遊女の姿に重ねられているのだろうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 広重 名所江戸百景 箕輪金... | トップ | 広重 名所江戸百景 浅草金龍山 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事