「浅草川首尾の松御厩河岸」 (東京都台東区蔵前)
江戸時代の隅田川は場所により呼び名がちがい、下流一帯、吾妻橋から両国橋の間がこの浅草川である。この川の西岸に、諸国からの年貢米を納める幕府の倉庫「御蔵」があり、舟運によるものを川から引き込む溝を八本設けた。その四番と五番の溝の間の川岸に、竹塀越しに枝を水上に差し伸ばして、首尾の松があった。名称は吉原へ通う猪牙舟の客が、この辺りで夜の好首尾を願うところから出たという。当図はその松下の屋根舟越しに、暮れなずむ夏の夕空星の見えだした浅草川を上流へ見通して広闊な図取りとした。中景に御厩河岸の渡し舟が行きあい、遠く吾妻橋が見る。
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