近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

伊豆合宿を終えて

2012-08-21 23:17:18 | Weblog
こんばんは!

夏合宿について報告させていただきます!

出発の2時間前まで荷造りをするという無計画性ぶりを発揮しながらも無事に集合場所に着くことができました。

昼食後に伊豆高原ステンドグラス美術館を訪れ、アロマの香りに旅の緊張をほぐしてもらいました。

夜の読書会では川端康成の「片腕」を扱いました。

なぜ片腕でなければならなかったのか。少女自身や身体の他の部分ではいけなかったのか。
という疑問点を中心に意見を交えました。
私がかつて出会った女性たちから得た女性像や自身のコンプレックスなどが影響し、私が片腕に執着を持つようになった。
しかし、少女は私の孤独を癒すために自らの片腕を貸し出したのではないか。
といったまとめになりました。

二日目は、伊豆近代文学博物館に行き
川端康成の「伊豆の踊子」の自筆原稿を拝見しました。達筆な字で丁寧に書かれている原稿や、それが今まで保存されてきていることに感動しました。

次に井上靖旧邸を見学しました。
井上靖になりきったつもりで玄関をくぐってみましたが、室内の保存状態が非常に良く、思わず室内にそのまま入っていけそうな気分になりました。

この夜の読書会では太宰治の「満願」を扱いました。
最後の一文の「あれは奥さんのさしがねだったのかもしれない」の「あれ」とは何のことなのかを中心に話を進めていきました。

結論として、先生の奥さんにお許しが出たことは医者の奥さんが医者に頼んだことである。
そして、「愛という単一心」を信じられないでいた私は、医者と医者の奥さん、先生の奥さんの「愛」を見ることができた。
ということが、医者の奥さんのさしがねであり、結局は私に影響している。
というまとめになりました。

最終日は木下杢太郎記念館を訪れました。
作家、医者、絵描きとして様々な方面で活躍されていたことを知り、言葉足らずではありますが「すごい」の一言につきました。

昼食後には起雲閣を訪れました。
数々の文豪たちが訪れた部屋からの景色はとても綺麗でした。

そのあとは、来宮神社などを巡り、熱海駅で先生方とお別れしました。

普段の研究会とは違った先生方や学部生の顔を見ることができました。
今回の合宿で培った結束力をこれからの研究会でも発揮していきたいと思います!

これからの予定ですが、9月6・7日に行われる勉強会では太宰治「走れメロス」を扱います。

2年 佐藤

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1 コメント

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Unknown (sh)
2016-03-22 14:29:03
初めまして。満願を読んで「あれは」の「あれ」について皆さんの解釈にはどうも納得がいくものがなかった。

私は素直に読んで、禁止したのは性行為であり、パラソルの奥さんは約束を守りとうしたと思います。そして嬉しい満願がきたのです。

「あれ」というのは太宰にパラソルの奥さんを見せることによって男女の愛の美しさを示した。つまり太宰のだらしない女性遍歴を諫める意味で太宰にあのパラソルの奥さんを見るように促した、それこそが「差し金」である。

文の最後に「あれは奥さんの差し金だったのかもしれない」の意味が性行為をできるようにアドバイスしたでは美しくない。
「年を経るごとにあのパラソルの光景がさらに美しく思える」の後にあれは奥さんの差し金だったのかもしれないと書いている。太宰に純粋な愛を医者の奥さんは教えてくれたのだと思う方がしっくりくるとおもいます。
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