近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

「肉体の門」 第二週

2007-11-13 00:46:26 | Weblog
四年の山本です。今週は「肉体の門」第二週目の発表でした。たくさんの参考資料で論じられていました。

「刺青」の分析では〈牡丹〉ではなく文字を刻んでいくことで、花として開いていかないことが暗示されていました。
「伊吹の生き方」では、価値転倒した世の中を楽天的に渡る姿が女達の憧れの的であり、焼け跡のヒーロー像として描かれていました。
「群からの離脱」では、ここが議論の中心になっていたのですが、伊吹はマヤにとって、モノとしての肉体でなく意志を持つ肉体の存在を教える者として描かれていました。
「鬼」の分析では、戦場で戦った兄や伊吹が、戦争で暴かれた鬼の顔をもつ人間として暗示されていました。
「肉体の思想」では、個人的には「肉体解放論」が面白いなと思いました。

発表者さんお疲れさまでした。次回は私の「知られぬ日本の面影」論です。

「肉体の門」第1週

2007-11-12 01:15:35 | Weblog
こんにちは、2年の西山です。
前回の研究会は田村泰次郎の「肉体の門」についての研究発表でした。

マリがただ機械的に体を売る<獣>から、肉体の悦びを感じる<人間>に昇華される過程が描かれている。そしてその肉体の悦びこそが、秩序のなくなった戦後直後の日本人が享受すべきものだという読みが展開されていました。
議論では<獣>と<人間>をどう考えるべきかというところに論点が集中していたように思います。生きるために動く本能としての<獣>と、肉体の悦びを知らないという意での<獣>という点において、混乱をきたす人が多かったのではないでしょうか。

次週は「肉体の門」の2週目の発表です。発表者の方はよろしくお願いいたします。

漱石展へ行く

2007-11-06 20:31:26 | Weblog
こんにちは。11月3日に行った、江戸東京博物館の漱石展について書かせていただきます。

3日、朝9時15分に館内に集合し、現在行われている漱石特別展示会を見てきました。夏目漱石の生い立ちから死までにまつわる様々な遺品や原稿、展示が充実していました。当日のお客さんは子供からお年寄りまで幅広い年齢層の方が見に来ていたのが印象的でした。展示の中で最も興味深かったのが、学生時代のノートや、教科書、教官時代のものです。漱石は学生時代、英語に相当打ち込んでいたようで、教科書の四隅には書き込みがびっしり、またノートには英語の詩を体系的に分析して学ぶ授業の書き込みがされているものの展示がされており、相当熱心に勉強に打ち込んだ様子が窺えるものでした。他にもいろいろと興味深いものばかりでしたが、「明暗」や「こころ」の原稿の裏に漢詩をびっしりと書き込んだものがあり、漱石がやがて「則天去私」の境地にいたっていく過程がわかると思います。
 展示を見終えた後、昼食をとり、歩いて回向院や、芥川が通っていた小学校を見物し、そこから浅草の柳橋へと行きました。戦後の花街の名残漂う、情緒的な下町を見物できたと思います。
 見物後、浅草雷門まで行きました。祭日ということもあってか、多くの人でにぎわっていました。しっかりとお参りもすませ、解散後渋谷へ飲みに。
 漱石展はどれもが興味深いものばかりです。興味のある方はぜひ期間内に行ってみてください。