近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

傳馬義澄教授最終講義

2011-01-20 13:01:00 | Weblog
傳馬義澄教授最終講義「尾崎喜八の詩と音楽」が以下のとおり行われました。本会の活動ということではありませんが、本会顧問である傳馬先生の最終講義に、本会会員をはじめ70名近くの方が聴講しました。


平成23年1月18日(火)、本会顧問で文学部日本文学科教授の傳馬義澄先生の最終講義が120周年記念2号館2202教室に於いて行われました。

傳馬先生は、明大兼任講師・本学兼任講師を経て昭和56年より本学専任教員となって以来、30年近くにわたり本学文学部において近現代文学研究の発展と教育にご尽力されました。本会にあっては、50年あまりの歴史のうち、40年の長きに渡りご指導を賜りました。その傳馬先生の最終講義ということで、本会会員はもちろんのこと、大学院生や学部生、教職員など多くの聴講者が会場に詰め掛けました。

 
▲貴重な資料の数々を実際にお持ちになり、お話になる傳馬先生

最終講義では、今年度大学院の演習でのテーマとしても設定され、昨年11月に行われた國文學會秋季大会での記念講演でも扱われた「文学と音楽」というテーマに関連させ、「尾崎喜八の詩と音楽」と題して行われました。


尾崎喜八の略歴からお話が始まり、青年時代の尾崎が高村光太郎に憧れ、憧れの人物との会話に言葉がなかなか出てこなかったエピソードや、「若い白樺」などの詩作数品の解釈を詩集あとがきや同時代の批評家たちの記述などを踏まえて展開されました。また、実際の音楽(オーボエとヴァイオリンと弦楽合奏のためのニ短調の協奏曲のアダージョ)を聴くという体験を会場にいた聴講者と供に行うことで、尾崎が自分の作品を通して、どのような世界を作り出そうとしたのか、聴講者それぞれに投げかける形で講義を終えられました。

 

先生の講義を受けることが出来るのも、学部生にとってはこれが最後。一人一人が、先生が講義されるお姿を心に焼き付けながら拝聴しました。近年の学生に失われつつある、「心」を持った研究姿勢が活き活きと実現されており、これから社会に飛びたつ学生も、研究を続ける学生も、改めてそれぞれが進む道に於いて、それを「究める」ことの重要なものを考える機会にもなったのではないでしょうか。


講義の後には、大学院の方から傳馬先生へ花束の贈呈が行われました。

今後の先生の御健康をお祈り申し上げます。