4月21日(月)に行われました、石川淳「マルスの歌」研究発表について報告させていただきます。
発表者は3年黒田君、2年熊谷君、2年櫻井君、司会は4年岩渕が務めさせていただきました。今回も先週と同じ程度の見学者、新入部員の方々が来られ、特に3年生が多く見受けられました。様々な緊張と活気溢れる教室の中、論点としては作品「一」章の終わりで語られる「…事実のほうから書き出すことにしよう。」という表現がどのように解釈できるかということが注目されました。語り手は「小説の世界」と「事実」とを対比して扱っていますが、読者がそれを文字通り受けとりますと「二」章は「事実」の報告書ということになってしまいます。
ある作家たちの間で、小説が書けないという事実を小説として書くという時期があったことを岡崎先生から先々週(プレ発表)で教えていただいていたこともあり、発表者の意見は、作中での「わたし」は「マルスの歌の季節」から脱しておらず、「事実」を当事者が描くことは不可能だということを根拠に、「マルスの歌の季節」を脱した「わたし」が過去を綴った小説という形をとり、作者(石川淳)―「わたし」(小説を書ける)―マルスの歌の季節の中にいる「わたし」(小説が書けない)という三重構造になっている、というものでした。
しかし、小説が書ける「わたし」が「マルスの歌の季節」を何故脱したといえるのかについての解釈が曖昧、また、作品の内容についてあまりふれられていないといった指摘もあり、岡崎先生からは、作品の構造分析だけではなく物語内容にも取り組んでいくべきだという助言と、また、新しい読みに果敢に挑戦していく姿勢を評価していただきました。
見学の新入生や新部員の方々におかれましては、初めての研究発表の回となりましたが、どの方々も熱心に参加されていた様子が窺えました。これも当日まで懸命に作品の解釈をした発表者の努力の賜物かと思われます。私事ですが、拙い司会で申し訳なく、次回務めさせていただく際には手際よく進行していけるよう精進して参ります。
次回:4月28日(月) 18:00~
読書会 太宰治「逆行」
それでは、失礼致します。
4年岩渕
発表者は3年黒田君、2年熊谷君、2年櫻井君、司会は4年岩渕が務めさせていただきました。今回も先週と同じ程度の見学者、新入部員の方々が来られ、特に3年生が多く見受けられました。様々な緊張と活気溢れる教室の中、論点としては作品「一」章の終わりで語られる「…事実のほうから書き出すことにしよう。」という表現がどのように解釈できるかということが注目されました。語り手は「小説の世界」と「事実」とを対比して扱っていますが、読者がそれを文字通り受けとりますと「二」章は「事実」の報告書ということになってしまいます。
ある作家たちの間で、小説が書けないという事実を小説として書くという時期があったことを岡崎先生から先々週(プレ発表)で教えていただいていたこともあり、発表者の意見は、作中での「わたし」は「マルスの歌の季節」から脱しておらず、「事実」を当事者が描くことは不可能だということを根拠に、「マルスの歌の季節」を脱した「わたし」が過去を綴った小説という形をとり、作者(石川淳)―「わたし」(小説を書ける)―マルスの歌の季節の中にいる「わたし」(小説が書けない)という三重構造になっている、というものでした。
しかし、小説が書ける「わたし」が「マルスの歌の季節」を何故脱したといえるのかについての解釈が曖昧、また、作品の内容についてあまりふれられていないといった指摘もあり、岡崎先生からは、作品の構造分析だけではなく物語内容にも取り組んでいくべきだという助言と、また、新しい読みに果敢に挑戦していく姿勢を評価していただきました。
見学の新入生や新部員の方々におかれましては、初めての研究発表の回となりましたが、どの方々も熱心に参加されていた様子が窺えました。これも当日まで懸命に作品の解釈をした発表者の努力の賜物かと思われます。私事ですが、拙い司会で申し訳なく、次回務めさせていただく際には手際よく進行していけるよう精進して参ります。
次回:4月28日(月) 18:00~
読書会 太宰治「逆行」
それでは、失礼致します。
4年岩渕