近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

平成29年5月4日 日本近代文学館

2017-05-07 15:34:19 | Weblog
こんにちは、幹事の長谷川です。
今回はゴールデンウィークに行われました文学館見学についてのご報告を致します。
5月4日(木)に、日本近代文学館で開催中の「新資料から見る谷崎潤一郎」並びに「川端康成が見出した作家たち」の展示を見に行ってまいりました。

「新資料から見る谷崎潤一郎」では、谷崎書「近代文学史展」の題字にはじまり、貴重な資料の数々を見ることができました。
まず始めに谷崎の生涯と作家的出発を年表を中心に確認し、続く「第二部 単行本でたどる谷崎文学」では、色彩豊かな装幀を施された美しい単行本を見ることができました。このように視覚的に鑑賞できることが、文学館の醍醐味のひとつですね。
谷崎は長きに渡って黄色い表紙の日記帖に日記を綴っていたそうですが、ある日突然思うところあって焼いてしまいます。「第三部 晩年の日記から」では、その出来事以降の日記帖が公開されていました。
「第四部 創作ノートの小宇宙」では、今回の展示の目玉である、平成27年4月に発見されたばかりの創作ノート「松の木陰」の印画紙が公開されていました。谷崎の創作過程を知ることができる貴重な資料でした。
「第五部 「細雪」と松子夫人」は、美しい松子夫人の写真を交えて、谷崎文学の松子夫人からの影響を伺い知ることができる展示でした。
「第六部 書簡に見る谷崎潤一郎」では、サイデンステッカー宛の書簡などから、世界に羽ばたく谷崎文学の片鱗を見ることができました。また、松子夫人から丸谷才一宛の書簡は、色彩豊かな料紙や便箋が使用されており、松子夫人の感性が垣間見られました。
5月15日の谷崎潤一郎「刺青」研究発表を控え、谷崎文学への理解が一歩進んだのではないでしょうか。

「川端康成が見出した作家たち」は、堀辰雄・三島由紀夫・岡本かの子などの才能を見出した川端の、批評家としての面に着目した展示でした。研究発表の際、同時代評として川端の「文芸時評」を引用したことのある会員も多いことでしょう。
川端がどのように文豪の才能を発見してきたかが解説されたこの展示は、今年度前期テーマである「出発点の文学」にも通ずるものでした。今年度前期に扱う三島由紀夫「花ざかりの森」や堀辰雄「聖家族」の単行本も展示されていました。
会員たちが「出発点の文学」というテーマについて改めて考え直すいい機会になったのではないでしょうか。

今後も文学館等に積極的に足を運び、貴重な資料を自分の目で見る機会を大切にしていきたいと思います。
ゴールデンウィーク明け、たくさんの新入生に入会していただけるよう願っております。

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