近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

「刺繍せられた野菜」第1週発表

2009-06-23 00:04:57 | Weblog
みなさん、こんばんは。
本日は中河与一の「刺繍せられた野菜」の研究発表でした。語り手の視座を中心として、エプグラフ、〈彼女〉〈妻君〉という呼称の問題を論考の手始めとして論を進めていき、この作品を〈内面に独自の物語を孕んでいない〉と結論づけつつ、〈しかし〉として、発表者はこう肯定的評価をしました。〈「刺繍せられた野菜」は、表現の行為と対象とが含みこみあいながら輪郭に関わることで、彫り出された生活への純粋な讃美となっている〉
ここにおいて発表者が主軸を置いて展開した論は、語り手の所在の移行、題名にあらわれる「刺繍」の意味するところでした。質問としては、基本的なところで、資料中に使用される言説の意味の確認、物語内の〈チロ〉の役割が主に出ました。この〈チロ〉という犬の役割……というよりも、物語内に、どのようなドラマを導き出すのか、などといった質問の答えは、次週への課題ともなりました。
また、〈彼女〉、〈妻君〉という呼称のほかに、物語内では〈夫婦〉という表現も見られ、これも、先行論文で論じられていた「ドラマ」と関連しているのでは、という指摘も出ました。これらの質問、指摘は、みな、発表者の主軸としたところと微妙な相違を示しており、次週での発表で、それをいかに消化、展開させていくのか、が発表者お二人の課題となりそうです。

暑くなってきましたが、みなさん、夏バテしないように気をつけましょう。

横光利一「ナポレオンと田虫」第二週

2009-06-17 21:59:16 | Weblog
こんばんは。
今週は先週に引き続き、横光利一の「ナポレオンと田虫」の発表でした。
ナポレオンと田虫の「意志」の問題が先週から引き続いて提示されていて、
横光の他作品との比較をして、作品検討をしていました。
議論は、見学者も多く、たくさんの意見が挙げられましたが、用語の使い方に気をつけブレのないように心がけなくてはならないなと感じました。

次回は中河与一の「刺繍せられた野菜」の発表です。

川端康成「油」二週目

2009-06-09 21:16:35 | Weblog
更新が遅れたため、記事が前後してしまい、申し訳ありません。


6月1日の発表は前回に引き続き、川端康成の「油」の発表でした。
今回は前回指摘された改稿を検討し、また改稿前後の川端を追うことで、作品を<孤児>自体の概念化を描いた作品という、より大きなものとして捉えていました。

今週の資料には、川端自身が作品に言及したものが幾つか挙げられており、それに対して、作家の言葉を全面的に信じてはならず、使う領域を考えねばならないという指摘が印象的でした。これからの発表の際にも考えていきたいと思います。

発表者の方はお疲れ様でした。
以上、西村でした。

横光利一「ナポレオンと田虫」発表

2009-06-08 22:22:05 | Weblog
こんばんは、今週の司会を担当したフナダです。
今週は横光利一の「ナポレオンと田虫」の発表でした。

同時代評や先行論文をふまえ、今回の発表では表現や構造に注目していたようです。
また、「意志」という語が注目され、議論の中心になっていたように感じました。この語の用い方は難しかったようです。

また、参考資料の掲載の仕方や分析のまとめ方について改めて考えなければと気づきました。

次の発表でさらに踏み込んだ議論ができるよう、司会としてサポートしていければと思いますね。
また、今日は体調を崩して欠席する人が多かったので、来週まで皆さん体調管理しっかりしましょう。

以上、フナダでした。