近研ブログ

國學院大學近代日本文学研究会のブログです。
会の様子や文学的な話題をお届けします。

横光利一「神馬」発表

2009-04-22 01:16:24 | Weblog
こんばんは、ニシヤマです。今回は横光利一「神馬」の発表でした。発表者の方、おつかれさまでした。
今週は参加人数も増え、先週よりさらににぎやかな議論の場を設ける事ができました。

今回発表者の方は、従来神馬の〈内的独白〉として捕らえられてきたこの作品を、〈内的独白〉と思わせる書き手の意図が表れた作品として、そう思わせる表現や構成などを考察していました。そして小説の虚構を明らかにすると言う手法の、同時代における独自性を指摘していました。
議論においては、書き手を何処に位置づけるかという問題や、構成の更なる検討、そしてこの作品の横光の文学史や同時代における位置を明らかにすべきだという指摘がありました。

「新感覚派」の代表選手ともいえる横光の初期作品を検討する事により、新感覚派の原点も見えてくるでしょう。その意味でも有意義な発表だったと思います。

来週は千葉亀雄の「新感覚派の誕生」という論文をみんなで読みます。この論文で、はじめて「新感覚派」という名称が使われました。
レジュメを作って発表と言う形式ではなく、みなで自由に議論をする読書会の形式をとりますので、まだ見学にいらしていない方もお気軽にご参加下さい。

川端康成「禽獣」発表

2009-04-19 20:52:31 | Weblog
こんばんは、ニシヤマです。すっかり温かくなり、木香薔薇も満開です。
近研の2009年度の活動もいよいよ本格始動です。
見学に来てくださった方々のおかげで、いつも以上ににぎやかな例会になった事を、とても嬉しく思っています。

このたびは第1回発表の「禽獣」についてご報告いたします。発表者は私、ニシヤマです。
レジュメもホームページにアップしてありますので、どうぞ御覧下さい。

「禽獣」は今まで作品内の時間についての考察と、作品内容の考察にほぼ二分されるような形で研究が進められていきました。しかし、発表者は内容と構成は切っても切り離せないものであると考え、考察を始めました。そして、その考察を経て川端康成の人間観を明らかにすると言うのが、このたびの発表の主旨でした。

議論の際には、使われている言葉の定義(〈堕落〉〈死〉など)が曖昧である事、それによって分析がうまく絡みあっていない事を指摘されました。このようなところを大事に読んでいく事で、より深い発表になったろうと発表者も悔やんでおります。

次回の発表は横光利一の「神馬」です。発表者の方はよろしくお願いいたします。