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原子力発電事業に重点を置いた経営判断で、苦悶する東芝。

2017年01月19日 10時08分34秒 | 日記
 東芝が米国の子会社ウエスチングハウス(WH)の原子力関連事業で、巨額の赤字を抱え込み苦悶している。

 筆者は原子力発電事業に重点を置こうとした東芝の経営方針が、完全に裏目に出た結果だと思う。

 なぜそこまで原子力発電事業に固執したのだろう?  そういえば安倍政権も原発事業に固執し、海外にまで売り込み商談を行っているほどだ。。、

 1万数千名という大規模なリストラも断行した上に、定評があった家電事業や医療用機器部門を売却して資金調達を行っていたようだが、WH関連の赤字額が倍増し、とうとう稼ぎ頭であるフラッシュメモリー(FM)事業も、売却するつもりであるようだ。

 FMはスマホの重要な記憶装置であり、最近のPCでもどんどん大容量のFMが、従来のHDDに代わり採用され、今まさに花形のメモリー事業なのだ。

 福島の原発事故後も、原発事業に重点を置く経営決断をした東芝には、筆者も首をかしげざるを得なかったが、世界的にも危険性がある原発よりも、天然ガスやシェールオイルの生産量が増え、はるかに発電コストも安上がりで、なんといっても万一の事故が発生しても安全だ。しかも並行して自然エネルギー発電事業も、世界の主流になりつつある。

 筆者の自宅でも、RegzaでおなじみのTVや冷蔵庫など、東芝の家電製品を愛用してきただけに、苦悶する東芝の姿を見るのがなんとも痛々しい。

 

(日本経済新聞 電子版より貼り付け)

東芝、解体的出直しへ 原発再建の道険しく
半導体分社で資金確保
2017/1/19

 米国事業での巨額損失額が見えてきた東芝はメモリーを含む半導体事業の分社に加え、原子力事業の見直しも不可欠となる。2015年に発覚した会計不祥事後、大規模リストラを経ていったんは再生の道を歩み始めた。巨額損失により半導体と原子力中心のエネルギーの両事業を再生の柱としたシナリオは崩れ、再び解体的な出直しを迫られる。

 財務体質を改善するため早期に着手しやすいのが半導体事業の分社だ。新会社の一定の株式を売却することで手元資金を確保する。スマートフォンやサーバー向けの需要が好調なフラッシュメモリーは出資の引き合いも強いとみた。

 主力の四日市工場(三重県四日市市)はハードディスク駆動装置(HDD)世界首位、米ウエスタンデジタル(WD)との折半出資会社が運営する。そのWDから出資提案を受けているが、交渉を急ぐ必要がある。今期の最終赤字が避けられない中、3月末までに株式売却益を計上したい考えだからだ。

 東芝は18日、半導体分社について「検討を進めていることは事実だが、具体的に決定した事実はない」とのコメントを発表した。新会社にはWDのほか複数の投資ファンドも出資に関心を示す。現状では出資比率で2割程度、金額で2千億~3千億円の案が出ている。

 分社後も新会社は連結対象とし、メモリーは引き続き東芝の稼ぎ頭。東芝社内ではWDについて「メモリー事業を対等の関係で手掛けてきたが出資を受ければバランスが崩れる」との声があり、名乗りを上げる出資者が増える可能性がある。

 WDが出資する場合は独占禁止法をクリアできるかも焦点になる。フラッシュメモリーで2社合計の世界シェアが4割弱、HDDは約6割に及ぶためだ。東芝は医療機器子会社のキヤノンへの売却でも、各国の独禁法の手続きが想定より長引き、完了したのは買収発表から9カ月後だった。

 原子力事業も分社する案が浮上している。経営を自立させると同時に他社との事業再編をしやすくする効果を狙う。06年に買収した米ウエスチングハウス(WH)は東芝が持つ87%の出資比率の引き下げがかねての課題。今後、パートナー探しを本格化するが、損失発覚後のWHに手をさしのべる企業は見込みにくい。

 損失が膨らんだのは原発建設に潜む費用増のリスクをWHが抱え込んだため。米国2カ所の原発新設では東京電力福島第1原発の事故などを背景にした規制強化で工期が遅れた。1兆円単位のプロジェクトだけに材料費や作業員の雇用期間の長期化など莫大なコスト増として跳ね返ってきた。

 日本国内の原発新設は当面、見込めない。新興国を中心に需要はあるものの建設遅延による損失の可能性は今後もつきまとう。東芝は30年度までに世界で40基近くを新規受注する計画を掲げていたが、修正は避けられない。安定して稼げる海外の燃料ビジネスや既存施設の保守・点検、廃炉関連の技術開発やサービスに集中し、新設は抑制せざるを得ないだろう。

 半導体を分社し、原子力事業を見直す一方、そのほかの事業でも収益性を高める戦略を示すことが求められる。上下水道やビル設備、鉄道など社会インフラ事業のほか人工知能(AI)などIT(情報技術)関連サービスを育てる。半導体と原子力を支える安定事業という位置付けから成長を担う役割が求められる。

 東芝は会計不祥事を受けた15年度の大規模リストラで1万4000人規模の人員を削減。医療機器子会社だけでなく白物家電事業では中国の美的集団への売却に踏み切った。パソコン、テレビの両事業は分社し、半導体では画像センサーの生産設備をソニーに売却するなど全社的な大なたを振るったばかりだ。

 16年6月発足の新体制で綱川智氏を社長に据えるなど経営陣を刷新して出直したはずだった。それから半年余りで再び解体的な出直しに追い込まれた一因には「2本柱」という伝統的なポートフォリオ(事業構成)にこだわり過ぎた面もある。半導体分社に加え、各事業で収益を確保する新しい姿を早急に示さなければ再生はおぼつかない。

(貼り付け終わり)