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「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

「2人~」へ(9)

2010年07月10日 | Weblog
ぼくは今日のイベントの冒頭で、自分なりの考えを少し話そうかと思っています。それは、高橋さん、伊藤さんをお招きする理由にも関連するわけですが、最近の美術の動向でぼくが興味を持っているのは以下のような傾向を示す作品ではないかと、感じています。

・アイロニー/ナショナリズム(ex.スーパーフラット、悪い場所論、会田誠、カオス*ラウンジ)から自由
・マイナーな抵抗としてのアート観(ex. マイクロポップ)から自由
・単独ではなくグループ(集団、集合)を重視すること
・観客とのコミュニケーションを重視すること
・魔術性(別の世界の開示/偶然性へとひらく)
・未来志向

最初の2点、この十年くらい現代美術の批評を賑わしたこうした傾向から自由であることが、ゼロゼロ年代からテン年代へ進んだなかで起きた大きな変化なのかもしれません。もちろん、最初の2点が指摘した現状(社会や美術界の現状)が大きく変化したわけありません、おおざっぱにいって「ポストモダン」な状況をぼくたちが生きているのは間違いありません。現状の認識をそうした志向と共有しつつ、「悪い場所」のナショナリズムにこだわることなく、また(メジャーと対になる)マイナーの立場に自分を置くこともせず、根本的な仕方で芸術の可能性を探究し、この場で、なにが出来るのかをフラットに思考すること。すべての価値が相対化された後で、凝り固まった思考をほぐしてゆくこと、その上で、あらためて芸術の可能性をダイナミックにひらいてゆくこと。

昨日は、お客さんが少なくてもいいなどと書いてしまいましたが、もちろん、高橋さん、伊藤さんのお話を多くのひとに聞いてもらえらたと思っております。よろしくお願いします。

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