Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

極私的ベスト5(2/26付)

2009年02月26日 | 極私的ベスト5
痛みで胃の位置を感じるようになったのは、ぼく史上、昨年4月より常勤の仕事がはじまってからで、そんな常勤の仕事をしてお金をもらってくらす人間としてあまり発言してはいけないこともあるだろうなんて思っていると、どんどんブログなどという場所に無邪気にボム(書き込み)するエネルギーがそがれて、、、なんてどーでも良いこと書かないとブログ書きはじめられなくなってきているのでした。

今朝、Aと話したことで、人間が反射的になっているということがあって、つまり、人間にスポンジのようなバウンドが無くなって、つるっとした金属板みたいになっていて、もちろんぼくもその一人だと思うけれど、ひとから受ける刺激が、キャッチボールにならないで、ボクシングみたいになってしまう、刺しつ刺されつみたいになってしまうのが今、現在、2009年の2月のぼくたち(「ぼくたち」の範囲はどこまでなんだろう、東京から離れればいいってこと?)なのだろう。簡単な話で、少し前までは、ネット上に公演についてなど、率直に自分の思うところを書いても、なんとなくそれは単なる批判(非難)みたいに解釈されずに、そのいわんとするところを多様な仕方で受けとめる雰囲気というのがあったと思うのだけれど(いや、そんなのぼくの思い過ごしだったのか)、いまはほとんど消えてしまったように思う。自分が単に塩酸振りまいているみたいなことになってしまっているのだったら、そんなことはしたくないよなあと思ってしまう。文脈とか、言わずして語っていることとか、もうそういうものは通用しないような気がして、どんどんひとが閉じていってしまう。一種のヒステリーの膨張が、いまこの自分の暮らしているところで起きていることなのでは。

ぼくは折に触れひとに言っているのは、必要なのはマッサージではないか、ということでして。もちろん、個人的にマッサージに行きたい願望が募っているということでもあるんですが(行って揉んでもらえば、こんな書かなくて良いこと書かなくて良い?)、それはそうとして、マッサージ力は必要ですよ。電車に乗ってて、隣に座ったひとがへんな閉じ振りを発揮するとつらい気持ちになるんです。近い将来、座席はパーテーションが設置されるかも知れないなんて思ったりして、そうした閉じる傾向をひらく、ひらかなくてもゆるめる力をひとが発揮するようになるといいなあ。そのあたりに、「最後の人間」が見え隠れしているようにさえ思う。人間が人間じゃなくなるっていう境界線がそのあたりにある気がする。いや、もうそんな人間じゃなくて良いじゃんなにいってんの!みたいに感じてるのかもぼくも来年の今頃は、とかとも思ったりするんですけれどね。

ぼくにとってのベスト10(は大変なのでベスト5)は、これです。世間は下記(前回の記事)の通りです。いや、CD売り上げが「世間」を表現することになるのかもう分かりません。何が世間を表現することになるのか、もうよく分かりません。ならば、ともかく自分のベストは何なのかはっきりさせておきたいのです。といってなかなか大変なことですよ。はっきりさせるのは。衝撃というのも一日でどんどん消費されていってしまうんですよね。溜まっていかない、ぼくだけですかね。

第1位 ミャオ族の踊り
先日、BSでミャオ族のドキュメンタリーをやっていて、あまりにキュートなダンスを踊っていたのが忘れられず、ネットで調べてみたのだった。アジアのダンスの強烈に甘い、ぶりぶりな世界。背景にあるのは、強烈な男性中心主義なのではと思わされる。とはいえ、やみつきになりそう。こういうアジア的なものが、つまらぬモダン化をすることなく、そのアジア性を存分に発揮するところに立ち会いたい、というかこんな村祭りに行ってみたいものです。

第2位 某著作めどがたつ?
あまり大きな声ではいえませんが、近々完成しそうです。木村BRAINZ本。

第3位 最後の円盤(音がバンド名)presemts(2/23)
2時間半続いたライブの最後の五十分程は、「ストリート・ファイター」のキャラクター2体をダンサーに仕立てて、ダンスを踊らせるというものだった。十分で終了するはずが、四十分も延長したのは、小林が途中からコントローラーをうまく操作出来なくなってしまったから。何度もやめようかという雰囲気になったのだけれども、諦めない川染の熱意が、ほとんどその熱意だけが会場に一体感を与え、二十回目くらいでとうとうダンサー2人が相打ちになり、血しぶきを上げながら同一の弧をふたつ描いて倒れた。その瞬間の感動は、なかなかすごかった。これ、練習しとけよ!って話かも知れないんだけれど、ばたつくところにこそ彼らの方法があるとすれば、彼らのストラクチャーのなかにこのツッコミは回収されるものとみるべき?強烈に退屈で、しかし決して飽きない不思議な2時間半だった。ゲームのキャラを踊らせる作品を見たのはぼくは初めてだった。これ、ありだと思いました。

第4位 目撃!小学生の女の子が、男の子の家に押しかけチョコレートを渡す瞬間
それは、例の日のことでした。小五くらいの女の子たち3人組が、一戸建ての家の前で超不審な様子でうろうろしているかと思ったら、ひとりが残って、玄関から出て来た男の子に手を伸ばしている。オーッ、決定的瞬間!男の子も女の子もずっと覚えているだろうこの瞬間に思わず立ち会ってしまった。

第5位 今日はタヌキが3匹
自宅の前の階段をあがるところで、今日も出くわした。時間が早かったからか、なんと3匹も菱形のあの顔が。と思っていたら、タヌキの視線の先には、タヌキ山に接したお宅の奥様の顔が。ぼく-タヌキ×3-奥様の三つどもえで、30秒程見つめ合う。

じゃあリアルなベストテンは?(オリコンの週間ランキング2/23付)

2009年02月23日 | 極私的ベスト5
1位 KAT-TUN「ONE DROP」
2位 ステレオポニー「泪のムコウ」
3位 秋元順子「愛のままで」
4位 氷川きよし「浪曲一代」
5位 ゴスペラーズ「1, 2, 3, for 5」 
6位 The Shigotonin「鏡花水月」
7位 GReeeeN「歩み」
8位 UNICORN「WAO!」
9位 Kinki Kids「約束」
10位 Salyu「コルテオ~行列」

11位 JUJU「やさしさで溢れるように」
12位 My Little Lover「音のない世界」
13位 小林ゆう「hanaji」
14位 かりゆし58「さよなら」
15位 紫Shikibu「Loveなんだよ」
16位 天の妃少女合唱団(かなこ&鞠也&茉莉花)「君に、胸キュン」
17位 愛内里菜「アイノコトバ」
18位 BACK-ON「flyaway」
19位 松浦亜弥「チョコレート魂」
20位 三浦大知「Your Love」

21位 Meg「Freak」
22位 チャット・モンチー「Last Love Letter」
23位 Miss Monday「The Light」
24位 山本譲二「俺たちの春」
25位 茂家瑞季,林桃子「Let’s!フレッシュプリキュア!」
26位 アンジェラ・アキ「手紙 ~拝啓 十五の君へ」
27位 北山たけし「剣山」
28位 東方神起「Bolero」
29位 加藤ミリヤ「20-CRY-」
30位 月島きらり「はぴ☆はぴサンデー」 starring 久住小春(モーニング娘。)

田中ロミオ『AURA~魔竜院光牙最後の戦い~』

2009年02月10日 | Weblog
「できない、この世界で冒険なんて……」
「できる」
「どこで?」
もう良子の顔も見えない。体温に熱せられた涙滴だけが、雨のように顔を打ち続ける。とても心地よい。感情のパイプが繋がっているんだ、今やっと、こいつと。
 泣かせているのに楽しいだなんてヒドいやつ。俺はやっぱり魔属性さ。
「ドイトとか。あとダイソーとか」
(田中ロミオ『AURA~魔竜院光牙最後の戦い~』)

ということで、さっきこの本を読み、ちょっと感動して、その感動とは別に、ここを読んだ時に、「あこれは」と思ったのでエントリーします。この世界で冒険とはダイソーとかで可能なのだということをガチで実践してみる企画が2/15にあります。わたしの奥さん伊藤亜紗さんが編集長の雑誌『レビューハウス』が行う初のイベントレビューハウス☆ドリームナイトがそれです。よく誤解されているのですが、ぼくはこの雑誌の編集には一切関わっていません、食卓の話題で「へーそうするんだー」とか言っているだけです。一執筆者です。一執筆者としてこの雑誌を応援してまして、この企画もおもしろそうなので、紹介します。あの、お客さんとして行っていいはずなので、わいわいと冒険の成果を楽しんでみましょう。

マリー・シュイナール「オルフェウス&エウリディケ」

2009年02月09日 | ダンス
2/8
一応、artscapeに寄稿するので、詳しくはそちらをご参照下さいというところなんですが、マリー・シュイナール、よかったです。なんか「プレゼンス(「身体が観客の前にあらわれるそのあり方」とでもさしあたり訳してみましょうか)」に対する考えが明確だなと思ってしまいました。エロとか下品とかグニャグニャとか美しさとかかわいさとかをどう見せたらいいか、その考え方がきわめて明確でヌケが良いといえばいいでしょうか、舞台上がすっきりしていました。まるっこくてやわらかくて白い、、、厳格なフェティシズムに基づいて選ばれたに違いない身体は、その厳格さの故に、そりゃ見応えあるわけです。

ところで、最近、興味あるのがこの「プレゼンス」という言葉なんですよね。まだ考え中で、曖昧なところがあるのですが、ちょっと書いてみます。
いまここにいてこれを見ているという覚醒とちょっとそれはないんじゃないかと思わされる驚愕とがない交ぜになった感覚といえばいいでしょうか、ちょっと前なら「強度」などといっていた事柄に近いのかもしれないけれど、テクニックとかそれに裏打ちされるフォルムの美とか、そうしたものに向かう目が不意に見てしまう目の前の身体の現前性。オードリー春日みたいな存在に、うさんくさいと思いつつ巻き込まれている感じとか、(音がバンド名)の小林さん川染さんに惹かれているのも一脈あるのだと思うのだけれど、「プレゼンス」がすごいっていいよなあ、と思う今日この頃です。

あ、あとホナガヨウコ×サンガツ『たたきのめすように見るんだね君は』(DVD)を発売(2/18)に先がけ、見せてもらいました。バンドの音とダンスの振りが、主と従の関係を入れ替えながら、その緊張関係を保ちつつ突き進んでいく55分は、見応え十分でした。今、時代のテーマは「自由」ではなく「支配/被支配」(あえてこれを雇用/被雇用と読み替えてみることもできるかも)だよなあと痛感しますね。「コラボ」とかいって互いの自律性を尊重するという建前のもと即興的に行われる上演は、ほぼ100%失敗するとぼくは思っていまして、その失敗の原因は、尊重しているようで実のところ適当に互いを無視している場合が多く、結果、その場で起こることといえば、音のデカイ者勝ちとか(そう大体ダンス側は敗北します)になりがちだからです。「自由」でも「無視」でもなく(どちらとも本当のところ相手を相手としていない)やるとすれば、音が振りに従ったり、振りが音を追いかけたりする「支配/被支配」の関係へ向けて誠実にアプローチする他無いはずです。ホナガさんとサンガツは、そのまっとうなセッションを続けて、繊細で密度の濃いひとつの塊を創り上げたのだと思います。音と振りとの関係のひとつの解答がここにあります。その点でダンス作家を目指す方、見ることを勧めます。

極私的ベスト5(2/7付)

2009年02月07日 | 極私的ベスト5
今回のキーワードは「やり直し」です。やり直し、したい。まさか。いや、できるんじゃないか。そう思っていなかっただけ。忘れていただけ。

第1位 tofubeats
昨日の晩、三軒茶屋でピーピングトム「Le Sous Sol/土の下」を見た後で、六本木に行って、おいッ!パーティやんぞ!を見た、というか聴いて見て踊った。20才くらいの男の子9.5割というなかで、男の子たちがなんだかとてもかわいくみえた。こぐまみたいなんだよ(おれみたいな男にいわれてもあれだろうけどさ)。tofubeatsは神戸の高校生らしい。シャープでスマートでポップで歪んでいる。この歪み加減にリアリティがあるんだろな。4時半くらいから、DJ wild partyと交替でパフュームかけてて、パフュームがかかると寝ていたこぐま体型のゾンビたちがむくむくと起きあがりはだしで(理由は下記)踊りだす。ともかく大人気のパフューム。「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」の歌詞(「あの日あの場所で凍りついた時間が/逢えないままどのくらいたったのかなきっと/手をのばしても もう届かない」)がびんびん。

第2位 CDR
踊っている姿がとびきりキュート。彼もそうだったけど、会場のメガネ率が高いこと高いこと。小太り率も。彼はその2つを兼ねそなえていた。

第3位 DJ テクノウチ
残念ながら、二度も途中で音が止まり、5分も聴けなかった。いつか、また。

第4位 六本木buLLet's
このパーティ、会場もよかったのだ。最初に靴を脱ぐ(よく取られたりなくなったりしないなー)。フロアには全面赤いカーペットが敷いてあって、踊る時も裸足。友達の家に遊びに来たみたい、というのは喩えではなく、本当にそういう空間だった。まったりと体育座りしている脇では激しいダンス。踊ってると恥ずかしい気持ちになってしまうのは、子供部屋で爆音と共に踊ってた中学の頃を思い出してしまうからか?ベッドも、ソファも、座卓もある。男の子たちが放課後みたいに車座でしゃべってる。

第5位 目があった2匹の
夜明けに、家の近くまで来たところで吉野家に寄る。午後は大学に行ってそんで帰り道、今日は会えた。2匹も。親子かな。菱形の顔した動物。動物とは会うとどうして嬉しい気持ちになるのだろう。


付記
"DENPA"をレポートしてるブログ


極私的ベスト5(2/5付)

2009年02月05日 | Weblog
この一週間くらいというのは、極私的になかなか大変でした。そんななか、これは!と思わず膝を叩いたひとたちものたちことたちを勝手にランキング。

第1位 神村恵ソロ「Seeing is believing」
2/1「We dance」というイベントで見たダンス作品。南米民謡のような曲をバックに、曲の独特のインパクトと拮抗する(ただし曲とは)全く関係のない動きをし続けた。冒頭、顔は前を見たまま少しずつ斜め前に進んでくる神村に、観客は笑いを押し殺すのがやっと(あまりにもその動きがとっぴだったのだ)。激しく顔を上下させるときの紅潮した表情とか変なスキップみたいにしてまた首を激しく動かすのとか、体が徹底的に素材のレヴェルで扱われていて、それは乱暴とも言えるのだけれど、その乱暴さが何か通念としてあるダンス作品の余計な部分を払い落としてゆくのだった。We danceというイベントでは、沢山の振付家やダンサーの話を聞いたけれど、ダンサーとダンスは切り離せないというあの文句を想起させる言葉が頻繁に語られたのが印象的で、でもあえて、「それ、きっちゃいなよ」とそれ聞くたび思っていた。神村はきっていて、だからよかったんだと思う。だからみんな楽しめたんじゃないだろうか。きっちゃってたのは、あと山下残がそうだった。彼の場合は、自分は踊らずに自分の語りと重なったりずれたりする振りを山賀ざくろに踊らせたわけだから、山下の場合には物理的にもきれていたわけだけれど。あの、神村作品、ほんと面白かったよ!

第2位 おもしろいって言う若い子たち
またまたWe danceがらみなのですが(そして若干手前味噌な話なのですが)、「おもしろいって言う係」という四人組の係がオフィシャルでこのイベントに参加してまして、彼らは1日目にみた感想を2日目の昼には「ダンス通信」と称して会場で配っていました。ぼくは、荷物係(誌面を作る紙を運んでいました)として、彼らが喋ったジョナサンの隣のテーブルで寝てましたが、寝ながら聞いていた限り、彼らの率直かつ真摯な態度と鋭い眼差しに感銘を受けました。ちょっと辛口だったんだけれど、彼らのいらいらはまじめさのあらわれだと思っていいんじゃないか。少なくとも、観劇後、適当に「よかったよ」とかいってしまわないまじめさがそこには貫かれていたと思う。ぼくは彼らのファンになりました。1日目に寿町で宿泊した平川くんは、幽霊見たとか見ないとか言ってました。

第3位 (音がバンド名)
まだまだランクインです。2/23@円盤での自主企画が今から楽しみです。なにやらこれまでの企画のスタンスで行うのは、これが最後とのことなので、これは見に行かなきゃかもですよ。We danceでも会うひと会うひとに勧めてしまいまして、第3位。

第4位 島袋道浩「美術の星の人たちへ」@ワタリウム美術館
昨日、2度目を見に行ってしまった。学生達と一緒に行ったら、「ウケる!」連発。その前に、「アーツ&クラフツ展」見て、はしごだったらどうかと思ったら、両方楽しんでいた。でも、誰よりも自分自身に夢中な年頃なので、屋上に上ってキャーキャー言い過ぎて、象の鳴き声を聞きそびれてました。

第5位 BS2放送のPerfume武道館ライブ
大学にあるDVDレコーダーに録ってあって、時間があると見直してしまうのだけれど、何度見ても感動する。今日も。