Blog: Sato Site on the Web Side

「幻滅のたびに甦る期待はすべて、未来論の一章を示唆する。」(Novalis)

石井恵梨子のもっと音楽を聴きましょう(bySPA)

2005年04月02日 | Weblog
『SPA』などはほとんどまったく買うことはないのだが、駅で拾ったものを何気なく読んでみた(いや、別に毎日そんなことしてるわけではありませんよ、あしからず)。
女と車が通常の若者男性誌のネタだとすれば、投資と心理術がSPAの主たるネタ。要するに経済なのです。シンプルな「男性的欲求」はもはや否定気味の本誌では、目指す欲求は金(世渡り)。
まあ、それはそれでおいといて、ちょっと気になった「石井恵梨子のもっと音楽を聴きましょう」というコラムの一言(に行く前に、そもそもこのタイトル変だよな。なんで石井ちゃん読者に音楽聴こうって勧めてんの??この「ススメ」な感じが、経済誌的なのだ。「聴く」と言うより「知っ」とけってな)。

「nobodyknows+やHOME MADE家族などを擁する名古屋シーンですが、その特徴を一言で言えば、新しさを無視できる強さ、となります」

これ、正論だよなー。「新しさを無視」というのは、要するにださくてよろし、ということ。いや、むしろださくなくちゃダメってことかも?

「常に最新の情報と鮮度を要求されるヒップホップ・マナーを顧みず、地元を愛してナンボ、紅白出てナンボでしょうと鼻息を荒くするド根性。」

なるほど、地元愛は要するにアンチ東京=アンチ情報を意味し、紅白出てナンボは東京をオミットして全国区になれるし、それで全然オッケーという姿勢を意味している、気がする。
さらに、このとりあえずおいた「東京」は、常に新しさを求める「アート」と置き換え可能な気がするし、そうなれば、ますますいまのヒップホップ・シーンのユルさが、リアルに見えてくる。
ダサイものはあらかじめ判断がマヒしてしまうので、そういう判断から自由になりうる。その開放感が聴き手に何かしらの「肯定感」を与えるのかも知れない。でも、多分与えてくれるのはそういう「大丈夫だよ、このままで全然オッケー、何も考えないで、前に進んでいこう、僕たちの未来は明るい」という意味希薄な「肯定感」だけ満載のメッセージ。
すると、それが分かっちゃうと音楽的には聴くとこがないわけで、あっという間に捨てられて、どっかいっちゃいそう。でも、そういうぺらぺらであってもいいから兎に角肯定感が欲しい、という切実な欲求がその背後にあるのだとするならば、そのことの方が重大なのだろう、かね。

スラヴォイ・ジジェク×グリン・デイリー著『ジジェク自身によるジジェク』清水知子訳、河出書房新社、2005年を読む。

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