手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

関節の構成運動を感じよう !!その3

2010-04-03 20:20:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回は、「凸の法則」で起こる関節構成運動を動的触診によって感じる練習をしましょう。


部位は、おなじみの肩甲上腕関節(左)です。


まず、肩の力を抜いたまま外転位をとれるように、何かにつかまりましょう





机の上に、腕を乗せてもかまいません。


このとき、肩の力が十分に抜けているのがポイントです。


壁に手をつくのは慣れれば大丈夫ですが、はじめのうちはオススメしません。


そのまま反対の手で、肩甲上腕関節にコンタクトします


肩峰と上腕骨頭の間の溝を、はっきり感じるように意識を向けてください。







つづいて、膝を曲げて腰を落とすことで、肩関節を外転させます





このとき正常なら、上腕骨頭が奥に「沈んでいく」ような感触を覚えます


この感覚をきちんとつかんでください


この場合、上腕骨は外転によって上にあがってくるので、はじめのうちはその感覚が紛らわしいかもしれません


肩峰と上腕骨頭の間の溝に意識を集中させて、よく感じ取ってください。







慣れてきたら、前回ご紹介したMP関節の時のように、肩関節全体をイメージしながら動かしてみましょう。


上腕骨頭が関節窩の中で上方に転がりながら、下方に滑っているのを感じ取ってください










関節が拘縮などを起こしているときは、上腕骨頭が下方に滑らないために、沈んでいくような感触がありません





異常を感じたら、MP関節を検査したときと同様に、正常な動きを妨げている抵抗感が、どの位置にあるのか感じ取りながら動かして下さい。 







肩関節の痛みを訴える患者さんをみるときには、下のような他動的な外転検査をよく行うと思います。





そのとき、ただ外転の角度を測るのではなく、これまでお話ししてきましたように骨頭の動きも同時に触診してください







合わせて、周囲の筋肉組織の状態も把握しておきましょう。



他動的に外転しているだけなら、三角筋など肩関節の前・上・後方にある筋は弛緩しているはずです。


これらの筋が緊張しているということは、何らかの機能障害を示すサインです。


そのような部位がないかどうか調べましょう







また他動的な外転によって、大円筋や広背筋など、肩の下方要素の筋はストレッチされています


ストレッチされながらも、不自然に緊張が強まっている部位がないかもよく触診しましょう。


このように評価することで、外転の制限が、関節包内の問題によるのか、包外の筋筋膜の問題によるのか、おおよそのところを把握することが出来ます。







忙しい現場では、時間に追われて仕事をするということも少なくありません


そのため、いろいろ評価したいと思っても、それがなかなか難しいという状況もあると思います。


今回ご紹介した方法によって、通常行っている評価に少し意識して触診を加えるだけで、時間をかけずより詳細で役に立つ情報を入手することができます


ご参考になさってください


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