手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!肋骨の可動性検査練習法 その4≪肋骨の動きをみる2≫

2012-12-01 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回からのつづき≫

ひとつの肋間部の動きを追跡できるようになったら、上下の肋間部に指を移動させ、同じように呼吸を伴わせて動きを観察してみてください。

それまでのレベルと比較して、触れた感触、動きの範囲・質などに違いはみられるでしょうか。

上下の隣り合う部位と比べて、急に動きが変化しているようなら、機能的な制限が存在している可能性は高くなります。



慣れてきたら両手を使って、左右で同じレベルの肋間部の動きを同時に感じとりましょう。

これまで通り腕を交差させて反体側に触れても、同側に触れてもどちらでも構いません。



自分がわかりやすい方法で触れてください。



自分でも自覚していなかったかもしれませんが、意外と動きに左右差があるのではないでしょうか?

左右同時に触れていると、肋骨の出っ張り具合など、形態にも左右差があることに気づくかもしれません。

じつは肋骨に限らず、症状が出ていなくても動きの左右差など、機能的な制限は体のあちこちにあるものです。

代償が働いている、ホメオスタシスが破綻していない範囲でおさまっているために、発症しないというだけです。



では触診では何をもって、どの範囲まで異常とするのか?

症状が出ていなくても、左右差や制限があれば片っぱしから異常と判断するのか?



機能的な異常をどこで線引きするのか、局所的な制限はともかく、全身を視野に入れたものとして、明確に統一された基準というのはまだありません。

みなさんご存知のように、機能的な治療についての考え方はさまざまなメソッド・コンセプト・流派?があり、視点の違いから判断のばらつきも大きくなっています。



さらには、機能的回復のゴールをどこに設定するかは、患者さんによって異なるというのもこの問題を難しくさせています。

たとえば同じ膝の痛みでも、座って・立って・歩けたらいいという方と、フルマラソンを走りたいという方ではゴールは違います。

そのため、どこまでアプローチすればよいかということについて、個人差が大きくなってしまうわけです。



言い方を変えると、私たちにはオーダーメイドのアプローチが求められているということです。

それが、この仕事の面白みとも言えるのですが。



何はともあれ現状では、触診における正常・異常の判断は各セラピストに委ねられていると言っていいのではないかと思います。

そのため、各自が経験を積んで自分なりの基準を作っていく必要があります。

触診における、基準作りのための必要最低条件は、微妙な動きを感じとれるということです。

それには練習あるのみ。



肋骨の動きの感じとれるようになることは、肋骨だけではなくあらゆる部位の動きを感じとることに通じます。

一部位で養った動きの感覚は、他の部位でも生きて来るのです。

そのことをしっかり心に留め、このトレーニングを地道に続けてくださいね。



同じレベルを左右同時に感じとれるようになったら、このシリーズの「その1」で行ったように、手を大きく広げて左右の胸郭に触れてみましょう。


「その1」では全体の動き方をみていただきました。

ここでは胸郭全体の動きを手の下で感じとり、その中で動きの少ない部位を特定してみてください。



胸郭を構成する軟部組織の状態も感じとりながら、そのイメージと手の感覚を連動させるようにします。

制限のある部位を感じとったとき、頭の中の肋骨も動きも制限される、あるいは周囲の軟部組織の緊張を同時にイメージできるでしょうか。

「その1」で行ったことと外からの見た目は同じですが、やっていることは全く違いますよね。



ベテランとルーキーは外見上同じようなことをしていても、触れることによって感じとる情報量が異なります。

それは特殊なことではなく、初心者ドライバーよりもベテランドライバーのほうが、運転中の視野が広いということと同じです。

時間をかけてゆっくり練習し、視野を広げていってください。



次回は、特定した制限に対してアプローチをしてみましょう。

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