手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

「押す」「引く」「まわす」という身体の基本操作 その2

2015-05-16 17:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回のシリーズは、触診やテクニックを用いるときは身体の力を使うということについてのお話です。



前回、「腰が動いて手がついていく」と述べましたが、この「腰」には体幹や下肢の力という意味を含めることにします。

範囲が曖昧なのですが、伝統的に「腰を使う」という表現が用いられていますし、あまり煩雑になっても困るので「腰」とひと言でまとめさせていただきました。

最近では体幹については「コア」という表現を用いたほうがピンとくる方が多いのかもしれませんが、私自身がまだ馴染んでいませんので「腰」とすることにします。



今回は「引く」操作のご紹介。

みなさんは仰臥位になったモデルの下肢を、足首を持って片手で持ち上げるとしたらどのようにするでしょうか?

足首付近の外側に立って、内側の手で足首を持ち、肘を曲げて持ち上げる。


写真は肘を曲げすぎかもしれませんが、何気なくやると、このような持ち上げ方をする方が多いかもしれません。

間違いではないのですが、この方法は腕にズシッと脚の重みを感じるのではないでしょうか?



では、次の方法を試してみてください。

モデルの足首の外に立って、内側の足を一歩引きます。

膝を曲げて腰の位置を低くし、内側の手で足首を持ちます。




そのまま重心を後ろ足に乗せ、腰を「引き」ながら膝を伸ばしていきます。


腕は支えになって身体の力を伝えているだけです。

「腰が動いて手がついていく」ですね。



すると、脚が持ち上がっていきます。

このとき、腕には脚の重みをさほど感じず、楽に持ち上がるのではないでしょうか

ちょうど綱引きで綱を引っぱったとき、ロープが勝手に上がっていくように、脚も勝手に上がっていくような感覚を覚えるのではないかと思います。



このように「持ち上げる」のではなく「持ち上がる」

「動かす」のではなく「動き出す」

「力を加える」のではなく「力が加わる」

というようなイメージで楽に操作をすることが、評価と治療を行う上でポイントになってきます。



ストレッチで引く操作をするとき。

関節モビライゼーションの形をつくるために、引く操作をするとき。

触れた手を離すとき。

すべてこの動かし方が基本になっています。



特に、触れた手を離す時の引く操作はあまり注意を払わせませんが、私はとても大切だと思っています。

「触れた手の離し方」シリーズをご覧になって、ぜひ復習しておいてください。



まずは日ごろの臨床で引く操作を行うとき、腰から動かす操作した場合と、腕の力で行った場合のどちらが楽か比較してみましょう。

必ず自分で体験して確認するようにしてくださいね。

次回も引く操作のお話が続きます。



次は5月30日(土)更新です。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです。 (多田)
2015-08-09 10:41:56
股関節を屈曲させる操作、引きながらあげる、この手の位置で上げれるようになるのに、かなりの時間がかかりました(笑)ただ某先生に習った方法では引かないでそのまま腰を大転子の形を意識してあげるというイメージで習いました、これも結構わかりやすいとも思っています。
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多田さんへ (くつぬぎ)
2015-08-09 20:00:48
たいへんご無沙汰をしております。
メッセージありがとうございました。
おっしゃる方法もわかりやすそうですね。
私も試行錯誤して使いやすい方法を模索しています(^^ゞ
動きを言葉で表現するというのは本当に難しいです。
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