手技療法は評価にせよ治療にせよ、触れることについて注意されても、離し方についてはあまり意識されないかもしれません。
これまで、このブログでも触れて来ませんでした。
しかし、この離し方というのも意外に大切なところだと思います。
以前、オルガン奏者の方から「オルガンは鍵盤のたたき方だけでなく、指の離し方『離鍵』というのがとても大切になんです」と伺ったことがあります。
とくにパイプオルガンでは、空気が通るパイプのフタを開けたり閉めたりして音が出ているのですが、その閉まり方によって音色がずいぶん変わるそうです。
同じように身体に触れた手も、その離し方によって相手に与える印象はずいぶん変わるのではないでしょうか。
ちょうど、話の仕方で言葉遣いはていねいでも、語尾がおだやかなときと、切れるような話し方をしたときでは、受ける印象が異なるということと同じように。
体調が悪い方は感覚が過敏になっていることもあるので、おかしな手の離し方をされると、なおさら不快に感じやすいでしょう。
これがひいてはセラピストに対する安心感や、信頼感に影響を与えるかもしれません。
患者さんに対する接遇として、言葉や態度で不快感を与えないよう、失礼にならないよう指導されると思います。
それならば、触れて離すというプロセスにも、より注意を払ってもよいのではないでしょうか。
触れて触れられるという身体感覚は、もっとも原始的な感覚なので、もしかしたら言葉や見た目の態度以上に敏感に感じるものなのかもしれません。
≪「手技療法の基本は握手」シリーズをご参照ください≫
そこで今回は、触れた手の離し方についてお話したいと思います。
前置きが長くなったのですが、そうはいってもあらたまったものではなく、聞いてしまえばなんということはありません。
触れた状態から、
腰(体幹)を引き、次いで手を引くだけです。
体勢によっては肘を引く動きが大きく見えることもあるかもしれませんが、そのようなときでもまず腰(体幹)から引くようにします。
このような引き方をすることによって、加えた圧がじょじょに自然と抜けていくので、受けているほうも違和感を持ちにくいのです。
よくないのは手先から引く、はじめに指が曲がったり手首が反ることによって、手から離す動かし方です。
こうすると、どうしてもパッと力が抜けやすいため、敏感になっている患者さんには不快感をもたらす可能性があります。
手の離し方にこだわるのは、患者さんへの配慮という理由だけではありません。
手技療法の基本操作を、身体に覚え込ませるためでもあります。
腰(体幹)に次いで手を引くという操作は、手を離すときだけではなく、ストレッチを加えるときや、関節モビライゼーションを行う形を作っていくプロセスであるセットアップのときにも用いられる「引く」操作です。
関節モビライゼーションの一部にみられる複雑そうなテクニックも、「押す」「引く」「まわす」というシンプルな操作の組み合わせの上に成り立っています。
ですから、触れた手を離す「引く」というようなシンプルな操作を行うときに、身体を使うということを習慣付けておけば、複雑なテクニックもより身につけやすいはず。
反対にシンプルな操作も身体を使って行えないのに、複雑なかたちのテクニックをきちんと習得するというのは難しいのではないかと思います。
初心者の方は、シンプルな操作を無意識に身体の力で行えるようになるまで、徹底的に反復練習してはいかがでしょう。
あらゆるスポーツや武道、あるいは楽器の演奏では、意識しなくても身体が動くようになるまで練習しますがそれと同じです。
小手先の動きでそれらしいかたちができたからといって、できたようなつもりになってはいけません。
触れて離すという単純な動きを見ただけで、見る人が見ればそのセラピストの技量というのはだいたいわかるもの。
ですからぜひ身体を使った操作を身につけて下さいね。
手に離し方を意識することは、触診においても大切な情報を提供してくれます。
次回はそのお話をしましょう。
次回は3月8日(土)夜に更新です。
これまで、このブログでも触れて来ませんでした。
しかし、この離し方というのも意外に大切なところだと思います。
以前、オルガン奏者の方から「オルガンは鍵盤のたたき方だけでなく、指の離し方『離鍵』というのがとても大切になんです」と伺ったことがあります。
とくにパイプオルガンでは、空気が通るパイプのフタを開けたり閉めたりして音が出ているのですが、その閉まり方によって音色がずいぶん変わるそうです。
同じように身体に触れた手も、その離し方によって相手に与える印象はずいぶん変わるのではないでしょうか。
ちょうど、話の仕方で言葉遣いはていねいでも、語尾がおだやかなときと、切れるような話し方をしたときでは、受ける印象が異なるということと同じように。
体調が悪い方は感覚が過敏になっていることもあるので、おかしな手の離し方をされると、なおさら不快に感じやすいでしょう。
これがひいてはセラピストに対する安心感や、信頼感に影響を与えるかもしれません。
患者さんに対する接遇として、言葉や態度で不快感を与えないよう、失礼にならないよう指導されると思います。
それならば、触れて離すというプロセスにも、より注意を払ってもよいのではないでしょうか。
触れて触れられるという身体感覚は、もっとも原始的な感覚なので、もしかしたら言葉や見た目の態度以上に敏感に感じるものなのかもしれません。
≪「手技療法の基本は握手」シリーズをご参照ください≫
そこで今回は、触れた手の離し方についてお話したいと思います。
前置きが長くなったのですが、そうはいってもあらたまったものではなく、聞いてしまえばなんということはありません。
触れた状態から、
腰(体幹)を引き、次いで手を引くだけです。
体勢によっては肘を引く動きが大きく見えることもあるかもしれませんが、そのようなときでもまず腰(体幹)から引くようにします。
このような引き方をすることによって、加えた圧がじょじょに自然と抜けていくので、受けているほうも違和感を持ちにくいのです。
よくないのは手先から引く、はじめに指が曲がったり手首が反ることによって、手から離す動かし方です。
こうすると、どうしてもパッと力が抜けやすいため、敏感になっている患者さんには不快感をもたらす可能性があります。
手の離し方にこだわるのは、患者さんへの配慮という理由だけではありません。
手技療法の基本操作を、身体に覚え込ませるためでもあります。
腰(体幹)に次いで手を引くという操作は、手を離すときだけではなく、ストレッチを加えるときや、関節モビライゼーションを行う形を作っていくプロセスであるセットアップのときにも用いられる「引く」操作です。
関節モビライゼーションの一部にみられる複雑そうなテクニックも、「押す」「引く」「まわす」というシンプルな操作の組み合わせの上に成り立っています。
ですから、触れた手を離す「引く」というようなシンプルな操作を行うときに、身体を使うということを習慣付けておけば、複雑なテクニックもより身につけやすいはず。
反対にシンプルな操作も身体を使って行えないのに、複雑なかたちのテクニックをきちんと習得するというのは難しいのではないかと思います。
初心者の方は、シンプルな操作を無意識に身体の力で行えるようになるまで、徹底的に反復練習してはいかがでしょう。
あらゆるスポーツや武道、あるいは楽器の演奏では、意識しなくても身体が動くようになるまで練習しますがそれと同じです。
小手先の動きでそれらしいかたちができたからといって、できたようなつもりになってはいけません。
触れて離すという単純な動きを見ただけで、見る人が見ればそのセラピストの技量というのはだいたいわかるもの。
ですからぜひ身体を使った操作を身につけて下さいね。
手に離し方を意識することは、触診においても大切な情報を提供してくれます。
次回はそのお話をしましょう。
次回は3月8日(土)夜に更新です。
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