対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
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【カスノート】これって定石?No.03

2006-09-26 01:55:55 | 雑談

izuizuさんのブログでのやり取りで、この定石が「棋書に古い定石とされている」と言われて、大変に驚いた。
私は定番中の定番だと思っていたから。
聞くところによるとMYCOM囲碁文庫から出ている、林海峰プロの「定石の急所」にそう書かれているという。

チェックしてみると、確かに「最近はあまりみかけない」とある。
うーむ。

しかし私の想像であるが、これはこの本がが昭和43年に出版されたものを、再版したものだからではないだろうか?
つまり昭和43年当時は、二間トビが下火だっただけではないかというわけ。
もっとも再版にあたって、「大幅に修正した」とはあるが…?
(12/30追記:旧版を手にする機会があったのでチェックしたところ、やはり「当時は」やや下火になっていたという話のようです)


「定石の急所」には白4と黒5双方が二間トビすると、黒7まで特に説明もなく手順が進み、以下a、b、cの三通りの応手が解説されているのだが、これは明らかに少ない。
結論はa、bでは白ダメで、cでかろうじて互角ということになっている。

しかしそもそも白6とハサまず、先に白dとカケて厚みを作ってからハサむ順もあるし、白6のハサミも白6だけとは限らない。
一路近づけるケースも。
しかも仮に白6とハサんだ時、黒7と打つかはまた議論の余地がある。

更に手順通りに進んだ後でも、a、b、c以外に白dやeも考えられる。
実に変化の多い部分なのだ。


二間トビのメリットは三々に白6とツケて早治まりを目指したとき、昔ならこういう定石で形良くオサまれるところにあった。
白が仮に白aの一間の位置にあっては、やや働きに乏しく凝り形。

しかし呉清源師が黒10ハネ返しから梅鉢の筋を提唱し、それが広く認められてからはこの白6、三々ツケが上手くいかなくなった。
その反響はかなり大きかったと聞く。
「定石の急所」が出版された当時は、その対策がまだ進んでおらず、故に「あまりみかけ」なかったのではないだろうか?
二間バサミの項の多さにもそれを感じる。

かといって「『定石の急所』が古い、ケシカラン」なんて、畏れ多いことを言おうというわけではない。
昭和43年の定石本を再版する意義というのに、多少引っかからなくはないが…。
結局、本記事の趣旨は「izuizuさんに『古い』と指摘されてしまったけど、こういうことなのではないか?」という調査結果(?)を報告。
長くダラダラ書いてしまったが、それだけである。

izuizuさんが好むという、二間トビに代わる一間トビは、私には足が遅く感じられて打つ気分があまりしないのだが、間違いが起きにくく、変化の少ない堅実な手ではあるのは確か。
一方、二間トビだと難しい戦いに引きずり込まれる可能性がある。
確かに危険な意味も。

しかしその辺り自分の好き嫌いで打って、全然良いと思う。
ツブレや大損さえしなければ、プロの気にする1目や2目の有利不利など、私たちにはあまり関係ない。
私の
「足が遅くみえる」
なんて感覚も、上手からすると
「何、分不相応なこと言ってるんだ」
とみられるに違いないし。
気持ちよく打てる定石を、しっかり身につけて打つのがベストだろう。