奈良大好き☆お勉強日記

奈良大学文学部文化財歴史学科(通信教育部)卒&奈良まほろばソムリエ検定のソムリエを取得したヒトの色々な勉強の日記です♪

十三人目の練行衆

2021年02月20日 | 色々・モシクハお勉強
はやーい。
気が付けば二月も半ばを過ぎて、もう二十日だし。
本日から東大寺二月堂で行われる修二会の試別火(ころべっか)が始まるという。
なんか、びっくりだわなあ。
一月は行く、二月は逃げる…現在絶賛逃走中の二月。
待ってくれ~!

今年(令和三年/2021)の東大寺修二会はお松明は見られるものの、
堂内での見学や、局での拝聴はできず。
十二日深夜の「お水取り」は見られない、と。

その代わりに、なんと今年はその模様を、NHKが中継してくれるんだとか。
うわー。
例年だったら土曜だもん。ものすごい混むんだろうな、な日付だけど。
今年は、おうちで、お水取り♪(をい)



では今年、令和三年は私自身は奈良に行けませんが、行ける方のために覚書を。

●3月1日〜11日
基本的にお松明を見上げるくらいならば、二月堂下に来てもOK。
一杯になったら、移動をお願いすることもあり。
堂内や局(つぼね)は入れません(当たり前やな)

●3月12日〜14日(クライマックスや~)
誰も来ないでね!見れんし!なんびとも二月堂下には入れません。
夕方以降は滞在禁止です。
(ということは、昼の早い時間ならば、二月堂に参ることは可能ってことね)

その代わりに、次のことをしてくれるので、それで我慢してね。
ってか、我慢どころじゃない。
大サービスですよ、これ。

河瀨直美さんが撮影したお松明の様子を東大寺公式チャンネルでも配信(!)。
なななな南都!いや、なんと!
河瀨直美さんの目を通したお松明かあ。
河瀨直美さんといえば、東京オリンピックの公式記録映画の監督ですよ、カントク。

これを配信して下さるって。無料よね、これ。
凄い。太っ腹。

少しでも二月堂の近くで見たいって方は奈良公園内のモニタでも見られるし、
近くのお宿(限定ではあるものの)にも配信するとのこと。

毎年修二会の期間中に奈良市内で宿をお取りの方(うらやましい)にとっては、
「今年は来てもなあ…」だったら悲しい所でしたが、これがあれば、
奈良にいて、二月堂が拝観できるってのができるではないですか。

そして、
●3月13日にはNHKのBSプレミアムと、4K・8Kにて、堂内の様子(!)を生中継。
(うち、4K&8Kないけど、フツー(?)のプレミアムは入ってるわ★)
 第一部:午後6時30分~午後7時30分「お松明」
 第二部:午後10時30分~午前1時15分「走り」から「達陀」「晨朝」まで

生中継って…。
堂内に入る際は私語厳禁。もちろん携帯電話もマナーモードではなく、
電源を切る処置をしてから入堂。
カメラ撮影なんてもってのほかなのに。
今年はテレビカメラが入っちゃうのね(感涙)

西の局で白い帳の向こうで走る影をわけもわからず、「聴いていた」時、
「見えなくてもいい」「感じられればいい」って気持ちになることが、
ここにいる意義だと思った。
耳ダンボにして聴いていたアレが、映像付きで、自宅で(!)目にできるなんて、
ハァ~こーりゃこりゃあ、こーりゃこりゃあ、ですね(←踊り出したいって意味です)

しかも、3月1日~15日までには、
ニコニコ動画で二月堂を24時間ライブ(!)配信しているって。
こりゃ、二月堂のお姿をいつでも拝めるのね。
遥拝にはうってつけ。
え?サバ投げも見られたりする?

今年は1270回目だったのね。
行けたら行くわ、の気持ちでしたが。
今年はおうちでお水取り。
我慢するつもりでいましたが、今年はご褒美のような出来事ではありませんか。

お水取りが終わると「水ぬるむ」「春が来る」と言われ、
『古都奈良に春を呼ぶ行事お水取り』とよく言われますが、
日が暮れてからの二月堂周辺、ことに夜中は寒い寒い。
タイツはいて、ズボンはいて、靴下二枚履きして、さらにその上にオーバーパンツ履いて、
そんな格好していても足元から冷えてくる二月堂の局の中。
それが、今年はこたつの中から拝聴できるなんて…罰当たり!!
いや、果報果報。

そう、仏教って今でこそ「古い」「古臭い」って言われるけど、
日本に入ってきた当初は「先端」のものだったはず。
お寺や僧というのは板葺きだった屋根に瓦を載せ、
”キラギラし”な姿の像を拝むという最先端なことをしていた集団。
そのことを思えば、「YouTubeチャンネル」とか「配信」とか「ライブ」とかも有りなんではないかと。

まあ、浮かれてばかりはいられないんですけどね。
「おたいまつ」があがって「お水取り」をするだけが、修二会じゃない。

十一面観音さんに、生きているだけで犯している諸々の過ちを、
ごめんなさい、する行事だからして。
一人ひとりの悔い、改めて、赦してもらう行を、練行衆が代わりに
行ってくれるからといって、自分はなんもせんでエエってことにはならんと思います。
私も、手を合わせますよ。普段の自堕落な自分を反省しつつ。

そして練行衆のみなさんは、国の安寧を祈り、
今年は疫病退散を祈ってくださることでしょう。

その行に入る前、準備期間として「別火」と呼ばれる期間に入ります。
それが、今日。
判りやすくいうと、修二会に奉じる人は、世俗生活から隔離された生活に入るということ。
それは、中継撮影スタッフとて同じ。

”二度と見られない貴重な映像を8Kの高精細画像で届けるため、
クルーの一部は1か月の隔離生活に入っている。”


今はCOVID-19のこともありますからね。
東大寺さんも、練行衆にコロナ患者が出たら、
そこでお水取り終わりという覚悟があると報じられましたし。
(だからこそ、誰も罹患しないように、別火以前から、
ホテルや自房でお籠りになっていらっしゃる)

試別火、総別火ときて。
厳しい決まりごとは食事にも及びます。
修二会期間中は正式な食事は一日一回。
その後は食事はもちろんのこと、水すら飲めず、夜中まで続く行を務める。
(その日の行が終わると、「ゴボ」と呼ばれる茶粥が出されるようですが)

その一日に一度の食事とて、和気あいあいと食べることはできません。
食堂作法は『行』であるため言葉を発することは一切ないといいます。
これは最近の食事風景、ことに外食時の推奨行動と重なるではないかっ!

昨今、外食で、誰とも話さないで無言で食べることを『黙食』というそうですが、
それって練行衆みたいやんと思った。ご飯を黙々と無言で食べる。
食べることも修行です。食べ物がある、食べることができる有り難さを
噛み締めながら、食べることに集中する。
それができれば私も『十三人目の練行衆』になれるかも♪

(黙食を呼び掛ける元祖ポスター→こちらから

でも、あれ?練行衆って十一人でしょって思ったあなたはツウですネ☆
確かに練行衆は現在は11人です。(過去は違ったこともあるようですが)

そこはほれ、食事風景など撮れるほど練行衆に密着して撮影していた、
写真家の入江泰吉が『十二人目の練行衆』と呼ばれたからでして。

現代日本では、『黙食』が推奨されているわけだから、
外食時に黙って飯を食うと、それって練行衆気分を味わえるんじゃんってことです。
(そんな軽々しく言うもんじゃないと思うがね>ぢぶん)
ゆえに、本当の練行衆で11人、入江泰吉が12人目で、
それに続く人材が13人目←今ココ!
なので、13人目の練行衆なのさってワケ。

ちなみに、練行衆の食事風景は→こんな感じ(撮影者はもちろん入江泰吉)

それはともかく。
おうちで修二会。
楽しみですね。
お時間までは、さだまさしの『修二会』でも聴きながら、待つとか。

東大寺の修二会が始まると三月。
今年は例年通りの二十八日までの二月。
するする逃げていきますなあ、如月。

コロナも逃げて行ってくれよ(切望)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする