東アジア歴史文化研究会

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ミンスク、或いはテレラン経由で中国は無人機をロシアへ供給か ルカシェンコはプーチンと長電話のあと、北京を訪問する(宮崎正弘国際情勢解題)

2023-02-28 | ロシア・ウクライナ情勢

2023年2月26日、CIAのバーンズ長官はCBSテレビのインタビューに答えた。

「ロシアに、中国が殺傷兵器の供与を検討していることを確信している。ただし最終判断は下されておらず、兵器の運搬も確認されていない」。

同日、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はABCテレビで「ロシアへの中国の武器提供疑惑に関し、もし実行されれば『大きな過ち』になると中国に警告している」と述べた。

ここに忽然と現れたのが、ベラルーシ大統領のルカシェンコだ。ロシアにとって救援の女神? ベラルーシを30年近く統治する独裁者のルカシェンコは2月28日から北京を訪問し、習近平と「ナニゴトカ」を話し合う。ベラルーシは中国主導の「一帯一路」参加国で、2022年9 月には中国との「全天候型」の戦略的パートナーを謳うほど親密な関係である。

観測筋はルカシェンコが、中国がウクライナ停戦を12項目の条件で仲介するとした提案を支持するらしい。同案はゼレンスキー大統領もバイデンも失笑して取り合わなかった。そもそも中国が和平を仲介するなどおこがましくないか。

ベラルーシはKGBを創設したジェルジンシキーの出身地だ。

ロシア革命の後、レーニンの命令でフェリックス・ジェルジンスキーが「反革命・テロ・サボタージ取締・全ロシア非常委員会」(「チェーカー」)を創立した。これがKGBの前身組織で、モスクワのルビヤンカ広場のKGB本部正面にはジェルジンスキーの銅像が立っていた。いまこの人物の銅像はミンスク中央部の公園に目立たないように置かれている。

ミンスクの町を歩いても誰かに監視されているような奇妙な圧迫感がある。広い敷地にある戦争記念館の展示は圧巻で、入口には「ノモンハンが最大の苦戦だった」と言い残したジューコフ将軍のトルソ像がある。

ちかくの慰霊碑は花輪が絶えない。アフガニスタンで犠牲になったベラルーシ兵は14000人と最大だった。この記憶が強いベラルーシ人はロシアの戦争に直接参戦することは避けたいだろう。

ミンスクから北へ三時間ほどでヴィテプスク(ヴィーツェプスク州の州都で、人口36万人)へ行ったことがある。激戦地の名残で公園には無数の戦車が放置されたまま。嘗てこの町の人口は半分がユダヤ人だった。町の外れに廃墟となったシナゴーグがあった。

参戦は避けたいが、間接的に戦争協力をしているのがルカシェンコの鵺的なところで、ミンスク郊外のマチュリシチ空軍基地では26日に複数回の爆発があった。この基地は「ロシア軍の拠点」である。極超音速ミサイル「キンジャル」を搭載したロシア軍機が離着陸している。

▲中国のロシアへの武器供与はベラルーシが抜け道とするのではないか?

注目すべきはルカシェンコ大統領が北京へ発つ直前の2月24日夜にロシアのプーチン大統領と長電話をしていることだ。

プーチンにとってルカシェンコは、侵攻支持の同盟者であるばかりか「戦争協力」の同盟国。2月17日にもプーチンはルカシェンコをモスクワに招き、長時間の懇談をした。

何が話し合われたか。ベラルーシの参戦? 第三国からの武器供与の闇ルートの提供?

ともかく中国のロシアへの武器供与はベラルーシが抜け道とするのではないか。無人攻撃機をロシアは手に入れたい。イランから供与を受けたドローンはほぼ使い切った模様で、イラン経由で中国製ドローンを供給する手段も想定される。なぜならイランのライシ大統領は先月北京を訪問している。

中国はドローンを日本領空付近に飛ばして性能実験を繰り返している。防衛省によると、空自のスクランブル発信の可否は中国ドローンの飛行ルートを分析し、領空侵犯の恐れがある場合に実施されている。

中国無人機は「近年、毎日のように確認されている」(防衛省幹部)。実際の領空侵犯は1回。尖閣諸島上空に17年5月、小型無人機が侵入した。

とくにドローンに注目しているのは台湾である。

国防安全保障研究所(日本の防衛研究所に相当)の報告書に拠れば、過去数年間に台湾上空に出現したドローンはCH4 混合攻撃および偵察ドローンが含まれ、哈爾浜の BZK005 高高度長距離ドローン。TB001 中高度、長時間耐久性ドローン。KVD001 戦術ドローン。BZK007 偵察ドローン(22年 9 月に台湾南東部の海域に初登場)。

これら無人機には長時間偵察が可能な衛星アンテナが装備されている。中国は台湾空域へ飛翔し、長距離飛行能力、衛星測位、誘導、制御、自動ルート計画を試験している。

また「これらは、情報収集や通信中継から、精密攻撃の実施、敵の防空網を破壊する囮の機能までをあわせもつ」と同研究所報告書は述べている。


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