中華思想の欺瞞を、膨大な資料を読み込んだ知識を背景に誤謬にみちた通俗史論をばっさばっさと裁断して中国史の影に光を当てた。中国人の暗黒面、そのグロテスクな醜さを日本史と比較して抉り出した。黄文雄さんは、歴史家であり台湾独立の活動家、ユニークな思想家だった。
最初にあったのは四十年は前だろう。小生の最初の質問は「NYプラザホテルの玄関で訪米中の蒋経国を狙撃した黄文雄とは、貴方ですか?」だった。
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■「いただきます」とは誰に何を感謝しているのか?
筆者は欧米で合計11年暮らし、業務出張や国際会議、観光で訪れた国は40カ国近くになります。英語はもとより、簡単なスピーチが出来るくらいなら、イタリア語、フランス語、スペイン語、ドイツ語などを囓(かじ)りました。その結果、今改めて感じることは、日本語には世界的にも極めてユニークな、独自の生命観が籠もっている、ということです。
たとえば、食事の前に . . . 本文を読む
■1.小澤征爾を育てた「無私の好意」
小澤征爾が亡くなりました。Newsweek日本版では早速、「世界が愛した小澤征爾」の特集を行い、表紙には60歳頃にボストン交響楽団をダイナミックな身振りで指揮する小澤の写真を飾っています。特集記事の冒頭には、こう書かれています。
小澤は過去半世紀にわたってクラシック音楽の世界を激変させた立役者であり、その変化を体現する傑出した音楽家でもあった。
当時はま . . . 本文を読む
首題は鈴木大拙の代表作。古い本だが、岩波文庫版は第五編の「金剛経の禅」を含めていなかった。それも含めて『完全版』としたのが角川文庫版であり、古典として改めて読み直した。
若い頃よんでチンプンカンプンだった文章が、かなり理解できた。とはいえ、仏典をそれほど知っているわけではないので、難解な仏教用語は飛ばして読んだ。評者(宮崎)が知りたいのは鈴木が広めたとされる「霊性」を、どう定義したら適格なのか、 . . . 本文を読む
■1.自由民主国・台湾は日本の生命線
11/23〜26までの3泊4日間、リアルインサイト社による「日台友好歴史探訪ツアー」に参加しました。おりしも来年1月13日に行われる総統(というよりは大統領)戦の真っ最中でした。
あちこちを見学する旅の合間に台湾在住の日本人識者の方々の話も伺いましたが、台湾の民主政治もすでに20年の歴史を経て、今では国民党ですら、「自由を捨てて中国と統一」などという策は国 . . . 本文を読む
聖徳太子の評価は、この千四百年の間に幾度か激変に見舞われている。
近代の評価の変遷だけを切り取ってみても、幕末維新期には主に平田学派が聖徳太子批判を牽引した。平田神道学は廃仏毀釈運動を過激化させ、わけても薩摩と水戸では凄まじく、島津藩主自らが菩提寺を棄却し、照國神社を創建した。薩摩藩領内にあった寺院は全部棄却された。
仏教は国民の信仰を集めたが、僧侶たちの堕落が激しく、しかし江戸時代には寺々の . . . 本文を読む
歴史にのこる二つの偉業がある。
第一はナチスの魔手から逃れてきたユダヤ人を樋口季一郎の主導で、極寒の満州で救済したこと。これは「樋口ルート」と呼ばれた。
樋口は外国語学校でロシア語を専攻し、またポーランド駐在武官としてウクライナ、ドイツなどを視察している。
樋口はシベリアにあって諜報活動にも従事していたためロシア人、ユダヤ人を観察していた。
彼はこう書き残している。
「ロシア人は本質的に . . . 本文を読む
日中戦争での「援蒋ルート」の遮断作戦や当時ジャワと呼ばれたインドネシアへの上陸作戦を指揮し、倍以上の兵力を持つ敵を相手にしながらも、圧倒的勝利を収め"不敗の名将"と讃えられた今村均(いまむら ひとし)陸軍大将。
不敗の名将などというと豪快で強気な将軍を想像される方も多いと思いますが、今村大将は大変穏やかな人情味あふれる方だったと伝えられています。
今日はそんな今村大将の人間愛溢れるエピソードを . . . 本文を読む
■1.ラバウルの戦犯裁判■
ラバウルの戦犯裁判は、ほとんどがインド人、支那人などの労務者の虐待容疑だった。たとえば、「衛生勤務者として、インド人労務隊の患者を虐待した」という理由で死刑にされた酒井伍長は、次のように今村に語っている。
インド人患者の多くが熱帯潰瘍か、マラリアにかかっていました。血の一滴ともいわれる貴重なマラリアの予防薬キニーネやアテブリンを、にがいとか胃に悪いと言って捨てている . . . 本文を読む
■1.責任をとるとは■
今村均将軍は、まさに徹頭徹尾、見事に自らの責任を果たした人である。インドネシアでは、民族独立を目指すスカルノとの友情を貫き、ラバウルでは陸軍7万人の兵を統率して、米軍の攻撃をものともせずに、玉砕も飢えもさせずに敗戦まで持ちこたえ、無事に帰国させた。
戦犯として捕まった部下を救うために、自ら最高責任者として収容所に乗り込み、一人でも多くの部下を救うべく奮闘した。帰国後は、 . . . 本文を読む
篤い議論がとまらない。本書に挑む人はまずハンカチを用意すべし。
全編が感動の渦、いまの日本人は、過去の日本人の慰霊を前に恥を知るべきだろう。
「日本人が素晴らしい」ことは言い尽くされた、自明の理。しかし「どこが」、「なにゆえに」素晴らしいのかを二人の対談は歴史を溯って解明していく。
乃木大将、柴五郎、明治天皇、栗林忠道、酒井三郎、日系人442部隊。夥しいほどの英傑に恵まれた。
毅然として、 . . . 本文を読む
■1.太子は何を目指したのか、その肉声を聞く
今年は西暦621年に亡くなられた聖徳太子の1400回忌の年で、様々な記念行事が各地で開かれました。1400年も前の人物が現在と何か関係あるのか、と思われるのが常識でしょうが、それが「大あり」だという私個人の経験を述べたいと思います。
太子を回顧する企画の一つとして開かれた奈良国立博物館の特別展「聖徳太子と法隆寺」で、心動かされた展示がありました。聖 . . . 本文を読む
2021.12.11
聖徳太子ってあらためてスゴイと思う
みなさんは聖徳太子にどんなイメージを抱いてますか?
教科書で聖徳太子のどんなエピソードが印象に残りましたか?
先日、東京ミッドタウン六本木にあるサントリー美術館で、面白い展覧会に遭遇しました。その展覧会は「聖徳太子 日出づる処の天子」。「サントリー美術館 開館60周年記念展 千四百年御聖忌記念特別展」という鳴り物入りの展覧会です。
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12月5日、アニメ版『鬼滅の刃』(遊郭編)の放送が始まりました。(フジテレビ系:日曜午後11時15分)。
〝音柱〟宇髄天元(うずい・てんげん)とともに炭治郎らが吉原に巣食う上弦の鬼と戦う新シリーズです。
『鬼滅の刃』をご存じない方、興味のない方も多いと思いますが、少しお付き合いください。
『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの漫画で、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で平成28年 . . . 本文を読む
2021.7.3トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI(ミライ)」(共同)
二酸化炭素(CO2)削減に向け、大転換期を迎えている自動車業界。各社が電気自動車(EV)に関する長期ビジョンを発表する中、気候変動問題に注力するジョー・バイデン米政権が水素の生産コストを大幅に引き下げる目標を発表した。これまでの流れに一石を投じるものになるのか。
ロイターは6月7日、米エネルギー省が、再生可能エネルギーや . . . 本文を読む