(承前)
▼「輝かしい未来の発展」というシナリオに暗雲
インド経済が予想に反して、コロナ禍により苦境に陥った。これまで5%から6%台の成長をなしてきたインドのGDP成長率は市民法改正への抗議デモとコロナ蔓延によって急減速し、IMFは2021年のインド成長予測を1・9%に下方修正した。
世界が、とくに欧米が期待したインド。いずれ中国を抜き去るとの楽観的予測もあった。しかしインドが製造業を大飛躍 . . . 本文を読む
(承前)
▼インドは政教分離の民主主義国家
「世界最大人口の民主主義国家」がインドのうたい文句。そのインドの政治は政教分離である。「最大の民主主義国家」と言い続けるのは西側へのインパクを狙っているからだ。
外国企業よ、どんどんインドへ進出して下さい、との呼びかけを兼ねるのである。
信仰の自由は保障されており、それゆえヒンズー寺院のとなりがモスクであったり、キリスト教会であったり。こういう混 . . . 本文を読む
(承前)
▲それでも日本企業は健闘している
インドへ進出した日本企業は1100社を超えた。筆頭はスズキである。
重要な事実はインドが親日国家であること、そのうえ日本は旧宗主国の英国を抜いて、最大のインド援助国だ。
日本人は大東亜戦争におけるインド独立支援をあげるほかに、お釈迦様の生誕地という近親観がある。しかし正確には言えば、生誕地はネパールのルンビニ、インドは布教と入滅の土地である。
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(承前)
▼割賦の支払いができなくなった
まずは五年前の状況説明から。
好調だったインド経済に暗転の様相が生産現場や建築現場に出はじめた。
個人破産が増えて新車販売が減少し、インド景気がマイナス局面に陥落した。
トランプ大統領はメラニア夫人を伴ってインドを訪問したが、モディ首相の地盤であるグジャラート州で十万人の歓迎集会に出席したものの成果は期待ほどではなかった。
米印首脳会談は、貿易 . . . 本文を読む
▼インドといえば蛇遣い、カースト、貧困の極北
インドは「大好き」派と、「大嫌い」派に鮮明に別れる。
一昔前のインドの印象は蛇(コプラ)を笛を吹いて踊らせる魔法使い、ヨガ、聖なるガンジスだった。現在の印象はいきなり超モダーンな世界へ飛躍して、IT開発、ハイテクエンジニアの青田。ジョブス亡き後のアップルのCEOはインド人、トランプ政権で国連大使だったニッキー・ヘィリーもインド人だ。ニッキーは次期大 . . . 本文を読む
▼椰子、イルカ、無人島、そして海水浴客のリゾート
モルディブの首都は小さなマーレ島である。
ヴェラナ国際空港はフルレ島にあり、この飛行場からは小型ボートで渡る。五分程度。船着き場にはホテルから迎えのクルマが来ている。
細い路地をくねくねと回り込むと、目ざすJENホテルがあった。その前がインド大使館で警備の警察がひとり、退屈そう。
このJENホテルはビジネスホテルのチェーンで、東アジアの多 . . . 本文を読む
▼
バングラデシュには二回行った。街を歩くと、外国人を刺すような目で見る。
バングラデシュはアパレル王国である。ユニクロもH&MもZARAも、どこもかしこも世界のアパレルメーカーは、この国のミシン女工に製品加工を依存している。
コロナ災禍で、ぴたりと注文がとまった。ひとたまりもなかった。四百万人いた女工さんの過半がレイオフとなり、彼女たちの給金で生活が成り立っていた貧困地区の人々が悲鳴を挙げ . . . 本文を読む
(承前)
▼金融救済、もめる
2019年7月、IMFはパキスタン支援60億ドルを承認した。
ついで2023年6月29日、IMFは30億ドルの追加融資を行うスタンドバイ取り決めに関してパキスタン政府と合意した。7月12日、パキスタンに対する30億ドルの融資をIMF理事会が承認し、直ちに12億ドル分が実行された。
IMFのパキスタン救済はこれで14回目。完全なモラルハザードだが、この決定にパキ . . . 本文を読む
▼パキスタンが二億二千万もの人口大国だって知っておました?
パキスタンの実情を日本人はあまり知らない。2023年度速報で、人口は2億2200万人(世界6位である)。
まず戦争状態の「物騒な国」というマイナスの印象がある。中国と軍事同盟を結び、核兵器を保有する悪い国。治安が悪すぎて、日本人旅行者が殺害された危険ゾーン。
イスラムのラジカルな人たちがいて、武装し、タリバンを支援し、秘かにビンラデ . . . 本文を読む
(承前)
▼怒濤のような中国の進出
世界中で嫌われている中国人の食事におけるマナー違反と大声で相手を罵る文化との摩擦。その典型のパターンが穏健な仏教徒が多いスリランカにも押し寄せたとは!。
中国人が夥しく在住しているのだが、特定の場所に集中している。それもこれもスリランカ政府が中国から膨大な資金と経済援助をもらい、こうした北京との癒着ぶりはインドばかりか欧米ジャーナリズムから批判されていた。 . . . 本文を読む
▲中国にNOを突きつけた
「ポルトガルの前に、やってきたのは鄭和艦隊でした」。
コロンボ港でガイドがいきなり説明を始めた。
歴史は1410年に鄭和がスリランカに寄港したと印している。鄭和は七回の世界航海を成し遂げ、東アフリカへの港も訪問し . . . 本文を読む
(承前)
▼古都にて
ネパールはチベットからの亡命者の本場だったが、マオイスト政権となってからはネパール側の監視を強化し、カトマンズにあるチベットセンターにも規制を加えるようになった。
カトマンズを拠点に古都へ出かけた。バスセンターの端っこからバスがでている。ミニバスで20人ものると一杯になり、意外に大学生が多い。途中にふたつほど大学があり、女子学生も華やかにお喋り。となりに座ったのは十八歳 . . . 本文を読む
▼ネパールは誇り高い国である
「国際平和の最前線に貢献するのはネパール」とカトマンズ国際空港の看板が誇らしげに宣している。ご自慢はネパールが誇るグルカ兵のことである。
国連軍に1000名が常時派遣されている(最盛時には五千人)ほか、英国軍には「グルカ旅団」があり、フォークランド戦争にも参加した。
ほかにも傭兵として活躍し、ブルネイ王宮を守っているのもグルカ兵だ。さらに香港、シンガポールの警察 . . . 本文を読む
(承前)
▲人口過疎、だが若者が多い
ブータンではパンが美味しい。民家では庭に牛を飼い、鶏小屋があり、犬が寝そべり、野菜をすこし育てている。名も知らぬ花々が咲き乱れていた。
ドチュラ峠(海抜四千メートル)を超えてプナカ(旧首都)へ向かった。峠から見渡すと遠くに7314メートルのチョンモラリが見えた。山の中の辺疆とも言える場所にあるのがプナカで、なんとここが三百年間、ブータンの首 . . . 本文を読む
今回から東南アジアから「南アジア」の諸国漫遊記となります。
なお、北東アジアの韓国、台湾ならびに香港は、この連載では扱いません。韓国は室谷克美氏と五冊の共著、台湾に関しては拙著『親日国家、台湾がやばい』(ビジネス社)、また、香港は拙著『CHINAZI』(徳間書店)で詳細を論じております。
▲ブータンは「世界一幸せ」?
ブータンはインドの保護国。君主国である。
軍事力をインドに依拠し . . . 本文を読む