東アジア歴史文化研究会

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中国人のアメリカ留学激減と反比例、大規模なネット詐欺が激増している 少子化、晩婚化、都市化という顕著な中国社会の変調(宮崎正弘国際情勢)

2024-08-22 | 中国の歴史・中国情勢

SNSで著名人や信頼できる団体、企業、投資集団になりすまし、「えらい儲かりますよ」と投資を呼びかける。ちょっと考えればわかることなのに、金融詐欺にひっかかる人がなぜこうも多いのだろう?

中国人のアメリカ留学は2014年に274439人だった。ピークが2019年の37万人、それが22年統計では115493人に激減した。

米国の孔子学院閉鎖、中国留学生へのヴィザ発給厳格化、飛行場での門前払いも相次いで、さすがの中国も抗議した。アメリカの中国制裁と中国人とみたらスパイ視する社会風潮が米国滞在を居づらくさせたらしい。

アメリカで博士号、あるいはMBAを取得した中国人のうちで、中国へ帰国した数は2010年から2021年の12年間の統計で僅かに19955人だった(博士号取得者は34万と推定)。多くはアメリカンドリームを夢見てアメリカで暮らし、起業し成功をめざした。一世代前の中国人はハングリー精神医溢れていた。言葉の習得も早かった。

2010年に中国へ帰った留学生は48%に過ぎなかった。それが2021年には67%、学部学生に至っては80%が中国へ帰る。これを「海亀派」とういう。ところが帰国しても、中国経済は不況、就職難、精神的に落ち込んでトラウマを抱える若者が増え、なかなか「見えてこない未来」に悩む。中国社会、かなり深刻である。

「優秀な頭脳」といわれた若者が中国へ帰るのである。軍事技術、コンピュータ産業などはイノベーションが促進されるだろうが、一方で負け組には何がおきるか?

中国国内でSNSの詐欺犯罪が急増している。WECHAT,TAOTAOなどを舞台にした詐欺グループが逮捕されたが、容疑者は102名、被害額は判明しただけで9000億円。これは氷山の一角である。

ま、日本でも8月14日に摘発された二つのSNS型投資詐欺グループは94人が逮捕されが、SNSで投資の講師になりすまし、投資の商材購入費などと偽って被害者からカネをだまし取っていた。

被害総額は30億円。かたや9000億円。この日中の比較は何かを暗示している。この被害金額は一例にすぎない。

若者たちの絶望は社会的通念、生き方の変化に如実に反映され、「結婚しない、結婚しても子供を作らない」という非伝統的な中国Z世代現象が拡がった。

このような退嬰的風潮を共産党は重く受け止めているが、抜本的対策などあるはずがない。

一人っ子政策をやめて、産めよ、増やせよと言っても、適応する条件は官僚的で貧弱である。1979年以来つづいた一人っ子政策は2015年に撤廃された。いや、そればかりか2016年にはふたりもOK、21年からは三人もOKとなった。

しかし逆に新生児は減ったのである。公式統計で中国の少子化は1・3だが、現在はおそらく1・0を割り込んでいると想定される。

▼党とて懸念を深めてはいるのだろうが

パッチワークの見本が結婚および離婚規則の改正である。

結婚届を従来の戸籍などの申請書類規則を撤廃し、簡単な手続きとする。また離婚を難しくするため離婚届を受理するまでに30日間の「クーリングタイム」をもうけ、「もう一度考えてから」を奨励する方向へ規則改正に動いている。

中国の結婚数は2013年がピークで1347万組だった。以後、減少傾向がつづき、2023年には768万組と半減にちかくなった。

2024年上半期の結婚数は速報で343万組だった。ということは2024年予測は686万組と計算される。前年よりも100万組すくなくなることは明らか、少子化にも歯止めがかからないだろう。

未婚、晩婚、少子化は過去十年で顕著になっているが、第一に男子が女子より人口が多いため嫁不足。第二は所得格差、第三は都市化の進行(20年前に都市化は36%だった。現在は65%)、コンビニで食事する「お一人様」現象は日本の風景をみていてもわかる。

第四の原因は結婚年齢制限で、日本は男子18歳、女子16歳だが、中国では男子22歳、女子20歳という規定がある。


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