元大関で、今場所から関脇に転落していた千代大海が現役を引退し、年寄「佐ノ山」を襲名することが協会の持ち回り理事会で承認された。今後は九重部屋の部屋付き親方として後進を指導する。
千代大海は10勝すれば大関に復帰できる今場所で、初日から3連敗。特に、3連敗目を喫した相手である大関魁皇とは50回を超える対戦で、初めて「送り投げ」なる技で惨敗し我に返ったようでショックでこれが引退の引き金となった。
今日の対戦相手であった把瑠都(ばると)とは過去に因縁があることから、先輩大関に引導を渡された形での引退を決意したと思われる。
会見では「きのう(魁皇に敗れた3日目)、テレビをつけたら何十回と自分がひっくり返ったVTRを見て、ここしかないと思いました。きょうの朝、師匠には伝えた」と話した。
千代大海は1992年九州場所で初土俵。1995年名古屋場所で新十両になった。激しい突っ張りを武器に番付を駆け上がり、1999年初場所で初優勝し、場所後に大関に昇進した。優勝3回。大関在位65場所は歴代最多の一方、けがやけいこ不足がたたってかど番14度も史上ワーストだった。
在位65場所ながら魁皇共々「ダメ大関」「クンロク(9勝6敗)大関」などと批判されることも多かった。角番14回は誇れる記録ではなく、2005年から2009年まで5年連続9回の角番を経験し2008年初場所以降は二桁勝利からも遠ざかっている。
昨年春場所の2勝13敗は大関のワースト記録となるなど、歴代最多の大関在位という「輝かしい記録」とは裏腹にワースト記録の持ち主にもなってしまいながらの引退となった。
千代大海のコメント
「けじめをつけたので、悔いはない。体力が追いつかず、持ち味の相撲を取れなくなった。一番の思い出は初優勝のときに(横綱・若乃花と)1日で3番取ったこと。大関になって人生が変わって、多くのことを学ばせてもらった。(最後が)魁皇関で良かったかな」
九重親方(元横綱・千代の富士)のコメント
「寂しいというのはある。今場所は(大関復帰に)チャレンジできる状態じゃなかった。入門したときはやんちゃだったけど、ここまでこれた。素直な気持ちでやってきたので、大関になり、優勝もできた」
【千代大海の記録】
▽大関在位 65場所(史上1位)。2位は魁皇の57場所。
▽大関での勝ち星 515勝(史上1位)。2位は魁皇の453勝。
▽大関での出場回数(昭和以降) 850回(史上1位)。2位は魁皇の717回。
▽通算出場 1288回。
▽通算勝ち星 771勝。
▽幕内在位 75場所。
▽幕内出場 988回。
▽幕内勝ち星 597勝。
▽三賞 5回。
▽金星 1個。
▽カド番 14回(ワースト1位)。
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