kintyre's Diary 新館

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映画『あなたを抱きしめる日まで』を観て

2014-03-31 17:03:26 | 映画・ドラマ、アクション

14-31.あなたを抱きしめる日まで
■原題:Philomena
■製作年、国:2013年、イギリス・アメリカ・フランス
■上映時間:94分
■料金:1,800円
■観賞日:3月28日、新宿ピカデリー(新宿)

□監督:スティーヴン・フリアーズ
◆ジュディ・デンチ
◆スティーヴ・クーガン
◆ショーン・マホン
◆キャシー・ベルトン
◆メア・ウィニンガム
◆ミシェル・フェアリー
◆アンナ・マックスウェル・マーティン
◆ルース・マッケイブ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
無理やり引き裂かれてしまった息子を捜すアイルランド人の主婦が、元エリート記者の男との旅を通して不思議な友情で結ばれていくさまを描く、実話をベースにしたヒューマンドラマ。
イギリス。善良で信仰心が篤い田舎の主婦フィロミナは、娘のジェーンとともに穏やかな生活を送っていたが、ある日、50年間隠し続けてきた秘密をジェーンに打ち明ける……。

1952年、アイルランド・ロスクレア。10代で避妊の知識も全くないままに交際相手の子を未婚のまま妊娠したフィロミナは家を追い出され、強制的に修道院に入れられる。
そこでは同じ境遇の少女たちが、奉公人のように働かされていた。フィロミナは男の子を出産、アンソニーと名付けるが、面会は修道院内の託児施設にて1日1時間しか許されない。それでも少女達は厳しい戒律の下での生活も、我が子と短時間でも会えるのを楽しみに日々を過ごしていた。

だが修道院には別の姿があった。別れはいきなり訪れた。修道院は、3歳になったアンソニーを1000ポンドと引き換えにアメリカに養子に出し、フィロミナは「誰にも息子のことを話さない」という誓約書に半ば強制的に署名させられた……。
それから50年の月日が経過、フィロミナは、アンソニーのことを忘れたことは一日も無く、いつも気がかりに思い、密かに彼の行方を捜していた。そしてアンソニーの50歳の誕生日に、初めて娘のジェーンに父親違いの兄の存在を明かしたのだった。
事実を知ったジェーンは、母のために、あるパーティで知り合ったなんとも頼りなさそうな元ジャーナリストのマーティンに話を持ちかけるが、マーティンは気乗りがしなかったが、それでもフィロミナが懇願する姿を見て、彼のツテを頼りに共にワシントンD.C.の移民局へ向かった。ジャーナリストとしての再起をかけたマーティンは、意外な所でアンソニーとの接点があったことに気付く。一歩一歩、少しずつではあるがアンソニーに近づいていく二人。だがそこで二人は思いもよらぬ事実を知ることになる……。

ジャーナリストとして多くの人物に会ってきたマーティンは、アンソニーがマイケル・ヘスの名前で共和党員だと言う事まで判明。調査の結果、彼は当時のレーガン大統領、ブッシュ大統領(父)の顧問だったことことと、マーティンと会っていたことまで分かり、何と写真まで彼のPCに保管されていた。だが、悲しいことに、アンソニーことマイケル・ヘスは1995年にAIDSが原因で亡くなっていた。
だが帰国を思い止まり、フィロミナはアンソニーのパートナーだったピートの居所を掴み自宅を訪ねたが一度は断られるも諦めずに面会し生前の様子を知ることが出来た。
そこで知った驚きの事実は、まさに目から鱗だった。何とアンソニーは生前、実母を探しに修道院まで来ていたが、そこで自分は母に捨てられたと聞かされていた。更に、彼の死に際して亡骸をどこに埋葬するか養父とピートの間で論争になり、生前の希望もあって修道院に埋葬されていると知って驚愕する二人。帰国して修道院を改めて訪問して遂にアンソニーの墓の在処を知った。

マーティンは子を売り渡したシスター・ヒルデガードが修道院内で健在であると知り、シスターの元へ強引に詰め寄り罵るが、シスターは「姦淫」の罰だと冷たく言い放った。激高するマーティンだったが、そんなシスターを彼女は「許す」と言う。そして、墓の前で母子の対面がやっと実現したのだった。マーティンはこの取材で得たストーリーの出版を躊躇うが、彼女のたっての願いで出版を決意した。

宗教的な一面が強いこの話、修道院が未婚の母が出産した子供を本人に知らせずに米国へ売り渡していたことにフィロミナもマーティンもショックを受けた。だが、彼女は修道院を恨むことなく最後はシスターを許す心の広い女性だったのは救いだ。これが仮に正反対な女性だったら、記者と共に紙面で幼児人身売買について糾弾していただろう。
そして、彼女が長年捜していた息子アンソニーが実は修道院で眠っていたとは驚き。秘密主義の修道院はその事実を一切彼女に報せること無かったが、彼女は渡米したことで息子の米国での人生を知ることが出来たので、修道院を攻撃するような態度はとらなかった。これは立派だと思う。幾ら彼女が半強制的に誓約書に署名していたとは言え、中々出来ることではない。出来れば生前に面会出来れば最高だっただろうが、亡くなった息子もここに埋葬されれば、きっと母が捜してくれるとの思いで生まれ故郷のアイルランドに戻ったのだろう。

このフィロミナを演じたジュディ・デンチで無ければこの女性をここまで演じることは出来なかっただろうし、マーティン役のスティーヴ・クーガンは脚本、製作にまで関わっている点も見逃せない。



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