山本参院議員が園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した行為に対して、閣僚や与野党から「議員辞職ものだ」(下村博文文部科学相)との批判や厳しい対応を求める声が相次いだ。
下村氏は記者会見で「(山本氏の行為を認めれば)行事で天皇陛下に手紙を渡すことを認めることになる。安易に看過してはいけない」と批判。自民党の石破茂幹事長も「見過ごしてはならない」と訴えるなど、山本議員への風当たりは強く、擁護する声は聞かれない。
野党からも民主党の松原国対委員長が「議員辞職すべきだとの意見には非常に共感する」と強調し、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は「陛下にそんな振る舞いをするなんて、あってはならないことだ」と述べるなど、野党議員からも山本議員を非難するコメントが集中している。
自民党などからは、参院議院運営委員会として山本氏の「除名」(議員辞職)処分などを含む懲罰動議の検討を求める意見が出ている。
ただ、参院議事課によると、昭和27年に両院協議会を急に退席した議員4人について懲罰委員会へ付託されたのを最後に、懲罰動議の例はない。「良識の府」として出処進退は自らが決断すべきだという建前論があるためとされている。辞職勧告決議案も法的強制力がなく、「居座ろうと思えばできる」(自民党幹部)ため、参院は対応に苦慮している。
参議院がよく「良識の府」と評されるが、そもそも解散の無い参議院は辞職しない限り任期6年と全うできる。衆議院と違い、様々なバックグラウンドを持った人物が立候補し当選する。山本議員のように俳優として芸能活動していた(私は彼が俳優として出演していた作品は観た記憶が無い)人物が当選し、このような問題を起こすことは過去にもある。所謂、タレント議員だが、中には、退路を絶って立派に議員活動に邁進し再選を果たしている議員もいる中で、山本議員のように今回の様な問題を起こしてしまう議員がいるのは残念だ。
みんなの党の渡辺喜美代表は、山本議員が園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した行為について、「憲法の象徴天皇制に対する大変な勘違いだ。政治利用と言われてもやむを得ない」と批判した。
共産党の志位委員長も「憲法上、天皇は政治的な権能を有さず、政治的な対応を求めることは憲法の規定にそぐわない行動だ」と語った。共産党委員長からさえも山本議員を批判するコメントが出るなど、山本議員を擁護する議員は現時点でいないような状況に追い詰められている。
この問題について、参院議院運営委員会の岩城委員長は1日、秋の園遊会で天皇陛下に手紙を手渡した山本議員を国会に呼び、事情聴取した。
山本議員は聴取後、記者団に「議会のお沙汰や意見は受け止める」と話したが「マスコミの皆さんが騒ぐことによって(天皇陛下の)政治利用にされてしまう」などと責任転嫁ともとれる発言も。自民党は、山本氏が自発的に議員辞職しない場合、辞職勧告決議案の提出を検討している。議運委理事会は5日に処分をめぐり再び協議する。
そもそも議員なら自分の主張を堂々と国会の然るべき場所で述べるのが責務であり、招待された園遊会で天皇陛下に手紙を渡すなどと言う行為は国会軽視でもある。本来は、国会の論戦の場で安倍総理大臣か担当大臣に委員会などで持論の正当性を訴えるのが山本議員に投票した有権者への義務ではないか?それを、マスコミが騒ぐからと責任転嫁をしているようでは呆れてしまう。
横田耕一九州大名誉教授(憲法学)は、今回の山本議員の行動について「天皇の権威を利用しようという意図があると言われても仕方がない」と指摘。山本議員が福島第1原発事故の被害状況を天皇陛下に知ってほしかったなどと説明していることについて「国会こそが『国権の最高機関』であり、本来は国会議員である自分たちが、国会の中で議論すべきことだ」と語った。