kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

秋篠宮さま「皇族は一定数必要」、政府は「女性宮家」検討加速へ

2011-11-30 14:09:30 | 時事ニュース・国内

最近、皇位継承に関する話題が紙面の一面を賑わせるようになってきた。政府では、藤村官房長官が25日、「女性宮家」検討の必要性を指摘した背景には、10月に秋篠宮家の長女、眞子さまが20歳になったのをはじめ、女性皇族が相次いで結婚年齢に近くなられていることがある。悠仁(ひさひと)さまのご誕生で皇位継承問題は一段落したものの、宮内庁は天皇家を支える皇族方が減ると、皇統の安定的な維持に影響が出かねないとして焦燥感を強めている。



天皇陛下も平成21年の記者会見で皇統の維持の難しさについて尋ねられ、「現状については質問の通りだと思います」と、懸念していることを明らかにされている。
現在皇室には高円宮家に3人の女性(女王)、三笠宮家に2人の女性(女王)、秋篠宮家に2人の女性(内親王)、皇太子ご一家の敬宮愛子内親王の1人で未婚の女性皇族が8人おり、その8人が結婚し皇室を離れられるとすると、天皇陛下の孫の代の皇族は悠仁さまのみとなる。

秋篠宮さまは今日、46歳の誕生日を迎えた。これに先立ち、宮邸で紀子さまと共に記者会見し、来月で78歳になる天皇陛下の公務について「定年制というのは、やはり必要になってくると思います」と述べ、公務を一定の年齢で減らすことの議論が必要との考えを示した。皇室の維持に関しては「皇室を維持していくためには、一定の数(の皇族)は当然必要」との考えを示された。

皇位継承問題については秋篠宮家に悠仁親王が誕生したことで議論が止んでいたが、眞子さまが20歳になったのをきっかに再燃してきた。悠仁さまの誕生前の小泉政権時にも盛んに議論されていたが、悠仁親王世代の皇室男子が他に存在しない状況から、未婚皇族女性の扱いが急浮上してきた。特に、読売新聞では連日1面でこの問題を取り上げている。
皇室の男子が秋篠宮さまの次が同家の悠仁さままで間が空くことから、安定した皇位継承への不安がぬぐい切れず、悠仁さまの成人時に自身以外に皇室男子が存在しない可能性も十分考えられる状況になっている。そこで、女性宮家創設が検討課題に乗ってきた訳だが、そうなると宮家創設の範囲やその配偶者の身分や創設に伴う維持するための費用等検討課題は多岐に渡る上に、皇室典範改正も伴うので政治的な問題も同時に抱えることになる。

野田首相は、宮内庁からこの懸念を伝えられ既に宮家創設を含む検討課題へどのように取り組むべきか政府部内で検討を急ぐとの考えをもっているそうだ。また、各政党間でもこの問題を巡って見解の相違から議論が噛み合わない可能性もあり、政府は皇位継承問題と切り離して「女性宮家創設」に絞って議論することで政治問題化を防ぐ狙いもあるようだ。


一川防衛相、不適切発言の沖縄防衛局長更迭も野党は防衛相の問責案提出の動き

2011-11-29 23:34:05 | 時事ニュース・国内

一川防衛相は、防衛省で記者会見し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、同省の田中聡沖縄防衛局長が記者団との非公式な懇談で不適切な発言を行ったとし、同日付で大臣官房付に更迭したと発表した。及川博之沖縄防衛局次長が当面、局長の事務代理を務める。

一川氏は、記者会見で、更迭理由について「弁解の余地はない。引き続き沖縄の業務を担当させるわけにはいかない」と説明。「県民のみなさんに心からおわびしたい」と謝罪した。自らの進退については「懸案事項を責任をもって進める」と辞任する考えがないことを強調した。評価書の年内提出方針については「今年中に提出できる準備を進める方針に変わりない」と説明した。藤村修官房長官も同日の記者会見で「今その(年内提出の)ために準備している」と述べた。

そもそも沖縄防衛局主催の記者団との宴席での非公式(オフレコ)での懇談会、宴席での会話という気軽さも手伝って田中局長も舌が滑り過ぎた。オフレコ取材の内容をばらしてしまい道義的にどうかな?って同情する部分も多少残りますが、やはり、この発言は防衛省の沖縄担当責任者の発言としては不適切である。第一、何でワザワザこういう例え話になるのか、「(性的に)犯す」という行為そのものが女性の人権を蹂躙しており重大な犯罪行為であり、そういう話を記者相手にしてはこういう結果を招くのはいくらオフレコ取材でも覚悟しなければ成らなかず、脇が甘かったではすまされない話だ。
特に、沖縄と政府の間では普天間の移設問題を巡って、自公政権時代から微妙な関係が続き、自公政権では腫れものを触るような対応であったのが、民主党首相の鳩山氏が就任以降理解不足なのか沖縄県民の感情を逆なでするような今回の不適切発言で、沖縄県側が態度を硬化させてくるだろう。

一川防衛相は険しい表情で田中局長更迭を発表したが、その大臣自身の就任以来続く防衛大臣の資質を疑う様な数々の発言や、ブータン国王夫妻の皇居での晩餐会をすっぽかしたり等で、自民党を中心とした野党が一川防衛相の問責決議案提出を検討しており、早ければ週明けにも参議院に提出され可決されるだろう。
問責決議は可決されても従う義務は無いが、問責された大臣が居座り続けると、今度は野田首相の任命責任が追及されかねず、野田政権は厳しい政権運営を強いられる。


大阪市長選で橋下氏、府知事選で松井氏が当選

2011-11-28 22:54:16 | 時事ニュース・国内

大阪府知事選と大阪市長選が投開票された。

 市長選は前府知事で地域政党・大阪維新の会代表の橋下徹氏(42)(諸派)、知事選では同会幹事長で前府議の松井一郎氏(47)(諸派)が、それぞれ初当選した。大阪府と大阪・堺両市を再編する「大阪都構想」を共通の公約に掲げた両氏は、実現に必要な住民投票や法整備に向けた国への働きかけに着手する。野田政権で初の大型選挙となった民主党と、自民党は地元レベルで支援した候補が敗れ、痛手となった。
橋下氏と知事選を勝った松井氏は、大阪市北区で維新の会メンバーら数十人に囲まれ、そろって万歳。その後の記者会見でも、橋下氏は「中央の政党と(大阪都構想について)協議し、受け入れてもらえないなら候補者擁立の準備に入る」と自身を含めた(!?)国政選挙への進出も検討していることを明らかにした。市職員や教職員に向けて、「この選挙結果を重く受け止めてほしい。政治に踏み込みすぎたと思う職員には、潔く“自主退職”してもらいたい」と言い放った。

現職の平松市長は、橋下氏の都構想に対して批判を繰り返すばかりで有効な対抗手段を持ち合わせず、橋下氏の独裁手法を批判のやり玉に挙げるだけで、支持勢力も自民・民主・共産党らの組織票頼みで、無党派層を中心に若年層までをも支持勢力に取りこみ大幅な投票率アップで、平松氏に22万8千票以上の大差を付けて、投票締め切りと同時に橋下氏の圧勝での当選確実が出た。
橋下氏の当選で「大阪都構想」の実現に向けて4年間突っ走るのだろうが、現実に実現までには多くのハードルが待ち受けているのと同時に、大阪市役所内にも反対勢力が居るだろうから、「民意」を背景にどこまで強気に主張を押し通して行くのか注目したい。
また、既存政党推薦の平松氏が惨敗したことで、今後、大阪維新の会の国政選挙進出となった際にどこの政党と連携するのかの綱引きも活発になるだろう。今回のW選挙では「みんなの党」の渡辺代表が熱心に応援していたが、今後どのような形で連携するのだろうか?

市長選の投票率は60・92%で、前回(2007年)の43・61%から17・31ポイント上昇した。60%を超えたのは知事選とのダブル選だった1971年以来。府知事選の投票率は52・88%で、前回(2008年)の48・95%から3・93ポイント上昇した。

◆大阪市長選確定得票

 当  750,813 橋下  徹 諸新

    522,641 平松 邦夫 無現

◆大阪知事選確定得票

 当2,006,195 松井 一郎 諸新

  1,201,034 倉田  薫 諸新


映画『フェア・ゲーム』を観て

2011-11-27 23:05:11 | アメリカ映画 2011

11-81.フェア・ゲーム
■原題:Fair Game
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:108分
■料金:1,800円
■鑑賞日:11月27日、新宿武蔵野館




□監督・製作・撮影監督:ダグ・リーマン
□脚本:ジェズ・バターワース、ジョン・ヘンリー・バターワース
□撮影監督:アンドリュー・ダン
□美術:ジェス・ゴンコール
□衣装デザイン:シンディ・エヴァンス
◆ナオミ・ワッツ(ヴァレリー・プレイム)
◆ショーン・ペン(ジョー・ウィルソン)
◆サム・シェパード(サム・プレイム)
◆ノア・エメリッヒ(ビル)
◆ブルース・マッギル(ジム・パヴィット)
◆デヴィッド・アンドリュース(スクーター・リビー)
【この映画について】
イラクに大量破壊兵器が存在しないことを公表したために、アメリカ政府の厳しい報復に遭った元CIAの女性エージェントの実話「プレイム事件」を映画化したクライム・サスペンス。『ボーン・アイデンティティー』『Mr.&Mrs.スミス』のダグ・リーマンがメガホンを取り、CIA諜報(ちょうほう)員役のナオミ・ワッツと元大使役のショーン・ペンが夫婦役で共演。
真の正義を貫いた夫婦のきずなと衝撃の真実がリアルに描かれ、スピード感あふれるスリリングなエンターテインメント作品としても楽しめる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
2001年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカのブッシュ政権はイラク政府が大量破壊兵器を密かに保有し、世界にテロを“輸出”する「悪の枢軸」のひとつだとして、世論を動かしながら攻撃準備を進めていた。
極秘にこの疑惑を調査していたCIAの秘密諜報員ヴァレリー・プレイムは、潜入捜査の末、イラクに核兵器開発計画がないことを突き止める。一方、ヴァレリーの夫で、元ニジェール大使のジョー・ウィルソンも、国務省の依頼でアフリカ・ニジェールへ赴く。イラク政府が核兵器開発に必要な濃縮ウランを密かに買い付けているとの情報の真偽を確認するためだ。そして彼もまた、イラク政府によるウラン購入の事実はないとの結論に達する。

だがブッシュ政権はヴァレリー夫妻の報告を無視、2003年3月20日、イラクへ宣戦布告する。4ヶ月後、ジョーは自身の調査報告を元にイラク戦争の真実をニューヨーク・タイムズ紙に寄稿、ブッシュ政権を揺るがす大論争を巻き起こす。
核兵器開発計画が最初から存在しないならば、イラク戦争を始めたブッシュ政権の正当性が疑われかねない。ところがその直後、ワシントンの有力ジャーナリストたちに、ヴァレリーがCIAの秘密諜報員だという情報がリークされる。情報漏えいを指示したのは、チェイニー副大統領主席補佐官のルイス・“スクーター”・リビーだった。

身分を暴露され、たちまち世間の好奇の目に晒されるヴァレリー。家族や各国に散らばる協力者にも危険が迫り、彼女のキャリアと私生活は崩壊し始める。匿名で送られてくる脅迫状や無言電話、容赦ない世間の中傷……今まで証券会社勤務だと偽っていた彼女から友人も離れていった。ジョーは、メディアに自身の正義を論じるが、ヴァレリーは沈黙を貫く。公の場で事実を明かすべきだと言い募るジョーと対立し、唯一の安らぎの場所だった家庭さえもが崩れ落ちそうになったとき、彼女はいつも温かく見守ってくれた両親のもとへ向かう。
家族との穏やかな時間を過ごす中、大切なものとは何か気付いたヴァレリーは、自らの名誉と家族を守るため、強大な国家に戦いを挑むのだった……。

実はこの事件について自分は全く記憶が無い。エンドロール突入前に彼らの素性をばらしたのが国務副長官でもあり知日派としても知られ、プロレスラー並の巨体でスキンヘッドの容姿で目立っていたアーミテージ氏だったというのも始めて知った。
それにしてもヴァレリーがCIA工作員だったことが暴露されてからの近所の眼ががらりと替わったのは、アメリカでもこういうことがあるのだな?ってことが分かったと同時に驚いた。プレイム夫妻を演じるナオミ・ワッツとショーン・ペン、この二人の演技力のバランスが絶妙だったことで、どちらかが浮くこともなかった。ショーン・ペンが妻を守ろうと必死に弁護し、TV番組に出演して熱っぽく語る場面は愛情の深さを示していた。
アメリカ式の民主主義は、日本のように与えられたものではなく、米国民が自ら選んだ制度でありその為には自分で戦ってでも民主主義を守るのも務めである。そんなことを改めて感じさせられたと同時に、息子ブッシュ大統領のイラク敵視政策の愚かさも白日の下にさらけ出していたストーリー展開でもあった。


映画『ラブ・アゲイン』を観て

2011-11-26 18:33:33 | アメリカ映画 2011

11-80.ラブ・アゲイン
■原題:Crazy,Stupid,Love
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:118分
■字幕:藤澤睦実
■料金:1,800円
■鑑賞日:11月20日、シネマート新宿
 

□監督:グレン・フィカーラ、ジョン・レクア
□脚本:ダン・フォーゲルマン
□撮影監督:アンドリュー・ダン
□編集:リー・ヘキソール
□美術:ウィリアム・アーノルド
□衣装デザイン:デイナ・ピンク
□音楽:クリストフ・ベック、ニック・ウラタ

◆スティーヴ・カレル(キャル)
◆ライアン・ゴスリング(ジェイコブ)
◆ジュリアン・ムーア(エミリー)
◆エマ・ストーン(ハンナ)
◆ジョン・キャロル・リンチ(バーニー)
◆マリサ・トメイ(ケイト)
◆ケヴィン・ベーコン(デイヴィッド・リンハーゲン)
◆ジョナ・ボボ(ロビー)
◆アナリー・ティプトン(ジェシカ)
◆ジョシュ・グローバン(リチャード)
【この映画について】
幸せな人生を謳歌(おうか)してきた中年男が、愛妻から何の前触れもなく離婚の話をされたことから巻き起こる騒動を描くラブ・コメディー。監督は、『フィリップ、きみを愛してる!』のグレン・フィカーラとジョン・レクアが再びタッグを組み、脚本を『塔の上のラプンツェル』のダン・フォーゲルマンが手掛ける。
『40歳の童貞男』などハリウッドきってのコメディー俳優スティーヴ・カレルを主演に、ライアン・ゴズリング、ジュリアン・ムーアらが共演。愛の本質を突いた、おかしくもほろ苦いストーリーが共感を誘う。
(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
真面目を絵に描いたような40代のキャル・ウィーバーは理想的な人生を送っていた。安定した職に就き、マイホームを手に入れ、高校時代の恋人だった妻との間には可愛い子供たちがいる。だが妻のエミリーが男をつくり、離婚を考えていると知ったときから、キャルの“申し分のない”人生は脆くも崩れ去る。おまけに昨今の“独身市場”では、キャルのようにウン十年もデートから遠ざかっている中年男はヤボなバツイチとして相手にもされない。

そんなある日、ひとりの夜を地元のバーで寂しく過ごしていたキャルは、30代の遊び人ジェイコブ・パーマーと知り合い、舎弟のようになっていく。
ジェイコブは妻への未練を断ち切れないキャルにもう一花咲かせてやろうと考え、キャルを未知の世界へと誘う。男慣れした女性を紹介し、男らしい酒の飲み方を手ほどきし、GAPでは手に入らないハイファッションを見立ててやった。しかし、柄に合わない恋愛ゲームに興じているのはキャルとエミリーだけではなかった。
13歳の息子のロビーは17歳のベビーシッターのジェシカに夢中になり、そのジェシカはキャルにぞっこん。そんなモテ男に変身を遂げたキャルだったが、心までは簡単には変えられなかった。キャルの思いはいつも振り出しに戻ってしまうのだった……。

この映画のキャストを見ていると、何故拡大公開されないのか不思議な気もして、自分も最初は知らなかったのですがジュリアン・ムーアの名前をみて「オッ!!」と思いました。
スティーヴ・カレルの出演作は記憶に無かったけど、プロデューサーでもある彼を中心にストーリーは展開。キャルとエミリー夫妻の仲はエミリーがデイヴィッド・リンハーゲンとの浮気を告白して別居することに。キャル・エミリー夫妻のベビーシッターである17歳のジェシカはキャルに憧れていて、そのジェシカに13歳の息子ロビーは夢中。ロビーの担任ケイトとキャルは弾みで肉体関係をもち、キャルの娘ハンナにジェイコブは夢中だがキャルもエミリーもその事は知らない。
こうして出演者たちがどこかで繋がって、最後はそれがバレて大騒動に発展したり、ホロリとしたりとドタバタ劇ながらストーリーには一本筋が通っていたのは素晴らしい。

前半は初恋の妻に振られた格好となった冴え無い中年男キャルと、プレイボーイ風のジェイコブが中心。特に、ジェイコブがキャルを改造しようと、彼のクレジットカードでバンバン買物をして、カッコいい中年男へと変身する過程は面白かった。
中盤以降は今度は前半に登場していた人間関係が思わぬ方向に進んだりして、特に、ラスト近くで学校の卒業式でロビーが父兄が見守る中でジェシカへの愛を告白したシーンは「名場面」だった。でも、彼女はキャルへ夢中なのと、4歳年下のロビーは恋愛対象外であり、そっと今後の関係の発展を見守りたくなる良いシーンだった。

ジュリアン・ムーアは最近では深刻な表情で出演するような役が多かったが、コメディ・タッチの本作ではノビノビと演じていたのが印象的だった。


映画『マネーボール』を観て

2011-11-25 10:01:49 | アメリカ映画 2011

11-79.マネーボール
■原題:Moneyball
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:133分
■字幕:菊池浩司
■料金:1,800円
■鑑賞日:11月19日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ



□監督:ベネット・ミラー
□脚色:スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン
□原作:マイケル・ルイス
□撮影監督:ウォーリー・フィスター
□編集:クリストファー・テレフセン
□美術:ジェス・ゴンコール
◆ブラッド・ピット(ビリー・ビーン)
◆ジョナ・ヒル(ピーター・ブランド)
◆フィリップ・シーモア・ホフマン(アート・ハウ)
◆ロビン・ライト(シャロン)
◆クリス・プラット(スコット・ハッテバーグ)
◆スティーブン・ビショップ(デイヴィッド・ジャスティス)
◆ケリス・ドーシー(ケイシー・ビーン)
【この映画について】
メジャーリーガーから球団経営者に転職した実在の人物、ビリー・ビーン。彼は強豪球団の三分の一しか年棒が払えないという球団の弱点をカバーするため、2002年に「マネーボール理論」を導入。これまでのやり方にしがみつこうとする抵抗勢力に迎合する事なくチームの変革を成し遂げ、公式戦20連勝という記録を打ち立てた。
本作では、自分の信念を貫きチームを変革していくビリー・ビーンを、ブラッド・ピットが力強く演じている。元野球選手たちが選手役で出演しているだけあって、試合シーンはリアリティたっぷり。普段は見られない球場の裏側が多く見られるのも、ファンにはたまらない。監督を務めたのは、『カポーティ』のベネット・ミラー。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
メジャー経験のあるプロ野球選手から球団のフロントに転身するという珍しいキャリアを持つビリー・ビーン。風変わりで短気なその性格は、若くしてアスレチックスのゼネラルマネージャーになってからも変わらなかった。自分のチームの試合も観なければ、腹が立つと人や物に当り散らすという、癖のあるマネジメントを強行。そんな変わりダネが経営するアスレチックスは弱かった。しかも、貧乏球団のため、優秀で年俸の高い選手は雇えない

チームの低迷は永遠かと思われ、ワールド・チャンピオンの夢はほど遠かった。だが、野球経験はないものの、データ分析が得意なピーター・ブランドという球界の異分子と出会ったことで、風向きが変わり始める。
ビリーは後に“マネーボール理論”と呼ばれる“低予算でいかに強いチームを作り上げるか”という独自の理論を実践。だがそれは同時に、野球界の伝統を重んじる古株のスカウトマンだけでなく、選手やアート・ハウ監督らの反発を生み、チーム状況が悪化。それでも強引に独自のマネジメントを進めてゆく。
その揺るぎない信念は、徐々にチームに勝利をもたらし、誰も想像しなかった奇跡が……。球界はビリーの手腕を認め、周囲からの信頼も次第に回復。そしてある日とんでもないオファーが飛び込んでくる。しかし、そこで重大なことに気づいたビリーは、意外な行動に出る……。

このマネーボールについてですが、野球が趣味の管理人は以前から知っていた内容でこれをブラピ主演で映画化すると知って「どういう内容になるのかな?」って疑問に思いました。と言うのも決して映画向きの内容では無いので、どのように盛り上げるのかが最大のポイントだったからです。案の定、製作発表からブラピ主演で動き出すまでには紆余曲折があったそうで監督も交代したとか。
で、やはりというかA’S(アスレチックスの略称です)20連勝へ導く過程でブラピがGMとして如何にして取り組んできたか?との流れになったようですね。この20連勝ですが、実は管理人もこの20連勝達成した試合を球場で生観戦していました。夏季休暇を取得してSF(サンフランシスコ)に滞在してSFジャイアンツとオークランドA’Sの試合を数試合観戦しましたが、その中の1試合が20連勝目の記念すべき試合でした。自分が観戦した記念碑的な試合が映画のハイライトとして採用されたことは嬉しいですね素直に。

ブラピの演技は非常に良かった半面、アカデミー賞俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが演じたアート・ハウ監督役は地味な演出で残念です。ブラピは野球には詳しくないそうですが、テンポの速いセリフ回しや部下のブランドとの会話は面白かった。

ただし、ストーリー的には野球ビジネスの裏側がテーマでA’Sの伸び盛りの若手カルロス・ペーニャをトレードするエピソードなんかは興味深かったです。当時、新人王有力候補だったぺーニャのタイガースへのトレードは私も記憶していますが驚きましたのでね。また、ビーンGMがインディアンスの事務所に乗り込んでリカルド・リンコンというメキシコ出身の中継ぎ左腕投手のトレード交渉の様子や、その帰り際にピーター・ブランドという後の右腕を発掘したエピソードも面白かった。
こうしたビジネスの裏側と、ビーンがメジャーのスカウトの目に留まってスカウトの絶賛を背景にドラフト1位で期待されて入団したもののメジャー定着は出来なかった、この挫折が彼のGMとしての背景にあるのがよく理解出来た。

スカウトの眼力よりも成績をデータ化して「出塁率」と「長打力」のある選手を求めるマネーボールの原型が形成されていった。だが、古株のスカウトやスコアラーはこのビーンGMの方針に当然ながら戸惑いと反発を覚える。編成会議で獲得候補選手に対してビーンGMはあくまでも「出塁率」に拘った選手獲得をピーター・ブランドと一緒に進めて行った。その中でA’Sが注目したのはマイナーで燻っていたケヴィン・ユーキリス、アンダーハンド投手のチャド・ブラッドフォード、スコット・ハッテバーグ捕手について紹介されていた。ユーキリスはRソックスでその後大成してA’S入団は叶わなかったが、後の2人はA’Sが獲得し、特に、ハッテバーグは捕手から一塁へのコンバートを成功させ20連勝を決めるサヨナラ本塁打を放った。

だが、このマネーボール理論は長続きしない。何故なら、「出塁率」の高さを求めるが、そこから先の作戦は結果次第で確率の悪い盗塁やヒットエンドランなどの機動力を使わないので、長打力が求められるのだがそういう選手は給料も高くてA’Sの低予算では手が出せない。
映画のラストではA’Sがヤンキース相手にプレイオフで敗退してブラピが無人のスタンドでポツンとラジオを聴いているシーンがあるが、その後、A’Sは低迷している。マネーボール理論は、他球団で
もその後取り入れてはいるが、元祖のA’Sはオークランドというスモール・マーケットを本拠地にしていて観客動員も伸び悩み成績もパッとしない。昨季は日本人の松井秀喜選手がDH兼左翼手で在籍したがオフに自由契約選手となった。
現在は、サンノゼへの移転をMLBへ申請中だが承認は降りておらず、緊縮予算で投打の主力選手を続々と実績の無いマイナー級の若手有望選手とトレードしていて、来季も下位低迷が既に予想される。

ブラピの出演作ならすべて観たいファンや、野球ビジネスに興味のある方にはお勧めですが、MLB野球事情に疎い単なる映画ファンには余りお勧めできませんね。
 


映画『カウボーイ&エイリアン』を観て

2011-11-24 17:33:04 | アメリカ映画 2011

11-78.カウボーイ&エイリアン
■原題:Cowboys & Aliens
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:118分
■料金:1,800円
■鑑賞日:11月19日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ


□監督・製作総指揮:ジョン・ファヴロー
□脚本・製作:ロベルト・オーチー、アレックス・カーツマン
□脚本:デイモン・リンデロフ
□脚本・スクリーン・ストーリー:マーク・ファーガス、ホーク・オストビー
□撮影監督:マシュー・リバティーク
□編集:ダン・レベンタール、ジム・メイ
□美術:スコット・チャンブリス
□衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
□音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ

◆ダニエル・クレイグ(ジェイク・ロネガン)
◆ハリソン・フォード(カーネル・ウッドロー・ダラーハイド)
◆オリヴィア・ワイルド(エラ)
◆サム・ロックウェル(ドク)
◆アダム・ビーチ(ナット・コロラド)
◆ポール・ダノ(パーシー・ダラーハイド)
◆ノア・リンガー(エメット・タガード)
【この映画について】
「もし侵略型エイリアンが西部劇の時代に現れたら」。そんなスコット・ミッチェル・ローゼンバーグの発想を、CG技術を駆使し映像化。記憶を失くしているが滅法腕が立つガンマン、町を力で牛耳る権力者、謎の女…。そんな西部劇的な背景に、突然エイリアンの飛行物体が現れる。その違和感がこの作品の醍醐味だ。とはいえ、本作に出てくる西部は“西部劇”的な要素として機能しているだけで、リアルさはない。この映画の世界そのものが、地球に良く似たパラレルワールドにも感じる。
ダニエル・クレイグの寡黙だが腕が立つキャラクター、そして残酷な町の権力者を、何とハリソン・フォードが演じている。監督は、『アイアンマン』シリーズのジョン・ファブロー。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
1873年、アリゾナ。一人の男が荒野で目を覚ます。なぜ、ここにいるのか、自分が誰かさえもわからない。そして、腕には奇妙な腕輪をはめられている。自分のルーツを探るべく西部の町へとたどり着くが、そこはダラーハイドという男に支配された町だった。
偶然訪れたバーで、出会ったばかりのはずの女が話しかけてくる。“あなた、何も覚えてないの?”その女は何か知っているようだ。そしてその夜、西部の町の夜空に突如として未知の敵が襲来。それはかつて見たことのない脅威であった。立ち向かえるのは記憶を失った男だけしかいない。いったいこの男は何者なのか。その正体は、敵か味方か。そして侵略者の目的とは。想像を絶する巨大な敵が夜空を満たす時、男の手にはめられた謎めいた銀の腕輪が青い閃光を放ち始めた……。

荒唐無稽な内容でありながらも、スピールバーグが製作総指揮に加わっているのでストーリー的には決して散らかってはいない。タイトルからは中身の想像は付きづらいのだが、実際にはロネガンとダラーハイドという二人の大物カウボーイの話でそこに突如としてエイリアンというか宇宙船が攻撃を加えて飛来する展開だが、基本的には西部劇映画である。
記憶喪失に陥った男の前に現れた集団、それをいとも簡単に叩きつぶしたロネガンを演じるジェームズ・ボンド俳優のダニエル・クレイグは英国人だがカウボーイ姿中々似合っている。このオープニングからして西部劇らしさが充分に発揮されていて、ロネガンが流れ着いたのが砂漠の田舎町で、町を牛耳っているのがハリソン・フォード演じるダラーハイドという構図。
当然ながら町にはバーがあり、そこが社交場となっていて、そこにダラーハイドのどら息子パーシーが騒動を引き起こし、よそ者のロネガンがボコボコにする。パーシー役のポール・ダノが演じるどら息子役も板についていた。

まあ、そんなこんなで記憶喪失だったロネガンの記憶が徐々に蘇り、そこで謎の美女エラが盛んにロネガンに付き纏うのだが、エラを演じているのは「トロン:レガシー」で一躍有名になったオリヴィア・ワイルド。このエラが後半になると重要な役目を担うのだが、その正体は実は宇宙人で地球人の姿をしているという設定は驚きだった。
最後は、ネイティヴ・アメリカンとダラーハイドとロネガンらが団結してエイリアンらを打倒するのに成功するのですが、エイリアンの姿はどこか中途半端で、エイリアンのロケット型基地?より途中で登場した砂漠の中に客船がさかさまに転覆していた映像のインパクトの方が強かった。

ストーリーとしてはどのパートも程良く纏まっていた。ハリソン・フォードとダニエル・クレイグの新旧2
大スターの共演も脚本構成上、二人の登場シーンを上手く配分していて、あくまでも二人が主役であるという位置付けになっていた。


映画『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船3D』を観て

2011-11-23 16:36:47 | ヨーロッパ映画

11-77.三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船
■原題:The Three Musketeers
■製作年・国:2011年、ドイツ
■上映時間:111分
■字幕:佐藤恵子
■料金:400円(3D料金のみ)
■鑑賞日:11月14日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ


□監督・製作:ポール・W・S・アンダーソン
□脚本:アレックス・リトヴァック、アンドリュー・デイヴィス
□撮影監督:グレン・マクファーソン
□編集:アレクサンダー・バーナー
□美術:ポール・デナム・オースターベリー
□衣装デザイン:ピエール=イヴ・ゲロー
□音楽:ポール・ハスリンジャー

◆ローガン・ラーマン(ダルタニアン)
◆ミラ・ジョヴォヴィッチ(ミレディ)
◆オーランド・ブルーム(バッキンガム公爵)
◆マシュー・マクファディン(アトス)
◆レイ・スティーヴンソン(ポルトス)
◆ルーク・エヴァンス(アラミス)
◆クリストフ・ヴァルツ(リシュリュー枢機卿)
◆マッツ・ミケルセン(ロシュフォール)
◆フレディ・フォックス(ルイ13世)
◆ジュノー・テンプル(アンヌ王妃)
◆ガブリエラ・ワイルド(コンスタンス)
【この映画について】
アレクサンドル・デュマの名作「三銃士」を、8台の3Dカメラを用い、2011年ならではのエンターテインメント作品に翻案した本作。
ダ・ヴィンチが設計した飛行船が実際に作られていた…という設定で、地上での剣劇、空中での砲撃戦など、派手なアクションが繰り広げられるエンターテインメント作品となっている。ダルタニアンを演じるのは、撮影当時実際に18歳だったローガン・ラーマン。若さあふれる演技で、シブい大人の三銃士たちとの好対照を見せる。ミレディを演じたミラ・ジョヴォヴィッチ、バッキンガム公爵を演じたオーランド・ブルームら、悪役陣も皆魅力的で、オールキャストでの続編も期待される。監督は「バイオハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソン。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
17世紀。まだ若いルイ13世が王位を継承したフランスでは、リシュリュー枢機卿が、権力掌握のために暗躍していた。その頃、ヴェネチアでは三銃士のアトス、ポルトス、アラミスが、アトスの恋人ミレディの裏切りに会い、ある設計図を奪われる。敵国イギリスのバッキンガム公爵のもとへ向かうミレディ。

3年後。憧れの銃士になるために南部の田舎からパリに向かった青年ダルタニアンは、道中、身なりのいい眼帯の男から侮辱を受ける。パリに着くと、三銃士とは知らずにアトス、ポルトス、アラミスに決闘を申し込むが、その直後、眼帯の男に再び遭遇。その男はリシュリューの腹心、ロシュフォール隊長だった。
成り行きから協力して戦い、ロシュフォールと護衛隊兵士たちを打ち負かすダルタニアンと三銃士。そしてダルタニアンは、戦いを見守っていたコンスタンスと出会う。彼女はアンヌ王妃の侍女だった。宮殿で再会する2人。宮殿上空には、ヴェネチアで奪った設計図を基に製造したバッキンガム公の飛行船が浮かび、バッキンガム公とリシュリューによる会談が行われていた。

その間、ミレディは王妃のダイヤモンドのネックレスを盗み出す。彼女はリシュリューのために働く二重スパイだった。バッキンガム公の宝物庫に奪ったネックレスを収め、王妃とバッキンガム公の不倫をでっち上げて、戦争に導くことがリシュリューの狙い。
王妃の無実を証明するためには、5日後の舞踏会で、国王の前でネックレスを身に着けなければならない。王妃の危機を知ったコンスタンスから助けを求められたダルタニアンは、ネックレスの奪回を決意し、三銃士と共に旅立つ……。

三銃士は過去にも何度か映画化されていてそれぞれの時代でヒットしている。私は、1973年と1974年の「三銃士」「四銃士」、それと1993年の「三銃士」は観ている。1993年版は主題歌をスティング、ブライアン・アダムス、ロッド・スチュワートの三人が三銃士らしく共演した主題歌が大ヒットした。
今回はダルタニアンを若手のローガン・ラーマンが演じているのだが、個人的にはバッキンガム卿を演じたオーランド・ブルームにダルタニアンを演じてもらいたかった。三銃士の一人ルーク・エヴァンスとオーランド・ブルームの二人並べてみると良く似ているんだよね~。
今回のストーリーはダルタニアンが主役というより監督夫人のミラ・ジョヴォヴィッチが要所要所で目立っているので、彼女が準主役的な立位置。それでもアカデミー賞受賞後出演作が目白押しのリシュリュー枢機卿を演じるクリストフ・ヴァルツが良い味出している。「グリーン・ホーネット」では脚本の拙さで折角の彼の個性が浮いてしまっていたが、ここではフランス国王を表向きはサポートしながらも、裏では裏切り工作に余念が無い役を個性的に演じていた。

ミラ・ジョヴォヴィッチは神出鬼没のスパイという役所、彼女らしいアクションもあり持ち味をだした演出はやはり夫が監督なのが大きい?ストーリー的には王妃の盗まれた首飾りをイギリスまで行って奪い返して無事に取り戻すという単純な流れなのだが、サブタイトルにある「ダ・ヴィンチの飛行船」は、この設計図を盗んだのがミレディでバッキンガム卿がこれでパリに乗り込む場面がハイライトなのだが、わざわざサブ・タイトルにするのは?って思いました。
ストーリーとしては見所は乏しいけど、主にドイツで行ったロケ映像がこの作品の最大の見所ですね。ルーヴルの庭園やロンドン塔、ノートルダム寺院などの名所が重要なシーンに出てきます。スクリーンを通じてむしろそちらに目が奪われました。

余談ですが、この作品ドイツ映画ですが台詞は全て英語でした。


映画『コンテイジョン』を観て

2011-11-22 10:36:27 | アメリカ映画 2011

11-76.コンテイジョン
■原題:Contagion
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:106分
■字幕:松浦美奈
■料金:1,000円
■鑑賞日:11月14日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ
 

□監督:スティーヴン・ソダーバーグ
□脚本:スコット・Z・バーンズ
□編集:スティーヴン・ミリオン
□美術:ハワード・カミングス
□衣装デザイン:ルイーズ・フログリー
□音楽:クリフ・マルティネス

◆マリオン・コティヤール(レオノーラ・オランテス)
◆マット・デイモン(ミッチ・エムホフ)
◆ローレンス・フィッシュバーン(エリス・チーヴァー博士)
◆ジュード・ロウ(アラン・クラムウィディ)
◆グウィネス・パルトロウ(ベス・エムホフ)
◆ケイト・ウィンスレット(エリン・ミアーズ)
◆ブライアン・クランストン(ライル・ハガティ海軍少将)
◆ジェニファー・イーリー(アリー・ヘクストール)
◆サナ・レイサン(オーブリー・チーヴァー)
【この映画について】
ある新種のウイルスの感染爆発を通し、様々な立場の人々がそのウイルスに立ち向かおうとする姿を描いた群像ドラマ。死亡患者の家族、ウイルスの蔓延する現場でパンデミックを阻止しようと戦う医師、ラボでウイルスの治療薬を開発しようとする医師、パニックに陥り暴動を起こす一般市民たち、新種のウイルスに対する政府の嘘を報道しようとするジャーナリスト…。
マット・デイモン、ケイト・ウィンスレット、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウといった名優たちが、緊迫した演技を見せている。スティーブン・ソダーバーグ監督が本作で様々な立場にある人々の危機への対し方を通して描いたのは、人間というものの弱さと強さだと言えるだろう。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ベス・エムホフは香港出張の帰り、夫のミッチが待つミネソタの自宅に向かわず、シカゴで元恋人と密会する。だが、ベスは咳と熱を発症しており、同じような症状の人間が香港、ロンドン、東京など各地で次々と亡くなっていた。
その事件に疑惑を抱いたフリー・ジャーナリストのアラン・クラムウィディは、政府が伝染病を隠しているのではないかとブログで指摘する。さらに帰国から2日後、ベスが死亡し、続けてベスの連れ子クラークも命を落とす。報告を受けた世界保健機構(=WHO)のドクター・レオノーラ・オランテスたちが、続いてアトランタの疾病予防センター(=CDC)が調査に乗り出す。

エリス・チーヴァー博士の指示でミネソタに派遣されたドクター・エリン・ミアーズは、感染が疑われる人々の隔離を実施。カリフォルニア大学の医師が、コウモリと豚のウィルスが混ざった新種のウィルスであることを解明したが、現時点では治療法もワクチンもない。
WHOはウィルスが48時間以内に世界主要都市に拡散すると宣告。ワクチン開発に全力が注がれるものの、ウィルスは変異し、恐るべき速度で感染拡大してゆく。折しもネットでは、米仏が治療薬を極秘に製造しているとの噂が広まったことから、中国衛生部のスン・フェンが故郷の村人のワクチンとの引き換えとして、オランテスを拉致。任務途中で感染するミアーズ。恋人に極秘情報を漏らしてしまうチーヴァー。娘を家に閉じ込めるミッチ。それぞれが愛する者を守ろうとする中、アランは政府が有効な治療薬を隠していると主張。
恐怖はウィルスよりも早く感染し、パニックを起こした人々によって、各地で暴動が勃発する。それぞれが選んだ決断は……?そして明かされるウィルスの発生地点とは……?

さすがソダーバーグ監督作品とあってか出演者の顔触れが凄い。これだけ主役級の俳優を揃えたらギャラだけでも凄い額なのでは?とか想像してしまう。
この手の未知のウィルスを扱った作品は数多くあり、ホラー系ではゾンビ物とウィルス感染は人気テーマだが、ソダーバーグ監督作品がそんな単純な作品をこれだけのキャストで作る筈は無い。最初は、あっと言う間に世界中に蔓延したウィルスの発生源を突き止めてワクチン製造を急ぐのかと思っていた。が、映画のスタートは何故か「2日目」からのスタート。あれ?何で?と観客に思わせながら、エンドロール突入直前に「1日目」へと戻って、「あ~、ウィルスの発生源とこれだったんだ!」って結論を提示して終わるパターン。

それでもベスが帰国途中に経由地を変更して元恋人と密会したり、CDCの責任者が恋人に国民に知らせるより前に密かに退避勧告したり、ブログ・ジャーナリストのアランが特効薬に関する情報で危機感を必要以上に煽ったり、中国の衛生部の役人がワクチン提供と引き換えにWHO担当者を監禁したりと、サイドストーリーも盛り沢山で、それらが全て本筋と密接に絡んでいるので取り散らかった印象は全く無いのは流石だ。そこには「絆」といテーマが流れていて家族間の「絆」、人々の「絆」、人種を超えた「絆」が下地になっていた。
それと共に未知のウィルスがあっと言う間に世界中を恐怖に陥れるパンデミックの怖さ、例えば、流言飛語が飛び交いそれがネット通じて広まる怖さ、パニックに陥った人間心理とそれを煽る著名人や真相を明かそうとしない政府機関への批判も見え隠れする。

ストーリーとしては実際にこういう事が起こり得るのではないか?と思わせる内容でドキュメンタリー調の描写は良かった。中国が発生源でワクチン開発を米仏に先をこされて悔しがる様子は中国人(漢人)の性格を充分に理解していた描写だった。
豪華俳優陣の出演シーンに関してはソダーバーグ監督といえども気を遣っただろうがグウィネス・パルトロウの登場シーン少なかったですね。あれで主役級のギャラ貰ったのかな?


東海大・菅野投手が日本ハムへの入団拒否「浪人」へ

2011-11-21 16:36:35 | 野球全般

北海道日本ハムからドラフト1位指名されていた東海大・菅野智之投手が、同大野球部合宿所で会見を開き、80人の報道陣の前で1年間の浪人生活を送ることを表明した。涙のドラフトから約1カ月。やはり、伯父の原監督がいる読売のユニホームを着る夢は、何にも代えられなかった。
最終決断を下したのは20日。東海大・横井監督や家族と話し合い、考えが固まった。入団すればダルビッシュという最高のお手本と一緒に過ごせる可能性もあったが「それ以上に強い思いがある」。そしてこの日午前、横井監督が担当の日本ハム・岩井スカウトに断りの電話を入れた。

入団しないと決めた理由について会見では「(北海道)日本ハムさんからいろいろなお話を聞いて光栄に思いました。しかし、それ以上に、自分が小さいころからの夢(読売でプレーすること)、そういうものがそれ以上(指名球団でプレーすること)に強かったということです。(浪人生活は)回り道になるかもしれませんが、夢に向かって頑張っていきたい。自分は絶対むだな1年にはならないと思います。マイナスよりプラスに考えたい。」と話していた。

ドラ1の入団拒否は2000年のドラフトでオリックス1位指名を拒否した内海(現・読売)以来で、どちらも読売が希望球団だった。ハムは2006年に当時日大の長野を4位指名したものの「読売志望」で入団拒否され、今回の菅野指名でリベンジしたい所だったが、再び失敗に終わった。
菅野の「浪人」で思い出されるのは江川、元木の浪人だ。二人共に読売入団を熱望していたが、特に、法大在学時の江川はクラウンライター(現埼玉西武)の1位指名を拒否して南カリフォルニア大学野球部で作新学院職員として練習していた。結局一年後に小林投手(故人)とのトレードという形でごり押し入団を果たしたが、当時の長嶋監督は江川を徹底的に鍛えたが「元に戻るには3年かかった」と証言していた。
同じ大卒の菅野と重なる部分が多いが、
江川クラスの素質を持っている投手でさえ3年かかった訳だから、菅野投手が仮に1年後に入団しても失う部分は大きい。

無所属の浪人生活では実戦経験を積むことが出来ず孤独な練習の繰り返しになる。一浪で来年のドラフトで念願の読売入団を夢見ても、再び読売以外の10球団(ハムは事実上指名権は無い)が入札する可能性は否定出来ない。逆に一浪を決意したことで足元を見られ、他球団が果敢に指名する可能性も高い。読売がそうなって再び入札に敗れたとき、菅野は入団できるまで二浪でも三浪でもするのだろうか?
本人の為にも社会人か独立リーグで腕を磨いて2年後の指名を待つのが賢明と思う、そして長野のように単独指名される日を気長に待つのが良いでしょう。但し、入団時に今の輝きが続いているかは分かりませんがね...。


落合監督、有終の美を飾れずSBが日本一

2011-11-20 21:17:32 | 野球全般
チ  ー  ム 
中日

0
福岡ソフトバンク

【投手-捕手】
(中)山井、小林正、ネルソン、浅尾-谷繁
(ソ)杉内、ファルケンボーグ、森福、攝津-山崎、細川

【戦評】
ここまで全てビジター側が勝利を収めてきた日本シリーズ、3-3で迎えた最終戦は山井と杉内の先発。
SB打線は三回、多村と長谷川が連続安打。山崎はスクイズの構えを見せ四球を選び無死満塁とし、川崎の押し出しの四球で先制した。四回には四球と敬遠で一死一、二塁とし、山崎が右前へ適時打。二走の松中が一気に生還し貴重な追加点を挙げた。
一方、相変わらず貧打のオレ竜打線はいつもより球速の出ない杉内を攻略出来ない。5回、先頭の平田が幸運な内野安打で出塁も、次打者藤井の際に平田が飛び出す失態で貴重な走者はアウトに。杉内の130キロ台前半の直球を打てず、スライダーも打てずの貧打の繰り返しでベンチも作戦を出せない。

SBは7回に追加点を奪い3-0で最終回を迎えた。中日は先頭の井端の打球がファルケンボーグの右肘を直撃する内野安打で出塁。しかし、SBは森福、攝津を注ぎ込んで最後は和田が三振に倒れ、SBが4-3で日本一に輝いた。MVPは小久保だった。

これで日本シリーズがやっと終わった。シリーズ前日に読売球団内粉が発覚してシリーズ中にも関わらず、そちらの報道の方が関東では1面を飾ったりして、何だか水を差されたようなシリーズだった。試合はどの試合も僅差といえば聞こえが良いが、両投手陣の踏ん張りで打撃戦は皆無で、中日の3勝は敵地での2-1ばかり。
中日はもう少し打力を磨かないと、セでは通じてもパには通じないということですね。SBは得意の機動力発揮とまでは行かず、自慢の打線も不発だったが、最後の最後でやっと地元で勝てた。
日本一に輝いたSBは、この後、直ぐに台湾入りしてアジアシリーズに休みなしで臨む。外国人選手は参加しない可能性が高いが、このシリーズは今まで全て日本のチームが優勝しているのでSBの優勝は「義務」だ。

SBは来季に向けて川崎、和田のメジャー移籍、杉内のFA移籍が濃厚と言われている。オフの間にどういう顔触れになるか注目だ。

[日本シリーズ結果]
1○中日2-1SB●(延長10回)
2○中日2-1SB●(延長10回)
3○SB4-2中日●
4○SB2-1中日●
5○SB5-0中日●
6○中日2-1SB●
7○SB3-0中日●


吉見熱投で落合竜が逆王手!

2011-11-19 21:55:22 | 野球全般
チ  ー  ム 
中日

福岡ソフトバンク

【投手-捕手】
(中)○吉見、岩瀬、S浅尾-谷繁
(ソ)●和田、金沢、森福、馬原-細川、山崎

【戦評】
今年の日本シリーズは自分に取って前にも書いたように交流戦の延長のような感じで観ていますが、それは今日も変わりません。
ここまでビジター側が全て勝利している珍しいパターンでSBが2連敗からの3連勝で先に王手をかけて迎えた第6戦、先発は予想通り吉見と和田でした。

貧打にあえぐオレ竜打線は、何としても先取点を奪って有利に試合を進めたい。逆に先取点を許すとSB投手陣の分厚い中継ぎ陣に打線が圧倒されそうだからです。
その中日、初回に荒木の安打をきっかけに5番和田が、西武時代から得意とするSBの和田から3塁打で2点を奪った。名古屋での3連戦では先取点を常に奪われ追う展開だったので、ここで初回に2点を奪ったのは中日からすれば理想的な展開だったが...。

一方のSBは前回福岡で2連敗したので、何としてもここで勝って優勝を決めたい。4回に本多の3塁打と内川のタイムリーで1点返すも、吉見の変化球主体の丁寧な投球を崩せない。SBは8回に先頭多村が安打で出塁も、続く長谷川のバントした打球は谷繁への小飛球となり最悪の併殺打となりSBファンの溜息がヤフードームにこだました。
結局、このピンチを切り抜けた中日が岩瀬、浅尾と繋いで1点差を守って逆王手をかけた。

これで日本シリーズは3勝3敗のタイとなったが、全てビジター側が勝利している。果たして、明日はこのパターン通り中日が勝つのか、それともSBが今シリーズ唯一の本拠地勝利で日本一に輝くのか注目だ。その明日の先発はネルソン(それとも山井?)と杉内だが、両チーム共に先取点を取った方が有利な展開に持ち込めるだろう。

 

[日本シリーズ結果]
1○中日2-1SB●(延長10回)
2○中日2-1SB●(延長10回)
3○SB4-2中日●
4○SB2-1中日●
5○SB5-0中日●
6○中日2-1SB●


ブータン国王が国会演説「不幸から立ち上がる国は日本」

2011-11-18 14:58:57 | 時事ニュース・国内

来日中のブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王は17日午後、衆院本会議場で英語(一部ゾンカ語)で演説した。
国王はブータンの民族衣装で壇上に立ち、東日本大震災について「大混乱と悲嘆をもたらしたであろう事態に、日本国民は最悪の状況下でさえ、静かな尊厳、自信、規律、心の強さをもって対処された」と述べた。
また、国王は「われわれの物質的支援はつつましいものだが、友情、連帯、思いやりは心からの真実だ」と表明。国連改革についても触れ、「安全保障理事会拡大の必要性だけでなく、日本がその中で指導的な役割を果たさなければならない」と日本の常任理事国入りを支持する考えを改めて示した。
この国王の演説で指摘された日本への親愛の情は、最近の日本人が忘れかけていることばかりで、国王の褒め殺しとも言える演説は日本人の心に大きく響いた。TVニュースでは一部しか報道されないので、是非、youtubeのノーカット映像をご覧ください。同時通訳の音声で全ての演説の意味を噛みしめて下さい。 
同国は国土の北部で中国と国境を接しているが、中国人民解放軍の横暴で北部地域を侵略され国土の18%近くを失うなど、日本との関係を強化したい背景には中国との関係も見え隠れしている。日本がブータンの為に何が出来るかは分からないが、日本は中国の横暴に屈しない態度を政府が見せることで間接的にブータンを勇気付けることになりそうだ。 

 

ブータン国王夫妻のハネムーン訪日は連日ニュースなどで取り上げられ、今まではその国名を聞いてもイメージが沸かなかったブータンだが、ペマ王妃の美しさとイケメン国王のやさしそうな表情は日本国民を虜にしたようだ。また、国王の国会演説では、ブータン国民が日本人や日本によせる友情を感じさせるものであった。
日本の隣国である韓国や中国の反日的敵対行為には辟易としているが、おなじアジアでは台湾と共にこれ程までに親日国家がヒマラヤの山奥深いブータンにあったということを日本人は大事にしたいし、国王夫妻の来日はそういう意味でも大成功だった。ブータン国王夫妻をみていると顔の特徴も背丈も日本人と似ているし、宗教も(チベット)仏教を信仰し民族衣装ももんぺに似ていて親近感を覚える。

ブータンはヒマラヤ山脈で中国とインドに挟まれた小国だが、父王が提案したGNH(国民総幸福量、Gross National Happiness)では金銭的・物質的豊かさを目指すのではなく、精神的な豊かさ、つまり幸福を目指すべきと提唱したことが注目を浴びていてブータンの憲法でも記されている。


いずれ何らかの形で皇族方のブータン訪問や首相の公式訪問(インド訪問と抱き合わせでも)も実現させて、今度はブータン国民に謝意を直接伝えてもらたい気がする。親日国家で思い出されるのは台湾、トルコと一部の太平洋諸島小国だけかな?って思っていたけど、そこにブータンが今回加わった。


貧打にあえぐ中日、本拠地3連敗でSBに王手許す!

2011-11-17 23:28:11 | 野球全般
チ  ー  ム 
福岡ソフトバンク

中日

【投手-捕手】
(ソ)山田、攝津、森福、馬原-細川
(中)チェン、河原、小林正、久本-谷繁、小山

【戦評】
ここまで日本S4試合は全てビジター側が勝利を収めている珍しいケースです。先発はチェン-山田の左腕対決でした。私はSB先発は中4日で和田だったので山田は予想外でしたが、スポーツ紙では「山田」でした。

試合の方は帰宅後4回表途中からTV観戦。オレ竜打線は相変わらず貧打にあえぎ、今シリーズではSBの先発投手を全く打てない展開ですが、それだけ逆に言えばSB投手陣が素晴らしいのと細川捕手(西武からの裏切り者)のリードも冴えているようだ。
SBは初回に1点を先取したがその後は打線が沈黙、中日はチェンがSBの追加点を阻んでいる間に打線が奮起したいところだったが、オレ竜打線は山田の打者の手元で微妙に動く変化球に全くタイミングが合わない。
好投を続けていたチェンを引っ張り過ぎ、8回には無死満塁で救援した河原は押出し死球と多村に2点打を打たれ傷口を広げてしまい、5-0となった時点で勝負は決まってしまった。

SBは元気のないオレ竜打線に対して7回には3戦目の先発攝津が1回、8回には森福が1回を投げ、9回は馬原が登板。SBは昨日2回を投げたファルケンボーグはベンチ入りしていないので、点差も開いて楽な展開での登板で馬原を投入して逃げ切った。
この結果、ここまでの5試合は全てビジター側が勝利する珍しい形でSBが2連敗からの3連勝で王手をかけた。明日は移動日で土日は福岡で最後の決戦が待っている。第6戦は吉見-和田の先発が濃厚、中日はエース吉見で逆王手をかけたいところだが、その為には打線が奮起して先取点を奪わないと不利な戦いを強いられる。SBは和田で一気に4連勝を狙いたいが、果たしてどういう結果が待っているのだろうか?

それにしても中日は打てないね~...


映画『ミッション:8ミニッツ』を観て

2011-11-16 20:56:24 | アメリカ映画 2011

11-75.ミッション:8ミニッツ
■原題:Source Code
■製作年・国:2011年、アメリカ
■上映時間:94分
■字幕:林完治
■鑑賞日:11月13日、TOHOシネマズ有楽座
■料金:1,800円
 

□監督:ダンカン・ジョーンズ
□脚本:ベン・リプリー
□撮影監督:ドン・バーゲス
□編集:ポール・ハーシー
□美術:バリー・チューシッド
□衣装デザイン:レネー・エイプリル
□音楽:クリス・ベーコン

◆ジェイク・ギレンホール(コルター・スティーヴンス大尉)
◆ミシェル・モナハン(クリスティーナ・ウォーレン)
◆ヴェラ・ファーミガ(コリーン・グッドウィン)
◆ジェフリー・ライト(ラトレッジ博士)
【この映画について】
死者の死ぬ直前8分間の意識に入り込むことができる“ソースコード”(この映画の原題)というプログラムを利用し、電車爆発テロの犯人を暴くこととなった軍人の奮闘を描くタイムリミット・サスペンス。
死者の意識に何度もアクセスし、同じ状況を繰り返しながら徐々に犯人を暴いていく軍人を、『ブロークバック・マウンテン』のジェイク・ギレンホールが演じている。
モニター越しにコルターとやりとりする軍人を演じるのは『マイレージ、マイライフ』のヴェラ・ファーミガ。非常なミッションを遂行しつつも、どこか人間味を感じさせる彼女の演技が、物語に深みを与えている。斬新なアイデアを見事にまとめ上げたのは、『月に囚われた男』の鬼才ダンカン・ジョーンズ監督(父はデヴィッド・ボウイ)。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ある朝。コルター・スティーヴンスは列車の座席で目覚める。目の前の女性が、親しげに話しかけてくる。だが、コルターには自分がなぜここにいて、彼女が誰なのかわからなかった。陸軍大尉のコルターは、アフガニスタンで戦闘ヘリを操縦していたはずなのだ。

鏡を覗きこんだ彼の眼に映ったのは、見知らぬ別人の顔。所持していた身分証明書には、“ショーン・フェントレス:教師”と記されていた。そのとき突然、車内で大爆発が発生。なす術もなく炎に飲み込まれていった……。
コルターが意識を取り戻したのは薄暗い密室。モニターに軍服姿の女性、グッドウィン大尉が映し出される。列車の爆発事故について質問されるが、状況が飲み込めず、回答できない。“包囲された城”と呼ばれるこの空間は、何かの研究室らしかった。
朝7時48分に列車爆破事件が発生したことは事実で、コルターの任務は、乗客であるショーンとなって車内を捜査し、爆弾魔を特定することだという。なぜか再び列車に戻されたコルターは、次第に状況を理解してゆく。目の前の女性の名はクリスティーナ。コルターが繰り返し列車に戻るのは、“ソースコード”というラトレッジ博士が開発中の極秘実験によるもの。
これによってコルターの意識はショーンの身体とリンクし、死亡するまでの8分間を繰り返し体験できるのだ。5回目のスリップで彼は、アフガニスタンに向かったコルターについて調べてくれるよう、クリスティーナに依頼する。そして明かされる衝撃的な真実。“ソースコード”には、まだ知らない秘密が隠されていた。さまざまな疑問が浮かぶ一方で、コルターはクリスティーナに特別な思いを寄せるようになる。彼女を救うためにも、爆弾犯を探し出そうと8分間のミッションを繰り返すが、その先に待ち受けていたのは想像を絶する運命だった……。

この作品、タイムトラベルとパラレル・ワールドを合体させたような内容で、純粋なタイムトラベル物なら斬新さは無いのだが、そこにパラレル・ワールドの要素を組み入れたことで、観ている方は頭が混乱する。何しろ主人公であるスティーヴンス大尉の肉体は現実には存在しない。この事はグッドウィンとラトレッジ博士の会話の中で分かるのだが、スティーヴンスの現実が映像として明かされるのはラストに近くなってからだ。
スティーヴンスが乗り移るのはショーンなのだが顔はスティーヴンスなのがややこしい。更に、8分間のトラベルを繰り返すことでストーリーとして同じ列車内で進んでいくのだが、この辺は車内の乗客とのやり取りがあったり車掌とのスリリングな場面があって飽きさせない工夫がある。
でも、肝心のメインである爆破犯を特定するシーンは博士のマシンが功を奏してスティーヴンスの活躍?もあり犯人を途中下車した駅の駐車場で特定することに成功する。バック・トゥ・ザ・フューチャーもそうだったが、タイムトラベルでは歴史を変えてはならないのが原則なのだが、今回は爆破犯というテロ事件を阻止する目的での使用で敢えて禁を破った?
スティーヴンスが乗り移ったショーンは、スティーヴンスが肉体を乗っ取り?パラレル・ワールドの中でクリスティーナに恋をして、最後は印象的なシカゴ市内の場所で将来を約束されるような感じでジ・エンド。
スティーヴンスが8分間の世界の中で自身がアフガンで何があったのかを探る場面には切なさを抱いた。

スティーヴンスの肉体はアナキン・スカイウォーカーのように再生されることなく、彼の「意志」でパラレル・ワールドの世界で生きて行く決意をしたところで、グッドウィンとラトレッジ博士は第2のスティーヴンスを捜すのだろうか?
ジェイク・ギレホールは難しい役だった筈だが、ストーリーがドンドン進んでいく中で肉体は滅びている現実の世界と8分間の世界とを使い分けていた。8分間の世界では当初の戸惑いを乗り越えて、大尉としての任務を進めながらも一人の人間としての意識が芽生えて行く心理の流れに上手く乗っていた。
そのスティーヴンスを指令室で制御するグッドウィン役のヴェラ・ファーミガも上手かった。人間味を感じさせながらも時には冷徹な態度を見せていた。グッドウィンに指示するラトレッジ博士役のジェフリー・ライトも含めたこの3人のやり取りは面白かった。だが、この3人のやり取りだけでは娯楽性に多少欠けるところを、列車内で知り合うクリスティーナ役のミシェル・モナハンの柔和な表情と演技が花を添えていた。


時計