最近、皇位継承に関する話題が紙面の一面を賑わせるようになってきた。政府では、藤村官房長官が25日、「女性宮家」検討の必要性を指摘した背景には、10月に秋篠宮家の長女、眞子さまが20歳になったのをはじめ、女性皇族が相次いで結婚年齢に近くなられていることがある。悠仁(ひさひと)さまのご誕生で皇位継承問題は一段落したものの、宮内庁は天皇家を支える皇族方が減ると、皇統の安定的な維持に影響が出かねないとして焦燥感を強めている。
天皇陛下も平成21年の記者会見で皇統の維持の難しさについて尋ねられ、「現状については質問の通りだと思います」と、懸念していることを明らかにされている。
現在皇室には高円宮家に3人の女性(女王)、三笠宮家に2人の女性(女王)、秋篠宮家に2人の女性(内親王)、皇太子ご一家の敬宮愛子内親王の1人で未婚の女性皇族が8人おり、その8人が結婚し皇室を離れられるとすると、天皇陛下の孫の代の皇族は悠仁さまのみとなる。
秋篠宮さまは今日、46歳の誕生日を迎えた。これに先立ち、宮邸で紀子さまと共に記者会見し、来月で78歳になる天皇陛下の公務について「定年制というのは、やはり必要になってくると思います」と述べ、公務を一定の年齢で減らすことの議論が必要との考えを示した。皇室の維持に関しては「皇室を維持していくためには、一定の数(の皇族)は当然必要」との考えを示された。
皇位継承問題については秋篠宮家に悠仁親王が誕生したことで議論が止んでいたが、眞子さまが20歳になったのをきっかに再燃してきた。悠仁さまの誕生前の小泉政権時にも盛んに議論されていたが、悠仁親王世代の皇室男子が他に存在しない状況から、未婚皇族女性の扱いが急浮上してきた。特に、読売新聞では連日1面でこの問題を取り上げている。
皇室の男子が秋篠宮さまの次が同家の悠仁さままで間が空くことから、安定した皇位継承への不安がぬぐい切れず、悠仁さまの成人時に自身以外に皇室男子が存在しない可能性も十分考えられる状況になっている。そこで、女性宮家創設が検討課題に乗ってきた訳だが、そうなると宮家創設の範囲やその配偶者の身分や創設に伴う維持するための費用等検討課題は多岐に渡る上に、皇室典範改正も伴うので政治的な問題も同時に抱えることになる。
野田首相は、宮内庁からこの懸念を伝えられ既に宮家創設を含む検討課題へどのように取り組むべきか政府部内で検討を急ぐとの考えをもっているそうだ。また、各政党間でもこの問題を巡って見解の相違から議論が噛み合わない可能性もあり、政府は皇位継承問題と切り離して「女性宮家創設」に絞って議論することで政治問題化を防ぐ狙いもあるようだ。