kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『サード・パーソン』を観て

2014-06-29 13:17:40 | 映画・ドラマ、アクション

14-54.サード・パーソン
■原題:Third Person
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:137分
■料金:1,800円
■鑑賞日:6月28日、TOHOシネマズ日本橋(三越前)

 

□監督・脚本・製作:ポール・ハギス
◆リーアム・ニーソン
◆オリヴィア・ワイルド
◆ジェームス・フランコ
◆ミラ・クニス
◆エイドリアン・ブロディー
◆モラン・アティアス
◆キム・ベイシンガー
◆マリア・ベロ
【ストーリー&感想】
『クラッシュ』などのポール・ハギスがメガホンを取り、パリ、ローマ、ニューヨークを舞台に3組の男女の関係と衝撃の結末を描く恋愛ミステリー。著名な小説家と愛人、ビジネスマンと娘を誘拐された女、元女優とその元夫の物語を交錯させながら、愛や痛み、再生と希望などを浮かび上がらせる。リーアム・ニーソンをはじめ、オリヴィア・ワイルド、ミラ・クニスなど豪華キャストが共演。『ミリオンダラー・ベイビー』などの脚本家としても知られるハギス監督が構築した、複雑にして巧妙なストーリーに注目。
パリ。1作目でピューリッツァー賞を受賞、大きな成功を収めた作家のマイケルは、最新小説を書き終えるため、ホテルのスイートルームで缶詰めになっているが作品の構想を練るものの行き詰っているのが悩み。妻エレインと別居中の彼は、向上心に燃える若い小説家志望のアンナと不倫関係にあるが、人生にも執筆活動にも行き詰っているマイケルの心を満たすことはなかった。一方、ファッション誌のゴシップ記事を執筆するアンナは、師匠でもありカリスマ的な愛人でもあるマイケルを愛しながらも、若さと美貌で彼をあざけるスリル感を楽しんでいる。しかし、そんな彼女には秘密の恋人が存在した……。
ローマ。スコットは、世界中を旅しながらファッションブランドからデザインを盗む仕事をしているアメリカ人ビジネスマン。アメリカ的なものに触れたいと“バール・アメリカーノ”に入った彼は、英語が通じずイライラしながら生温いビールを飲んでいたとき、店内でエキゾチックな女性モニカに一瞬にして心を奪われ、彼女が娘と久しぶりに再会しようとしていることを知る。だが、その娘に会うために必要なお金を盗まれてしまったと聞いたスコットは、彼女を助けたい衝動に駆られる……。
ニューヨーク。昼メロに出演していた元女優のジュリアは、6歳の息子をめぐって有名な現代アーティストである元夫のリックと親権争いの真っ最中。経済的支援をカットされ、膨大な裁判費用を抱えたジュリアは、かつては常連客だった高級ホテルで客室係として働き始めるが、日々の暮らしに追われて弁護士との面会時間に遅れ心証を悪くしてしまう。息子ともう会えないのではという不安と孤独に追い詰められていく中、ジュリアの弁護士であるテレサから、裁判所の心証を変えるために精神科医の鑑定を受けることを勧められる……。

ポール・ハギスは元々脚本を書いていてそれが売れたことで映画監督の座を掴んだ人物で、その人物像を掘り下げて闇の部分も描ける「脚本家」である。「ミリオンダラー・ベイビー」は素晴らしかったし、その後も、素晴らしい作品を次々と発表しているので、彼の監督作品は必修だと思って観ている。
本作は3組のカップルを中心に描いていて、それぞれが人生の転換期を迎えていたり何かしらの悩みを抱えながらもパートナーにも言えない何かを発散出来ずにいるとでも言えば良いのだろうか?最近はアクション・スターとしての地位を築きつつあるリーアム・ニーソンは夫婦関係が冷え切った中で不倫関係にある作家志望の女性との交際も行き詰まり執筆中の作品の進行も遅れがちな作家役。不倫相手のオリヴィア・ワイルドは決して美人では無いけど「トロン:レガシー」以来気になる女優で、今回は全裸シーンが印象的だった?、でも、リーアムと共演シーンでも引けを取っていません立派です。落目の元女優ジュリア役のミラ・クニスと離婚裁判中のジェームズ・フランコが演じる元夫。どこか冴えない風貌のアメリカ人ビジネスマン役のエイドリアン・ブロディーはシングル・マザーのロマ族女性に魅せられる役。このエイドリアン・ブロディーの役が一番「彼らしかった」かなって、どこか情けない男を演じさせたらその自然さが滲み出ている役者って少ないと思うけど、彼は、特にこういう役は上手いっていうかはまっている。
そのブロディーを良いように利用して振りまわすロマ族の女、強引に彼を引き寄せたり突き放したり、彼の方から言い寄って来たのを良いことにマイペースで行動し運転スタイルも性格同様かなり強引だ。その他の2カップルについては、ハギスらしさがイマイチだった。むしろこのブロディーとロマ族女との逃避行を中心に付き詰めた方が面白い作品になったと思った。

タイトルの「サード・パーソン」、これがタイトルな訳は、それぞれの登場人物(カップル)に対して「第三者の目」的な視線で描いている点にあると思う。そこに共通している点はどの場面でも親(登場人物)と「子」の絆、子を失った(或いは「失いかけている」)親の苦悩がテーマだからかな。


映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を観て

2014-06-28 22:24:30 | 映画・ドラマ、アクション

14-53.グランド・ブダペスト・ホテル
■原題:The Grand Budapest Hotel
■製作年、国:2014年、イギリス・ドイツ
■上映時間:100分
■料金:1,800円
■鑑賞日:6月28日、TOHOシネマズ日本橋(日本橋)

 

□監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
◆レイフ・ファインズ
◆ジュード・ロウ
◆F・マーリー・エイブラハム
◆マチュー・アマルリック
◆エイドリアン・ブロディ
◆レア・セドゥ
◆ティルダ・スウィントン
◆ウィレム・デフォー
◆ビル・マーレー
◆サーシャ・ローナン
◆トニー・レヴォロリ
◆ハーヴェイ・カイテル
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『ダージリン急行』などのウェス・アンダーソン監督が、格式高い高級ホテルを取り仕切るコンシェルジュと、彼を慕うベルボーイが繰り広げる冒険を描いた群像ミステリー。常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。主演のレイフ・ファインズをはじめ、エドワード・ノートン、エイドリアン・ブロディ、ジュード・ロウなど豪華キャストがそろう。

1932年、品格が漂うグランド・ブダペスト・ホテルを仕切る名コンシェルジュのグスタヴ・Hは、究極のおもてなしを信条に大勢の顧客たちをもてなしていた。しかし、常連客のマダムDが殺されたことでばく大な遺産争いに巻き込まれてしまう。グスタヴは信頼するベルボーイのゼロと一緒にホテルの威信を維持すべく、ヨーロッパ中を駆け巡り……。
ウェス・アンダーソンの上手さは多くの出演者の個々の個性を活かしながらも、自分の世界に引き込んでいるのだが、それが自然な点にある。だから多くの俳優達が彼の作品に出演したいとのリクエストが殺到するのだと思う。今作品でも、良くもこれだけの俳優陣を集めたものだと感心させられた。しかもハリウッドからだけではなく、ヨーロッパ出身のジュード・ロウやマチュー・アマルリックや若手女優のサーシャ・ローナンなど選り取り見取りってな感じだね。
ストーリーは架空の国が舞台で、その国にあって栄えていたホテルを中心とした出来事で、そこの名物コンシェルジュであったグスタブ・H氏を中心とした物語と言っていいだろう。ホテルの象徴でもあった彼を目当てに来る貴婦人たち、常連だった老婦人マダムDが殺されてからは、彼に殺人容疑が懸かったり、彼に夫人から遺書を託されたり、時代背景が描かれていたりと、まあ、一見すると散漫になりそうなストーリーも、最後まで飽きずに観ることができた。

あの印象的なホテルを見ただけで、グッと引き寄せられること間違い無いですね。


映画『ラスト・ミッション』を観て

2014-06-27 21:02:58 | 映画・ドラマ、アクション

14-52.ラスト・ミッション
■原題:3 Days To Kill
■製作年、国:2014年、アメリカ・フランス
■上映時間:117分
■料金:0円(ポイント使用)
■鑑賞日:6月27日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

 

□監督:マックG
◆ケヴィン・コスナー
◆ヘイリー・スタインフェルド
◆アンバー・ハード
◆コニー・ニールセン
◆リチャード・サメル
◆エリック・エブアニー
◆トーマス・ルマスキス
◆レイモンド・J・バリー
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
「ダンス・ウィズ・ウルブス」「マン・オブ・スティール」のケヴィン・コスナーが主演を務め、余命宣告を受けたベテランCIAエージェントが、長らく離れていた娘から信頼を勝ち取るために奮闘する姿を描いたアクション。「96時間」のリュック・ベッソンが脚本を手がけ、「チャーリーズ・エンジェル」「ターミネーター4」のマックG監督がメガホンをとった。
任務中に倒れ、病院へ運ばれたベテランCIAエージェントのイーサン・レナーは、医師から末期ガンで余命3ヶ月と告げられる。残された時間を家族と過ごそうと、彼はパリへ向かうが空白の時間はなかなか埋める事が出来ず、思春期の娘ゾーイとの溝は深まるばかり。そんな中、女エージェントのヴィヴィが現れ、病に効く試験薬を提供する代わりにある仕事を持ちかけてくる。それは、凶悪で冷徹なテロリスト抹殺という危険な仕事であった。イーサンは、これが現役最後の仕事として引き受けるのだが……。

敏腕スパイとして活躍していたイーサンだったが、年齢的衰えは隠せなかったばかりか、医師からは末期ガンで余命三カ月とまで宣告され傷心の中を妻子が居るパリへと向かう。そもそも家庭的なスパイなんて居る訳が無いと思うが、イーサン一家も一人娘のゾーイとは微妙な関係。年頃の娘ゾーイの行動パターンは全く読めず、会話に着いて行くのがやっとな親父だった。そこに、謎の女エージェント、ヴィヴィが彼の前に出現、未承認の特効薬と引き換えにミッションを引き受けるように迫るが、そうなると余命わずかなのに娘と一緒に過ごす時間が無くなってしまうので迷うイーサン、娘に弱い父親像をケヴィンは上手く演じていた。
イーサンはチームと連携し爆弾などを密売している”ウルフ”を追っている。そのウルフが娘ゾーイが好意を持っているボーイフレンドの父親が”ウルフ”のパートナーであることが判明、パーティー会場で何気無く握手を交わすのだったが、その後、会場で派手に撃ち合うことに。イーサンは家族との約束で撃つことを止めていたのだが、その時、ヴィヴィがすかさずウルフを撃った。厳密にはミッションを完遂出来なかったイーサン、余命宣告をされていた期限であるクリスマス、彼は余命が尽きることは無く、田舎のビーチハウスで家族との団欒を楽しんでいた。その様子を離れた場所から眺めていたのがヴィヴィだった。彼女が密かに薬を届けていたのだった。

ケヴィン・コスナーのアクション・シーンは歳を思わせられたが、設定が末期ガンの元スパイなので違和感は無く、途中で発作が起きて息切れするシーンまでご丁寧に用意されていた。そんなケヴィンが演じるスパイ、謎の美女ヴィヴィが怪しげな試験薬をチラつかせながらミッションを受けさせるのだが、これを演じていたアンバー・ハードの切れ味のいい演技も見もの。「トゥルー・グリッド」で鮮烈なイメージを与えたヘイリー・スタインフェルドが一人娘を演じていた。その娘ゾーイがイーサンに自分は自転車が乗れない、教えてくれる父親が居なかったからとすねる。そして、そのゾーイにパリの観光名所モンマルトルの丘で教えてあげるシーンは本当の父娘みたいでホロリとさせられるシーンだった。
ストーリー的には見どころは少なかったが、パリのロケ映像が使われていたり、ベッソンらしいカーチェイスがあったりとそれなりに楽しめました。


映画『MONSTERZ モンスターズ』を観て

2014-06-22 12:45:28 | 映画・邦画

14-51.Monsterzモンスターズ
■配給:ワーナー・ブラザース
■製作年、国:2014年、日本
■上映時間:112分
■料金:1,800円
■鑑賞日:6月22日、新宿ピカデリー(新宿)

 

□監督:中田秀夫
◆山田孝之
◆藤原竜也
◆石原さとみ
◆田口トモロヲ
◆落合モトキ
◆木村多江
◆松重豊
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
見るだけで他人を思い通りに操作できる特殊能力を持つ男と、その能力が唯一通じない男の激闘を描く韓国発アクションサスペンス『超能力者』をリメイク。『リング』『クロユリ団地』などの中田秀夫監督がメガホンを取り、互いに呪われた宿命を背負い、閉塞感漂う社会で葛藤する人間同士の対決が展開していく。
対象を見ることで他人を自由に操れる超能力を持つ男は、その能力ゆえに孤独と絶望の人生を歩んできた。ある日、自分の能力が一切通じない田中終一に出会ってしまった男は、動揺のあまり誤って終一の大切な人を殺してしまう。復讐(ふくしゅう)を果たそうと決めた終一と、自分の秘密を知る唯一の人間を狙う男が壮絶な戦いを繰り広げていく。

元ネタの韓国版を知らないので違いは分からないが、この映画の印象を端的に表現すると「山田孝之と藤原竜也の演技は良いが、ラストのオチは理解出来ません?」ってな感じ。
ラストシーンで藤原の方が終一を呼びつけて劇場に行くと、超能力で操られ自分の意思を操られた群衆が終一を襲ってきた。しかし超能力も無限大ではなく、超能力者の男の体は使えば使うほどに壊死が進行していく。そして終一はついに劇場の地下で超能力者の男を追い詰める。終一はそこで初めて男の名前を知ることになるり、助けようとするが、手すりが崩れ2人は地下深くへと落ちていく。これで二人は死んでジ・エンドかなって思いました。しかし不死身とはこういう事を言うのかな?シーンは代わり、超能力者の男は目隠しをされ拘束されている。実は終一が落下の衝撃から男を守ることで2人は生きていたのだ。

さらに場面が変わり、終一は雲井叶絵や仲間とどこかのフリーマーケット(NHKの辺りかな?)で時間を過ごしているシーンで終わりとなった。これってハッピー・エンドなのか否かどうなんだろう?あれで生き残れたらのだから、また、ここから何かに繋がって「続編」とか「2」が製作なんてことは無いよね?

藤原竜也が発する「死んでもお前を殺す!」っていうセリフが愉快だったね。


映画『ポンペイ』を観て

2014-06-16 21:24:10 | 映画・ドラマ、アクション

14-50.ポンペイ
■原題:Pompeii
■製作年、国:2014年、カナダ・ドイツ・アメリカ
■上映時間:105分
■料金:1,800円
■鑑賞日:6月15日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督・製作:ポール・W・S・アンダーソン
◆キット・ハリントン
◆エミリー・ブラウニング
◆キーファー・サザーランド
◆キャリー=アン・モス
◆アドウェール・アキノエ=アグバエ
◆ジェシカ・ルーカス
◆ジャレッド・ハリス
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『バイオハザード』シリーズなどのヒットメーカー、ポール・W・S・アンダーソン監督がメガホンを取って放つ歴史アクション大作。『サイレントヒル:リベレーション3D』などのキット・ハリントンを主演に迎え、火山の噴火で埋没した街ポンペイを舞台に、愛する人に全てをささげる主人公の奮闘を描く。
奴隷戦士ミロは裕福な商人の娘カッシアと恋に落ちたものの、カッシアには上院議員である婚約者がいた。身分の違いをつきつけられたミロは自由の身となり街を出ようとするが、そのとき、ヴェスヴィオ山が火を噴こうとしていることに気付く。再び捕われの身となりかねないものの、ミロはカッシアを救うために溶岩が襲おうとしている街へ戻っていく……。

冒頭でミロの立場が描かれる。それは古代ローマ時代に被征服民族出身のマイロは幼少時代の西暦62年(キリスト没後34年後)にローマ兵に村を急襲され、残酷にも両親は彼の眼の前で殺害されてしまう。母はローマ兵のコルブスによって彼が見ている前で首をはねられてしまう。その後、奴隷商人によって現在のロンドンで剣闘士として腕を磨き、ポンペイへと連れてこられることに。その道中でポンペイ市長の娘カッシアの馬車の護衛の一人として道中を共にした際に彼が機転を利かせた行為をみて惹かれる。このカッシアに横恋慕しているのがローマ元老院議員コルブスという設定、ミロはこのコルブスが母の仇であることに気がつくシーンがあるが、当然のことながら彼は知らない。
これがストーリーの核で、そこに火山の爆発がおこってポンペイは一夜にして火砕流、津波、火山弾の餌食となりヴェスヴィオ火山の山体崩壊で逃げ場を失う。その過程でマイロは母の仇をとり、恋仲となったカッシアを救うべく屋敷に向かう。この辺は恋人を必死に救い、何とか逃げ切って幸せな家庭を築くのかなと思っていたら、最後は、馬に跨って必死になって逃げる二人だったが、火山爆発規模は想像以上でついに二人とも逃げきれないことを悟り、最後は抱き合っているうちに炎に呑みこまれてしまった。

地球でこれだけの規模の火山爆発はヴェスヴィオ火山の爆発が最大規模とも言われている。その描写はCGで見事に再現されているが、火山弾が町中に降り注いだり、湾からの津波が押し寄せたり、火砕流で焼き尽くされたりとあまりにもリアルになり過ぎて、火山と密接な関係にある日本人には「やり過ぎ」とも思えますが、そこは映画と割り切って観ましょう。
俳優陣はキーファー・サザーランドの悪役ぶりは権力をタテに迫る様子が良かった、主役のキット・ハリントンの剣捌きは見事、エミリー・ブラウニングは可愛かった、アドウェール・アキノエ=アグバエが剣闘士として戦って最後は自由人として炎に呑みこまれるストーリーも良かった。

全体としては火山爆発が主役なのですが、そこにストーリーとして冒頭からラストまで一貫していたのが見事に絡んでいたので単なる歴史パニック映画に終わらなかったのはアンダーソン監督の手腕として評価したい。


映画『ノア 約束の舟』を観て

2014-06-15 13:07:36 | 映画・ドラマ、アクション

14-49.ノア 約束の舟
■原題:Noah
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:138分
■料金:1,100円
■鑑賞日:6月14日、TOHOシネマズ日劇(有楽町)

 

□監督・脚本・製作:ダーレン・アロノフスキー
□脚本:アリ・ハンデル
◆ラッセル・クロウ
◆エマ・ワトソン
◆ジェニファー・コネリー
◆レイ・ウィンストン
◆アンソニー・ホプキンス
◆ローガン・ラーマン
◆ダグラス・ブース
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
旧約聖書の創世記に記された「ノアの箱舟」の物語を実写化した大作。大洪水による世界滅亡を知らされた男ノアとその家族が、ある重大な使命を全うしようと巨大な箱舟の建造に乗り出していく。メガホンを取るのは、『ブラック・スワン』などの鬼才ダーレン・アロノフスキー。ノアにふんするラッセル・クロウを筆頭に、ジェニファー・コネリー、アンソニー・ホプキンスら、実力派スターが共演する。
ある夜、眠っていたノアは恐ろしい光景を見る。それは、堕落した人間を滅ぼすために、地上からすべてを消し去り、新たな世界を創るという神の宣告だった。大洪水が来ることを知ったノアは、妻ナーマと3人の息子である長男セム、次男ハム、三男ヤフェト、そして養女イラとともに、罪のない動物たちを守るための箱舟を造り始める。やがて、ノアの父を殺した宿敵トバル・カインがノアの計画を知り、舟を奪いに来る。その壮絶な戦いのなか、暗転した空から激しい豪雨が大地に降り注ぎ、大洪水が始まる。地上の水門が開き水柱が立ち上がり、濁流が地上を覆うなか、ノアの家族と動物たちを乗せた箱舟が流されていく。閉ざされた箱舟のなかで、神に託された驚くべき使命を打ち明けるノア。ノアと家族の未来とは? 人類の罪とは? そして、世界を新たに創造するという約束の結末とは?

ノアの箱舟神話を映画化するという壮大な構想、果たしてストーリーや物語の構築はどうなるのか等興味深かった。ノアの箱舟に関しては当然ながら詳細な記録が有るわけではなく、現トルコのアララト山付近に箱舟が漂着したとの伝説があり、箱舟の跡もあるとされている。
ストーリーでは洪水に遭遇した箱舟がユラユラと増水した地球を漂い、箱舟の中では長男セムとイラの間に出来た子供の性別をめぐって緊張が高まっていた。ノアは妊娠は神の意志に反するとして、聞いたお告げは男の子なら残すが、女児だと殺すと宣言。生まれたのは双子の女児だった。そしてノアは女児を殺そうと試みるも、やはり出来なかった。洪水は治まりノア一家だけが地球上で生き残り、残された長男ハムとイラ夫妻と生まれたばかりの双子の女児、二男セムは恋人をノアが守ってくれなかったことを根に持ち一家から離れることに。三男ヤフェトはまだ青年だったが家族と残る。セムはアジア人の祖、ハムは北アフリカから中東にかけての人種の祖、ヤフェトは一部の白人の祖になったと言われているが当然ながら宗教的にも異説は多々あり定説化されていない。

最後にノアが残った一家に儀式を執り行い終わるが、残ったのはノア一家だけであり、ここから産めよ増やせよとなると親子同族間での近親婚となるしか選択肢は無いのだが、この時代にはまだ宗教観が定着していなかった時代であると想像出来るので、近親間で生まれた子供でも一族全てが長生きして育てるしかなかったのだろうと思う、余計なことかもしれないけど。因みにノアは洪水のときは600歳で、950歳まで生きたと創世記にはあるそうです。ヨーダなんてまだまだ若いのだ!

俳優陣ではノアを演じたラッセル・クロウはノアのイメージにピッタリで、その祖父役のアンソニー・ホプキンスは登場シーンが少なくて残念。長男ハムの妻イラ役を演じたエマ・ワトソンの熱演は彼女の演技力の確かさを見た。ノアの妻を演じたジェニファー・コネリーは地味な役どころだったが、イラが女児を出産する際に大事な役目を果たした。
劇中に登場する方舟は実際にニューヨーク郊外にオープンセットを組んで撮影したそうで、サイズも文献で描かれているサイズを元に再現したそうで、決して映画的に作ったものではないらしい。だが、洪水や動物はCGらしいですが、この規模の撮影はCGが発達した今だからこそで、20年以上前だったらこのスケールでの作品製作は無理だったでしょう。アロノフスキー監督の手腕は見事だったと思います。


映画『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』を観て

2014-06-14 23:00:59 | 映画・ミュージカル、音楽題材

14-48.インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
■原題:Inside Llewyn Davis
■製作年、国:2013年、アメリカ
■上映時間:104分
■料金:1,100円
■観賞日:6月14日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)



□監督・脚本・製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
◆オスカー・アイザック
◆ジャスティン・ティンバーレイク
◆キャリー・マリガン
◆ジョン・グッドマン
◆ギャレット・ヘドランド
◆F・マーリー・エイブラハム
◆スターク・サンズ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したジョエル、イーサン・コーエン監督によるドラマ。フォークソングで有名な1960年代のニューヨークはグリニッジ・ヴィレッジを舞台に、音楽活動に奔走しながらも苦闘するシンガー・ソングライターが過ごす1週間を見つめる。『ボーン・レガシー』などのオスカー・アイザック、『17歳の肖像』などのキャリー・マリガンなど、実力派俳優が結集する。
1960年代のニューヨーク、冬。若い世代のアートやカルチャーが花開いていたエリア、グリニッ・ヴィレッジのライブハウスでフォークソングを歌い続けるシンガー・ソングライターのルーウィン・デイヴィス。熱心に音楽に取り組む彼だったが、なかなかレコードは売れない。それゆえに音楽で食べていくのを諦めようとする彼だが、何かと友人たちに手を差し伸べられ……。

コーエン兄弟の音楽映画ということで期待していた。特定の主人公を扱った作品ではないが、一応モデルになった音楽家はいるそうだ。ボブ・ディランが売れる直前のグリニッジ・ヴィレッジでのフォーク・シーンを描いていて、ラスト・シーンでは彼を思わせる人物の横顔が映し出されてエンド・ロールへと突入。ルーウィン・デイヴィスが築いたフォーク・シンガーとしての道をディランが世に出ることで、グリニッジ・ヴィレッジでのフォーク・シーンが注目されていったというような描き方だった。
ストーリー的には売れないフォーク・シンガー、ルーウィン・デイヴィスの日常を描いている。冒頭で自宅に泊まらせてもらった大学教授の飼い猫をうっかり部屋の外に出してしまい、オートロックだったので自らも戻れなくなったルーウィンが、猫と共にNYをあちこち彷徨う様子がユニークだった。影の主役は「猫」とでも言えそうで、この猫が一旦はルーウィンの落ち着き先(彼には自宅がない)で生活するも、再び脱走してしまい途方に暮れる。途中で似た猫を拾って、元の飼い主宅に届けるが夫人に「偽物」と見破られ、恩をあだで返してしまった。

ルーウィンにはGFもいるのだがどれも長続きしなかったのに。一人のGFを妊娠させてしまうが、関係はぎくしゃくしたままで定職に就くように説教されるが、本人はあくまでもフォーク・シンガーの道を捨てきれない。父がかつて船乗りだった縁で、自身も船乗りとして求職へ向かったものの船員手帳を紛失してしまったのでこれもパーに。ミュージシャンとしてシカゴの劇場でオーディションに臨んだが、逆に3人組として他のシンガーを交えてデビューするならとの話も断ってしまい再びNYへと戻る。
結局、何をやっても上手くいかない世渡り下手のルーウィンが出入りしているライブハウスでのトラブルが原因でここも叩き出されてしまう。それは、ボブ・ディランが台頭する直前だった。この後、彼はどうなったのか?それは描いていませんが、あくまで、フォーク・シーンのひとコマというかある時代のNYを切り取っているのでこういうエンディングになったのだと思います。

主役のルーウィン・デイヴィスを演じたオスカー・アイザックはこの役のオーディションに合格、彼自身も音楽をやっていたので熱を入れての演技だったそうです。演奏シーンも本職ミュージシャンによる吹き替え無しで、しかも演奏シーンはすべてライヴ演奏だったそうです。コーエン兄弟の細かい演出にも応えて、この演技で彼の評価は急上昇したことでしょう。脇役陣のジャスティン・ティンバーレイク、恋人役のキャリー・マリガン、軽薄な若者役のギャレット・ヘドランドらもよかったです。


映画『ゴジラ、60周年記念リマスター版』を観て

2014-06-07 14:03:51 | 映画・邦画

14-47.ゴジラ、60周年記念リマスター版
■配給:東宝
■製作年、国:1954年、日本
■上映時間:97分
■料金:1,000円(特別料金)
■観賞日:6月7日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督:本多猪四郎
◆平田昭彦
◆志村喬
◆河内桃子
◆宝田明
◆堺左千夫
◆村上冬樹
◆菅井きん
◆山本廉
◆鈴木豊明
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
日本怪獣特撮映画の金字塔“ゴジラ”。その第1作目の公開から60年をむかえ、初回上映状態を再現することを目標に7ヵ月かけて制作されたデジタルリマスター版。4Kスキャンされたデータを元に、ソフトウェアおよび手作業による1コマ1コマのごみ取り処理がなされた。また音声も違和感が生じないよう細心の注意が払われたノイズ除去が行われている。

1954年、第二次世界大戦終結から復興途上の日本。太平洋沖で謎の船舶遭難事故が相次いだ。古生物学者の山根博士の説によれば、太古の昔から海底深くに生息していた生物が度重なる水爆実験で目覚め、暴れているのだという。その凶暴な怪獣は近海の伝説になぞらえて「ゴジラ」と名付けられた。やがて、ゴジラは本州に上陸。破壊の限りをつくし、東京を火の海にする。高圧電流攻撃、最新鋭兵器による陸海空からの攻撃にも全くひるまないゴジラ。人類に打つ手はないのか?
一方、山根博士の可憐な娘・恵美子は父の教え子で天才科学者と評判の芹沢博士と許嫁同然といわれる関係であった。しかし、二人の間には次第に距離が生まれ、恵美子は最近では若くてハンサムな尾形とデートを重ねている。地下室でたった一人、秘密の研究を重ねていた芹沢は、最後の愛の告白のように、自らが行ってきた恐るべき実験の成果を恵美子だけに披露する。彼の思いを受け止める恵美子。
しかし、再び襲撃してきたゴジラの猛威を目の当たりにした恵美子は、苦悩の末、ゴジラ打倒の切り札となりうる芹沢の研究を尾形に打ち明けてしまう。恵美子と尾形からの必死の説得に心を打たれた芹沢は自らの研究成果(オキシジェンデストロイヤー=酸素破壊装置)を手に、人類の存亡と恵美子との関係を賭けた悲しすぎる決断を下す。
尾形とともに東京湾に潜った芹沢はオキシジェン・デストロイヤーの装置を作動させた。ゴジラは苦しみ始め、海上に断末魔の悲鳴を残し、やがて白骨を海中にさらすのだった。しかしそのなか、芹沢もまたオキシジェン・デストロイヤーの悪用を恐れ、自ら命綱を断った。行方を見守っていた人々がゴジラを倒した喜びや芹沢の死の悲しみに騒然となる中、山根は「あのゴジラが最後の一匹とは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかに現れてくるかもしれない…」とつぶやくのだった。

ハリウッド製作のゴジラ公開が迫る中、東宝製作の元祖ゴジラとして1954年公開の1作目がリマスター版として特別公開されるということで観に行った。自分が生まれる○年前に公開されたゴジラ、ハリウッド版とはどこがどのように違うかは公開を待つしかないが、どちらも水爆実験とか放射能がキーワードのようだ。今ではCGや特殊効果で幾らでも映像を作れるが、この60年前にCGが無い時代に東宝が持てる技術全てを注ぎ込んでオリジナル作品であるゴジラを製作し世界に影響を与えたのは凄いことだ。
この日本版では台風に巻き込まれた貨物船がストーリーの発端で、大戸島の漁船に救助された乗組員の話を聞いた長老が伝説の怪物「呉爾羅」(ゴジラ)の仕業ではと呟いたことから、話が本土の政府の知るところとなり、政府上げて退治策を練るのが大まかな流れだ。俳優陣は私の生まれる前の人ばかりで詳しくはないが、平田昭彦や志村喬らの名優も出演しているし、今では認知症を患っていると噂される菅井きんも名を連ねている。

是非、この60年前の作品と観てからハリウッド版も観た上で、違いを比較してみたいと思います。


映画『万能鑑定士 Q -モナ・リザの瞳』を観て

2014-06-02 13:11:50 | 映画・邦画

14-46.万能鑑定士Q-モナ・リザの瞳
■配給:東宝
■製作年、国:2014年、日本
■上映時間:119分
■料金:1,100円
■観賞日:6月1日、TOHOシネマズ有楽座(有楽町)

 

□監督:佐藤信介
◆綾瀬はるか
◆松坂桃李
◆村上弘明
◆初音映莉子
◆橋本じゅん
◆村杉蝉之介
◆児嶋一哉
◆ピエール・ドゥラドンシヤン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
松岡圭祐の人気推理小説「万能鑑定士Qの事件簿」シリーズを綾瀬はるか主演で映画化したミステリー。レオナルド・ダ・ヴィンチが手がけた歴史的な絵画“モナ・リザ”を巡る巨大な陰謀に天才鑑定士の莉子が立ち向かう。日本映画として初めてルーヴル美術館での撮影に挑むなど、日本とフランスを舞台にした壮大なスケールの物語だ。
名画モナ・リザの40年ぶりとなる再来日が決定し、万能鑑定士Qの店主莉子が臨時学芸員に抜てきされる。莉子は、彼女の密着取材を続行中の雑誌記者悠斗と共にパリへと赴き、ルーヴル美術館で実施された採用テストに無事パスする。莉子は同様にテストに受かった美沙と一緒に特別講義に出席するが……。

タイトルからすると、何だかモナ・リザに関する未知の謎が明らかになるのかと思っていたらそうではなかった。簡単に言えばモナ・リザの日本展開催にあたって、日本人学芸員を採用することになり、その候補として鑑定士の莉子とフランス語も堪能で大学や博物館で研究員をしていて意欲的な美沙がその座を巡って争うのだが、実は巧妙に仕掛けられた罠で、日本移送の隙を狙ってモナ・リザを偽物とすり替える日仏間をまたぐ犯罪だった。
このストーリーのウリは、ルーヴル美術館でロケを敢行した初の邦画という触れ込みだった(私は2度行きました)が、その良さが前面に出ていたとは思えなかった。
モナ・リザの瞳に隠されたある数字を読むと、鑑定能力が失われて行くというのが全体の伏線になっていて、日用品などの鑑定能力で力を発揮していた莉子もこの罠にはまってしまい、優れていた鑑定能力が徐々に衰えてしまい、自分の店までをも閉鎖に追い込まれる。莉子演じるのが綾瀬はるかで、彼女のイメージとこの役柄がどうも一致しない。彼女のもつ溌剌とした明るさとは真逆な役を演じているので、脇役にベテランを配するなどしないと彼女に演技力で多くを期待するのは酷だった。
12枚の中から偽物と本物を見分けるシーンをもっと魅せるシーンに替えるとか、パリでのロケ映像をもっと盛り込むなどの工夫も欲しかった。


映画『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』を観て

2014-06-01 23:09:37 | 映画・邦画

14-45.WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常
■配給:東宝
■製作年、国:2014年、日本
■上映時間:116分
■料金:1,100円
■観賞日:6月1日、TOHOシネマズ日劇(有楽町)

 

□監督・脚本:矢口史靖
◆伊藤英明
◆長澤まさみ
◆染谷将太
◆優香
◆西田尚美
◆柄本明
◆光石研
◆近藤芳正
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『ロボジー』の矢口史靖監督が、三浦しをんのベストセラー小説を映画化した青春コメディ。染谷将太扮するダメダメな都会育ちの青年が、田舎の町での林業研修プログラムに参加した事で、町の人々とのふれあいを通して、一人前の男に成長していく姿がつづられる。
チャランポランな性格で毎日お気楽に過ごしていた勇気は大学受験に失敗。彼女にもフラれ、進路も決まらないという散々な状態で高校の卒業式を迎える。そんな時、ふと目にしたパンフレットの表紙で微笑む美女に釣られ、街から逃げ出すように1年間の林業研修プログラムに参加することを決意。だが、ローカル線を乗り継いで降り立った神去(=かむさり)村は、携帯電話の電波も届かない“超”が付くほどの田舎。鹿やら蛇やら虫だらけの山、同じ人間とは思えないほど凶暴で野生的な先輩のヨキ、命がいくつあっても足りない過酷な林業の現場……。耐えきれずに逃げ出そうとしていたところ、例の表紙の美女・直紀が村に住んでいることが判明。留まる事を決意するが……。休む間もなく訪れる新体験、野趣溢れる田舎暮らし、底なしに魅力的な村人に囲まれ、勇気は少しずつ変化してゆく。果たして、勇気と直紀の恋の行方は?そして、勇気は無事に生きて帰れるのか!?

矢口作品は前作が「ロボG」というロボットの中に爺さん(ミッキー・カーチス)が入って大活躍?する話で、その切り口の面白さを堪能した。今作はど田舎での林業体験のお話。話が多少地味でどういう展開に持って行くのか注目していたが、流石の矢口監督も難しかったようだ。
都会生活を送っていた青年が受験に失敗し、ふと手にした求人雑誌の表紙の美女(長澤まさみ)に吊られて軽い気持ちで林業体験に行ったが、そこは想像を絶するど田舎で、中には真剣に家業の林業を継ぐ為に経験を積む意味で来ている者もいる中で勇気は浮いていた。体育会系で強面の先輩ヨキにみっちりしごかれすっかりやる気を失っていたが、それでも徐々に仕事にも馴れて来て、田舎暮らしも優しい村人の理解にも恵まれ気が変って来た。そこで、例の表紙の美女との出会いもあい、村最大のイベントである祭りを体験、研修期間の1年が過ぎようとしていた。実家に戻るかこのまま村に残るか迷いながらも実家に戻った勇気だったが、彼の居所はどこにあるかふと思い直すと、再び、村を目指して戻って行った。

林業という普段都会では馴染みの無い職業にスポットを当てているのだが、これをどこまで娯楽性を追求して作品にしたてるか大変だったと思う。鬼教官のような伊藤英明のキャラは全体からすれば良い意味で「浮いていた」が、他の出演者とのキャラの違いを強調する狙いもあったのだろう。勇気役の染谷将太は若いけど芸歴は長いし、最近は出演作も多いので既に演技に安定感がある。長澤まさみの露出度の少ない?演出は残念だが、終盤のハイライトである祭りの様子は良かった。あれが無ければ盛り上がりに欠けていたと思う。
撮影は三重県の山奥で敢行されたそうで、実際に木を切らせてもらったそうだが、映像からは本当にど田舎っぷりが理解出来たが、こういう山奥の村は若者が定着するのは難しいだろうな、とか思ったりした。


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