kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

女子柔道暴力問題、園田監督 辞任の意向

2013-01-31 09:41:12 | スポーツ(野球を除く)

柔道の女子選手15人が、園田隆二・全日本女子監督から暴力を受けたとして日本オリンピック委員会(JOC)に告発した問題で、園田監督は記者会見を開き、「大変なご迷惑をおかけした。これ以上、強化に携わることは難しい」と辞意を表明し、全日本柔道連盟(全柔連)に進退伺を提出した。

複数の関係者の証言によると、園田監督らは背中や尻を竹刀で叩き、頭部にゲンコツ、顔面には平手打ちを浴びせていた。「特にA選手に対してはひどかった。Aは実力はあるけど、何度、教えてもできないタイプ。腹を立てた監督に何度もひっぱたかれていた」と現場にいた関係者。けがを抱えた五輪代表へのしごきも壮絶だったという。「1本6分の乱取りを10本ぶっ続けでやらされ、男性コーチに代わる代わる(乱取りで)まわされていた。グッタリしながら投げられて、見ていて、かわいそう。ひどかった」と別の関係者は明かした。重量級の女子選手の髪の毛をわしづかみにし「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」と人権無視の言葉で小突きまわす場面も見られた。

園田監督による暴言、暴行について、ここまで全柔連が事態を公にせずにリオ五輪までの続投を決定したことで、訴えた選手側が態度を硬化させたようだ。
園田監督が会見で語っていたように、一方通行の信頼関係ではコミュニケーション不足を指摘されても仕方が無いだろう。
日本は監督やコーチが上司、選手は部下との関係が見受けられる。だが選手ファーストの国際的な常識が日本のスポーツ界の一部には欠けている。日本代表候補選手クラスであれば技量的にはトップレベルであるはずなので、指導者は自分の型にはめた指導では無く、選手の個性やタイプによって指導方法を変えるなどが必要なのではないだろうか?

--2010年8月から12年2月までに5件の暴力があったというのは事実か

 「事実です。ただ、私自身は暴力という観点で選手に手を挙げたという認識は全くなかった。選手に対して、あとひと踏ん張りしてほしい、ここで頑張ってほしい、一つ壁を乗り越えてもらいたいという精神的な部分で手を挙げてしまった

 --コミュニケーションという部分で、選手との溝はいつごろからできたのか

 「選手とのコミュニケーションについては、練習で厳しくやっている分、どこかで抜いてあげるために合宿中は1回は食事会をして、そこで選手からも要望を出してもらえるようにと思っていた。食事会の席では、選手をリラックスさせ、柔道に対しての思いについても話してくれていると思っていたが、それが一方的な部分だった。一方的な解釈をしていたということだった」

 --辞任しようと思ったのはなぜか

 「一番は選手がどう戦うかであり、どう強くなっていくかが大事だ。それを考えた場合には、お騒がせしている中で私自身がこれ以上続けていくことは、選手にも不安を与え、負担にもなると思った

--暴力を使わずに指導できなかった原因は

 「私の指導力不足が一番の原因。伝える力というか、どう伝えれば選手はわかってくれるのか、伝える力をもっと持っていればと思う」


映画『さよならドビュッシー』を観て

2013-01-27 23:36:33 | 映画・邦画

13-7.さよならドビュッシー
■配給:東京テアトル
■製作年、国:2013年、日本
■上映時間:131分
■観賞日:1月26日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)
■料金:1,800円



□監督・脚本:利重剛
□脚本:牧野圭祐
◆橋本愛(香月遥)
◆清塚信也(岬洋介)
◆ミッキー・カーチス(香月玄太郎)
◆吉沢悠(新条医師)
◆相良樹(片桐ルシア)
◆相築あきこ(香月悦子)
◆清水紘治(鬼塚先生)
◆戸田恵子(桃山校長)
◆熊谷真実(綴喜みち子)
【この映画について】
第8回「このミステリーがすごい!」大賞に輝いた中山七里の小説を、久々にメガホンを取る利重剛監督が映画化。火事で重傷になりながらも、懸命にピアニストを目指す少女が不可解な事件に巻き込まれていくさまを、ドビュッシーやショパンの名曲に乗せて描く。
主演は、『桐島、部活やめるってよ』など話題作への出演が相次ぐ橋本愛。ピアノ教師を、テレビドラマ「のだめカンタービレ」の吹き替え演奏で知られる人気ピアニストの清塚信也が演じる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ピアニストになることを目標にしている16歳の遥は両親や祖父、いとこらに囲まれ幸せに暮らしていたが、ある日火事に巻き込まれルシアと祖父が犠牲になり遥一人だけ奇跡的に生き残る。全身の皮膚を移植する手術を受け、まさに奇跡的に死の淵から生還した。
全身に大やけどを負い心にも大きな傷を抱えた遥だったが、ピアニストになることを諦めず、コンクール優勝を目指して猛練習を再開した。それは生前にルシアと交わしたある約束、プロになってルシアの為にドビュッシーの「月光」を弾くことだった。しかし、資産家である一家の一族を巻き込んでの遺産相続を巡って、12億円を相続することになった彼女の周囲で不可解な現象が続発し、彼女の身にまで不審な出来事が発生するなど不穏な空気が流れる。

橋本愛主演作のこの映画、彼女はいまや若手女優の注目株で昨年も何本か出ていたけど(「貞子3D」はイマイチだった)、今回はピアニストになる夢を持ちながらも全身に大やけどを負った少女という役所。 
ピアニストになる夢を諦めずに追って行く部分と、両親がアフリカ出張中に行方不明になってから暮らしていた家が火事で焼失して大火傷を負う部分とそれに纏わるミステリー部分が重なる展開。前半で仲良しだった遥とルシアの同い年のいとこ、この二人、実は良く似ていると言う点がミステリーのなぞ解きの伏線になっていて、最後に、遥とルシアが実は入れ替わっていたというオチに繋がっている。ミステリー部分のこの入れ替わりは確かにアッと思わされたが、ピアニストになる夢を追い続けていた理由が入れ替わった部分とも重なっている。
だが、この映画の見どころはミステリー部分よりやはりピアニストへなる為に岬からレッスンを受けながら成長していく部分だと思う。岬を演じる清塚信也の本職は俳優ではなくて「ピアニスト」である。音楽演奏シーンに有りがちな、音は吹き替え録音を使用し俳優は演奏している「フリ」をして合成するやり方では無い、本職が演奏しているだけに説得力がある。

橋本愛は今まで美少女ぶりが注目され、出演作に恵まれていた感じは薄かったが、やっとストーリー的(突っ込みどころは多いですが)にも役所的にもしっかりした作品に主役として出演し、しっかりとした演技で応えていた点は好感が持てる。


映画『LOOPER/ルーパー』を観て

2013-01-26 21:40:30 | 映画・ドラマ、アクション

13-6.LOOPER/ルーパー
■原題:Looper
■製作年、国:2012年、アメリカ
■上映時間:118分
■観賞日:1月26日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
■料金:1,800円

 

□監督・脚本:ライアン・ジョンソン
◆ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ヤング・ジョー)
◆ブルース・ウィリス(ジョー)
◆エミリー・ブラント(サラ)
◆ポール・ダノ(セス)
◆ノア・セガン(キッド・ブルー)
◆パイパー・ペラーボ(スージー)
◆ジェフ・ダニエルス(エイブ)
【この映画について】
タイムマシンで送られてきた人物を消すことを生業とするすご腕の殺し屋が、殺しのターゲットとして転送された未来の自分とのスリリングな追跡劇を繰り広げるSFアクション。『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットと『ダイ・ハード』『エクスペンダブルズ』シリーズのブルース・ウィリスが、それぞれ主人公の現在と30年後を演じる。
監督は、『BRICK ブリック』でジョセフとタッグを組んだライアン・ジョンソン。画期的なアイデアと、過去の自分対未来の自分という究極のバトルが興味をそそる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
未来ではタイムマシンの使用は禁じられているものの、犯罪組織が敵を証拠もなく消すために利用していた。抹殺するターゲットをルーパーと呼ばれる殺し屋が待機する過去に転送、ルーパーは確実にターゲットを殺害する手はずになっている。腕利きのルーパー、ジョーの元に、ある男が転送されてきた。
いつものようにすぐさま仕事を片づけるつもりだったが、男が30年後の自分自身であることに気付いてしまう。ジョーが躊躇した隙をついて、未来のジョーは街へ逃走。仕事を完遂しないと自分が殺されるため、現在のジョーは必死に追跡する。ようやく未来のジョーを追い詰めた現在のジョーは、彼が危険を冒してまで過去へ来た真の目的を知る……。

タイムトラベルものの映画は数多く制作されてきたが、この作品もまさにタイムトラベルであり「30年」という月日がキーになっている。ジョーという一人の人間をブルース・ウィリスとジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じているのが不思議だが、ゴードン=レヴィットは何とかブルース・ウィリスに似せようと色々と努力したそうだ。
ヤング・ジョーに取ってルーパーは生きる道であるが、ルーパーで稼いだ賞金を独り身の彼は大事に自宅の床に隠す生真面目な性格だが、ルーパーの仕事の時は私情をはさまず非情に徹している。そんな彼が未来から転送されてきたオールド・ジョー(自分自身)を抹殺出来ず一瞬躊躇したことで展開が急変。そもそもオールド・ジョーが現世へと転送されてきたのには、自分の中国人妻が犯罪組織のボスであるレインメイカーの一味に抹殺されたからで、過去へと戻ることでレインメイカーになる前の子供時代にケリをつけようと考えていたからだ。

そしてヤング・ジョーの手には、射程距離の短い銃が握られていた。オールド・ジョーを追ってきた殺し屋に銃撃され足を負傷したヤング・ジョー、オールド・ジョーを撃つには射程距離が短すぎる。
「レインメーカーが現れず、未来が良い方向になるように」と願い、その銃をヤング・ジョーは自身の胸に向け、撃ちシドの為に彼は自殺したのだった。その瞬間、サラを殺害しようとしていたオールド・ジョーの姿は消えていた。

ブルース・ウィリスと売れっ子のジョセフ・ゴードン=レヴットの共演、しかも同じ役を演じるというではないか。タイムトラベルものであるが、犯罪組織がそれを使っている点がミソだ。レインメイカーの母サラを演じていたエミリー・ブラント、その息子に母親と認知されずに苦しむが、育児を任せていた妹が亡くなってから、遅れて母性に目覚めた役柄だが、猟銃で武装して近付く不審者にぶっ放すあたりは「力強さ」を感じました。この映画、アイデアを膨らませればパート2が作れそうですけど、どうでしょうか?


アルジェリア人質事件、10邦人全員死亡確認

2013-01-25 23:36:14 | 時事ニュース・海外

アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設で起きた人質事件で政府は24日夜、最後まで安否が不明だった日本人1人の死亡を確認した。菅(すが)官房長官が緊急記者会見で明らかにした。事件後所在が不明だった日本人10人全員が死亡していたことになり、事件は最悪の結末を迎えた。10人死亡の情報を菅氏から知らされた安倍晋三首相は「あまりにひどすぎる。残念だ」と語った。
この事件に関してはアルジェリア政府が、人質となっている出身国の報道関係者への入国査証を発行していないそうで、日本のニュースも現地TV局の映像と、生存者から提供された映像の粗い素材から判断するだけで、首都アルジェから1000キロ以上離れたリビヤ国境近くの砂漠で何があったかリアルタイムで知ることが出来ず、イライラが募るばかりだった。



菅官房長官によると、首都アルジェに運ばれていた国籍不明の遺体を日本の警察関係者らが鑑定。遺体は損傷が激しく身元確認には時間がかかるとされていたが、さまざまな遺留品の中でも決め手となったのは指輪だったそうだ。

事件に巻き込まれた日本人のうち生存者7人と、既に死亡が確認されていた9人の遺体を乗せた政府専用機は24日アルジェリアを出発し、25日午前7時前に羽田空港に到着した。

死亡が確認された日本人は次の通り。

▽新谷正法(あらたに・ただのり)さん(66)
▽伊藤文博(ふみひろ)さん(59)
▽緒方弘昭(ひろあき)さん(57)
▽川畑圭右(けいすけ)さん
▽木山聡(さとし)さん(29)
▽後藤康次(やすじ)さん
▽内藤文司郎(ぶんしろう)さん(44)
▽渕田(ふちだ)六郎さん(64)
▽前川秀海(ひでみ)さん
▽山田隆さん

この中で「木山」さんは確か、どこかの国のTV局に英語でインタビューに応えている様子(音声だけだが)がニュースで流れていたが、それそのものもテロリスト側に言わされているような内容だった。だが、死亡リストに名前があるのだから、その後、情勢の急変があったのだろうと推測される。

犠牲者の冥福をお祈りいたします。


「エル・グレコ展」を観賞して

2013-01-24 18:31:46 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

今日は有給休暇を取得して、東京都美術館企画展示室で開催中の「エル・グレコ展(1/19-4/7)」(El Greco's Visual Poetics)を観賞に行った。自分の記憶ではエル・グレコだけにスポットを当てたこの規模での展覧会はここ数年、記憶にないので興味を持った。

エル・グレコの本名は「ドメニコス・テオトコプーロス」(1541年-1614年)といいエル・グレコとは彼がスペインのトレドに居を構えた時に、スペイン語で「ギリシャ人」を意味するこの名で活動していたからだ。彼の活躍した時期は日本では戦国時代から江戸幕府初期の頃である。

今回の展示会は以下のコーナーに分かれています
第1章-1:肖像画家エル・グレコ(El Greco,The Painter And The Portraitist)
第1章-2:肖像画家としての聖人像(Saints as Portraitists)
第1章-3:見えるものと見えないもの(The Visible And The Invisible)
第2章:クレタからイタリア、そしてスペインへ(From Crete To Italy and Spain)
第3章:トレドでの宗教画:説話と祈り(Devotional Images In Toledo:Telling Stories)
第4章:近代芸術化エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として(The Altarpieces Of A Modern Artist:Painter And Architect)

彼は生地でキリスト教にまつわる図像を描くイコン画家として画業をスタートさせ、その後イタリアで西欧絵画の技法を習得し、35 歳頃スペインのトレドにたどり着きます。細長くデフォルメされた人体や超自然的な光の効果を特徴とする独自の様式によって、対抗宗教改革のカトリック的熱情と神秘を反映した宗教画を描いたことで知られる、この時代を代表する西洋美術史上最も偉大な画家の一人と称されている。
今回の展示作品は51点で、その中でも目玉は高さ3メートルを超す大作にして最高傑作の一つ「無原罪のお宿り」(写真参照)(1607~1613年)をはじめ、肖像画の傑作「修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像」(1611年)、聖人像の傑作「悔悛するマグダラのマリア」(1576年)が挙げられる。

今日は公開間もない平日とあって比較的空いていて混雑も無く落ち着いて観賞することが出来た。フェルメール展は、押すな押すなの混雑でしたので、いつも今日くらいの人数だと嬉しいです。

この展示会では他の展示会で有りがちな映像コーナーは廃し、新たな試みとして注目度の高い画はA3サイズの解説ボードがコーナーにあるのが目立った。これは例えば、その画の人物像や背景などを解説しており、音声ガイドと合せると理解度が深まる。更に、グレコの軌跡に関する解説、彼が最後に過ごしたマドリード郊外のトレドについての写真も展示。特に、私は20数年前にトレドに行ったことがあるので懐かしかった。
最後に、意外だったのが肖像画家だった彼は家族に関する画を一切描いていないことである。その対象は宗教画が中心であるということと、教会の祭壇などに飾る画は、画がどのように飾られるのかまでを頭に入れながら製作していたという。画家でありながらプロデューサーのように、祭壇の衝立の設計まで手掛けるなど総合芸術家であったのは目新しい発見だった。


映画『フリーランサー NY捜査線』を観て

2013-01-19 17:44:49 | 映画・ドラマ、アクション

13-5.フリーランサー NY捜査線
■原題:Freelancers
■製作年、国:2011年、アメリカ
■上映時間:96分
■観賞日:1月19日、シネマート新宿(新宿三丁目)
■料金:1,800円

 

◆カーティス・”50セント”・ジャクソン(ジョナス)
◆ロバート・デ・ニーロ(サルコーネ)
◆フォレスト・ウィテカー(ラルー)
◆マルコム・グッドウィン(A.D.)
◆ライアン・オナン(ルーカス)
◆アナベル・アコスタ(シン)
◆ボー・ガレット(ジョーイ)
◆ダナ・デラニー(ベッキオ検事夫人)
◆マイケル・マグレイディ(ジュード捜査官)
【この映画について】
腐敗しきった警察組織に反旗を翻し、巨悪に立ち向かう若き警官の姿を描くクライム・アクション。主人公を演じるのは、ラッパーで、『ロシアン・ルーレット』など俳優業もこなす、カーティス“50セント”ジャクソン。名優ロバート・デ・ニーロやフォレスト・ウィテカーが悪に染まったベテラン刑事を凄みたっぷりに演じている。(この項、Movie Walkerより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
元ストリートギャングのジョナスは、更生して、亡き父と同じ警察官の道を歩み始める。しかしジョナスは警察内部が腐敗しきっているのを目の当たりにする。
父とコンビを組んでいたサルコーネ警部はジョナスに声をかけ、自らが仕切るドラッグビジネスに彼を誘う。悪事に手を染めるジョナス。ある日、父の死の真相を知ったジョナスは、サルコーネの元を離れ、たった一人で巨悪に立ち向かう……。

NY警察の腐敗ぶりは度々映画の題材として取り上げられているが、ここでは警部であるデ・ニーロ演じるサルコーネがラルーを配下におさめて悪事を取り仕切っているばかりか、他の警察官もいい加減な取り締まりしかせず小悪程度なら見て見ぬふりをするのが常習化している。サルコーネの同僚でもあったジョナスの父、死に至った経緯をこの時点で息子は知らないのだが、やがて、サルコーネが関わっていると知って、復讐の矛先は彼に向くことに。
最初は立派な志を持って警察官の職に就いたジョナスも、サルコーネに取りこまれて何時の間にか悪事に染まって行くのだが、どこか完全に染まりきることが出来なかった。サルコーネが取り仕切っていた麻薬ビジネスも実は警察の外に黒幕が居て、彼は、その黒幕の下で取り仕切っていた。だが、ジョナスも強かになり、結局はサルコーネへの復讐を果たして、今度は自らがサルコーネの地位に就くかのようなエンディングだった。

更正して父と同じ警察官の道を歩み始めたジョナスを演じるのはラッパーの”50セント”。黒人ラッパーの彼が演じているので、当然ながら役柄は制限されるのだが、アカデミー賞受賞経験者のデ・ニーロとフォレスト・ウィテカーが脇を固めていることで、彼のどこか自信無さそうな演技も目立たずに済んだ、と言ったところか?デ・ニーロは最近主役級でなくてもチョクチョク出演しているが、役を選ばず依頼されたら取り合えず出演する?スタイルなのだろうか。もっと重厚な役柄を観たいのだが...。

折角、大物二人を起用しながら、脚本と監督の手腕不足で物語の広がり感に乏しかったのは残念だ。


映画『96時間/リベンジ』を観て

2013-01-14 12:39:31 | 映画・ドラマ、アクション

13-4.96時間/リベンジ
■原題:Taken 2
■製作年、国:2012年、アメリカ
■上映時間:92分
■観賞日:1月14日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)
■料金:1,000円

 

□監督:オリヴィエ・メガトン
□製作・脚本:リュック・ベッソン
◆リーアム・ニーソン(ブライアン・ミルズ)
◆マギー・グレイス(キム)
◆ファムケ・ヤンセン(レノーア)
◆リーランド・オーサー(サム)
◆ジョン・グライス(ケイシー)
◆D.B.スウィーニー(バーニー)
◆ルーク・グライムス(ジェイミー)
◆ラデ・シェルベッジア(ムラド)
【この映画について】
誘拐された娘を救うために立ち上がった元秘密工作員の父親の活躍を描いたアクション大作の続編。イスタンブールを舞台に愛する元妻と娘を守るために主人公ブライアン・ミルズが再び容赦ない戦いを繰り広げる。前作に続いてリーアム・ニーソンが過酷なアクションに挑み、リュック・ベッソンが脚本を手がけスリリングなドラマを描く。(この項、ぴあ映画生活より転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
イスタンブールで要人警護の職務を終えた元CIA秘密工作員ブライアン・ミルズは、ホテルのロビーで元妻レノーアと娘キムを迎え入れる。彼の願いはこの休暇で家族の絆を完全修復することだった。
だが翌日、イスタンブールの名所のバザールに二人で出かけたブライアンとレノーアに、不気味な影が忍び寄る。2年前、パリでブライアンに息子たちを殺害され、怒りに燃える初老のアルバニア人、ムラドが大勢の手下を引き連れ、復讐計画を企てていたのだ。不審な尾行車を察知したブライアンは、ホテルに戻るように耳打ちしたレノーアをバザールの入口で下ろし、一味との怒涛のカーチェイス、そして激烈な乱闘に身を投じていく。

しかしバザールの迷宮のような路地で立ち往生したレノーアを人質に取られ、彼女の身を案じて抵抗をやめたブライアンは、ホテルのプールにいるキムにその場所を離れ、ブライアンの部屋に隠れるよう携帯で連絡する。
レノーアとともに車に乗せられたブライアンは、頭に麻袋を被せられて視界は完全に失われていたが、時間をカウントし、車の進行方向や速度、周囲の物音をくまなくチェック、自分たちがどこに連れて行かれるかを分析していた。薄暗い地下室に監禁されたブライアンは、隠し持っていた緊急用の超小型電話を取り出し、からくも追っ手から逃れて身を潜めていたキムにアメリカ大使館に避難するように告げるが、キムは危機に陥った両親を助けたい一心で大使館行きを拒絶、ブライアンの指示を仰ぐ。

そんな娘にブライアンは、様々な警護用アイテムが詰まったアルミケースからイスタンブールの地図を取り出させる。続いてキムに手榴弾を爆発させ、その轟音を手がかりに自分が囚われている場所を絞り込んでいく。
まもなくムラドが地下室に現れ、ブライアンの目の前でレノーアのノド元を刃物で切り裂き、血を流す彼女を逆さ吊りにする。ムラドがその場を立ち去ると、ブライアンは必死に両手の拘束を解こうと試みる。レノーアが絶命するまでに残された時間はわずか30分。しかも、このとき既にキムの身にも敵の魔手が迫っていた……。

1作目も観たが元CIAだった男をリーアム・ニーソンが演じるのだが、アクション俳優とのイメージの無い俳優だったので体を張って家族を守るという設定が新鮮だった。
2作目が製作されたのがこれだが、ストーリー的にも前作でブライアンに殺害されたアルバニア人が「リベンジ」するというのが今回のポイント。冒頭でアルバニア人グループが出て来て復讐心を燃やすシーンがあり、最初から緊迫感が高まっている反面、ブライアンの家庭状況も示されている。元妻が現夫との関係がギクシャクしていたり、娘が車の免許取得とカレシとの交際に夢中になって父をやきもきさせたりと、洋の東西を問わずバツ1中年男の悲哀が垣間見られる。
だが、ここで凄かったのは、ブライアンが相手を倒すシーンより彼が元妻と共に拉致されて連れ去られる間に、目隠しされていたにも関わらず正確に場所を突き止める場面だ。カーブの数や周囲の生活音などから巧に位置を割り出しただけではなく、隠し持っていた超小型携帯電話で娘に指示を出すなど、この辺は熟練した元CIAエージェントを伺わせる凄さを描いていた。
そして何よりCIAをリタイアした彼がイスタンブールで要人警護の仕事を終えて、家族が合流して来たのを待ち伏せていたテロリスト。ここから彼の家族愛が前面に出て、元妻と娘を守るためには手段を選ばない。そうした展開の中で、免許取得前の娘に強奪したタクシーを運転させて市内を疾走するのには笑った。そして、ラストでブライアンが娘が通う教習所に姿をみせるオチも愉快だった。

映像的にはイスタンブールでのロケ映像は中心で、市内のあちこちをカーチェイスで追い掛けたり狭い屋根の上での逃走劇ありで、この辺はリュック・ベッソンのテンポの早い展開がハマっていた。意外な?ヒットで2作目が製作されたので、今後シリーズ化されそうな感じもあり、リーアム・ニーソンのアクション・スターとしての側面に期待が膨らむ。


映画『青木ヶ原』を観て

2013-01-12 10:45:11 | 映画・邦画

13-3.青木ヶ原
■配給:アークエンタテインメント
■製作年、国:2012年、日本
■上映時間:104分
■観賞日:1月12日、有楽町スバル座(有楽町)
■料金:1,600円

 

□監督:新城卓
◆勝野洋(松村雄大)
◆前田亜季(加納純子)
◆矢柴俊博(滝本道夫)
◆津川雅彦(住職)
◆長谷川真弓(滝本志津)
◆渋谷天外(番頭)
◆田中伸一(大前)
◆ゴリ(マスター)
◆左とん平
◆二木てるみ
◆石原良純
【この映画について】
元東京都知事・石原慎太郎(現、衆議院議員)の小説を、彼の作品を2度映像化している新城卓監督が映画化した、ファンタジックなラブストーリー。純愛の末、一度迷い込んだら出てこれないという自殺の名所である富士山麓の青木ヶ原樹海で命を絶った男女と、男の幽霊に導かれた地元男性との不思議な運命を描く。前田亜季が男の愛に揺れるヒロインを熱演。(この項、Movie Walkerより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
富士山麓、苔むした溶岩の上に木々が鬱蒼と茂る青木ヶ原樹海は、世間から姿を消したいと願う人々が集まってくる。忍野村でペンションを経営する松村雄大が行きつけのバーで出会った男は、松村が参加する遺体一斉捜索に同行したいと申し出る。

翌日の捜索で、その男が約2年前の遺体となって発見される。松村が丁寧に葬ると、男は再び現れて頭を下げる。しかし男の幽霊は松村の前に現れ続ける。村の住職は、男は松村に頼みたいことがあるはずだと言う。県警の友人から男の身元を聞き出した松村は、彼が入婿として若旦那をつとめていた東京の老舗紙問屋に行く。
男は滝本道夫といい、恋愛結婚をした妻・志津と息子がいた。しかし2年前に金庫の金を持って家を飛び出した滝本を遺族は許しておらず、遺骨の引き取りを拒否される。

調査を続ける松村は、紙問屋の番頭や滝本の親友・大前の話から、滝本と加納純子という若い女性の関係を知る。ライオンズクラブの慈善活動で、幼稚園に勤める純子と出会った滝本は、幼いころ富士山麓で起きた交通事故で両親を失い、自身も足に障害を負いながら明るく生きる純子に惹かれていった。
純子は自分を好きにならないよう訴えるが、2人の純愛はますます絆を深めていく。やがて純子が白血病で倒れると、滝本は彼女を守る決意をする。破格の費用をかけた手術で回復したかに見えたが、ある日、純子は化学療法をやめ、姿を消す。2年前、滝本は最後の電話で大前に、純子を見つけたと告げたという。松村は謎を明らかにするために、樹海へ向かう。

この映画、冒頭のシーンでゴリ演じるバーのマスターと常連の会話シーンで、気がついたら見馴れない男性がポツンと座っている。だが、実はこの男性こそが滝本自身であり、バーに来ていた松村との「出会い」の場だった。翌日、滝本自身が希望して青木が原樹海の行方不明者遺体一斉捜索に加わりたいと申し出があったため、松村と再び集合場所で出会う。
だが、この滝本は「幽霊」であり捜索現場で遺体で発見される。ここまでの流れは自然なのだが、監督の演出なのか静かな滑り出しと言った風情だが、シーンの描き方としては物足りなかった。
結局は滝本が松村の経営するペンションのことを覚えていたのがきっかけらしいが、松村演じる勝野洋が探偵か刑事に見えてきたと観賞したひとなら感じたのでは?ストーリーの本質は滝本が難病に冒されている純子と出会い、彼自身が老舗の入り婿という息苦しい家庭環境から抜け出したい願望があったのか、純子との交際に発展。純子はそんな滝本の好意を嬉しく思いながらも、自分の病気の事で頭が一杯で敢えて滝本を突き放そうとするが、自然の流れで二人は同居生活を始め、滝本は妻の実家の金庫から大金を持ち出し、彼の妻子との生活はこの時点で破綻。だから、遺骨の引き取りを拒否されていた訳だ。

純子との関係は深まり、持ち出した資金で米国での最先端治療を受け一時は回復に向かったが、やはり、体は再び彼女の体を蝕み滝本に何も告げずに行方をくらまし、必死に彼女を探すが...。純子の命の灯は消えかかっており、だが、彼女には滝本との愛の結晶を宿していた。自分の命と引き換えても産もうと決心して病院を回った彼女だが、遂に、その願いは叶わず。滝本に見守れ富士の樹海で力尽きてしまい、滝本も彼女の後を追うように...。
滝本は一体松村に何を訴えたかったのか?

この作品、主役は勝野洋であるが、滝本を演じていた矢柴俊博が主役とも取れる。矢柴に関してはCMで見た程度の印象しか無く、それでも印象の薄い滝本役にはある意味で適役か?脇役で津川雅彦、左とん平、ゴリ、石原良純らに加えて原作者の石原慎太郎が一瞬出演するなど、むしろ脇役の方が知名度が高かった?

さて、公開初日の初回上映、有楽町スバル座で始めて映画を観た。で、私は知らなかったのだが、初日ということもあって出演者らによる舞台挨拶があった。原作者は欠席で新城監督がメッセージを代読し、後は勝野洋や前田亜季や矢柴俊博などが1回目の上映終了後に挨拶した。TVや雑誌の取材もあり、始めて舞台挨拶というのに遭遇しました。


映画『その夜の侍』を観て

2013-01-06 20:59:47 | 映画・邦画

13-2.その夜の侍
■配給:ファントム・フィルム
■製作年、国:2012年、日本
■上映時間:119分
■観賞日:1月5日、新宿武蔵野館(新宿)
■料金:1,800円

 

□監督・脚本:赤堀雅秋
◆堺雅人(中村健一)
◆山田孝之(木島宏)
◆新井浩文(青木順一)
◆綾野剛(小林英明)
◆谷村美月(関由美子)
◆安藤サクラ(ミカ)
◆でんでん(佐藤進)
◆坂井真紀(中村久子)
◆田口トモロヲ(星信夫)
◆山田キヌヲ(川村幸子)
【この映画について】
劇団「THE SHAMPOO HAT」の赤堀雅秋が作・演出・主演を手掛けた戯曲を、彼自らの演出で映画化したヒューマンドラマ。
ひき逃げ事件の犠牲になった妻の復讐に燃える男と、その事件の犯人で刑務所から出てきた男の対峙(たいじ)を、重厚なタッチで紡ぎ出す。堺雅人が復讐の機会をうかがいつつも、良心の呵責(かしゃく)にさいなまれる男を熱演。また、山田孝之が、粗暴と孤独を併せ持つひき逃げ犯を演じ切る。人間の残酷さと狂気、そこから生まれるかなしさを深くえぐった深遠なテーマも見逃せない。
(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
東京のはずれで小さな鉄工所を営む中村健一は、5年前、トラック運転手に最愛の妻久子をひき逃げされた。死んだ妻の思い出から抜け出せず、留守番電話に遺された妻の声を延々再生しながら糖尿病気味にも関わらず甘いプリンを食べ続けている。

喪失感を抱え絶望的な毎日を過ごす中村に、従業員の久保や佐藤たちは、腫れ物に触るように接するしかない。久子の兄で中学校教員の青木は、中村を早く立ち直らせようと、同僚の川村と見合いをさせるが、中村は「僕なんかあなたにふさわしくない」と新しい人生に向かうことを拒絶する。
一方、久子をひき逃げした犯人、木島宏は、2年間の服役後、ひき逃げトラックに同乗していた腐れ縁の友人小林の家に転がり込んでいる。そんな木島のもとに、1ヶ月前から「お前を殺して俺も死ぬ。決行まで後○日」という無記名の脅迫状が連日執拗に送られてきていた。決行日は木島が中村の妻を轢いた日で、もう数日後に迫っている。

木島から脅迫状のことを知らされた青木は、脅迫状を送っているのは中村と察し、復讐の決行をやめさせようとするが、中村を前にすると何も言えなくなってしまう。そんな中、中村は鉄工所の仕事の合間、包丁をしのばせた袋を手に毎日のように木島をストーキングし続けていた。
決行前夜。ラブホテルでホテトル嬢のミカと過ごし、虚しさをさらに募らせる中村。一方、木島は復讐を思い留めさせられない青木に腹を立て、生き埋めにすると脅すのだった。そして決行日の夜。台風の激しい雨が町を覆っている。歩き回ったあげく、人気の無いグラウンドまでやってきた木島は、闇の中、後を追いかけてきた中村と遂に対峙する……。

「健ちゃーん、また隠れてプリン食べてるんでしょ、バレてるんだからね。本当、いい加減にしないと死んじゃうんだからね、冗談抜きで!」
この映画の主役はある意味で姿を現さない、事故死した健一の妻の存在ともいえる。何故なら、健一は妻・久子の突然の事故死で立ち直ることが出来ずに、殻に閉じこもってしまう。殺風景な部屋で、妻の残した「健ちゃーん」の留守電を聞きながらプリンを食べるのが、唯一、妻との繋がりを現世で持てるので、糖尿病が進行しようとお構いなくプリンを食べる、そんな単調な生活の毎日。(ラストでは、そのプリンを頭に乗せてグチャグチャにして留守電を抹消する、何か吹っ切れたのだろうか?)
そして、その妻をトラックで轢き殺した木島をひたすらつけ狙い、包丁を隠し持って「決行の日」へ向けてのカウントダウンを儀式みたいにしている。だが、そもそも健一に木島を抹殺する勇気は持ち合わせていない。また、木島もその最低人間振りがやたらに強調されているが、彼も臆病で寂しさから虚勢を張っている、健一と木島はどこか似た者同士ではないだろうか?

ストーリー的には終盤の公園での雨中の決戦?がハイライトであるが、そこに至るまでの登場人物のキャラとそれを演じる俳優陣の演技は良かった。山田孝之の「嫌な奴、最低人間?」で工事現場警備の若い女性を手籠めにするキャラ、堺雅人の頼り無さそうな暗そうなキャラ、その健一が経営する工場の従業員達が腫れものを触るように接する様子、久子の兄を演じる新井浩文のこれまた木島に良いように脅され健一に再婚を勧めるキャラなど、どの俳優も脚本通りの演技を通り越して観ている者に訴える演技は評価したい。
だが、残念ながらミニシアター系での公開に留まったのは、ストーリーとしての広がりとか華やかさに欠ける点や監督の知名度などが挙げられるが、作品自体は良かったと思う。


ボズ・スキャッグスの「二人だけ」(1976)

2013-01-05 12:41:13 | 音楽

◇私の好きな曲、~ボズ・スキャッグスの「二人だけ」♪ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【アーティストの略歴】
ボズ・スキャッグスといえば例えAOR界に詳しくない人でも、大体40代後半~50代半ば位の男性はリアル・タイムで聴いていた人も多いでしょう。最近ではすっかりAORとは関係無い所で活動しているのは、少々寂しい。
元々はスティーブ・ミラーやデゥアン・オールマンとの共演もある、1960年代の半ばから音楽活動をしているベテランだ。1970年代の半ばからAORの一人者として活動するものの、1980年代に入り8年位アルバムを出さない時期もあった。最近では自己のルーツのR&B系のサウンドを取り上げている。日本でも人気が高いアーティストの一人だ。
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【この曲について】『WE'RE ALL ALONE(二人だけ)』作詞:作曲/BOZ SCAGGS
▲この曲はボズの究極の一枚でありAORの名盤との誉れも高い、『SILK DEGREES』(1976)の最後を飾る10曲目に【WE'RE ALL ALONE】というタイトルで収録されている。
このアルバムがAOR時代の到来を告げたと言っても過言ではあるまい。実際にはこれより前にも既にAOR風のアルバムや曲は出ていたのは事実だが、完成度と商業性を兼ねたのはこれが最初ではないかな?。

♪さて本題のこの曲だが、ボズの曲と言えばやはりそのスイートなバラードが魅力である事は否定できない。そのボズの中でもこれは代表的な名バラードで、ボズのコンサートでも必ずアンコールやその前の重要な場面で演奏される。私が日本武道館でのコンサートを観た時もそうでした。
そしてこの曲は既にスタンダード・ナンバーとしても定着していて、多くのカバーを生み出し中にはジャズ系のアーティストにも取り上げられことさえある。

★この曲を演奏しているのはドラムスの故ジェフ・ポーカロ、ベースのデヴィド・ハンゲイト、キーボードのデヴィッド・ペイチであり後のTOTOのメンバーである。演奏面ではピアノの音色が綺麗で演奏を引っ張っていく役割を果たし、ボズのヴォーカルを優しく包んでいる。
曲調も内容もとてもロマンティックで、日本語タイトル見たいに恋人と『二人だけ』のシーンを演出する最高のBGMとなりうる。それも夜のドライヴのお供にこの曲とこのアルバムを持って行けば、最高な一夜を過ごせるでしょうね(自分は未経験ですがそんなシーンは...)。

■窓を閉じて、光を和らげて
 そうすれば全ては最高だね
  何も心配する事なんて無いんだよ
   悩みなんて解き放てば、その気になるように
    スタートが切れるさ■ 

これは私が勝手に自分の拙い英語力を駆使して、中間部分を訳して見ました。歌詞カードには随分と長たらしく意訳していたけど、自分ではこういう風に解釈しました。


【ヒット・チャート】
残念ながらこの曲は発売当時はシングル・カットされた形跡はありません。しかしこのアルバムからは6曲目の「LOWDOWN」がビルボード・チャートで三位を記録。9曲目の「LIDO SHUFFLE」が同じく11位を、7曲目の「IT'S OVER」が38位を記録しています。
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【最後に】
このアルバムにはこの曲以外にもいい曲が目白押しです。AORとはこういう風にアルバム全体で聞かせることが出来るのが特徴かな。勿論他の多くのアーティストも同様ですが、AORはシングル向きの曲を量産するタイプの音楽ではない。このアルバム見たいに一枚を通して聞いて、始めてその人のカラーが分かる。例えばホール&オーツは典型的なシングル・アーティストで一曲一曲の良し悪しが出るタイプの人たちです。

ボズのこのアルバムは一曲目の『WHAT CAN I SAY』からこの『WE'RE ALL ALONE』まで正に完璧な一つの流れが出来ている。従ってメリハリもあるし何度聞いていても飽きない、そんな素晴らしい一枚です。尚、このCDには2つのヴァージョンが存在します。一つはオリジナル通りの収録と、もう一つはボーナス・トラックとして3曲のライヴが収録されています。出来れば後者の方を購入されることをお勧めします。
まだ未聴の方には、AORに多少でも感心があるなら古典的なフレーズである『騙されたと思って』是非買って下さい。決して損はさせないアルバムですよ!。


映画『レ・ミゼラブル』を観て~アカデミー賞3部門受賞作品

2013-01-03 23:12:44 | 映画・ミュージカル、音楽題材

13-1.レ・ミゼラブル
■原題:Les Miserable
■製作年、国:2012年、イギリス
■上映時間:158分
■観賞日:1月2日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)
■料金:0円(1カ月フリーパス)



□監督:トム・フーパー
◆ヒュー・ジャックマン(ジャン・バルジャン)
◆アン・ハサウェイ(フォンテーヌ)
◆ラッセル・クロウ(ジャヴェール)
◆アマンダ・セイフライド(コゼット)
◆エディ・レッドメイン(マリウス)
◆ヘレナ・ボナム=カーター(マダム・テナルディエ)
◆サーシャ・バロン・コーエン(テナルディエ)

◆サマンサ・バークス(エポニーヌ)
◆アーロン・トヴェイト(アンジョルラス)
【この映画について】
文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を基に、世界各国でロングラン上演されてきたミュージカルを映画化。『英国王のスピーチ』でオスカーを受賞したトム・フーパーが監督を務め、貧しさからパンを盗み19年も投獄された男ジャン・バルジャンの波乱に満ちた生涯を描く。
主演は、『X-MEN』シリーズのヒュー・ジャックマン。彼を追う警官にオスカー俳優のラッセル・クロウがふんするほか、『プラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイ、『マンマ・ミーア!』のアマンダ・セイフライドら豪華キャストが勢ぞろいする。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
アカデミー賞では助演女優賞(アン・ハサウェイ)、録音賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の3部門を受賞した。
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
格差と貧困にあえぐ民衆が自由を求めて立ちあがろうとしていた19世紀のフランス。ジャン・バルジャンは、パンを盗んだ罪で19年間投獄され、仮釈放されたものの生活に行き詰まり、再び盗みを働く。しかし、その罪を見逃し赦してくれた司教の慈悲に触れ、身も心も生まれ変わろうと決意。
マドレーヌと名前を変え、工場主として成功を収め、市長の地位に上り詰めたバルジャンだったが、警官のジャベールは彼を執拗に追いかけてくるのだった。そんな中、以前バルジャンの工場で働いていて、娘を養うため極貧生活を送るファンテーヌと知り合い、バルジャンは彼女の幼い娘コゼットの未来を託される。
ところがある日、バルジャン逮捕の知らせを耳にした彼は、法廷で自分の正体を明かし再び追われることになり、ジャベールの追跡をかわしてパリへ逃亡。コゼットに限りない愛を注ぎ、父親として美しい娘に育てあげる。だが、パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発、バルジャンやコゼットも次第に激動の波に呑まれていく……。

公開前から楽しみにしていたこの作品、仮に公開と同時の昨年末に観賞したら、間違い無くこの作品が私の中で「2012年の年間1位」であったが、今年に入って最初の観賞作品が早くも年間1位候補の最有力候補になった。
この映画はミュージカルであり、セリフも全てが音楽の歌詞で構成されているのに、ストーリーや時代背景などどれを取っても無駄なシーンが一つも無く158分の上映時間を長く感じなかったどころか、まだ観ていたいそんな気分にさせられた映画って今までどの位あっただろうか?
ストーリーの構成が全て歌詞で進行するという難しさを克服したのは、やはり、出演陣の素晴らしさとそれをまとめる監督の凄さに他ならない。ミュージカル映画に在りがちな、撮影前に音楽部分を録音して場面に併せて口パクで演技するというスタイルは取らず、この映画化の条件だったのがシーン毎に歌と同時に撮影するという、まさに舞台のスタイルを踏襲した。
ヒュー・ジャックマンのジャン・バルジャンと彼を追うジャヴェール役のラッセル・クロウはストーリーの核だが、そこに絡んでくるコゼットとフォンテーヌを演じたアマンダ・セイフライドとアン・ハサウェイも見事。後半のコゼットとマリウスの恋物語にフランス革命の行方が大きく左右するようになり、最後にジャン・バルジャンを追いながらも力尽きてセーヌ川に身を投げたジャヴェール。どれもが一本に繋がる見事な流れだった。
自分は一度観た映画は映画館で2度観たりDVD購入はしないのだが、この作品ならもう一度観てみたい、そんな印象を持って映画館を後にした。


映画『今日、恋をはじめます』を観て

2013-01-02 18:55:07 | 映画・邦画

12-107.今日、恋をはじめます
■配給:東宝
■製作年、国:2012年、日本
■上映時間:121分
■観賞日:12月30日、TOHOシネマズ有楽座(有楽町)
■料金:0円(1カ月フリーパス)

 

□監督:古澤健
◆松坂桃李(椿京汰)
◆武井咲(日比野つばき)
◆木村文乃(菜奈)
◆青柳翔(花野井)
◆高岡早紀(神崎京香)
◆長谷川初範(日比野庄一郎)
◆麻生裕未(日比野節子)
◆村上弘明(椿圭太)
◆新川優愛(日比野さくら)
【この映画について】
累計800万部を超える水波風南の人気同名コミックを、本作が映画初主演となる武井咲と松坂桃李をキャストに迎え実写化。古風で恋愛に縁のない女子高校生が、秀才だが遊び人で人気者の同級生に反発しながらもいつの間にか恋に落ちる純愛物語。劇場版では原作にオリジナルの展開が盛り込まれ、高校生ならではのイベントが四季を通して描かれる。(この項、ぴあ映画生活より転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
日比野つばきは、真面目が取り柄だが、ファッションセンスはイマイチのダサダサ女子高生。高校の入学式当日、成績トップに加え、ルックスも学校でナンバー1というモテ男、椿京汰と隣の席になる。ガリ勉地味系で“昭和女”の自分には、おしゃれや恋なんて縁がないと諦めていたつばきにとって、これがすべての始まりだった。
クラスみんなの前で突然、京汰がつばきのファーストキスを奪った上に、“自分の彼女にする”と宣言。いきなりのキスに怒り、反発しながらも、軽薄な遊び人だとばかり思っていた京汰の隠された一面を目にして、つばきは次第に惹かれてゆく。初めてのデート、初めての恋、初めてのキス……。恋することを知り、少しずつ変わってゆく。そして京汰も、まっすぐにぶつかってくるつばきに徐々に惹かれ始める……。

この映画、原作が人気コミックだとは知らなかった、と言うよりTOHOシネマズの1カ月フリーパスを使う為に観たので、そうでなければ観る予定は無かったと思う。
ストーリー的にはモテ男の椿が敢えて地味な「つばき」を彼女に選んで、自分主導で交際を始めたものの、椿の母親が家を出たことで女性不信に陥っていたことが分かり、つばきも椿との交際を通じて「成長」していくことでストーリーは進んで行く。当初は椿のイケメンさについていけなかったのに、つばきが段々と洗練されてきたことで何時の間にか「格差」が縮まって、最後には椿の方がつばきを必要とする様な形に変って行くのだが、121分の上映時間はチョイと長く感じた作品でした。椿を演じた松坂桃李は何だかこの役がハマっていた。


謹賀新年

2013-01-01 15:12:35 | 管理人のつぶやき

                謹賀新年

皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年も、昨年同様よろしくお願い申し上げます。

2012年は日本に取って震災からの復興元年とも言うべき一年で、復興に向けて力強く海外にも発信することが求められていたと思います。震災では海外から沢山の援助を頂戴し、その支援に応えるためにも、我が国が復興へ着実に進んでいる姿を見せたかった。
だけど、果たして民主党政権(+国民新党)はその義務を果たすことが出来たのでしょうか?野田首相(当時)は菅政権を引き継いで政権を担いましたが、やはり鳩山、菅政権の失政のツケは大きく、また、自公政権時代の負の遺産清算にも戸惑い、衆参ねじれ現象を解消できないまま、年末の衆議院選では歴史的惨敗を喫してしまい、安倍自民党総裁(+公明党)の政権返り咲きを許してしまいました。

安倍首相は公明党と再び連立政権を組んで夏の参議院選までどのような政権運営をして、参議院でねじれ現象を解消出来るかが課題でしょう。政権としては中国や韓国との関係や、第2期オバマ政権との同盟関係の深化など課題は多いと言えます。

堅い話はここまでにして、このブログのメインの話題は政治では無くて「映画」「野球全般」です。映画に関しては平成24年12月31日のブログをご覧いただくとして、野球に関して言えば「WBC」3連覇という大きな課題が待っています。
イチローや黒田や松坂らのMLB所属選手の参加は皆無でNPB所属選手だけでの編成で臨みますが、まずはアジアラウンドを突破してベスト4進出を決めて、サンフランシスコでの本戦まで勝ち残ることが最初の目標。私は、前回は東京ドームでのラウンドから、アメリカでの準決勝(準々決勝は不参加)から決勝戦までを生観戦しましたが、今回は東京での第2ラウンドだけになりそうです。
次には応援する埼玉西武ライオンズの5年ぶりの日本一を願って熱い応援を送ります。昨年は球団創設以来ワースト野4年連続V逸という屈辱を味わっただけに、本シーズンでのV奪回は至上命令です。だが、戦力補強に熱心なSBやハムを倒さなければ目標は達成出来ません。それだけにオフの戦力補強は心細い限りですが、何とか力を結集してファンを喜ばせてもらいたいです。

2013年が、皆様に取りまして良い一年でありますようにお祈りいたします。


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