柔道の女子選手15人が、園田隆二・全日本女子監督から暴力を受けたとして日本オリンピック委員会(JOC)に告発した問題で、園田監督は記者会見を開き、「大変なご迷惑をおかけした。これ以上、強化に携わることは難しい」と辞意を表明し、全日本柔道連盟(全柔連)に進退伺を提出した。
複数の関係者の証言によると、園田監督らは背中や尻を竹刀で叩き、頭部にゲンコツ、顔面には平手打ちを浴びせていた。「特にA選手に対してはひどかった。Aは実力はあるけど、何度、教えてもできないタイプ。腹を立てた監督に何度もひっぱたかれていた」と現場にいた関係者。けがを抱えた五輪代表へのしごきも壮絶だったという。「1本6分の乱取りを10本ぶっ続けでやらされ、男性コーチに代わる代わる(乱取りで)まわされていた。グッタリしながら投げられて、見ていて、かわいそう。ひどかった」と別の関係者は明かした。重量級の女子選手の髪の毛をわしづかみにし「お前なんか柔道やってなかったら、ただのブタだ」と人権無視の言葉で小突きまわす場面も見られた。
園田監督による暴言、暴行について、ここまで全柔連が事態を公にせずにリオ五輪までの続投を決定したことで、訴えた選手側が態度を硬化させたようだ。
園田監督が会見で語っていたように、一方通行の信頼関係ではコミュニケーション不足を指摘されても仕方が無いだろう。
日本は監督やコーチが上司、選手は部下との関係が見受けられる。だが選手ファーストの国際的な常識が日本のスポーツ界の一部には欠けている。日本代表候補選手クラスであれば技量的にはトップレベルであるはずなので、指導者は自分の型にはめた指導では無く、選手の個性やタイプによって指導方法を変えるなどが必要なのではないだろうか?
--2010年8月から12年2月までに5件の暴力があったというのは事実か
「事実です。ただ、私自身は暴力という観点で選手に手を挙げたという認識は全くなかった。選手に対して、あとひと踏ん張りしてほしい、ここで頑張ってほしい、一つ壁を乗り越えてもらいたいという精神的な部分で手を挙げてしまった」
--コミュニケーションという部分で、選手との溝はいつごろからできたのか
「選手とのコミュニケーションについては、練習で厳しくやっている分、どこかで抜いてあげるために合宿中は1回は食事会をして、そこで選手からも要望を出してもらえるようにと思っていた。食事会の席では、選手をリラックスさせ、柔道に対しての思いについても話してくれていると思っていたが、それが一方的な部分だった。一方的な解釈をしていたということだった」
--辞任しようと思ったのはなぜか
「一番は選手がどう戦うかであり、どう強くなっていくかが大事だ。それを考えた場合には、お騒がせしている中で私自身がこれ以上続けていくことは、選手にも不安を与え、負担にもなると思った」
--暴力を使わずに指導できなかった原因は
「私の指導力不足が一番の原因。伝える力というか、どう伝えれば選手はわかってくれるのか、伝える力をもっと持っていればと思う」