kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『完全なる報復』を観て

2011-01-30 00:00:00 | アメリカ映画 2011

11-9.完全なる報復
■原題:Law Abiding Citizen
■製作年・国:2009年、アメリカ
■上映時間:108分
■字幕:松浦美奈
■鑑賞日:1月29日、TOHOシネマズ・みゆき座(日比谷)
■料金:1,600円

スタッフ・キャスト(役名)
□監督:F・ゲイリー・グレイ
□脚本:カ-ト・ウィマー
□編集:タリク・アンウォー
□音楽:ブライアン・タイラー
◆ジェラルド・バトラー(クライド・シェルトン)
◆ジェイミー・フォックス(ニック・ライス)
◆コルム・ミーニイ(ダニガン捜査官)
◆マイケル・アービー(ガーザ捜査官)
◆ブルース・マッギル(ジョナス・カントレル)
◆レスリー・ビブ(サラ・ローウェル)
◆グレゴリー・イッツェン(ウォーデン・アイガー)
◆レジーナ・ホール(ケリー・ライス)
◆ヴィオラ・デイヴィス(フィラデルフィア市長)

【この映画について】
かつて独立宣言が採択され、合衆国誕生の地と呼ばれる都市フィラデルフィアを舞台に、復讐のために法を破る男と検事として法を守る男、この互いが持つ“正義”のぶつかり合いを先の読めないストーリー展開と圧倒的な緊迫感で描く。
監督は『交渉人』のF・ゲイリー・グレイ。脚本は『ソルト』を手掛けたカート・ウィマー。司法にも裏切られて復讐に燃える男・クライドを、『オペラ座の怪人』『300<スリーハンドレッド>』のジェラルド・バトラーが演じる。また『Ray/レイ』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスが、上昇志向の強い検事・ニックを演じる。
(この項、gooより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
かつて独立宣言が採択され、合衆国誕生の地と呼ばれる北米の都市フィラデルフィア。幸せな毎日を過ごしていたクライドの眼前で妻子が無残な手口で殺された。犯人は逮捕されるが、上昇志向が強く、有罪率のアップを狙う担当検事ニックの独断によって司法取引が行われ、クライドは司法取引を行わないように懇願するがニックは聞き入れずに、主犯格の犯人は極刑を免れ共犯者が極刑となる。
10年後。共犯者エイムスの死刑執行を見届けるためにニックは刑務所に赴く。しかし、そこでは前代未聞の事件が発生する。何と、本来は無痛の薬物を注入するはずのエイムスが、拘束された体をのたうち回らせ断末魔の叫びを放って絶命した。
本来の罪から逃れ、短い刑期を終えていた犯人ダービーが今度は何者かに惨殺される。クライドは自分が殺したことをあっさりと認め、家族を貶めた司法制度の不備と整備を訴える。そしてそれが出来なければ、裁判に関わった全ての人間の命はないと殺害を予告するのだった。

クライドは収監されるが、ニックの取り調べに対して、ニックがかつてクライドの家族殺害犯に対してしたように「司法取引」を求める。曰く、供述してもらいたければ要求を呑めと強要し、あらゆる理不尽な要求を突き付け、遂に、独房へと収容されるが、これこそがクライドの狙いだったとは最後に判明する。
妻子を殺した犯人の弁護士、裁判を担当した判事が次々に暗殺され始めた。ニックは、死にゆく仲間のためにも懸命に食い止めようとするが、共謀者の有無、独房からの凶行の謎さえ解けないでいた。その間にもクライドの正義の名の下に行われる復讐は続くが、クライドは刑務所にいるはずなのに、何故か人が死んでいく。共犯者が外部にいるのか?ニックにはどうしてもその謎が解けなかった。

そもそもクライドは暗殺にプロ中のプロだった訳で、刑務所にいながら暗殺をするのも朝飯前?と思いきや、彼が10年間の間に不自然に廃屋などを買いあさっていた事実が発覚し、ニックはそれをしらみつぶしにしていき、遂に、刑務所のすぐ傍の倉庫にヒントを発見。
そこにこの映画のオチがあるのだが、このオチ「アルカトラズからの脱出」の逆バージョン?とも言える。アルカトラズは島から脱出するために独房から工夫を凝らすのだが、こちらはその逆と言えば良いだろうか?

ニックがそのカラクリに気が付いたのは余りにも遅すぎた。女性市長からも檄を飛ばされ警察の威信が懸っていたのだが、何とかクライドの悪事を最後は断ち切ることに成功した。

この作品はジェイミー・フォックスとジェラルド・バトラーの絡みがウリなのだが、再三に渡って「司法取引」が話題に出てくる。日本では馴染みのない制度だが、この制度の良し悪しはさておき、クライドは司法取引によって犯人の一人が重罪を免れたことから、今度は自分がその制度を逆利用する形で、報復をするというのが全体の流れ。
犯人二人の暗殺は見事だったが、刑務所に入ってからの暗殺も市に恐怖感を与えるには十分だったが、オチを知ってしまうと「何~んだ、そういう事か」って思ってしまうけど、二人の対決と黒人であるニックが検察官としてトップを目指すには、有罪率を限りなく100%にすることが大事と言わんばかりに司法取引を行う。
アメリカの司法制度の矛盾と、黒人が出世する苦労、家族愛の強さ、家族を失った男の執念深さ、黒人女性市長が見せる威厳などが上手く表現され一つの作品としては見事だった。


センバツ出場校が決定!

2011-01-28 00:00:00 | 高校野球

3月23日に開幕する第83回センバツ高校野球大会(甲子園)の出場32校を決める選考委員会が開かれ、21世紀枠には佐渡(新潟)、城南(徳島)、大館鳳鳴(秋田)の3校が選出された。いずれも春夏通じて初の甲子園。
昨年に続く連続出場は6校。4年連続の天理高を筆頭に、東海大相模高(神奈川)、日大三高、大垣日大高(岐阜)、智弁和歌山高(和歌山)、関西高(岡山)が2年連続の出場が決まった。なお、夏の甲子園を含めた連続出場は天理高が5季連続で最多となっており、智弁和歌山高が4季、東海大相模高が3季、水城高、履正社高(大阪)、報徳学園高、明徳義塾高(高知)、鹿児島実高(鹿児島)、九州学院高(熊本)の計6校が2季連続の出場だ。

尚、春夏通じての初出場は6校。今大会注目が集まるのは、2010年4月創部で選抜出場を決めた創志学園高。史上最速での甲子園出場となる。1年生のみのメンバー(大会時には新2年生)でまずは甲子園初勝利を目指す。
私の住む東京からは、昨秋の神宮大会を制し「秋の日本一」に輝いた、昨春の準優秀校でもある日大三に優勝の期待が集まる。その日大三が神宮大会で優勝したことで、東京から2校目として国学院久我山が選ばれた。
国学院久我山は井口(千葉ロッテ)の母校でもありラグビーの強豪校としても有名だ。私の住む杉並区からの出場で、自宅からも比較的近い高校なので是非頑張ってもらいたいです。

ライオンズのおひざ元の埼玉県からは、秋季関東大会王者の浦和学院が出場。浦和学院は石井義、坂元がOB、東海大相模は原、山本がOB、国学院久我山は秋元コーチがOB、横浜は後藤、涌井がOB、静清はルーキー牧田がOB、松下は明徳義塾OB、九州学院は高山がOB。意外とライオンズ選手の出身高校の出場は少ないですね。

[出場校]


▽北海道


北海(北海道) 16年ぶり12回目


▽東北


東北(宮城)  3年ぶり19回目


光星学院(岩手) 2年ぶり5回目


▼21世紀枠


大館鳳鳴(秋田) 初出場


▽東京+神宮大会枠1


日大三(東京) 2年連続18回目


国学院久我山(東京)26年ぶり3回目


▽関東


浦和学院(埼玉)6年ぶり7回目


東海大相模(神奈川) 2年連続9回目


横浜(神奈川) 3年ぶり13回目


水城(茨城) 初出場


前橋育英(群馬) 初出場


▽東海


大垣日大(岐阜) 2年連続3回目


静清(静岡)初出場


▽北信越


金沢(石川) 7年ぶり9回目


日本文理(新潟) 2年ぶり4回目


▼21世紀枠


佐渡(新潟) 初出場


▽近畿


天理(奈良)4年連続21度目


履正社(大阪)3年ぶり3回目


智弁和歌山(和歌山) 2年連続10回目


報徳学園(兵庫)2年ぶり18回目


京都成章(京都)13年ぶり2回目


加古川北(兵庫) 初出場


▽中国


関西(岡山) 2年連続11回目


創志学園(岡山)初出場


総合技術(広島)初出場


▽四国


明徳義塾(高知)3年ぶり14回目


香川西(香川)初出場


▼21世紀枠


城南(徳島) 初出場


▽九州


鹿児島実(鹿児島) 15年ぶり8回目


九州国際大附(福岡) 19年ぶり2回目


九州学院(熊本)9年ぶり4回目


波佐見(長崎) 初出場


映画『愛する人』を観て

2011-01-24 00:00:00 | ヨーロッパ映画

11-8.愛する人
■原題:Mother And Child
■製作年・国:2009年、アメリカ・スペイン
■上映時間:126分
■字幕:松浦美奈
■鑑賞日:1月22日、TOHOシネマズ・シャンテ(日比谷)
■料金:1,800円

スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア
□製作総指揮:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
□編集:スティーヴン・ワイズバーグ
□音楽:エドワード・シェアマー
◆アネット・ベニング(カレン)
◆アイリーン・ライアン(カレンの母ノラ)
◆サミュエル・L・ジャクソン(ポール)
◆ナオミ・ワッツ(エリザベス)
◆ケリー・ワシントン(ルーシー)
◆チェリー・ジョーンズ(シスター・ジョアン)
◆デイヴィッド・ラムゼー(ジョセフ)
◆ジミー・スミッツ(パコ)
◆エリペィディア・カリーロ(家政婦ソフィア)

【この映画について】
この作品は『Mother & Child』という原題の通り、“母と子ども(娘)”の物語だ。劇中には、多くの母と娘が登場する。娘を手放した事を悔やみ、常に悔恨に苛まれて生きる母親。母に捨てられ、刹那的に生きる娘。子どもが欲しいと願い、なんとかして養子を貰い受けようとする女性。
ロドリゴ・ガルシア監督は、何が正しく、何が間違っているのかと言った主張を述べる事はなく、彼女らの選択を淡々と映し出す。娘を捨てた母親を演じたアネット・ベニング、母親に捨てられた娘を演じるナオミ・ワッツが、心境の変化によって顔つきや表情まで変化していく演技も素晴らしい。様々な選択が可能になったこの時代だからこそ、多くの女性に観て欲しい一作だ。
監督は「彼女を見ればわかること」のロドリゴ・ガルシア。第39回ドーヴィル映画祭でグランプリを受賞。
(この項、gooより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
14歳の時、カレンは恋人の子供を身籠るが、母親の反対で娘を手放すことになる。36年後。周囲との深いかかわりを避けてきた彼女は、介護をしながら一緒に暮らす年老いた母に対して、素直に接することができないでいた。
職場で出会ったパコはそんな彼女を理解してくれるが、関係はうまくいかない。だた、名前も顔も知らぬわが娘を密かに想い、届く事のない手紙を書き続ける日々。一方、母親の愛情を知らずに育ったエリザベスは、弁護士として成功。孤児であることを否定するように、物事に執着せずキャリアアップの人生を歩んでいた。
だが、彼女に予想外の出来事が起こる。同じ会社のボスの子供を妊娠してしまったのだ。この出来事が彼女を変える。今までのキャリアを捨て、産むことを決意したのだ。これにより、彼女はずっと閉ざしていた母の存在を意識し始める。
その頃、カレンの母親が亡くなる。生前、母に対して本当の気持ちを伝えられなかったことを悔やむかのように、カレンは娘を探し始める。
同じ頃、黒人女性のルーシーは、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だったが、実際に生まれると子供を手放せなくなってしまう。
失意のルーシー。そこへ、登録していた教会から連絡が入る。それが、見知らぬ母と娘を結びつけることになる。
若くして産んだ娘を手放したことを後悔しながら生きてきたカレン。母の愛を知らずに、拒絶することが当たり前になっていたエリザベス。母と娘の空白の36年間。決して重なるはずのない2人の人生を、一つの小さな命が引き寄せようとしていた。

ここには原題通り、何組かの「母」と「子」が登場する。邦題より原題の方がストーリー的にはしっくりと来る。中でもやはりその中心は、「ノラ」「カレン」「エリザベス」の三人の「母」と「娘」の関係で、更には、「カレン」とエリザベスが命懸けで産んだ「娘」(カレンからみると孫)との今後の関係までもが暗示されながら終わる。
エリザベスは自らの生まれ育った環境から、自分一人でキャリアを積んで生き抜く決意を胸に秘めている。にも関わらず、引っ越してきた隣家の若夫婦の夫をベランダ越しに誘惑したり、上司のポールを部屋に招き入れ、激しく行為に及んだりと、仕事だけでは無く私生活もどこか「他人とは違う」雰囲気が漂っている。
そして、ポールには家庭があるのだがエリザベスはポールの子を妊娠し迷った末に一人で出産することを決意し、ポールの前から忽然と姿を消す。一度は、ポールの娘に偶然にも転職先を知られてしまい、ポールに優しい言葉をかけてもらうが再度ポールの視界から消えてゆく。
エリザベスとカレンの母娘の行方探しも、タイミング良く挿入されるのだが、カレンは教会の仲介で娘を探すために手紙を書くのだが、これは教会の事務側の単純ミスで会えそうで会えなくなるのがミソ。
そのエリザベスはポールの子を難産の末に産むのだが、医師の忠告を振り切っての出産で死んでしまうのは気の毒だった。それでもその子が、実は、カレンの自宅の傍でエリザベスと同じようにある親子に引き取られ再開を果たすのは感動的でした。

このストーリーは、アメリカならではの社会的そして宗教的な背景もある。そもそも産んだ女性は不倫の子だったり、初体験時に避妊をしなかったのが原因で14歳で彼氏の子を身籠ったりと、そうして子供を養子として育ててくれる(たとえ子供がいても)寛容な土壌がある。
その反面、一度養子に出すと二度と会えないのが原則で、探すのは困難を極める。
今回のストーリーでもそうした要素が全て反映されていたのだが、脚本が良いので、ジメジメとした暗さは感じないし、むしろ最後は希望を感じさせるエンディングだった。

ナオミ・ワッツの妊婦姿はCGでは無く実際に彼女が妊娠している時に撮影したそうだ。そのワッツは難しい役柄だったと思うが、それぞれ異なる状況を巧みに演じ分けていた。
カレン役のアネット・ベニングは、若気の至りで失った娘の行方を気にかけながら、家政婦との関係も母との関係もギクシャクしながらも、最後は、「孫」と対面出来て何だか晴れ晴れとした表情で終わったのが印象的。彼女はアカデミー協会の理事でもあり、この演技で助演女優賞候補にノミネートされた。果たして職権で?受賞はなるか?
他ではサミュエル・L・ジャクソンは登場シーンこそ多くは無いが存在感あり。脇を固める俳優達の配役も見事でした。


映画『白いリボン』を観て

2011-01-21 00:00:00 | ヨーロッパ映画

11-7.白いリボン
■原題:Das Weisse Band(The White Ribbon)
■製作年・国:2009年、ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア
■上映時間:144分
■字幕:齋藤敦子
■鑑賞日:1月15日、新宿武蔵野館(新宿)
■料金:1,800円

 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
□撮影:クリスティアン・ベルガー
□衣装:モイデル・ビッケル
◆クリステイアン・フリーデル(教師)
◆レオニー・ベネシュ(エヴァ)
◆ウルリッヒ・トクゥール(男爵)
◆ウルシナ・ラルディ(男爵夫人)
◆ミヒャエル・クランツ(家庭教師)
◆ブルクハルト・クラウスナー(牧師)
◆ヨーゼフ・ビアビヒラー(家令ゲオルク)
◆ライナー・ボック(ドクター)
◆スザンヌ・ロタール(助産婦)

【この映画について】
第一次世界大戦前夜の北ドイツの村で起きた奇妙な事件。ひとつひとつは小さな事件かもしれないが、その奥には不気味な通低音が流れている。それは何かの“罰”なのだろうか。だとしたら、誰が、何のためにしているのか。
ハネケ監督は『隠された記憶』でも、小さな事件が重なる事によって不気味なうねりを作っていたが、今回も“謎解き”ではなく、事件の背後にあるものを私たちに考えさせる。
事件の裏には子供たちが関係していることは察しがつくが、その理由も行為も明らかにしていないからだ。観た人それぞれに解答はあるだろう。ヒントは、この映画の舞台となった時代のドイツの子供たちは、1930年代にナチズムが台頭したときに、それを支える世代になったという事だ。
出演は、映画初出演のクリスティアン・フリーデル、「セラフィーヌの庭」のウルリッヒ・トゥクール。カンヌ国際映画祭パルムドール、ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞を受賞したクライム・ミステリー。
(この項、gooより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
1913年7月、北ドイツの小さな村。ドクターが自宅前に張られた針金のせいで落馬し、入院する。隣に住む助産婦が、彼の子供たちの面倒をみる。
牧師の娘と弟マルティンは帰りが遅くなり、牧師から“白いリボン”の儀式を言い渡される。翌日、男爵の家の納屋の床が抜け、小作人の妻が亡くなる。教師は、男爵家の乳母エヴァと初めて言葉を交わす。秋、男爵家で収穫祭の宴が行われている頃、小作人の長男マックスは、男爵家のキャベツ畑を荒らしていた。
その夜、男爵家の長男ジギが行方不明になり、杖でぶたれ逆さ吊りの状態で見つかる。後日、男爵夫人は子供たちを連れ、実家のあるイタリアに向かう。
退院したドクターは、診察室で助産婦と情事に耽る。冬、次々起こった事件は一向に解決しない。さらに、部屋の窓が開いていたため家令の赤ん坊が風邪をひくという出来事も起こる。エヴァが町で働くことになり、教師は求婚に行くが、父親から1年待つよう言われる。
ある夜、男爵家の納屋が火事になり、小作人が首を吊って死んでいるのが見つかる。ドクターは隣家に住み家の面倒を見てきた助産婦に、一方的に罵詈雑言を浴びせ別れを告げる。
春、男爵夫人は実家のあるイタリアから子供と新しい乳母を連れ、戻ってくる。教師は家令の娘から、助産婦の息子カーリが酷い目に遭う夢を見たと聞かされる。
その後、カーリが失明するほどの大怪我を負って発見される。自分の息子たちがジギを川に突き落としたことを知った家令は、杖で体罰を加える。カーリの事件の犯人が分かったと聞いた教師は、子供たちの関与を疑う。
ドクターと助産婦と子供たちの姿が消え、一連の事件は彼らの仕業だと噂が広がる。その後、教師はエヴァと結婚し、徴兵される。終戦後は町で仕立屋を開き、村人たちとは2度と会うことはなかった。

ハネケ作品には独特の「間」と「構成」があり、私は、ジュリエット・ビノシュが出演した「隠された記憶」に続いて今回のは2作目の観賞だが、正直言って良く分からなかった(今回も途中で睡魔に襲われてしまい...)。
「隠された記憶」でもそうだったのだが、結末が示されないので、観客は自分で結末を想像するしかない。今回のは、舞台が1910年代の北ドイツの田舎町での出来事という設定であり、閉鎖的な町は男爵一家が大地主であり、地元民は何らかの形でこの一家の恩恵を受けるか小作人として働いている世界で、警察の介入も原則としてない。
そんな閉鎖的な社会で起こった不可解な事件が連続して発生するものの、誰もが犯人探しには協力をしないしそんな雰囲気も無い。物語の中心は基本的には教師の回想で終始し、その教師が内気な17歳のエヴァとの交際が唯一の明るい話題である。
そんな作品なので展開は終始重く、しかもモノクロ映像なので余計に重く感じる。

エンディングは突然に訪れる。内容は宗教的でもあり、階級社会への警鐘でもあり、異なる倫理観への皮肉でもあるが、この子供たちがやがて訪れるヒトラー時代の大人になることから、こういう子供時代を過ごした子供がドイツを破滅に追い込んだという事を、一つの村での出来事をモデルにして訴えたかったのだろうか?
それはあくまでも管理人である私の感想であり、ハネケ監督の意図と一致するかは分かりません。


映画『デザート・フラワー』を観て

2011-01-18 00:00:00 | ヨーロッパ映画

11-6.デザート・フラワー
■原題:Desert Flower
■製作年・国:2009年、ドイツ・オーストリア・フランス
■上映時間:127分
■字幕:西村美須寿
■鑑賞日:1月15日、新宿武蔵野館(新宿)
■料金:1,800円

・キャスト(役名)
□監督・脚本:シェリー・ホーマン
□製作:ピーター・ヘルマン
□撮影監督:ケン・ケルシュ
□衣装デザイン:ガブリエル・ビンダー
◆リア・ケベデ(ワリス・ディリー)
◆サリー・ホーキンス(マリリン)
◆ティモシー・スポール(ドナルドソン)
◆ジュリエット・スティーヴンソン(ルシンダ)
◆クレイグ・パーキンソン(ニール)
◆アンソニー・マッキー(ハロルド)

【この映画について】
アフリカ・ソマリアの遊牧民出身のトップ・モデル、ワリス・ディリーの半生を映画化した本作。不法滞在の少女が、幸運や友人に恵まれてモデルとして花開いていく姿を描いているが、ただのシンデレラ・ストーリーに終わらない。
トップモデルとなった自分に満足するだけでなく、ワリスは自分が三歳の時に受けたFGM(女性性器切除)を告白し、アフリカの一部地域で行なわれている女性虐待の事実を告発するのだ。様々な過酷な体験を乗り越え、女性の人権を守るために立ち上がる彼女の強さや美しさは、“デザートフラワー(砂漠の花)”と呼ばれるにふさわしい。
ワリスを演じたリヤ・ケベデも、アフリカ出身のトップモデル。彼女の演技にも注目してほしい。他の出演は「17歳の肖像」のサリー・ホーキンス、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」のティモシー・スポール、「華麗なる恋の舞台で」のジュリエット・スティーブンソン、「ハート・ロッカー」のアンソニー・マッキー、「コントロール」のクレイグ・パーキンソンなど。(この項、gooより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
アフリカ・ソマリアの貧しい家庭で生まれ育ったワリス・ディリーは、13歳のとき、父親にお金とラクダ引き換えに父より遥かに年上の男性の4番目の妻として結婚をさせられそうになった。
涙目で母に訴えても母にはどうすることも出来ない。婚前前の夜中、ワリスは一人裸足で砂漠を放浪し、家族のもとを離れる決意をする。広大な砂漠を命からがらたった一人で抜け出し、母方の祖母を頼りに首都のモガディシュ(モガディシオとも称される)までやってきた。
親戚がロンドン大使館に勤務していることから、住み込みで清掃の仕事をすることになりロンドンへたどり着いた。
だが、母国で政変が発生し、急遽、大使館員らは大使館を閉鎖して帰国することになるが、ワリスは混乱の中、ロンドンに残留することを決めた。

ワリスは、故郷とは真逆の刺激に満ちた大都会で孤独な路上生活を送っていた。そんなある日、マクドナルドで清掃係として働いていたところを、一流ファッションカメラマンにスカウトされたことで彼女はモデルへと劇的な転身を遂げる。やがて名実ともに世界的ファッションモデルとなったワリスだったが、華やかな外見とはうらはらにその胸中には衝撃の過去が秘められていた……。
ワリスはある日、ブティック店で買い物をしている時、店員のマリリンに万引き犯と感違いされるが、これをきっかけに路上生活からマリリンが自宅代わりにしているホテルの部屋に同居することになった。
このマリリンと知り合ったことから、彼女の運命は徐々に開けていくことになる。有名写真家にスカウトされ、そこからモデルへの転身を図る。モデルに起用されてからはとんとん拍子に売れっ子になるが、パリで行われる仕事が初の海外での仕事になるが、空港で旅券が無効であることが判明。
急遽、周囲の機転でホテルの清掃をしている男性との偽装結婚で何とか滞在許可を得る。だが、相手男性は元々ワリスに好意を抱いていたことから「夫婦関係」を迫られるがこれを何とか回避した。

この頃から、自信を付けたワリスの快進撃は続くのだが...自分の知名度を利用して、雑誌インタビューでソマリア時代にFGMを受けていたことを告白する。
ここからは彼女のサクセス・ストーリーからは外れて、アフリカで行われているFGMを止めさせる運動についてが延々と語られる。
彼女のサクセス・ストーリーだけでも充分に堪能出来るのだが、ここから先のこの問題に関する話題が続くので、作品としての全体のイメージが変わってしまったことは残念だ。日本ではこういう問題は関心が無いと思われるだけに、この辺の話題を作品の中心に据える構成は理解出来なかった。

その問題を抜きに考えれば、彼女は、幸運にも英国へ辿り着き、ファッション・モデルとして国際的に成功を収めたのだから、充分に波乱万丈の人生をここまで過ごしてきたのだと思う。ワリスを演じた女優も隣国のエチオピア出身のモデルであるので、作品を通しての感情移入も出来る。
最初は拙かった英語力も、モデルとして成功するに英語力も向上し国連で演説するまでに成長した。その成長の陰にはダンサーを目指しながらも成功を収めることが出来なかったマリリンの存在も大きかった。
そのマリリン役のサリー・ホーキンス、ワリスとは逆に自室に男を連れ込み男性との行為に更けワリスを困らせるのだが、彼女の機関銃の様なトークや表現力豊かな表情は、良いアクセントになっていた。


阿久根市長選 新人・西平良将氏が初当選

2011-01-17 21:20:08 | 時事ニュース・国内

「竹原流」に有権者は「ノー」

竹原信一前市長に対するリコール(解職請求)成立に伴う鹿児島県阿久根市の出直し市長選は、リコール運動を進めた市民団体の元役員で新人の西平良将氏(養鶏業)が竹原氏を破り初当選した。
議会を招集せずに専決処分を繰り返す市政運営で波紋を呼んできた竹原氏だが、その独善的な手法に市民が「NO」を突きつけた。
地元出身の竹原氏は2008年に市長に初当選したが、就任当初から議会と対立。2度の不信任決議案で失職した。2009年5月の出直し市長選で再選されたが、リコール成立で再び失職し、今回の出直し選挙で新人の西村氏に敗れた。

得票数は、西平氏が8509票、竹原氏は7645票だった。

「西平氏にではなく、市職員組合に負けた。今回の選挙は彼らの力が大きかった」。竹原氏は憮然(ぶぜん)とした表情で敗戦の弁を語った。最大の焦点になった専決処分に関する質問に「報道が選挙結果に影響した」などと批判を繰り返したが、「政治家を続けていくのか」との質問には「分からない」と述べ、約6分で記者会見を打ち切った。
一方、当選した西村氏は竹原前市長に対しては「われわれ市民に考える機会を与えてくれた」と謝意を表明し、「彼がやろうとしていた方向性は間違っていないと思う。問題はやり方だった」と指摘した。
確かに竹原前市長はその余りにも独裁的な手法に市民の批判が集中していたが、西村氏もそうした手法を改めるが方向性は間違っていないと指摘している。
地元経済の先行きが暗い中で、市役所職員の平均年収(600万円台)が地元の平均値(400万円台)より遥かに高いことから、竹原氏は思い切った手段を使ったのだろうが、結局は自身が敗戦の弁で語っていたように、職員組合の反発ばかりか有権者からも反発され、自らの手法を改めることなく失職した。

阿久根市は度重なる市長選の実施が市民の生活に影響しただろうから、今後、西村新市長は市役所職員の給与引き下げだけでは無く、市民生活の向上に向けて待ったなしで取り組むことが求められる。


映画『しあわせの雨傘』を観て

2011-01-16 00:00:00 | ヨーロッパ映画

11-5.しあわせの雨傘
■原題:Potiche
■製作年・国:2010年、フランス
■上映時間:102分
■字幕:松岡葉子
■鑑賞日:1月14日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)
■料金:1,000円


スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本・脚色:フランソワ・オゾン
□編集:ロール・ガルデット
□撮影監督:ヨリック・ル・ソー
□衣装:パスカリーヌ・シャバンヌ
◆カトリーヌ・ドヌーブ(スザンヌ)
◆ジェラール・ドパルデュー(ババン)
◆ファブリス・ルキーニ(ロベール)
◆カリン・ヴィアール(ナデージュ)
◆ジュディット・ゴドレーシュ(ジョエル)
◆ジェレミー・レニエ(ローラン)

【この映画について】
ジョギングが日課の裕福な妻が、心臓発作で倒れた夫の代わりに雨傘工場を任されたことで意外な才覚を発揮していく人間ドラマ。
フランソワ・オゾン監督とカトリーヌ・ドヌーヴが『8人の女たち』以来のタッグを組み、一人の主婦が問題を乗り越えながら自分の居場所を見つける姿を、コミカルな演出を交えながら描く。ジャージ姿や歌声を披露する大女優カトリーヌのコケティッシュな魅力満載で、涙あり笑いありの女性賛歌に共感必至。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
毎朝のジョギングとポエム作りに励むスザンヌ・ピュジョルは、優雅で退屈な毎日を送るブルジョワ主婦。結婚30年になる夫のロベールは雨傘工場の経営者で、スザンヌには仕事も家事もやるなと命令する典型的な亭主関白だ。
娘のジョエルは、父親が秘書のナデージュと浮気しているのは「パパの言いなりのママのせい」だと非難する。一方、息子のローランは芸術家志望。工場を継ぐことには全く興味がなく、異母兄妹かもしれないとも知らず、父親の昔の浮気相手の娘と恋愛中だ。
そんな中、雨傘工場はストライキに揺れていた。労働組合の要求を断固拒否したロベールは社長室に監禁され、それを知ったスザンヌはその昔、短くも燃えるような恋に落ちた市長のモリス・ババンに力を貸してくれと頼みに行く。
今でも彼女のことが忘れられないババンの尽力でロベールは解放されるが、ストのショックで心臓発作を起こし倒れてしまう。そんな騒動の中、何も知らないスザンヌがいつの間にか工場を運営する羽目になる。しかしスザンヌは、その明るく優しい性格で従業員たちの心を掴んでいくのだった。

組合との交渉で、創業者の娘でもある彼女は、父親の代から勤める従業員たちに対して家族のような思いやりを持って接し、ストは終結。今やスザンヌの主婦目線による自然体の経営方針が次々と花開き、工場は見違えるように業績を伸ばしていた。
ジョエルとローランも母親をサポートし、ナデージュさえスザンヌに心酔している。だが、やっと自分の人生を歩き始めたスザンヌのもとに、退院した夫が帰ってきた……。
夫は会社が妻に支配されているとは知らず、直ぐにも社長に復帰出来ると思っていたところ、元々は妻の父が作った会社であり従業員は創業家のお嬢様である妻に従順であった。女性の視点で会社の景気が上向き社長業が楽しくなり始めたのに夫が復帰すれば、再び「家庭のお飾り」のような生活には戻りたくないと考えていた。
しかし、役員会の決議で社長復帰を狙った夫は娘を懐柔し、娘は父に、息子は母に着いたが結局は娘の裏切りにあって夫の社長復帰が決まる。「女の敵は女」だったと言うのがここまでのオチだが、女は逞しかった。

自信を付けたスザンヌは何と市議会選挙に打って出て当選してしまう。議員となれば今度は会社を違った角度から支配できると考えたのだろうが、まあ、この辺りはチョイと突拍子もないのだが、オゾン監督とドヌーブが演じると決してそんな感じがしないのは不思議だ。

本作はオゾン監督独特の女性を賛美する姿勢は変わらず、ドヌーブへ対する敬愛の念を感じる作品になっている。それにしてもこの映画を観ていると、'70年代のフランス女性の地位って随分と低く感じるけど実際はどうなのかな?これでは日本と変わらない感じがする。原題の「Potiche」とは直訳すると「飾り壺」だそうだが、「お飾り」と言った方が良いかも?

夫ロベールは典型的な亭主関白で、創業家の妻に対しては「何もしなくて良い!」「意見を言うな!」と散々言われ続ける。それが、ロベールの病を境に立場は変わり、今度はスザンヌがロベールに三行半を突き付ける。自身に長年恋心を寄せるババン市長を都合良く手玉に取ったり、選挙に立候補して当選したりと、今までのお飾り生活が嘘のように自信を持つ。
しかし、そのスザンヌに「ノー」を突き付けたのは娘であり、味方になったのは息子である点が皮肉だった。最後も、身内である家族は選挙活動を快く思わず、最大の敵は「身内」である点が強調されて終わった。

ドヌーブはこの映画で真っ赤なジャージーを着用したり、ディスコダンスに興じたりと、相変わらず若さを前面に出しているが、体型だけは誤魔化せず「歳」を感じさせられました。観客もそんなドヌーブを観たさに足を運んだとみえ、年金世代の人が多く40代後半の私は若い部類の観客でした。


菅再改造内閣が発足―枝野官房長官ら新任4人

2011-01-14 00:00:00 | 政治

政策重視の布陣も実現の前途は多難

菅首相は、首相官邸に組閣本部を設置し、枝野新官房長官が閣僚名簿を発表した。退任させる「反日議員」岡崎国家公安委員長の後任には中野元衆院副議長を起用した。法相就任の打診に難色を示していた「死刑廃止論者」で菅首相とは社民連以来の長い付き合いでもある江田前参院議長は、首相の再度の要請を受け入れた。江田氏は一時官房長官候補として名前が挙がっていたが、調整能力に難があるとのことで仙石官房長官が兼務していた法相に落ち着いた。

46歳の枝野氏を補佐する官房副長官には78歳の藤井元財務相を充てた。藤井氏は鳩山内閣発足時に財務相として入閣したが、健康問題を理由に辞任していた。

 


閣外に去るのは、参院で問責決議を受けた仙谷官房長官と、「尖閣問題での責任を問われていた」馬淵国土交通相、警視庁テロ情報の流出が問題となった「反日議員」岡崎氏の3人に留まった。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加問題に消極姿勢を示していた大畠経済産業相は国土交通相、海江田経済財政担当相は経産相に横滑りさせた。

今回の再改造内閣の中でのサプライズ人事は、自民党を離党し平沼氏と共同代表を務めていた与謝野氏の入閣だ。与謝野氏は海江田氏と同じ東京1区の選挙区を地盤としており、前回選挙では海江田氏が与謝野氏を小選挙区で破り、与謝野氏は比例代表で復活当選していた。2人の小選挙区での対戦は海江田氏の3勝2敗であるが、今回の入閣は自民党内閣時代は同選挙区の議員同士の入閣はタブー視されていただけに、菅首相はその禁を破ってしまい、海江田氏は横滑りでポスト変更となり「不条理だ」と不満を隠さない。
菅首相は与謝野氏の経済財政担当相の起用について「持続可能な財源をいかにしていくか議論を国民的に高めたい」と述べ、与謝野氏を中心に消費税増税など税制改革の議論を進めていく考えを示した。
しかし、与謝野氏の起用は民主党内部にも不満があり、連立を組む国民新党も同じ考えだ。与謝野氏は民主党政権を打倒することを旗印にしていた「たちあがれ日本」に所属していたのに、今回の入閣は以前の発言の整合性を問われるだろう。自民党は与謝野氏の離党に際して除名しており、(自民党の比例代表で当選した与謝野氏に対して)反発を強めている。

まあ、与謝野氏は自分で選んだ道だけど、閣内でも味方は少ないだろうから居心地悪いだろうな~。
前原外相、野田財務相、民間人の片山総務相、高木文部科学相、細川厚生労働相、玄葉国家戦略担当相(民主党政調会長)、鹿野農水相ら
11閣僚は留任となった。
厚生労働相に一部では「新党改革」の舛添さんの入閣も取り沙汰されていたようだが細川大臣の留任となった。細川大臣より「伊達直人」大臣の方が効果があったかも...(冗談です)。


映画『アンストッパブル』を観て

2011-01-13 00:00:00 | アメリカ映画 2011

11-4.アンストッパブル
■原題:Unstoppable
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:99分
■字幕:林完治
■鑑賞日:1月10日、渋東シネタワー(渋谷)
■料金:1,600円

スタッフ・キャスト(役名)
□監督・製作:トニー・スコット
□脚本:マーク・ボンバック
□撮影監督:ベン・セレシン
□衣装デザイン:ペニー・ローズ
◆デンゼル・ワシントン(フランク・バーンズ)
◆クリス・パイン(ウィル・コルソン)
◆ロザリオ・ドーソン(コニー・フーパー)
◆イーサン・サプリー(ドゥーイー)
◆ケヴィン・ダン(ギャルヴィン)
◆ケヴィン・コリガン(ワーナー警部)
◆ケヴィン・チャップマン(バニー)
◆リュー・テンプル(ネッド)
◆T・J・ミラー(ギリース)
◆ジェシー・シュラム(ダーシー)
◆デヴィッド・ウォーショフスキー(ジャド・スチュワート)

【この映画について】
実際に起こった列車暴走事故を基に、危険な薬物を大量に積載したまま無人で暴走し始めた貨物列車を、二人の鉄道マンが止めようと奮闘するサスペンス・アクション。
『クリムゾン・タイド』『サブウェイ123 激突』など、これまで何度もコンビを組んできたトニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンが再びタッグを組む。『スター・トレック』のクリス・パイン、『7つの贈り物』のロザリオ・ドーソンが共演。小さな整備ミスから制御不能となった列車の暴走シーンに息をのむ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【この映画について】(ネタバレあり)
ペンシルバニア州の操車場。経営不振でリストラ寸前のベテラン機関士のフランク・バーンズと、親子二代に渡って会社で働く若い車掌のウィル・コルソンが初めて顔を合わせる。しかし、年齢も家庭環境も異なる2人の間には大きな溝があり、ぎこちない雰囲気のまま機関車1206号へと乗り込むことに。
やがて、2人の耳に貨物列車777号がトラブルを起こしたという情報が飛び込んでくる。運転士がブレーキを完全にかけずに運転席を離れた瞬間に、無人のままの777号が暴走を始めたというのだ。しかも、777号には大量の化学物質が搭載されていることが判明。操作不能に陥った777号は、一つの街を壊滅させるだけの威力を持った巨大ミサイルも同然だった。

様々な手段を講じて777号を停止させようとする鉄道会社。だが、そのいずれもがことごとく失敗してしまう。777号と同じ路線を走っていたフランクは、1206号を緊急待避線にすべり込ませて間一髪で衝突を回避すると、すぐさま777号の追跡を開始。
777号の最後尾に連結して、1206号のブレーキで停車させる計画だった。フランクと口論を繰り返してきたウィルは、当初その計画に反対するが、彼の機関士としての経験と直感を信じ、命懸けのその計画に同意する。
警察と鉄道会社は被害を最小限に食い止めるために、777号の人為的な脱線を計画するが、これも失敗。そしてこの様子は地元のTV局が現場からの生中継を始め、その様子は遂に全米へと中継されることになり、国民の目は、追跡を続ける1206号の行方に注がれていた。
テレビでその様子を見守る人々の中には、父親との関係がギクシャクしているフランクの2人の娘、そしてウィルと別居中の妻の姿もあった。
家族との絆を取り戻したいと願う一方で、鉄道マンの使命を果たそうとする2人の男。いつしか、彼らの間にはわだかまりを乗り越えた男同士の絆が芽生えていた。だが、時間は刻々と経過、777号は高架下に多くの燃料タンクが設置される魔の急カーブに近づいて行く。果たして、彼らは未曽有の大惨事を防ぐことができるのか……。

この作品は実話を元に製作されたもので、管理人もこの事故のことはTVで特集していたさいに観た覚えがあるので内容は知っていた。実際の舞台はオハイオ州だったはずだが、本作ではペンシルヴェニア州へと替わっていたが、内容はほぼ実際の事故を基にしている。
監督がトニー・スコットとなると、やはり主役は5度目のタッグを組むデンゼル・ワシントンになるのは自然の流れかな?
そのデンゼルの相手役で新米車掌を演じるのが「フェーズ6」で主演を務めた若手のクリス・パインだ。デンゼルとクリスの二人が中心のストーリーであり、この二人の家庭状況が冒頭で紹介されるが、あくまでも暴走列車を停めるのがメインであり、二人の家庭についての語りは最小限にとどめられているのは良かった。
人物像では、操車場長を演じるロザリオ・ドーソンの毅然とした態度で指令を出す様子が、この映画のポイントでもある。彼女の上司にあたる男性は本社から指令を出すが、その中身は会社よりの官僚的な態度で観ている観客の顰蹙を買いそうな人物。

彼女はそんな頼りにならない上司の指令を無視し、タマタマ訪れていた専門官の意見を聞きいれながら、自らの責任でテキパキと現場の二人に指示を出す。
そんなこんなで、二人のチームワークで逆走して暴走列車との接続に決死の覚悟が通じて成功し減速を始める。それでも暴走列車の勢いは予想を遥かに上回り、街へと向かっていきハラハラドキドキ。最後は暴走列車を追走してきたネッドの好プレイもあり、何とか運転席へ移り大事故寸前で暴走列車をストップしたけど、途中で一人亡くなってしまいました。

この暴走列車、てっきりCGかと思っていたのですがプログラムを読んだら、スコット監督のこだわりで実際の列車を使ったそうだ。
余談ですが、エンドロール前に登場人物たちのその後についての紹介があった。事故の張本人である運転士はファストフード業界に転職、本社で指令を出していた部長は解雇されロザリオ・ドーソンが演じていた操車場長が昇格したそうだ。


今日もどこかで「タイガーマスク」が出現?

2011-01-11 23:24:26 | 管理人のつぶやき

全国に広がる「伊達直人」現象

昨年のX’mas時期の12月25日、前橋市(群馬県)の中央児童相談所に、「伊達直人」名義でランドセル10個が届いた。謎の送り主からのX’masプレゼントは開封する前に警察に届けられたが、善意による贈り物と直ちに判明し、しかも「伊達直人」という名前は、昭和40年代の人気プロレスアニメ「タイガーマスク」の本名である。
今の若い世代にはタイガーマスクと言っても、プロレス通でなければ知らないだろうが、当時小学生だった管理人はこのアニメが大好きでいつも見ていました。

簡単に言えば、孤児として児童施設で育った「伊達直人」が、プロレス養成所「虎の穴」で修行して一躍タイガーマスクとして人気を得て、自分が育った児童施設に正体を隠して度々子供たちに贈り物をするという話だ。従って、この時代にアニメをみて育った世代は40代後半から50代までか、その世代の親となると70代の可能性もある。
今年の元旦に小田原市の児童相談所にランドセルが6個届くと、7日から連日のように日本各地で「伊達直人」からの贈り物が児童相談所に届くようになる。
贈り物もランドセルだけではなく、商品券や文房具やプラモデルまでもが届いたケースもある。こうした善意の輪が日本国内に飛び火し、良い意味での社会現象化しつつあり、久し振りに心温まるニュースが届けられ、まだまだ善意の輪は広がりそうでこれからも、「伊達直人」運動が広まれば良いね!

ただ、その一方で、民主党(国民新党連立)政権の子供手当ばらまきと比べて、こうした善意の輪の方が直接恵まれない子供に届くので、もらった方も嬉しいと思う。その反面、児童相談所運営上の予算不足や人員不足が招いた結果とも考えられる。
政府や自治体は、この「伊達直人運動」から何かを学ばなければならない。補助金や手当をばらまいていただけでは、本当に困っている所には届かないということを肝に銘じてもらいたい。


映画『スプライス』を観て。。。管理人「ぴあ」に3度目の登場!

2011-01-10 00:00:00 | 映画・ホラー,サスペンス,スリラー

11-3.スプライス
■原題:Splice
■製作年・国:2008年、カナダ・フランス
■上映時間:104分
■鑑賞日:1月8日、新宿バルト9(新宿三丁目)
■料金:1,800円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本:ヴィンチェンゾ・ナタリ
□脚本:アントワネット・テリー・ブライアント、ダグ・テイラー
□撮影:永田鉄男
◆エイドリアン・ブロディ(クライヴ・ニコリ)
◆サラ・ポーリー(エルサ・カスト)
◆デルフィーヌ・シャネアック(ドレン)
◆シモーナ・メカネスキュ(ジョーン)
◆デイヴィッド・ヒューレット(ウィリアム・バーロー)
◆ブランドン・マクギボン(ギャビン・ニコリ)
◆アビゲイル・チュ(ドレンの子供時代)

【この映画について】(ネタバレあり)
常に画期的なビジュアルインパクトを与え続けるヴィンチェンゾ・ナタリ監督が描く、新たなSFサスペンスの傑作。
主人公の科学者夫婦に、『戦場のピアニスト』でアカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞し、『プレデターズ』でアクション俳優としても開眼したエイドリアン・ブロディと、『死ぬまでにしたい10のこと』などで高い評価を受け、『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』で長編映画監督デビューを果たし、アカデミー賞の脚色賞などにノミネートされたサラ・ポーリー。
製作総指揮は、『パンズ・ラビリンス』『ヘルボーイ』などのギレルモ・デル・トロと、『ダイ・ハード』「マトリックス」シリーズなどのジョエル・シルバー。第42回シッチェス・カタロニア国際映画祭特殊効果賞受賞。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
クライヴとエルザの夫婦は、ともに科学者である。2人は法と倫理を無視して禁断の領域に踏み込み、人間と動物のDNAを配合し、新種の生命体を創造するという実験を行う。実験は成功し、新生命体が誕生する。
クライヴとエルザはその生命体にドレンという名前をつけ、誰にもこのことが知られないよう、秘密裏に育てていく。ドレンは、急速に美しい女性に成長する。しかし彼女の成長は止まらず、2人の想像をはるかに凌ぐ、得体の知れないモンスターへと変貌を遂げる。クライヴとエルザはドレンを抹殺しようと考えるが、反対に彼女の恐ろしい目的に巻き込まれていく。

ドレンは偶然の産物であるが、エルザはその誕生を祝しクライヴは戸惑いを感じる。この未知の生物体は二人が所属する製薬会社の地下研究室で秘密裏に誕生する。この地下室には一緒に働くクライヴの弟だけではなく、他のスタッフでさえ容易に入室は出来ない。
その研究室で誕生したドレンは、製薬会社の新薬開発を目的としてエルザが自分の遺伝子を使うと言う禁じ手を犯して誕生させた。
クライヴとエルザのカップルには子供はいないが、クライヴ自身は子供を欲している。エルザはドレンを自分の分身=子供のように扱うが、ドレンの成長は二人の想像を遥かに超えていた。
エルザの家族が所有する廃屋となった小屋にドレンを移し、会社には内緒でドレンを「飼育」していたが、いぶかしがる弟に発見される。
肝心の新薬開発は、マスコミへの発表会で大失態を演じたことから研究室への特別待遇は一切廃され、上層部からは新薬開発を急ぐようにプレッシャーを架けられる。

ドレンの急成長に伴い、未知の領域に入って行った二人。だが、やはりドレンは怪物だった。
人間のマネをして成長していったが、ある時、大事にしていた飼猫を目の前で一撃で殺してしまう。衝撃を受けた二人は、苦渋の選択をすることになるのだが...。
自分の運命を察したドレンはいつの間にか知恵まで身に付けていた。ドレンはクライヴを誘惑し、その現場をエルザに目撃させるように仕向けた。存在を察した会社の重役も駆け付け、ドレンを巡って大騒動が繰り広げられる。

結局、この騒動の中でクライヴは息絶え、エルザは怪物と化したドレンによって暴行を受ける。その結果...エルザは何と恐ろしいことに怪物の子供を宿してしまった所で終わり、会社からは手切れ金?を受け取り研究から身を引くことに。

この後、エルザにはどういう運命が待ち受けているのか、想像したくないが、興行的な面を考えれば続編は作られないと思うけど、果たしてどうだろうか?
エルザを演じているサラ・ポーリーの演技力は流石である。相手役のエイドリアン・ブロディは、出演作が次々と公開されているようだが、「プレデターズ」のようなアクション作品だけではなく、このようなマイナーなテーマを扱った作品にも勇気を持って出演しているのには好感を持てる。この二人への出演料が予算の多くを占めているであろうが、未知の生物を自分の遺伝子を使って誕生させる研究者の倫理観や宗教観、怪物を処分しようとして逆に反撃され「エイリアン・シリーズ」のリプリーのようになってしまったエルザには、ストーリーの成り行きとしては納得いかない部分もある。それでもドレンをCGではなく、無名の女優が演じている点だけは評価?してもいい。

ドレンが誕生してしまったパートと、ドレンの存在を脅威に感じ抹殺しようとする後半ではそれぞれ別の作品の様な展開であり、その2つの要素が混じって一つの作品として成り立っている。
余談だが、クライヴとエルザの愛の巣の壁には日本趣味を連想させるコミックのポスターや、クライヴが着用するTシャツにも漢字がデザインされていたりと、一体スタッフの誰の趣味なのだろうか?

【後日談】「ぴあ満足度ランキング」に管理人が登場!!!
この映画は都内では「新宿バルト9」でしか公開されていない。その公開直後の土曜日に観賞し、終映後、「ぴあ出口調査隊」のアンケート調査を受けた。
大体、公開直後に行くとこの調査隊を頻繁に見かける。私も今まで「ラッキーナンバー7」「SAW6」で感想を述べた際に掲載された。今回も、調査を受けその場で写真まで撮られたので3度目の掲載があると思っていたところ、掲載されました。このぴあ出口調査隊には、掲載されなかった時でも何度も答えてきたけど、写真をその場で撮られると掲載の可能性が高い。

過去に撮られたけど掲載されなかった時もあったけど、今回は掲載されました。関東版なので関東地区以外の読者には目に触れる機会は無いですが、該当ページには写真付きで3人が掲載(但し名前は誤植されていました!!)されています。
名前と年齢と職業まで掲載されているので個人情報が特定されますので3人の中の誰なのかは勝手に想像して下さい。掲載されたコメントは実際にその場で話した中身の2~3割程度に要約されています。


映画『シチリア!シチリア!』を観て

2011-01-08 00:00:00 | ヨーロッパ映画

11-2.シチリア!シチリア!
■原題:Baaria
■製作年・国:2009年、イタリア
■上映時間:151分
■字幕:吉岡芳子
■鑑賞日:1月8日、角川シネマ新宿(新宿三丁目)
■料金:1,800円
 
スタッフ・キャスト(役名)
□監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
□撮影:エンリコ・ルチディ
□音楽:エンニオ・モリコーネ
◆フランチェスコ・シャンナ(ベッピーノ)
◆マルガレット・マデ(マンニーナ)
◆ニコール・グリマウド(サリーナの娘時代)
◆アンヘラ・モリーナ(サリーナ)
◆リナ・サストリ(ターナ、物乞いの女)
◆サルヴォ・フィカッラ(ニーノ)
◆ヴァレンティノ・ピコーネ(ルイジ)
◆ルイジ・ロ・カーショ(物乞いの息子)
◆ミケーレ・プラチド(共産党代表)
◆エンリコ・ロ・ヴェルソ(ミニク)

【この映画について】
たとえ何者にもならなくても、愛しあう家族と共に生きることができたならば、それは充実した人生なのだ。故郷シチリアを愛してやまない『ニュー・シネマ・パラダイス』の名匠ジュゼッペ・トルナトーレが、激動の20世紀イタリアを自伝的な家族の年代記としてノスタルジックにファンタスティックに描いた宿願の大作である。
エモーショナルな音楽で盛り上げるのは、もちろんトルナトーレ作品に欠かせない巨匠エンニオ・モリコーネ。主演に新人のフランチェスコ・シャンナとマルガレット・マデを起用し、アンヘラ・モリーナ、ルイジ・ロ・カーショらベテラン勢が脇を固め、『マレーナ』のモニカ・ベルッチもちらりと艶姿を見せてくれる。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
太陽が眩しく輝き、風が荒々しく吹き抜けていくシチリアの町バーリア。牛飼いのトッレヌオヴァ家は貧しかったが、家族が力を合わせて、毎日を力強く生きていた。まだ幼い次男ペッピーノも、大人たちに連れられて農場や牧場で働く。子供とはいえ、大目に見てもらえることもなく、収穫数が足りなければ容赦なく賃金はカット。チーズ3つと引き換えに出稼ぎに行った牧場では、1冊しかない教科書をヤギに食べられてしまう。
落ち込むペッピーノだったが、その地方に伝わる伝説を聞き、胸を躍らせる。それは、3つの岩山の頂に、一つの石を連続して当てることが出来たら、黄金を隠した洞窟の扉が開くというものだった。合間を見ては、繰り返し石を投げるペッピーノ。

その一方で、時々父親とともに出かける映画館で無声映画を見ることも、彼にとってかけがえのない時間だった。こうしてペッピーノの少年時代は、笑いと涙が詰まった沢山の思い出に囲まれて過ぎてゆく。
やがて世界中を巻き込んだ戦争が終わり、シチリアにもひと時の平和が訪れた頃。逞しい青年に成長したペッピーノは、世の中を良くしたいという理想に燃え、政治の世界に足を踏み入れる。同じ頃、彼は長い黒髪と大きな瞳が美しいマンニーナと出会い、激しい恋に落ちる。
だが、貧しいペッピーノとの結婚に反対するマンニーナの両親は、金持ちとの婚約を勝手に決めてしまう。愛し合う2人は想いを貫くために駆け落ち。ついに教会で永遠の愛を誓い合う。愛する人と新しい人生に踏み出したペッピーノ。だが、幸せに満ちた彼を待っていたのは、世の中の矛盾、家族の死……。やがて時代は不穏な空気を孕み始める。そんな中、ペッピーノはあの岩山の伝説を試そうと、再び石を投げてみるが……。
ベッピーノとは監督自身の愛称でもあることから、この作品は監督自身の自伝的な要素を盛り込んでいるのかも知れない。舞台も監督の出身地であるシチリア島(管理人も行ったことがあります!!)であるのがそれを証明しているかのようだ。
実際のロケ地は政変で長期政権が民衆の団結によって打倒されたチュニジアである点は残念だが、美術監督が実際にロケハンして当時の様子がチュニジアに残っていることからロケ地として選ばれたそうだ。

ストーリーの展開としては、冒頭の場面で少年が道端で賭け事に興じる大人に急かされて小遣い銭欲しさに用事を言いつけられるシーンから始まり、ダッシュした少年がジャンプするとシチリアの田舎町を俯瞰する場面に替わり、そこから3世代に渡るストーリーが始まり、そして、再び冒頭のシーンの続きに戻って終わる。
戦前戦後に渡るイタリア史を垣間見る展開なのだが、共産主義の台頭とベッピーノの青年時代を重ね合わせたかのような筋書きだが、そこはやはりイタリア映画。イタリア人独特の楽天守護的な生き方をしながらも、愛する家族の為に生きると言う点は貫かれていた。

151分と言う上映時間に様々な出来事を濃縮して表現しているのだが、余りにも共産主義の台頭を中心に描いているので、イタリアの戦後史に疎い管理人には、退屈と感じる場面も見受けられたが、決して長い上映時間は苦痛には感じなかったのはトルナトーレ監督の手腕だと思う。


1985年の全米1位、ミスター・・ミスター「キリエ」

2011-01-06 00:00:00 | 音楽

ミスター・・ミスター「キリエ」

ミスター・ミスターは、元々ペイジスのメンバーだったリチャード・ペイジとスティーヴ・ジョージが、ペイジスを解散した後に、スティーヴ・ファリスとパット・マステロットを加えて1984年にデビューを果たす。
ペイジス時代にはリチャードもスティーヴも、ソングライターとしてもヴォーカリストとしてもAORシーンでは引っ張りだこだった。主に西海岸を中心に活動し、ペイジス解散後もTOTOやシカゴからの勧誘を振り切って、ミスター・ミスターの活動に賭けていた。

この「キリエ」は第1シングルとして発売された「ブロークン・ウィングス」が全米1位となった後の第2シングルとして、ヒットチャートを駆け上がるべくして駆け上がり、こちらも見事に1位を獲得し、連続1位を達成する快挙を達成した。

サウンドは彼ららしいダイナミックなロックサウンドで、産業ロックの要素をふんだんに取り入れテンポの良さもあって、ブロークン・ウィングス同様に耳に馴染みやすい曲である。
曲名の「キリエ」とは、「Kyrie Eleison」で神への呼びかけの時に使う言葉でもあるが、曲全体からは宗教的には決して聞こえない。1980年代の半ばに大ヒットを連発したミスター・ミスターだが、次作以降は大ヒットに恵まれることは無かった。それでも1980年代を代表するヒット曲であるのは間違いないし、私もこの曲は今でも大好きです。

 

【Kyrie】

The wind blows hard against this mountain side
Across the sea into my soul
It reaches into where I cannot hide
Setting my feet upon the road

My heart is old it holds my memories
My baby burns agem like flame
Somewhere between the soul and soft machine
Is where I find myself again

*CHORUS*

Kyrie Eleison
Down the road that I must travel
Kyrie Eleison
Through the darkness of the night
Kyrie Eleison
Where I'm going will you follow
Kyrie Eleison
On a highway in the light

When I was young I thought of growing old
Of what my life would mean to me
Would I have followed down my chosen road
Or only wished what I could be

*CHORUS*

Oh...Oh...Oh
Oh...Oh...Oh
Oh...Oh...Oh
Oh...Oh...Oh

*CHORUS*

Kyrie Eleison
Down the road that I must travel


映画『きみがくれた未来』を観て

2011-01-05 00:00:00 | アメリカ映画 2011

11-1.きみがくれた未来
■原題:Charlie St.Cloud
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:99分
■字幕:杉山緑
■鑑賞日:1月1日、新宿武蔵野館(新宿)
■料金:1,000円
 

スタッフ・キャスト(役名)
□監督:バー・スティアーズ
□脚本:クレイグ・ピアース、ルイス・コリック
□撮影監督:エンリケ・シャディアック
□音楽:ロルフ・ケント
◆ザック・エフロン(チャーリー・セント・クラウド)
◆チャーリー・ターハン(サム・セント・クラウド)
◆アマンダ・クルー(テス・キャロル)
◆キム・ベイシンガー(クレア・セント・クラウド)
◆レイ・リオッタ(フロリオ・フェレンテ)
◆オーガスタス・プリュー(アリステア・ウーリー)
◆ドナル・ローグ(ティンク・ウェザビー)

【この映画について】
『セブンティーン・アゲイン』のバー・スティアーズ監督と、ザック・エフロンが再び手を組んだ感動のヒューマン・ドラマ。
幼い弟を死なせてしまったという自責の念にさいなまれ続けてきた兄が、新しい第一歩を踏み出すまでを温かく見守る。主人公の母親に、『あの日、欲望の大地で』のキム・ベイシンガー。救命士を、『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』のレイ・リオッタが好演している。陰のある役で新境地を開拓したエフロンの迫真の演技に注目。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
チャーリー・セント・クラウドは、女手一つで家計を支える母のクレア自分を慕う11歳の弟サムとともに暮らす高校生。ヨットの才能に恵まれた彼は、スポーツ奨学金を得て大学進学が決まっていた。
だが、卒業式の夜が運命を変えた。その日、チャーリーは仕事に向かう母から、サムの子守をするように言われていたのだが、そんな母の願いを振り切って車でサムと共に出かけたことが運命を決定づけることになるとは。
行き先を間違えて引き返そうとしたチャーリーだったが、後続車に追突される大事故に遭遇した彼は、奇跡的に命を取り留めるが、同乗していたサムはチャーリーの必死の呼びかけにも関わらず帰らぬ人となる。
サムを守れなかったことに強い罪悪感を覚えるチャーリー。葬儀の最中、いたたまれなくなった彼は、参列者が見守る中、逃げるように墓地の裏手の森へ駆け込む。かつて2人は、ここで一緒に野球の練習をすることが日課となっていた。
だが今はもう、キャッチボールの相手はいない……。その時、目の前に赤いジャンパーを着たサムが現れる。驚きながらも弟との再会を喜ぶチャーリー。2人はこれから毎日、夕暮れの時間の号砲(17時)を合図に何があってもこの場所で練習を続けるという約束を交わすのだった。

そして5年後。進学もヨットも諦めたチャーリーは、約束を守るため、サムを埋葬した墓地の管理人として暮らしていた。
ところが、高校の同級生で、ヨットレースのライバルだったテスが故郷へ戻ってきたことを知り、彼の心は揺れ動く。自分が失った夢を追い続けている彼女に、眩しさと羨ましさを覚えるチャーリー。心の中で、日増しにテスのウェイトが重くなっていく。そんな兄の変化を敏感に感じ取るサム。
テスと一緒にいると、サムが遠くなってしまう。弟を失いたくない気持ちと、テスへの想いの間で揺れ動く。やがて訪れる選択の時。テスが世界一周を目指す前に地元で練習をする予定で湾内で航海していたところ、悪天候に遭遇して遭難してしまう。捜索が難航する中、チャーリーは迷うことなく救出に向かう。
事故以来、出ることのなかった海へ。テスを捜し続けるチャーリー。サムとの約束の時間が過ぎてゆく。“ごめん、約束を破るよ”チャーリーが森で待ち続けるサムにそう呼びかけた時、想像もしなかった奇跡が起こる……。

奇跡は起こるというより、起こるべくして起こった感じ。青春スターのザック・エフロンの為の映画って感じで、自分は「ヘアスプレー」以来の観賞。「ヘアスプレー」は主役では無かったけど本作は主演。
弟のサムが冒頭でいきなり事故死してしまい、母のキム・ベイシンガーもそれに伴い冒頭だけでの登場とは、脚本でもう少し引っ張って登場シーンを増やしてもらいたかった。更に、同様に登場シーンは僅かながらも、事故にあった時の救命士であるレイ・リオッタが良い味を出していた。
サムが午後5時の大砲の合図とともに現れてチャーリーとキャッチボールをするシーンがしつこいほど登場。このシーンは確かに大事なのだが、余りにも多過ぎて退屈に思えてきた。サムの登場も遭難したテスもチャーリーだけに現れるのだが、チョイとこじつけ過ぎ。
テスの遭難も何だか型にはまったような感じで、世界一周を目指している彼女が悪天候が予想される中で湾内で遭難するというのは無理があるので、せめて、近くの外洋くらいに留めておいて、チャーリーがそこまで駆け付ける間に回想シーンや心の中の葛藤をナレーションでフォローするなどしたら良かったのにと思いました。

とここまでは苦言ばかりを書いたけど、今度は良かった点を。ストーリーの舞台がカナダの地方の港町で、ロケもバンクーバー近郊のアメリカとの国境に近い町で行われただけに映像から受ける印象は、ザック・エフロンのもつ青春スターのイメージにピッタリ。その彼が冒頭でヨットをサムと二人で操るシーンは、実際に演じているそうで爽やかさ満点でした。弟役のチャーリー・ターハンは素朴な感じのする子役で好印象でした。
最後に、本作の原題はシンプルに「チャーリー・セント・クラウド」って、これはザックの役名そのもので余りにもストレート過ぎないかな?あちらの映画って、この手の単純なタイトルが多いけど、邦題はサムとチャーリーの兄弟関係を表しているけど...まあ良いか!!


ボニーM/怪僧ラスプーチン(1978)

2011-01-04 00:00:00 | 音楽

ボニーM/怪僧ラスプーチン(1978)

この曲は1978年に、西ドイツ(当時)のボニーMというディスコ・サウンドで一躍有名になったグループのヒット曲。ボニーMは、プロデューサーのフランク・ファーリアンが主導して結成されたグループというかユニット。
フランク・ファーリアンは、1980年代後半に「ミリ・ヴァニリ」を世に送り出した張本人でもあるが、グラミー賞新人賞を受賞した後に、口パクを自ら暴露して賞をはく奪されたという「事件」もあった。
当時、ディスコサウンドが全盛だった時代に、西ドイツでもミュンヘンを中心にこの手のダンスグループが盛んだった。因みに日本で1980年代初頭に大人気だった「アラベスク」は、ボニーMの成功に触発されたプロデューサーが作ったグループだ。
 
さて、この「怪僧ラスプーチン」はディスコブームに乗って、日本でもヒットした。
特に、この曲がヒットした1978年には「バビロン河」もイギリスで大ヒットを記録するなど、ディスコブームの風に上手く乗った。you tubeの映像のヒット回数も1200万回超と凄い回数で、この曲が今でも頻繁に流れている証拠だ。21世紀の今聴くと突拍子もないサウンドと感じるかも知れないが、当時はこれが流行のサウンドだった。
メンバーはファーリアンが自ら集め、結成当初の1975年頃はメンバーが固定しなかったが、メンバーが固定されたこの頃は、ヒット街道まっしぐらだった。
ワールド・ミュージックのようなサウンドとロシアの楽器を融合させた独特のサウンドが耳について離れない。

「怪僧ラスプーチン」のタイトルにもなっている「ラスプーチン」はロシアでの実在の人物であり、歌詞の中にあるように帝政ロシア皇帝一家に気に入られた正体不詳の人物である。
グループは派手な衣装に身を包む女性ヴォーカル陣と、その隣で軽快に?独特のステップを踏む男性ヴォーカリスト?のボビー・ファレルで構成。西ドイツ発信のグループながらメンバーはアフリカとカリブ海諸国出身だ。
しかし、その実態はファーリアンのユニットであり、ビデオでのボビー・ファレルの声も実際にはレコードで使用したファーリアンの声で口パクとのこと。そのボビー・ファレルは、残念ながらつい最近、12月30日、というから数日前にロシアのサンクトペテルブルグで急死したそうだ。

【Rasputin】
There lived a certain man in Russia long ago
He was big and strong, in his eyes a flaming glow
Most people looked at him with terror and with fear
But to Moscow chicks he was such a lovely dear
He could preach the bible like a preacher
Full of ecstacy and fire
But he also was the kind of teacher
Women would desire

RA RA RASPUTIN
Lover of the Russian queen
There was a cat that really was gone
RA RA RASPUTIN
Russia's greatest love machine
It was a shame how he carried on

He ruled the Russian land and never mind the czar
But the kasachok he danced really wunderbar
In all affairs of state he was the man to please
But he was real great when he had a girl to squeeze
For the queen he was no wheeler dealer
though she'd heard the things he'd done
She believed he was a holy healer
Who would heal her son

(Spoken:)
But when his drinking and lusting and his hunger
for power became known to more and more people,
the demands to do something about this outrageous man became louder and louder.

"This man's just got to go!" declared his enemies
But the ladies begged "Don't you try to do it, please"
No doubt this Rasputin had lots of hidden charms
Though he was a brute they just fell into his arms
Then one night some men of higher standing
Set a trap, they're not to blame "Come to visit us" they kept demanding
And he really came

RA RA RASPUTIN
Lover of the Russian queen
They put some poison into his wine
RA RA RASPUTIN
Russia's greatest love machine
He drank it all and he said "I feel fine"
RA RA RASPUTIN
Lover of the Russian queen
They didn't quit, they wanted his head
RA RA RASPUTIN

Russia's greatest love machine and so they shot him till he was dead

(Spoken:) Oh, those Russians...


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