kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

第84回米アカデミー賞、「アーティスト」が作品など5冠

2012-02-27 21:28:30 | 芸能ニュース

米国の映画の祭典「第84回アカデミー賞授賞式」がロサンゼルスで開催され、作品賞はモノクロ作品の「アーティスト」(ミシェル・アザナビシウス監督)が受賞した。フランス映画がアカデミー賞の作品賞を受賞するのは史上初。同作は作品賞のほか監督賞、主演男優賞、衣装デザイン賞、作曲賞の5部門を獲得した。
最多11部門ノミネートだった「ヒューゴの不思議な発明」(マーティン・スコセッシ監督)は、美術賞、撮影賞、音響編集賞、視覚効果賞、録音賞の5部門を受賞した。

■第84回アカデミー賞全受賞結果
【作品賞】『アーティスト』
【監督賞】ミシェル・アザナビシウス『アーティスト』
【主演男優賞】ジャン・デュジャルダン『アーティスト』
【主演女優賞】メリル・ストリープ『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
【助演男優賞】クリストファー・プラマー『人生はビギナーズ』
【助演女優賞】オクタビア・スペンサー『ヘルプ 心がつなぐストーリー』
【脚本賞】『ミッドナイト・イン・パリ』
【脚色賞】『ファミリー・ツリー』
【撮影賞】『ヒューゴの不思議な発明』
【編集賞】『ドラゴン・タトゥーの女』
【美術賞】『ヒューゴの不思議な発明』
【衣装デザイン賞】『アーティスト』
【メイクアップ賞】『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
【視覚効果賞】『ヒューゴの不思議な発明』
【録音賞】『ヒューゴの不思議な発明』
【音響編集賞】『ヒューゴの不思議な発明』
【作曲賞】『アーティスト』
【歌曲賞】“Man or Muppet”『マペッツ』
【長編アニメ映画賞】『ランゴ』
【外国語映画賞】『別離』(イラン)
【長編ドキュメンタリー賞】『UNDERFEATED(原題)』
【短編ドキュメンタリー賞】『SAVING FACE(原題)』
【短編実写映画賞】『THE SHORE(原題)』
【短編アニメ賞】『THE FANTASIC FLYING BOOKS OF MR.MORRIS LESSMORE(原題)』

今年度のアカデミー賞は「ヒューゴ...」と「アーティスト」の一騎打ちとの下馬評が高かったが、結果は上記の通り「アーティスト」が作品、監督、主演男優の主要3部門を含む5冠を達成したのは凄い。一方のマーティン・スコセッシ監督作「ヒューゴ...」も5冠を達成したが、こちらは技術系部門を中心とした受賞で主要部門での受賞は逸した。
主要部門では大女優メイル・ストリープが主演女優賞を2度目の受賞助演男優賞はカナダ出身のクリストファー・プラマーが82歳での最高齢での受賞だった。私はつい先日、受賞作の「人生はビギナーズ」を観てきたが、受賞は妥当な線だと思います。その他では現在公開中の「ドラゴン・タトゥーの女」が編集賞を受賞した。

残念なのは何時もの事だが主要部門受賞作品の「アーティスト」「ヘルプ、こころがつなぐストーリー」「マーガレット・サッチャー...」も未公開で今後順次公開される予定で、「ヒューゴ...」は3月1日公開でこの日は1000円で観賞出来る日なので平日でもかなりの混雑が予想される。
日本の配給会社はアカデミー賞が有力視される作品の公開時期をワザと春休みからGWの間に公開するのが慣わしのようだ。本当はもっと早く公開できる筈なのに、興行を考えてワザとずらすのは納得出来ない気持ちが強い。良い映画は早く観たいのが心情であり、せめてアカデミー賞発表前に公開してもらいたい。予告編は4~6か月前から流すのに本公開まで長過ぎる!


映画『おとなのけんか』を観て

2012-02-26 10:59:06 | ヨーロッパ映画

12-19.おとなのけんか
■原題:Carnage
■製作年・国:2011年、フランス・ドイツ・ポーランド
■上映時間:79分
■字幕:牧野琴子
■観賞日:2月25日、TOHOシネマズシャンテ

 

□監督・脚本:ロマン・ポランスキー
□脚本・原作:ヤスミナ・レザ
◆ジョディ・フォスター(ペネロペ・ロングストリート)
◆ジョン・C・ライリー(マイケル・ロングストリート)
◆ケイト・ウィンスレット(ナンシー・カウアン)
◆クリストフ・ヴァルツ(アラン・カウアン)
【この映画について】
ヤスミナ・レザの舞台劇を原作に、二組の夫婦4人の室内劇を「ゴーストライター」のロマン・ポランスキー監督が映画化。本編の登場人物はたった4人。ほぼアパートの室内だけで話は進み、ドラマ内と実際の時間が完全にシンクロするなど、舞台向けの設定をあまり変える事なく映画化。
そのため楽しむべきは、アカデミー賞受賞経験がある3人とノミネート経験がある1人による、俳優たちの絶妙なアンサンブルといえよう。子どものケンカが発端で、両家の両親、はたまた夫婦どうしが激しい口論に発展していく様子は、和解のための話し合いがより激しい諍いに発展していく国際社会への風刺でもある。余裕を持って楽しめる大人のコメディだ。
出演は「幸せの1ページ」のジョディ・フォスター、「コンテイジョン」のケイト・ウィンスレット、「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」のクリストフ・ヴァルツ、「ダレン・シャン」のジョン・C・ライリー。(この項、gooより一部転載しました)
【ストーリー&感想】
ニューヨーク・ブルックリン、子ども同士のケンカを解決するため2組の夫婦、ロングストリート夫妻とカウアン夫妻が集まる。双方は冷静かつ理性的に話し合いを進めるが、いつしか会話は激化しホンネ合戦に。それぞれが抱える不満や問題をぶちまけ合い、収拾のつかない事態に陥っていく。

元々は舞台劇だった作品を巨匠ロマン・ポランスキー監督が映画化した。舞台版はみていないので知りませんが、ストーリー展開はほぼ全てロングストリート家の室内でのみなので、後は、監督の演出や役者の演技力に委ねられることになる。
タイトルにあるように、加害者のカウアン家の息子がロングストリート家の息子を怪我させたのがそのそもの発端。カウアン夫妻がロングストリート家に夫婦で出向いて謝るのだが、どうも訴訟関係の仕事をしている夫のアランは携帯で仕事のやりとりを繰り返し場を度々白けさせる。更に、アランはこどものけんかの謝罪に出向いたこと自体が乗り気では無かったのか、相手一家との会話もどこか上の空。
中だるみが起こりそうになると携帯を手放せないアランの話しで「両家の交渉」は遮られる。まあ、ストーリーはこの繰り返しで、そこに4人の仕事が会話の中で明かされる。我慢して聞き役に徹していたマイケルが途中で不満を爆発させたり、ナンシーが嫌々?食べたケーキをこぼして大騒ぎになったり、ペネロペが取材しているアフリカの話、アランの携帯を花瓶に投げ捨てるシーンなどで観客の関心を少しずつ惹きつける演出はポランスキー監督苦心のアイデアだろう。
ラストであれほど激論を交わした大人達の思惑を知らず、子供たちは再び仲良くしていましたというオチがユニークでした。これぞまさに「親の心、子知らず」でしょうか?私には子供が居ませんので実感は沸かないのですが...。

出演者はまさに二組の夫婦を演じた演技派俳優達。特に、クリストフ・ヴァルツは「イングロリアス・バスターズ」でアカデミー賞を受賞して以来ハリウッド映画界からも引く手数多状態の売れっ子。女優陣の二人については説明の必要は無し。4人の会話、特に最初はお互い猫を被っていたのが徐々にヒートアップしていく構成は流石だった。結局、この映画の製作費用は監督と4人の出演料が大部分を占めているのだろうね!

少女淫行事件でアメリカへ入国出来ない監督がNYを舞台にフランスで英語で撮影したこの映画、舞台版の英題は「God Of Carnage」
だそうで日本では2010年に「殺戮の神」の邦題で上演されていたそうだ。舞台版の邦題は英題の直訳だが、映画版の邦題は映画の中身をそのままタイトルにしたような感じ。どちらが良いとか悪いは別として、どちらのタイトルも?を付けたくなる。英題は多分、ペネロペが関心を持っているアフリカの出来事からなのだろうが、この作品を表現しているとは思えない。
※Carnageは大虐殺とか、殺戮とか物騒な意味の他に「修羅場」という意味も。原作の内容からどちらかと言えば「修羅場」の方が意味合いとしては近いと思う。「殺戮」はどうも映画のタイトルにはね...。


映画『人生はビギナーズ』を観て~アカデミー賞受賞作品

2012-02-25 19:21:53 | アメリカ映画 2012

12-18.人生はビギナーズ
■原題:Beginners
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:105分
■観賞日:2月25日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)



□監督・脚本:マイク・ミルズ
◆ユアン・マグレガー(オリヴァー)
◆クリストファー・プラマー(ハル)
◆メラニー・ロラン(アナ)
◆ゴラン・ヴィシュニック(アンディ)
◆コスモ(アーサー)=犬
【この映画について】
同性愛をカミングアウトした父親と初めて恋をした38歳の息子の姿を通して、人はいつでも新たなスタートが切れることを感動的にうたい上げる人生賛歌。『サムサッカー』のマイク・ミルズ監督が、自身と父との体験を基に脚本を書き上げ映画化。
『スター・ウォーズ』シリーズや『ムーラン・ルージュ』のユアン・マグレガーと『終着駅 トルストイ最後の旅』のクリストファー・プラマーが父を演じ見事にアカデミー賞助演男優賞を受賞、『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロランが共演する。殻を破ることで幸せをつかむ登場人物たちを生き生きと好演し、観る者の共感を呼ぶ。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】
38歳独身のアートディレクター、オリヴァーは、ある日突然、父・ハルから「私はゲイだ」とカミングアウトされる。それは44年連れ添った母がこの世を去り、癌を宣告された父にとって、これからは本当の意味で人生を楽しみたいという告白であった。
元々は厳格で古いタイプの人間だったハルだが、パーティやエクササイズに精を出し、若い恋人まで作って新たな人生を謳歌。一方、オリヴァーの友達は仕事と犬。元々の臆病な性格故か、父のカミングアウトに戸惑いを隠せない。

そんな様々な過去に戸惑うオリヴァーとは裏腹に、父の生き方はとても潔かった。身体は癌に冒され、確実に最期の日は近づいていたが、決して心は衰えることなく、今までのどんな時よりも前を向いて生きようとしていた。
そんな父と語り合った母のこと、恋人のこと、人生のこと……。オリヴァーはこの語らいの中で、父もまた親や母との距離において多くの葛藤を抱えながら生きていたことを知り、改めて自分自身の生き方を見つめ直していく。だがそんな時に訪れた、父との永遠の別れ。

再び自分の殻に閉じこもってしまったオリヴァーを心配した仲間は、あるホームパーティにオリヴァーを無理やりに連れ出し、彼はそこで風変わりな女性・アナと出会う。人と距離を置きながら生きてきたアナは、父を亡くしたオリヴァーの喪失感を優しく癒し、オリヴァーはアナの優しさに心を委ねていく。
幸せな日々が続いていたが、アナがオリヴァーの家で暮らし始めた頃から、何かが今まで通りにいかなくなり、またしてもオリヴァーは一人になることを選んでしまう。

今の日本社会において独身者が増えている(晩婚化)ことが社会問題にまでなっているが、この映画でも描かれているのは癌を宣告された父が未婚の息子を心配するお話だから、晩婚化は日本だけの問題でもないのかな?
ストーリー的には父の回想部分と息子オリヴァーの現実とが重なりあうのだが、アナとオリヴァーの関係も何だか微妙。アナ役のメラニー・ロランのフランス語なまりの英語のセリフから来る不思議感と、同居しているのにどこか一歩引いたような目つきのオリヴァーとの関係は一度は破綻する。だが彼女を失い再び愛犬との生活に逆戻りしたオリヴァー、この時、父の生前の心配が頭をよぎったのかもしれない。彼はロランに会いにNYまで行くという彼にしては大胆な行動に出た。

監督の体験談を元に脚本化された映画らしいが、仮に自分の父がゲイだったと人生の晩年に告白(そういう趣向を全く知らずに)されたらどこの息子だって動揺する。父は母が亡くなるまで黙っていたのだろうが、癌で余命宣告を受けたことで吹っ切れて、自分のペースで人生に幕を閉じたかったのだと思う。ハル役を演じたクリストファー・プラマーがアカデミー賞助演男優賞を受賞したのは快挙だし、ユアン・マグレガーもどこか頼り無さそうな役だったがしっかりと受け止めて演じていた。

最後に、愛犬アーサーが退屈な場面で要所を締める見事な演技を披露していたのも見逃せません。


映画『J・エドガー』を観て

2012-02-23 17:27:13 | アメリカ映画 2012

12-17.J.エドガー
■原題:J.Edgar
■製作年、国:2011年、アメリカ
■上映時間:137分
■字幕:松浦美奈
■観賞日:2月23日、渋谷シネパレス(渋谷)



□監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
◆レオナルド・ディカプリオ(J.エドガー・フーバー)
◆ナオミ・ワッツ(ヘレン・ガンディ)
◆アーミー・ハマー(クライド・トルソン)
◆ジョシュ・ルーカス(チャールズ・リンドバーグ)
◆アニー・フーバー(ジュディ・デンチ)
【この映画について】
レオナルド・ディカプリオ主演、クリント・イーストウッド監督という、ハリウッドきっての黄金コンビで、FBI初代長官、ジョン・エドガー・フーバーの半生をつづる衝撃のドラマ。1972年に亡くなるまで、50年近くも政府機関の長を務め、世界で最も恐れられ、アメリカを支配した男の知られざる姿が明らかになる。(この項、Movie Walkerより転載しました)
【ストーリー&感想】
FBIのジョン・エドガー・フーバー長官は、人生の終盤に差し掛かり、部下に命じて回顧録を書き取らせる。記憶はFBI誕生以前へと遡り、彼の表の経歴が語られるとともに、その裏側の野望、企み、葛藤、苦悩が次第に明らかにされていく……。
20世紀の半分を占めるおよそ50年もの間、アメリカで大統領さえも及ばない強大な権力を手にしていた男。そのたった一人の人間が、アメリカのあらゆる秘密を掌握し、国さえも動かしていたという事実。50年間に入れ替わった大統領は8人にのぼり、その誰もが彼を恐れた。それが、ジョン・エドガー・フーバーFBI初代長官である。

20代でFBI前身組織の長となり、以後、文字通り死ぬまで長官であり続けた。今日では当たり前とされる科学捜査の基礎を確立し、犯罪者の指紋管理システムを作ったのも彼なら、FBIを子どもたちの憧れの的にまで押し上げたのも彼だった。
紛れもない英雄であるにもかかわらず、彼には常に黒い疑惑やスキャンダラスな噂がつきまとった。やがて、国家を守るという絶対的な信念は、そのためになら法を曲げてかまわないというほど強く狂信的なものとなる。それゆえ彼は正義にもなり、悪にもなった。国を守るという大義名分のもと、大統領を始めとする要人たちの秘密を調べ上げ、その極秘ファイルをもとに彼が行った“正義”とは一体何だったのか?

イーストウッド監督が今回取り上げたのはFBI初代長官として知られている「フーバー」だが、原題は「J.エドガー」であり「公」の部分と同時に「私」の知られざる部分を大胆に描いている。盟友トルソンと秘書という立場から支えたミス・ガンディとの関係を巧に絡ませ、更に、母アニーの期待を背負っているジョンという、この3人との関係が中心だ。
まずは有名なリンドバーグ愛児誘拐事件がFBI誕生のきっかけになり、この事件捜査で捜査の壁にぶち当たりジョンはいらだつ。だが、逆にこの事件で、州をまたいでの犯罪にFBIが関与できる事になったので、冒頭部分にこれを持ってきたのは正解。そこからトルソンという後の盟友を得てからのジョンに関しては、年老いた現在と回想部分が重なって行く。この中で盛んに強調されるのが、母アニーの過大な期待とそれに応えようとするジョンの姿、トルソンとの同性愛の2点である。そんなジョンの行動を逐一静かに?見守っていたのが秘書のヘレンという構図で、実はこのヘレンの存在が陰ながら大きかった。

ジョンの権力が大きくなるに従って、彼に対抗するグループも現れるのだが秘書ヘレンは常にジョンの考えの一歩先を読んでいた感がする。生涯独身を貫いたジョンだが、秘書ヘレン不在では50年間の長い間長官として君臨することは出来なかっただろう。トルソンの存在も公私に渡って大きかったが、彼はイエスマンでありジョンに取っては都合の良い部下だったのでは無いだろうか?
観る方としては8人の大統領との関係を通じて、ジョンが如何に巨大な権力を手中に収めて行ったのかの部分も見たかった。公聴会での反論や大統領から呼び出されるシーンもあるが、その辺の描き方は不充分だった。ラストで亡くなった直後、ニクソンの側近がジョンの執務室を徹底的に調べ、ホワイトハウス側に不利な書類が無いかまるで家宅捜索のように血眼になって捜すが、秘書ヘレンはそんな時がいずれ来ると予感していたのだろう。この辺は流石だ。

ジョンを演じたディカプリオはメイクで若い時代から老け顔まで一人で演じ切った。アビエーターでも実在の人物を演じていたが、今回は政治家を演じた。この手の重厚な作品の主役は重圧もあるだろうが、もはや演技派とも称される彼の演技は円熟味さえ感じさせる。
秘書ヘレンを演じたナオミ・ワッツは一歩下がって?ジョンを支える役だったが、役の意味をしっかりと理解していてこちらも良い演技だった。


映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観て

2012-02-21 11:16:43 | アメリカ映画 2012

12-16.ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
■原題:Extremely Loud And Incredibly Close
■製作国・年:2011年、アメリカ
■上映時間:129分
■字幕:今泉恒子
■観賞日:2月18日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

 

□監督:スティーヴン・ダルドリー
◆トム・ハンクス(トーマス・シェル)
◆サンドラ・ブロック(リンダ・シェル)
◆トーマス・ホーン(オスカー・シェル)
◆マックス・フォン・シドー(間借り人)
◆ヴァイオーラ・デイヴィス(アビー・ブラック)
◆ジョン・グッドマン(ドアマンのスタン)
◆ジェフリー・ライト(ウィリアム・ブラック)
◆ゾーイ・コールドウェル(オスカーの祖母)
【この映画について】
愛する人を失った事実を受け入れるのは誰にとっても容易な事ではない。ある日突然、理不尽に奪われてしまった命なら尚の事だ。ツインタワー崩壊と共に父との別れを余儀なくされた知的で繊細な少年の喪失と再生の道程を描いた本作は、ジョナサン・サフラン・フォアの同名小説を原作に、『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』の名匠スティーヴン・ダルドリーが映画化した話題作だ。
父親役のトム・ハンクス、見守る愛を貫く母親役のサンドラ・ブロック、無言の演技で魅せる名優マックス・フォン・シドーほか、ヴァイオーラ・デイヴィス、ジェフリー・ライトら贅沢なベテラン勢が、主演の新人トーマス・ホーンを守り立てる。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
9.11同時多発テロで父を亡くした少年オスカーは、父の突然の死を受け入れられずに日々を過ごしていた。そんなある日、彼は父の部屋のクローゼットで、封筒の中に1本の“鍵”を見つける。この鍵は父が残したメッセージかも知れない。オスカーはその鍵の謎を探しに、ニューヨークの街へと飛び出した……。

これも9・11がテーマとなっている映画と言って良いのだろうか?トムが一家の主としてツインタワーで勤務中にテロに巻き込まれてしまう。トムは必死に自宅へ連絡を試みるのだが、息子はそれを聞いていただけだったのが後になって分かる。
オスカーは優しい父が大好きで、休みの日には一緒に宝探しに出かけたりして、威張らない父を男としても尊敬していた。その父を失ってリンダも抜け殻のようになり、一家からは笑みが消えた。父の遺品整理中、オスカーは一本の鍵を見つける。

この一本の鍵の文字通りキーワードは「ブラック」ということで、オスカーはNY中の「ブラックさん」探しの旅に出るのだが照れ屋の男の子らしく母には何も告げずに「外出」を繰り返すのだった。この「ブラックさん」探しの過程で、彼は遂に目的だった本当のブラックさんに辿り着いたのだが、ブラックさんもオスカーも父を失った喪失感に浸っていた。
そしてこのブラックさん探しの旅にはオチがあった。母はオスカーの行動を実は全て読んでいて先回りしていたのだった。ラストで父が残したメッセージを、セントラル・パークで一緒に過ごしたブランコの椅子の裏で発見したオスカー。ここで冒頭に父と二人で楽しかったブランコ遊びのシーンと繋がってくるのだった。

このオスカー君を演じていた子役は新人とのことだが、とても新人とは思えないほど堂々とした演技でアカデミー賞受賞経験者の両親役の二人を相手に見劣りしなかったのだから大したものだ。と言うより、この映画はオスカー君が主役なのでトム・ハンクスの登場シーンもこのオスカー君の回想シーン内が多く、サンドラ・ブロックも控え目に彼を見守る役所だ。サンドラ・ブロックはアカデミー賞受賞で自信を付けたのだろう、コメディ・タッチの演技ばかりではなくシリアスな演技でも余裕を感じるようになってきた。それとスウェーデン出身の
マックス・フォン・シドーの物言わぬ演技も流石でした。

洋の東西を問わず小さな子供に取って父はヒーローだ。オスカー君がこれで吹っ切れて大きく成長したような「ブラックさん探し」の旅だったような気がしました。


光市母子殺害事件で大月(犯行時福田)被告の死刑確定

2012-02-20 22:47:39 | 時事ニュース・国内

山口県光市で1999年に母子を殺害したとして殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の大月被告(犯行時福田)(30)の差し戻し上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は、大月被告の上告を棄却する判決を言い渡した。広島高裁差し戻し控訴審(2008年4月)の死刑判決が確定する。



判決は、大月被告が差し戻し控訴審で一転、殺意を否認したことを「不合理な弁解」と指摘した。本村さんは「反省の情があれば死刑は下らなかった。残念だ。罪をかみしめ、それを乗り越えて受け入れてほしい」と複雑な思いをのぞかせた。
遺族の本村洋さん(35)は、霞が関の司法記者クラブで記者会見し「判決には大変満足しているが喜びの感情はない。厳粛な気持ちで受け止めなければならない」と、事件後の13年間を静かに振り返った。大月被告に対しては「罪をかみしめ、それを乗り越えて受け入れてほしい」と語った。

この事件は1999年に発生したのだから、13年近くが経過してやっと刑が確定するロングラン裁判となった。大月被告の犯罪時の年齢が仮に20歳以上であればここまで長引かなかっただろうが、今日の最高裁での判決でも4人中1人の裁判官が犯行時未成年に対する死刑適用に反対するなど見解が分かれた。
大月被告は犯行直後からその取り調べや友人に送った手紙などから、犯行を反省している態度を全く見せておらず遺族の感情を逆なでしていた。そして、大月被告の死刑回避に向けての弁護団が結成され、当時はまだ弁護士だった橋下氏(現、大阪市長)との論戦も白熱していた。大月被告の死刑回避だけを目的にした弁護団は、大月被告を洗脳し回避に向けてあらゆる方策を取っていたが、それも結果的に裁判官の心証を害したのではないだろうか?

大月被告の死刑を一貫して求めていた本村さん、それでも気丈に大月被告を避難非難すること無く、だが、死刑確定に対しての自分の意見ははっきりと述べていた。本村さんにとっては死刑確定は会見で語っていたように「勝利」では無い。また大月被告の死刑が確定しても、実際に刑が執行されない限りは本村さんの気持ちが和らぐことは無いでしょう。

[お断り]
私は楽天でブログを開設していた時から、「元少年」の実名を記してきた。それは、この凶悪事件を起こした「大月被告(旧姓福田)」の犯罪には弁解の余地は無く、幼い子供までをも殺害し自らの欲望だけを満たすために引き起こした犯罪であることから、もはや死刑判決は以前から当然だと個人的には判断して「福田被告」と記して来ました。しかも、既に週刊誌等で実名報道されていましたので...。


映画『麒麟の翼』を観て

2012-02-19 20:43:40 | 映画・邦画

12-15.麒麟の翼
■配給:東宝
■製作年・国:2012年、日本
■上映時間:129分
■観賞日:2月18日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ

 

□監督土井弘泰
◆阿部寛(加賀恭一郎)
◆中井貴一(青柳武明)
◆溝端淳平(松宮脩平)
◆田中麗奈(金森登紀子)
◆新垣結衣(中原香織)
◆三浦貴大(八島冬樹)
◆柄本時生(横田省吾)
◆黒木メイサ(青山亜美)
◆松坂桃李(青柳悠人)
◆劇団ひとり(糸川肇)
◆鶴見辰吾(小竹由紀夫)
【この映画について】
2010年4月に阿部寛主演で「新参者」というタイトルでドラマ化された、東野圭吾の人気ミステリー・加賀恭一郎シリーズ。その中でも東野圭吾自身が“シリーズ最高傑作”と呼ぶ「麒麟の翼」がドラマのキャストそのままで映画化された。
主人公の刑事・加賀恭一郎は、遺族たちに丁寧に向き合いながら、被害者や容疑者の周囲を調べ、彼らの行動の謎を解き明かし、事件の真相を探っていく。被害者・容疑者それぞれが秘めていた家族への想いが明かされる時、思わず涙する観客も多いはずだ。阿部寛、溝端淳平らレギュラー陣に加え、新垣結衣、中井貴一、松坂桃李らが新たに参加している。監督は『涙そうそう』『ハナミズキ』の土井裕泰。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
東京・日本橋で男性が殺害される事件が発生。被害者はカネセキ金属の製造本部長、青柳武明。彼は、腹部を刺されたまま8分間も歩き続けた後に、日本橋の翼のある麒麟像の下で力尽きていた。なぜ、誰の助けも求めず、彼は一体どこへ向かおうとしていたのか。
一方、事件の容疑者、八島冬樹は現場から逃亡しようとしたところを車に轢かれて意識不明の重体だった。報せを聞いた八島の恋人、中原香織は、彼の無実を訴えるが……。この難事件の捜査に当たるのは、日本橋署の切れ者刑事、加賀恭一郎。やがて捜査が進むにつれて、それぞれの家族や恋人の知られざる一面が明らかになってゆく。命が終わるその時に、青柳は誰に何を伝えようとしていたのか?愛する人に何を残そうとしたのか?加賀は事件の裏に隠された謎を解き明かし、真実を見つけ出すことができるのか……?

ドラマ版「新参者」を観ていない私としては、単なる「邦画」の一つとして観賞した。なので阿部寛がドラマでどのように演じているかは全く知らない状態で観た訳で、観終わった感想は「盛り沢山で良く出来た良質の2時間ドラマ」を映画館で観た、そんな感じかな。
この映画では父子の絆がテーマのようで病に臥す加賀父子の関係、青柳父子の関係。この二つを中心に、この二組に絡む悩みや事件の綾が見え隠れする。青柳父子は刺殺された父の仕事について家族が誰もよく知らなかったことや、父が息子のクラブ活動に纏わる秘め事について。青柳家には被害者ながらマスコミに追われ続け、まるで殺されてもやむを無かったような空気まで流れて一家崩壊の危機を迎える。
加賀父子は同じ職業を持つ親子の悩み、加賀父の担当看護師であった金森が感じ取った父の息子への秘めた思いを場面の展開を変える繋ぎとして使っていた。田中麗奈は登場回数こそ多くは無いが重要な役所だった。彼女が発した「死にゆく人が発したメッセージを受け止めるのは、生きている者の義務」という内容のセリフ、青柳武明はまさに刺されて麒麟像に辿り着くまで「必死」になって何かを残そうと血染めの折りヅルに託したようすを暗示していて、この映画の中で最も重要なセリフだと個人として感じました。

ストーリー的には青柳家の息子の水泳部についての事件隠蔽を巡って、知られざる事実が加賀の捜査で浮上してくる。結局、青柳家の息子も関わっていたこの水泳部の事故が事件の真相なのだが、決してこれをメインに添えてはいない。そこに辿り着くまでに青柳武明の人柄から遡って足取りを加賀が捜査し、七福神巡りや謎のブログ、折りヅルの意味など話題はてんこ盛り。
そのてんこ盛りが逆に犯人へ辿り着くまでに時間がかかり過ぎな気もする。また、黒木メイサや新垣結衣という若手人気女優の出番を作る為の設定など、その他、あっても無くても良いような場面も見受けられた。

日本橋を中心としたロケ中心の映像は23区の西端に住んでいる身としても楽しめるものだった。


天皇陛下、手術無事終了 2週間で退院見通し

2012-02-18 13:33:42 | 時事ニュース・国内

天皇陛下(78)は18日、入院先の東大病院で、心臓冠動脈のバイパス手術を受けられた。記者会見した医師団によると、3時間56分後の午後2時57分に無事終わり、陛下は手術室を出て集中治療室(ICU)に移った。術中の出血はほとんどなく、麻酔からの目覚めも順調という。経過が順調ならば2週間程度で退院できる見通し。

宮内庁関係者によると17日の入院から同行した皇后さまはそのまま付き添い、18日朝に訪れた長女黒田清子(さやこ、紀宮)さんとともに手術が終わるのを待った。皇太子ご夫妻は東宮御所で待機した。
陛下は手術前と手術後の2度、皇后さまと医師団に「ありがとう」と口にされた。手術を終えて目覚めた際は集中治療室で、様子を案じ、両脇に立って手をさする皇后さまと清子さんに「気持ちいい」と優しく言葉を返した。

日本国民が心配されていた陛下の手術の結果だが、東大と順天堂大の合同チームが執刀にあたられ無事に終了したのは何よりだ。手術前には某週刊誌が大々的に担当医の宗教的な背景を懸念する見出しが躍っていたが、我々はそんなことより陛下の体調が一日も早く回復されることが第一。
昨年11月には過労から体調を崩され、楽しみにされていたブータン国王ご夫妻のハネムーン来日での会談が高熱を発せられたことで流れたり、皇太子ご夫妻の問題等頭を悩ますことが多かった上に、震災の慰問などで公務が立て込み体調を崩されていた。
宮内庁は今後、陛下の公務削減に向けて調整するそうだが、皇太子妃雅子さまは何時までも健康状態を云々ではなく、ご高齢の陛下の公務を皇太子ご夫妻で少しでも多く肩代わりされるのが本来のあるべき姿ではないでしょうか?秋篠宮眞子さまも成人されたので、今後は公務のご負担の一角を担う事になるのでしょうかね?


 

小野稔・東大心臓外科教授
「手術は予定通り順調に終了した。東大と順天堂大のチームは、手術前から入念に検討を繰り返し、特にプレッシャーもなかった。これ以上ない素晴らしいバイパス手術ができた」

天野篤・順天堂大心臓血管外科教授
「自分は当たり前の手術を当たり前にしただけ。天皇陛下の治療に、そういう場を与えていただいたことに感謝している。また、陛下のご希望通りのことができるようになる日が来ることを確信している」


映画『ALWAYS三丁目の夕日'64』を観て

2012-02-15 17:31:37 | 映画・邦画

12-14.ALWAYS三丁目の夕日'64
■配給:東宝
■製作年・国:2012年、日本
■上映時間:142分
■観賞日:2月14日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督・脚本・VFX:山崎貴
◆吉岡秀隆(茶川竜之介)
◆小雪(茶川ヒロミ)
◆須賀健太(古行淳之介)
◆大森南朋(富岡)
◆堤真一(鈴木則文)
◆薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
◆堀北真希(星野六子)
◆森山未来(菊池孝太郎)
◆小清水一揮(鈴木一平)
◆三浦友和(宅間史郎)
◆もたいまさこ(大田キン)
【この映画について】
今や国民的映画となった「ALWAYS」シリーズ。その三作目となる本作は、時代は東京タワー完成後の昭和39年。オリンピックに浮き立つ日本を背景に、三丁目で育った子供たちのそれぞれの旅立ちを描く。自動車修理会社、鈴木オートの長男・一平は、加山雄三に憧れてギターをかき鳴らす夢見がちなガキ大将。売れない作家、茶川竜之介とヒロミを親代わりに育った淳之介は、茶川と同じ文学に憧れ、そして六ちゃんは仕事と恋の間で揺れ…。三作目ともなると、登場人物は懐かしい友達のよう。友人の家を訪ねるような気持ちで楽しんで欲しい。出演は、吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、薬師丸ひろ子、須賀健太ほか。監督は1作目からの山崎貴。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
昭和39年(1964年)。オリンピック開催を控えた東京は、ビルや高速道路の建築ラッシュとなり、熱気に満ち溢れていた。そんな中、東京下町の夕日町三丁目では、5年前と変わらず、個性豊かな住民たちが元気に暮らしていた。小説家の茶川竜之介は、ヒロミと結婚し、高校生になった古行淳之介と3人で仲良く生活している。茶川商店の一角は改装され、ヒロミがおかみを務める居酒屋「新山藤」となった。ヒロミは身重で、もうすぐ家族が一人増える様子。だが茶川は「冒険少年ブック」の看板作家として連載を続けているが、新人小説家の作品に人気を奪われつつあった。編集者の富岡から「もっと新しい雰囲気で」と言われ、茶川はますますスランプに陥っていく。

一方、鈴木則文とその妻・トモエ、一人息子の一平、住み込みで働く星野六子が暮らす鈴木オートは、順調に事業を拡大し、店構えも立派になった。六子にも後輩の従業員ができ、厳しく指導をする姿はすっかり一人前。彼女無しでは鈴木オートの仕事は回らないほどであった。そんな六子は、毎朝おめかしをして家を出て行く。それは、通勤途中の医者・菊池孝太郎とすれ違い、朝の挨拶をかわすためだった。六子のほのかな恋心を温かく見守るのは、大田キン。そして小児科医・宅間史郎は、今日も町の人のために診療を続けている。そんな折、茶川が隠していた、とある電報をヒロミが見つけてしまう……。

今や老若男女を問わず「国民的映画」となった「ALWAYS」シリーズの3作目。映画館で観た人も、映画館は行かないけどTVで観た人も合せると多くの国民が楽しんだ筈だ。
この映画の良さ=脚本の良さである。東京五輪の高度成長期の活気のある東京の人たちの暮らしを描いており、ネット・メール社会で相手が見えない現代の人間のコミュニケーションとは異なる良さがスクリーンを通して感じられる。確かにCGを多用していてそれを指摘する輩もいるようだが、それはあくまでも今は失われた当時の様子を忠実に再現するためのツールであり、やはり脚本が良いのでCG多様によるマイナスとはなっていないと個人的には感じる。

今回のストーリーは鈴木オートの六子、茶川家の居候?淳之介が中心。六子の医師との隠れて進行していたラヴストーリー、淳之介は変名で雑誌に投稿していた事実が判明。結局、六子は結婚することになり、淳之介も茶川が勧める東大進学を諦めて自分の信念を貫く為に茶川と同じ小説家の道を歩む決意を固め、茶川と同じフィールドに立つ。その茶川は淳之介を追い出し、淳之介は茶川家から旅立つ。
この2つの話を軸に、茶川の父危篤で実家にヒロミから半強制的に勧められて嫌々帰省する話、鈴木オートには新人が入り、世の中は東京五輪開催で活気あふれる様子が上手くまとめられている。特に、茶川が実家へ帰省した時の話は、淳之介との関係を物語る上で大事だった。茶川家も鈴木家も親子では無い六子と淳之介に対して、子供以上に愛情を注いでいたことにも注目だ。
脇役ではタバコ屋を演じる「もたいまさこ」、医師の三浦友和なども絡んで、観ていて時間を忘れてホッとする瞬間を提供してくれる。私は東京五輪時は3歳で東京生まれだが当時は大阪在住だったので、五輪の記憶は全く無い。それでもこの映画のセットやCGを観ていると何だか懐かしさを感じる。

これでこのシリーズはジ・エンドとなるのだろうか?売れたからと言って続編を乱発するのは避けてもらいたい気がする。大阪万博が舞台のALWAYSではね...。


映画『ドラゴン・タトゥーの女』を観て

2012-02-14 10:51:20 | 映画・ホラー,サスペンス,スリラー

12-13.ドラゴン・タトゥーの女
■原題:The Girl With The Dragon Tattoo
■製作年・国:2011年、アメリカ・スウェーデン・イギリス・ドイツ
■上映時間:158分
■字幕:松浦美奈
■観賞日:2月14日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督:デヴィッド・フィンチャー
◆ダニエル・クレイグ(ミカエル・ブルムクイスト)
◆ルーニー・マーラ(リズベット・サランデル)
◆クリストファー・プラマー(ヘンリック・ヴァンゲル)
◆ステラン・スカルスガルド(マルティン・ヴァンゲル)
◆スティーヴン・バーコフ(フルーデ)
◆ロビン・ライト(エリカ)
【この映画について】
世界的なベストセラーを記録したスウェーデン発のミステリー「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」は、まずスウェーデンで映画化され大ヒット。そして『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』の監督デヴィッド・フィンチャーを起用し、ハリウッドでリメイク。
40年前に起きた少女失踪事件を追うのは警察でも探偵でもなく、オピニオン誌の発行者。そんな彼とコンビを組むのが、女性ハッカー。少年のようにやせた体にピアスとタトゥーをし、後見人が必要な社会不適合者だが、優れた能力を持っているという異色キャラ。少女失踪事件が未解決の猟奇殺人事件に結びついていくあたりは、D・フィンチャーの得意とするところ。本作は、シリーズ3部作の第1部なので、今後の展開にも期待大だ。
主演は「カウボーイ&エイリアン」のダニエル・クレイグ、「ソーシャル・ネットワーク」のルーニー・マーラ。第84回アカデミー賞の主演女優賞、撮影賞、編集賞、音響編集賞、音響賞にノミネートされた。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながらも、名誉棄損で敗訴したミカエル・プルムクイスト。意気消沈の日々を送っていた彼のもとに、ある日、スウェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人から家族史編纂の依頼が舞い込む。しかしそれは表向きで、ヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。

40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さずに消えた少女ハリエット。ヴァンゲルは彼女が一族の誰かに殺害されたと信じていた。依頼を受けて調査を開始したミカエルは、成功の裏に隠された一族の血塗られた過去に気づいたものの、手掛かりが掴めずにいた。すると、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主として、ある人物を紹介される。リスベット・サランデルという名の、顔色が悪くガリガリにやせた女だった。
小柄なリスベットは、肩口から背中にかけて、異彩を放つ龍の刺青(ドラゴン・タトゥー)が彫られていた。そして意外なことに、彼女はこの事件に異様な関心を示す。やがて彼女は、ハリエットの日記に記された聖書にまつわる数字が、ロシアの国境付近で未解決のままとなっている連続猟奇殺人事件と関連があることを突き止めるのだが……。

世界的ベストセラー作品のリメイクで、既にスウェーデン製作の三部作として公開されたので観た方も多いと思うし、記憶も残っている筈。そういう自分も三部作は非常に面白かったので、これをハリウッド映画として(実際はアメリカ・スウェーデン・イギリス・ドイツ共作)しかもデヴィッド・フィンチャー監督作品として公開されると知って興味が沸いた。
中でもこの映画の最大の見所はオリジナルでのリズベット役を演じたノオミ・ラパスの奇抜なファッションとメイクを、本作でのリズベット役ルーニー・マーラがどこまで迫ることが出来るかにあると思っていました。結果を先に言えば、ノオミ・ラパスの印象が強烈過ぎたのですが、ルーニー・マーラも彼女なりに頑張ったと言えるしアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたので引けを取らないです。個人的にはノオミ・ラパスの方に軍配上げます。
この作品は3部作でまだ2作が予定されているので、そちらの方ではリスベットの隠された壮絶な過去が明かされるので、1作目だけを観ていると、彼女がなぜあのような境遇に陥ったかは分かり辛いかも。ラストでリスベットがエリカとデートするミカエルをみて、彼女が持っていたものをゴミ箱へ投げ捨てるシーン、あっても無くても良い場面ですが、彼女の中の乙女心?や性格を知る上では必要だったかも。

オリジナルと本作はどちらも当然ながら同じ展開ですが、微妙な部分でフィンチャー版は異なります。特に、ハリエットが逃げ出すまでは変らないのですが、オリジナルではハリエットはオーストラリアの片田舎でひっそりと生活していましたが、フィンチャー版では英国へ名前を変えて逃亡していたことに替えられていました。どちらも流れを変えるほどの変更ではないですが、フィンチャー版が何故変えたのかは分かりません。屋敷内での再会シーンはやはりジーンときますね。

ミカエルを演じていたジェームズ・ボンドことダニエル・クレイグですがここではマルティンに舐められて捕まってしまいます。リスベットとの絡みでは、彼女の方が盛んにモーションをかけて来るが、ラストではそんな彼女を奈落の底に突き落としたのはご愛嬌か?



この映画のオープニングの映像が中々フィンチャーらしくエッジが効いてカッコいいです。原曲はレッド・ツェぺリンの「移民の歌」(劇中ではカレン・O&トレント・レズナー)でフィンチャー監督がZEP側と交渉してOKをもらったらしい。


映画『ハンター』を観て

2012-02-13 18:22:33 | 映画・ホラー,サスペンス,スリラー

12-12.ハンター
■原題:The Hunter
■製作国・年:2011年、オーストラリア
■上映時間:100分
■字幕:伊東武司
■観賞日:2月12日、シネマスクエア東急(歌舞伎町)

 

□監督・脚色:ダニエル・ネットハイム
◆ウィレム・デフォー(マーティン・デヴィッド)
◆サム・ニール(ジャック・ミンディ)
◆フランシス・オコナー(ルーシー)
◆モルガナ・デイヴィス(サス)
◆フィン・ウッドロック(バイク)
◆カラン・マルヴェイ(ライバルハンター)
【この映画について】
幻の野生動物を追い求める孤高のハンターの運命を、オーストラリアの神秘的な大自然を舞台につづる人間ドラマ。『スリーピング ビューティー/禁断の悦び』のメガホンをとった女流作家ジュリア・リーの小説を原作に、無垢(むく)な心の母子との交流を通して、孤高の人生を貫いてきた自らの生き方を見つめ直す主人公の葛藤(かっとう)を描く。
主演は『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』のウィレム・デフォー。共演には『A.I.』のフランシス・オコナー、『ジュラシック・パーク』シリーズのサム・ニールら実力派がそろう。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】
百戦錬磨の傭兵として世界中を渡り歩いてきたマーティン・デヴィッドは、バイオ・テクノロジー企業であるレッドリーフ社の依頼で、オーストラリア・タスマニア島を訪れる。目的は、タスマニアタイガーの生き残りを見つけ出し、その生体サンプルを採取するというものだった。
タスマニアタイガーは70年以上前に絶滅したとされているが、その目撃情報を入手したレッドリーフ社はライバルを出し抜くために、凄腕のハンターでもあるマーティンを送り込んだのだ。現地ガイドのジャック・ミンディが用意したベースキャンプは古めかしい木造の民家で、利発な少女サスとその弟バイク、体調不良で寝たきりの母親ルーシーのアームストロング家が住んでいた。

動物学者で環境保護活動に熱心な父親ジャラは数ケ月前に森へ向かい、消息を絶ったという。発電機が壊れ、お湯も出ない家にうんざりしたマーティンは、町のバーに立ち寄って貸し部屋を探す。しかし、森林伐採を生業とする地元の労働者たちはマーティンをエコロジストだと決めつけ、敵対心をむき出しにする。
非合法ハンターの素性を隠して研究者を装うマーティンは、仕方なくアームストロング家に身を寄せる。マーティンは、ガイド役を申し出るミンディを途中で帰し、ひとりで大自然の奥深くへ入っていく。森や草原に動物用のトラップを設置する12日間の調査を何回か繰り返し、タスマニアタイガーの痕跡や行動範囲を特定するつもりだった。しかし1回目の調査で謎めいた銃声を聞き、2回目は人為的に破壊された鉄製トラップを見つける。他人と一切関わらず、冷たい人生を送ってきたマーティンだったが、アームストロング家の子供たちと触れ合ううち、心に変化が訪れる。やがてこの仕事に疑念を持ったマーティンは、密かに近づいてくる脅威との闘いを強いられ、人生最大の決断を迫られる。

ハンターであるマーティンはアームストロング家の主だったジャラが行方不明になっていたことで、ガイド役のミンディに何かしらの胸騒ぎを感じていた。そのアームストロング家に身を寄せていたことで、マーティンが調査で不在の合間を縫って家は何者かに放火されルーシーとサスを失ってしまい呆然とする。
更に、彼は調査中に白骨化したジャラの死体を発見し、マーティン自身も何者かに後を追われ危険を察し始める。レッドリーフ社はマーティンが成果を上げないことから密かに後任のハンターを送っていた。そして遂に...。紆余曲折を経てマーティンはタイガーを視界に捉え、彼の銃はタイガーに焦点を合わせ引き金は...。

結局、彼はレッドリーフ社にタイガーは居なかったと電話連絡し、アームストロング家の生き残りとなったバイクを迎えに行く。彼はハンターとしての生活に見切りを付け、孤児となったバイクと共に生きるのか?でも、レッドリーフ社は容赦するとは思えないのですが...。

前半は幻のタイガーを巡って地元の利益を守りたい地元民の冷ややかな態度に悩まされながらも、タイガー発見の為の情報収集に精を出す。ここで伏線となって来るのが子供から渡された一枚の絵だった。マーティンはそこに何かを感じたからだった。このアームストロング家との交流が要所要所でストーリーを上手く進めるターニングポイントになるのだが、ウィレム・デフォー演じるマーティンは孤独だった人生がここでの家族との交流で心境の変化を感じて来る。孤独な男を演じたら右に出る者はいない?ウィレム・デフォーはハンター生活を上手く演じていた。
サム・ニールも裏に何かを隠していそうな役だったが、ウィレム・デフォーとの絡みは見応えがあった。後半からはタイガーを巡っての駆け引きが繰り広げられながら、最後はこんなハンター生活に嫌気がさして終わると言う展開は、もう一捻り何かが欲しかった気がした。
それでも、実際にタスマニア島でロケした映像がふんだんに使われていることで、ストーリーに真実性を持たせていたと思う。これをどこか別の場所で「タスマニア島」という設定で撮影しても説得力は無かったと思う。

余談ですが、アームストロング家の主だったジャラは「生前」ブルース・スプリングスティーンが好きだった、でも所持していたのは「LP」だった。それは「ボーン・イン・ザ・USA」収録の「アイム・オン・ファイアー」だった。彼が木の陰とかにこしらえたスピーカーから曲が流れて来るシーンは、生前のジャラを語る唯一のシーンとして頭に残った。


衝撃!ホイットニー・ヒューストンが急死、ホテルで発見

2012-02-12 18:18:34 | 芸能ニュース

当地の警察は11日、1980、90年代にポップス界の女王として君臨した米歌手のホイットニー・ヒューストンさんが11日、カリフォルニア州のビバリー・ヒルトンホテルで遺体となって発見されたと発表した。48歳だった。
 通報で駆け付けた救急隊が高級ホテル「ビバリー・ヒルトン」4階客室で倒れているヒューストンさんに蘇生措置を試みたが、市警が同日、死亡を確認した。ヒューストンさんはこの日、米音楽界最高の栄誉、グラミー賞授賞式を翌12日に控えて、同じホテルで開かれる関連パーティーに出演する直前だった。報道によると、ここ数日はひどく疲れた様子だった。

ホイットニーは2000年にはハワイで大麻を所持しているのが見つかり、訴追され、薬物依存症患者の更生施設に入った。2002年には米テレビにコカインなどの薬物やアルコールの依存症に苦しんでいることを告白。2004年には更生施設に入り、昨年5月には再びドラッグとアルコール依存症の治療のためリハビリ(更生)施設に入ったと伝えられていた。
2003年には夫(当時)のボビー・ブラウンがホイットニーの顔を殴り頬や唇に裂傷を負わせた暴行容疑で逮捕、起訴された。ボビーはそれまでも麻薬所持や交通違反で数回逮捕されており、2006年にホイットニーさんが離婚を申請。2007年に離婚が成立するなど、トラブル続きの結婚生活でもあった。

このニュースを知ったのは、今日、タマタマ映画観賞の後でタワー・レコードで買うCDを物色していた。自分の足が止まった眼の前に「追悼!ホイットニー・ヒューストン」の文字が。はあ?ホイットニーの母(シシー)が亡くなったのか?と思い、もう一度顔を上げて見たら間違いなくホイットニーが死んだとある。
冗談だと思ったが、店内ではホイットニーのヒット曲が流れ始め、店員がホイットニーが亡くなったと放送していたので間違いなさそうだ。急いで携帯のニュースを探していたら、携帯のニュースにもホイットニーが亡くなったとあって始めて事実だと知った。
マイケル・ジャクソンが亡くなった時も大いに驚いたが、ホイットニーの死もそれに匹的する大ニュースである。1980から1990年代にかけてはマイケル、ホイットニー、マドンナがポップスシーンを牽引して、この3人で常にビルボードチャートの上位を賑わせていたことはリアル・タイムで知っているだけに、いまだに彼女の死が信じられない。

私は彼女のデビュー時からヒットを連発していた頃も常にアルバムは発売と同時に購入し彼女の歌声に魅せられていた。1986年の初来日公演を日本武道館で観たのも良い思い出だ。因みに、この時のオープニングは何とマイケルの「Wanna Be Startin' Somethin'」でラストは「Greatest Love Of All」だった。

彼女は幼少時は教会で歌う等して場数を踏み、10代の頃にはモデルとして芸能活動をしていたが満を持してレコードデビューを果たす。当時は、母と姻戚関係にあるディオンヌ・ワーウィックの姪であることがウリだったが、デビューアルバムからヒットを連発すると一気にスターダムにのし上がった。
その後も順調な音楽活動が続いていたが、そんな彼女のつまづきは絶頂期の1992年に、日本公演で滞在中に知り合った不良夫ボビー・ブラウンとの結婚からだ。ブラウンはホイットニーと結婚前から麻薬、アルコール、DVなど悪い噂ばかり囁かれ、ホイットニーとの結婚前にもガールフレンドとの間に子供をもうけたりとヤリタイ放題。
結局、ホイットニーもブラウンからの悪い影響で麻薬中毒が酷くなり、いつしか音楽活動の方も疎かになりヒットチャートを賑わすことも無くなって行ったのは返す返すも残念だ。ブラウン以外の男性と結婚していたら、こんなに早く亡くなることも無かったかも知れない。

それでも彼女が我々に残した素晴らしい歌声はポップス界に燦然と輝き続けるでしょう。冥福を祈ります。
Rest In Peace、Whitney!

[Whitney Houston No.1 Hits](Billboard)
1.Saving All My Love For You(1985)
2.How Will I Know(1985)
3.Greatest Love Of All(1986)
4.I Wanna Dance With Somebody(Who Loves Me)(1987)


5.Didn't We Almost Have It All(1987)

6.So Emotinonal(1987)
7.Where Do Broken Hearts Go(1988)
8.I'm Your Baby Tonight(1990)
9.All The Man That I Need(1990)
10.I Will Always Love You(1992)
11.Exhale(Shoop Shoop)(1995)


映画『マシンガン・プリーチャー』を観て

2012-02-05 22:58:08 | アメリカ映画 2012

12-11.マシンガン・プリーチャー
■原題:Machine Gun Preacher
■製作国・年:2011年、アメリカ
■上映時間:129分
■字幕:李静華
■観賞日:2月4日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)

 

□監督・製作総指揮:マーク・フォースター
□脚本:ジェイソン・ケラー
□撮影監督:ロベルト・シェイファー
□美術:フィリップ・メッシーナ
□編集:マット・チェス
□衣装デザイン:フランク・L・フレミング
◆ジェラルド・バトラー(サム・チルダース)
◆ミシェル・モナハン(リン・チルダース)
◆マイケル・シャノン(ドニー)
◆キャシー・ベイカー(デイジー)
◆スレイマン・スイ・サヴォネ(デン)
◆マデリーン・キャロル(ペイジ)
【この映画について】
内戦が続くアフリカ・スーダンで子供たちの救出活動を続けるアメリカ人、サム・チルダースの姿を追った実話ベースのドラマ。元麻薬売人という異色の経歴ながら、ボランティアで訪れた彼の地で現実を目の当たりにし戦いを開始、私財を投じて孤児院を建設し、マシンガンを手にゲリラから子供を守るさまを描いている。
今作で初めて実在の人物を演じたジェラルド・バトラー。前半は、犯罪に塗れた男が家族と信仰に支えられながら生まれ変わっていく過程を熱演、後半は鬼気迫る表情で戦いに身を投じながら、自分の無力感にいらだつ葛藤を迫真の演技で表現した。そんなバトラーの新境地とも言うべき味わい深い演技を堪能したい。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
1990年代、アメリカ・ペンシルヴェニア州。刑務所を出所したサム・チルダースは、信仰に目覚めた妻リンがストリッパーを辞め、稼ぎの悪い工員になったと聞き、家を飛び出す。サムは親友ドニーと合流し、酒と麻薬に溺れる生活に戻る。

ある日、サムは道でもめた男を半殺しのまま放置してしまう。後悔したサムはリンに助けを求め、教会で洗礼を受ける。人生をやり直すと決意したサムは建設現場で働き始め、やがて会社を設立する。数年後、教会の礼拝でウガンダの牧師の話に感銘を受けたサムは、リンや娘ペイジ、母デイジーに快く送り出され、現地のボランティアに参加する。

北部ウガンダの建設現場に派遣されたサムは、スーダン人民解放軍のデンと出会う。サムはスーダンの難民キャンプで、子供たちが武装ゲリラ・神の抵抗軍(LRA)に拉致されては少年兵に仕立てられるという現実を目にする。数週間後、帰国したサムは、スーダンに孤児院を建てることを決意し、麻薬から更生したドニーに家族を任せてスーダンに赴く。
LRAの妨害に遭い計画は困難を極めたが、リンの電話に励まされたサムは孤児院を完成させる。しかし孤児院の維持や子供たちの救出は簡単なことではなく、サムは苛立ちをつのらせていく。帰国しても攻撃的な態度を取り続けたサムは、ドニーに冷たく当たる。行き場をなくしたドニーは再び麻薬に溺れ、孤独に死んでいく。

サムはリンに相談せず建設会社を売り払うと、スーダンへ旅立つ。サムの攻撃性はエスカレートし、孤児院でも凶暴な態度で振る舞う。ある日、元LRAの少年兵で、孤児院に保護されたウィリアムがサムの部屋を訪ねてくる。ウィリアムは、LRAの命令で母親を殺したという悲惨な体験を語る。それでもウィリアムが自尊心を失っていないことに感銘を受けたサムは、自分の使命を悟る。

この話は実話に基づく映画化だそうだ。チルダースがボランティアに目覚めてスーダンに行くまでの下りはちょっと長いのだが、映画的にインパクトを与えないとという部分では納得?このチルダースだが、やはりアメリカ人らしい正義感でスーダンの子供たちを救おうと立ち上がったものの、逆に、自分の子供にはアフリカの子供と自分たちとどっちが大事なの?みたいに迫られて家庭内では浮いてしまうが、そこは強引に自分の信念を貫こうとする。
当然ながら、彼にはアメリカで定職は無い(一応あるけど)ので収入は限られていて、地元銀行に押し掛けて融資を半ば強引に取りつけようとアフリカでの現状を熱っぽく語るが、その余りに高圧的な態度に周囲も関わりたく無くなる。家庭でもイライラを募らせ、遂にはスーダンでもその高圧的な態度で徐々に人が離れて行く。それでも彼は時には銃を手に取って、彼の存在を脅かす者には無慈悲に銃弾を発するのだった。

孤立して行く中で、母親を殺さざるを得なかった少年の話は彼の心に響いた。アメリカとスーダンでの二重の生活で失ったものも多かったチルダースだったが、彼に取って麻薬中毒から抜け出して自分の居場所はスーダンに果たしてあったのだろうか?彼は今でもアフリカで活動しているそうだ。

チルダースを演じていたのはスコットランド出身のジェラルド・バトラー。彼のイメージと麻薬中毒者からボランティアとして生きる決意をした人物を演じているのだが、彼は出演作毎に異なったタイプの人物に扮しており、今回の主人公チルダースも違和感無く役にのめり込んでいたように思えた。


映画『善き人』を観て

2012-02-04 23:02:06 | ヨーロッパ映画

12-10.善き人
■原題:Good
■製作年・国:2008年、イギリス・ドイツ
■上映時間:96分
■字幕:渡邉貴子
■観賞日:2月4日、ヒューマントラストシネマ渋谷(渋谷)

 

□監督:ヴィセンテ・アモリン
□脚本:ジョン・ラサール
□撮影監督:アンドリュー・ダン
□編集:ジョン・ウィルソン
□美術:アンドリュー・ロウズ
□音楽:サイモン・レイシー
◆ヴィゴ・モーテンセン(ハルダー)
◆ジェイソン・アイザックス(モーリス)
◆ジョディ・ウィテカー(アン)
◆スティーヴン・マッキントッシュ(フレディ)
◆マーク・ストロング(ボウラー)
◆ジェマ・ジョーンズ(ハルダーの母)
◆アナスタシア・ヒル(ヘレン)
【この映画について】
善良であるがゆえに主人公ジョンは誰に対してもノーと言うことができない。上司にも、教え子にも、ナチ党にも。それは家族を守るため、生き残るためだった。結果として、無二の親友であるユダヤ人のモーリスを失うことになるのだが。英国の劇作家C・P・テイラーの名作舞台劇「GOOD」を原作に、ごく普通の男が直面する良心と保身の間の葛藤を描いた本作。
主人公ジョンを演じるのは知的でハンサムでセクシーなヴィゴ・モーテンセン。製作総指揮もつとめる『ハリー・ポッター』シリーズのジェイソン・アイザックスがモーリス役を好演している。メガホンをとったのは異色ロードムービー『Oiビシクレッタ』のヴィセンテ・アモリン。
(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】
1930年代、ドイツはヒトラーの台頭とともにナチ党の色に染められ、それは教育の現場も例外ではなかったが、ベルリンの大学で教鞭をとる文学教授ジョン・ハルダーは、失職覚悟で党に抵抗する余裕はなかった。介護が必要な母と妻のヘレン、そして2人の子供たちの生活を背負っていたからだ。

1937年4月、総統官邸から呼び出し状が届き、ジョンは党の検閲委員長ボウラーから意外な申し出を受ける。数年前にジョンが書いた不治の病に侵された妻を夫が安楽死させる内容の小説をヒトラーが気に入り、同様の「人道的な死」をテーマにした論文を書いてほしいという。断るすべもなく仕事を引き受けるジョン。さらに彼は、親衛隊少佐フレディから、執拗に入党の誘いを受け、ジョンは入党を決意、混乱した私生活にも区切りをつけようと思い立つ。母親をブランデンブルクの実家に帰し、ヘレンと別居。数年前から愛人として交際していた元教え子のアンと共に暮らし始める。

やがてジョンは学部長に昇進。親友のユダヤ人精神分析医モーリスは喜んでくれたが、ジョンの入党を知ると軽蔑の視線を投げつけて去っていく。
1938年10月、アンと再婚し、新たな人生を歩み始めたジョンは親衛隊大尉の肩書きを持つまでに出世を遂げていた。そんな中、ジョンの母が孤独な闘病生活に絶望して自殺未遂、そのまま帰らぬ人となった。ある日、パリ駐在のドイツ人書記官がユダヤ人に暗殺される事件が起こり、ベルリンで反ユダヤの暴動が発生。ユダヤ人の家や商店が襲撃され、ユダヤ人たちは警察に連行される。
この騒動にモーリスが巻き込まれることを案じたジョンは、駅へ出向き、パリ行きの切符を購入。「今晩自宅へ来てくれ」と、モーリスのアパートに伝言を残す。その直後、党本部への出頭を命じられたジョンは、留守を預かるアンにモーリスへの切符を託すが、結局彼は現れず、消息は途絶えてしまう。
1942年4月、親衛隊の幹部としてユダヤ人強制収容所の情報収集を命じられたジョンは、党の誇る最新鋭の設備を使い、モーリスの消息を追う。そのとき初めて、4年前のあの夜に何が起きたかを知るジョン。さらに収容所の視察に赴いた彼は、自分が無意識のうちにどれだけ深い罪を犯していたかに気づき、愕然とする……。

ひっそりと公開されていたこの作品、ヴィゴ・モーテンセンが大学教授として教鞭を取っていたが、ヒトラーに気に入られ時代の流れもあってナチスへ入党し親衛隊大尉の地位にまで登りつめた。その一方でユダヤ人の親友モーリスとの仲は入党で引き裂かれ、親友の為に罪滅ぼしの意識からか、自らの地位を利用して逃亡用の切符を用意するものの行き違いから失敗に終わった。
そして彼が収容所でかつての親友の変わり果てた姿を目にして、やっと自分のしたことの愚かさに築いた。そして、用意した切符を取りにモーリスは来たのだが、妻がナチスに通報してしまった事実を知ってしまい激しく動揺する。

ストーリーとしては時代の波に晒されながら生きてゆくユダヤ人のモーリスとジョンの話だが、学者であるジョンの政治アレルギーはその波に呑まれてしまった。そして親友の命運までをも間接的に左右してしまった。ジョンの家族についても描かれているのだが、話の流れの中のエピソード的な扱いであり、モーリスをナチスに引き渡してしまったシーンも映像では無し。従って、ヴィゴ・モーテンセン演じるジョンの苦悩する様子が全体を支配しているのだ。
題名はシンプルに「Good」で邦題では「善き人」となっている。この邦題の方はジョンの事も妻のアンのことも指しているのだろうし、戦争になる前なら特に誰と言う訳では無いのだが、原題は「Good Man」でも「Good People」でも無い。この意味は深いと思う。単純な題名だが、国家に取って「良いこと」をしたジョンだったが、収容所で大勢のユダヤ人をみて呆然とするのだが、時すでに遅しで、自らが関わってきたことに眼が覚めた時にはすでに取り返しのつかない状況だったからだ。

ヴィゴ・モーテンセンはアメリカ人俳優だが、彼は以前からヨーロッパ映画に積極的に出演し渋い演技を見せてくれるが、ここでも感情を押し殺す場面が多いのだがイギリス人俳優に交じっての出演だが何の違和感も感じない良い俳優だ。娯楽性の高いハリウッド映画より、この手のヨーロッパ映画がこれからも彼の演技力を遺憾なく発揮出来る場であると思うので、今後も出演作は関心を持ってチェックしたい。


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