12-99.人生の特等席
■原題:Trouble With The Curve
■製作年、国:2012年、アメリカ
■上映時間:111分
■観賞日:12月14日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ
■料金:0円(1カ月フリーパス)
□監督・製作:ロバート・ロレンツ
◆クリント・イーストウッド(ガス)
◆エイミー・アダムス(ミッキー)
◆ジャスティン・ティンバーレイク(ジョニー)
◆ジョン・グッドマン(ピート・クライン)
◆マシュー・リラード(フィリップ・サンダーソン)
◆ロバート・パトリック(ヴィンス)
◆ジョー・マッシンギル(ボー・ジェントリー)
【この映画について】
クリント・イーストウッドの『グラン・トリノ』以来4年ぶりの主演作となるハートウォーミング・ストーリー。年老いたメジャーリーグのスカウトマンと、わだかまりを感じつつも父親の最後の旅に同行することになったひとり娘との絆を描く。娘役を演じるのは、アカデミー賞で3度のノミネート歴があるエイミー・アダムス。(この項、MovieWalkerより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
家庭を顧みず、メジャーリーグ・アトランタ・ブレーブスのスカウトマンとして生きてきたガスは長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたが、ここのところ年のせいで視力が衰えてきていた。
彼の最後のスカウトの旅に手を貸したのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきたひとり娘のミッキーだった。妻を亡くし、男手ひとつで育てようとして育てられなかった父娘の旅の最後にそれぞれが見つけた人生の特等席とは……。
一方の娘は法律事務所で多忙を極め実績も上げて共同経営者への道を進み、現在の仕事を成功に導けば大きく前進するのだった。ミッキーはスカウト仲間のクラインからの要請もあって、多忙な時間を割いてガスの様子を見ることになる。ガスは球団から、ドラフトの有望株で高校生強打者のボー・ジェントリーの獲得の為の調査をしている。
年老いてきたガスは、あくまでもPCを使わずに自ら球場に足を運んでプレイを観察するスタイルを頑固なまでに貫くが、球団上層部の中にはそんな彼のスタイルに疑問を呈する視線がある。
視力の衰えを感じているガスだが、彼には長年のスカウト活動で培った彼独自の視点がある。そんな父を幼少時に一緒に球場巡りをしていたミッキーは今でも野球オタクで、選手を見る目も女性ながらしっかりしている。
肝心のジェントリーだが、相変わらず強打者ぶりを発揮しているが、メジャー入りして大金を稼ぐことを信じて疑わないその尊大な態度がガスには気になっている。だがドラフトが近付くにつれ彼の人気は高まり、球団内部でも指名が検討されている。
そのジェントリーを巡っては、ガスがかつて目にかけて指名したジョニーが今ではレッドソックスのスカウトとして活動していて、こちらもジェントリー指名に向けて調査に熱が入っている。そのジョニーとミッキーが何時の間にか良い仲になり...。
いよいよ球団本部で指名選手を選定する段階になり、ガスは球団が推すボー・ジェントリー指名を回避するべきだと主張するが受け入れられない。逆にレッドソックスはガスがジョニーに進言したとおりボー・ジェントリー指名を回避する。
ボー・ジェントリー指名に成功したブレーブスだったがこれで終わらなかった。ミッキーがモーテルで偶然に見つけた長身の左腕投手を連れて来て、ボー・ジェントリーの打撃投手として対決させた。そこで、この長身投手が投げたカーブを全く打てなかった(Trouble with the Curve)。
この投手こそ、ボー・ジェントリーが球場で尊大な態度を取っていたピーナッツ売りだった。そう、ガスは打球の音でこの高校生打者がカーブを打てないことを見抜いていたのだった。球団幹部の前での打撃練習で醜態を晒したことで、ボー・ジェントリーを進言したスカウトは解雇された。
ミッキーは仕事に戻り、彼女の代わりをその間務めていた男性は降格となり、彼女が再び最前線に戻った。そして、父と娘の絆も戻った。
この作品ではC・イーストウッドが愛弟子の監督デビュー作品に主演として出演した。メジャーリーグの老スカウトであり、一人娘ミッキーとの交流について描かれている。ミッキーは子供の頃に母を亡くしており、スカウト活動で多忙だった父とは疎遠だったことで気持ちもすれ違ったままだった。そんな父娘の心の交流の復活に一役買ったのが「野球」だった。
男性も叶わない豊富な野球知識、父がマウンドから投げる投球をいとも簡単に弾き返すセンス、父譲りの選手を観察する能力はずば抜けていた。野球がアメリカでは生活の一部として定着している姿を改めて感じさせた、サッカーではなくてね!そのミッキーを演じたエイミー・アダムスの演技も良かったが、そもそも「ミッキー」という名前は名選手ミッキー・マントル(男ですよ)に因んで名づけたそうだ。