kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『グレース・オブ・モナコ公妃の切り札』を観て

2014-10-26 15:39:15 | 映画・ドラマ、アクション

14-85.グレース・オブ・モナコ
■原題:Grace Of Monaco
■製作年、国:2014年、フランス・アメリカ・ベルギー・イタリア
■上映時間:103分
■料金:0円(ポイント使用)
■鑑賞日:10月25日、TOHOシネマズ渋谷(渋谷)

 

□監督:オリヴィエ・ダアン
◆ニコール・キッドマン
◆ティム・ロス
◆フランク・ランジェラ
◆パーカー・ポージー
◆パス・ヴェガ
◆マイロ・ヴィンティミリア
◆デレク・ジャコビ
◆ロジャー・アシュトン=グリフィス
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ハリウッド女優からモナコ公妃となったグレース・ケリーの華やかなシンデレラストーリーの裏に隠された激動の半生に迫る伝記ドラマ。夫のモナコ大公レーニエ3世と、当時のフランス大統領シャルル・ド・ゴールとの間に起きた国家的危機に立ち向かっていく姿を描く。『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』などのオリヴィエ・ダアンがメガホンを取り、主演は人気女優ニコール・キッドマン。
1956年、オスカー女優のグレース・ケリーは、モナコ大公レーニエ3世と結婚。1961年12月、二人の子供に恵まれるも王室の中で孤立していたグレースの前に、脚本を手にしたアルフレッド・ヒッチコック監督が現れる。「マーニー」という新作映画の出演依頼に訪れたのだ。
そんな中、モナコ公国に危機が降りかかる。アルジェリアの独立戦争で戦費が必要になったフランスが、無税の国モナコに移転したフランス企業から税金を徴収して支払うよう要求、「従わなければモナコをフランス領とする」と声明を出したのだ。もし戦争になれば、軍隊もない小国モナコは、一瞬で占領されてしまう。
政治で頭がいっぱいのレーニエに無視され、ますます居場所を見失ったグレースはハリウッド復帰を望むが、国家の危機的状況に発表は控えられる。だが宮殿から情報が漏れ大々的に報道、グレースの相談役で後見人のタッカー神父は、フランスのスパイがいると警戒する。
1962年7月。国民の公妃への不満が高まる中、励ましてくれるのは義姉のアントワネットと、オナシスの愛人マリア・カラスだけだった。やがてレーニエはフランス企業への課税を了承。しかしド・ゴールは、モナコ企業にも課税してフランスに収めろと脅し同然の要求を突き付ける。レーニエは行き場の無い怒りをグレースにぶつけ、映画界からの引退を迫る。結婚式の記録映像を見ながら離婚を考え、涙にくれるグレースの傍らで優しく見守る神父は「人生最高の役を演じるためにモナコに来たはずだ」と諭す。
数日後、神父はグレースを外交儀礼の専門家であるデリエール伯爵の元へ連れて行く。モナコの歴史、王室の仕組み、完璧なフランス語、公妃の作法、正しいスピーチ――グレースの夏は厳しい特訓で過ぎていった。9月22日、レーニエはヨーロッパ諸国の代表に軍事支援を募るサミットを開くが、ド・ゴール暗殺未遂の報せが入り失敗。さらに王室内の裏切り者が判明(レーニエの姉とその夫)し、レーニエとグレースは深い衝撃を受け、二人は絶望の中で長らく眠っていた互いの愛を確認し合う。翌朝、グレースはヒッチコックに電話をかけて出演を断り、国際赤十字の舞踏会開催を発表、世界中の要人に招待状を発送する。1962年10月9日、侵攻を目前にモナコで開かれたパーティは大変な盛況を博し、そこにはド・ゴールの姿もあった。マリア・カラスの魂を震わす歌の後、主催者のグレースが舞台に上がり、この日のために練り上げた一世一代のスピーチが始まった……。

モナコ公国から映画の内容に関してはクレームが付いたそうだが、グレース・ケリーの知名度は日本でも高齢者には轟いているようで、鑑賞の時に廻りをざっと見渡すと自分は若い部類?だったのには驚いた。映画はグレース・ケリーの一生を追った内容ではなく、且つ、ダイアナ王妃の様に悲劇の死の謎を解明する内容でもない。あくまでもハリウッド女優として活躍していた絶頂期からモナコ公妃へと嫁いでからの苦労話がメイン。その苦労話は前半は退屈だが、フランスとの関係が政治的に緊張してからは公室内部にフランスと内通していたのが姉だったという事実と、宮殿内にもフランス側のスパイが居てグレースの会話がフランス側に筒抜けになっていたり地元マスコミにまで漏れて疑心暗鬼になったりする辺りから面白くなってきた。
映画全体としてはロケ映像中心で、ニコール・キッドマンの豪華な衣装や装飾品を観ているだけで十分満足出来るのではないだろうか?彼女の廻りを固める神父役のフランク・ランジェラやマリア・カラスを演じるパス・ヴェガは良かったが、レーニエ公を演じていたティム・ロスは地味な印象だったのは残念だ。


映画『イコライザー』を観て

2014-10-25 18:42:31 | 映画・ドラマ、アクション

14-84.イコライザー
■原題:The Equalizer
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:132分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月25日、渋谷シネパレス(渋谷)

 

□監督:アントワン・フークア
◆デンゼル・ワシントン
◆クロエ・グレース・モレッツ
◆マントン・ソーカス
◆メリッサ・レオ
◆デヴィッド・ハーバー
◆ビル・プルマン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
デンゼル・ワシントンが、アカデミー主演男優賞を受賞した「トレーニング デイ」のアントワン・フークワ監督と同作以来13年ぶりに再タッグを組んだアクションサスペンス。共演に人気女優クロエ・グレース・モレッツ。元CIAエージェントのマッコールは、いまはホームセンターで働く、ごく普通の真面目な人間として生活していた。しかし、ある夜、なじみのカフェで娼婦の少女テリーと出会い、彼女を囲うロシアンマフィアの非情さに、内に眠っていた正義感が目を覚ましていく。クロエ・グレース・モレッツが物語のカギを握る娼婦に扮し、これまでのイメージとは異なる役を熱演。
ホームセンターの従業員として勤務、今では日々静かに暮らす元CIAの凄腕諜報員マッコールは、ある夜、馴染みのカフェで娼婦の少女テリーと出会う。彼女を囲っているロシアンマフィアの非道を知ったマッコールは、彼の中で眠っていた正義感が目を覚まし、彼にしか出来ない“仕事”の遂行を決意。それは警察が介入できない不正やトラブルを身の周りにあるモノ全てを武器に変え、瞬時に解決することであった。世の中の不正を完全抹消する“イコライザー”と呼ばれる男、マッコールは元ロシア特殊部隊のロシアンマフィアに対峙していく……。

デンゼルが扮するのは元CIA捜査官で、今はホームセンターで働く不眠症の男という設定。不眠症なので、夜になると近くのカフェで愛読書を静かに店内の「指定席」で読むのが日課の一つになっている。そのカフェの常連の一人でもあるのがクロエが扮する少女娼婦テリーはここを連絡場所に使っている。その彼女がロシアマフィア組織の一員から手荒い仕打ちを受けている場面をマッコールが目撃したことで、彼の正義感がムクムクと頭をもたげる。ホームセンターでは冗談を気軽に飛ばすなどして同僚と仲良くすごすが、一旦スイッチが入るとCIA時代に戻るようだ。
その殺しのテクニックはユニークで、予告編にもあるように銃をぶっ放すことはせずに、その場にある例えばナイフとか灰皿など目に入ったものを素早く凶器にしてものの17~20秒で相手をまさに秒殺してクールに現場を後にする。
テリー救出に燃えるマッコール、ロシアマフィアと一人で対峙するかと思ったら、途中で、CIA時代の信頼する元同僚から情報を入手するなど抜かりがないのは流石だ。結局、マッコールは一人でロシアマフィアをせん滅することに成功って、元CIAってやはり凄いと思わせるのがミソかな?
途中からテリーは病院で治療中ということで全く登場しなくなってどうしたのかなって思っていたら、歌手志望だったテリー、マッコールのおかげで組織から抜け出せ娼婦も辞めて生き生きとした表情でマッコールに感謝のことばを述べてメデタシメデタシ。

デンゼルは元天才少女のダコタ・ファニングに続いて、現在の天才少女でもあるクロエ・グレース・モレッツとの共演になったが、クロエの少女娼婦テリーは最初と最後だけに出番が限られていて「共演」と言うには多少物足りなさが残った。少女娼婦という役柄は勿論彼女のキャリア初の挑戦だが、まだまだ子供体型のクロエにはちょいとまだ早かったかな?娼婦役はね。デンゼルは相変わらずクールでかっこいいね!


映画『誰よりも狙われた男』を観て

2014-10-19 16:03:12 | 映画・ドラマ、アクション

14-83.誰よりも狙われた男
■原題:A Most Wanted Man
■製作年、国:2014年、アメリカ・イギリス・ドイツ
■上映時間:122分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月18日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督:アントン・コルベイン
◆フィリップ・シーモア・ホフマン
◆レイチェル・マクアダムス
◆ウィレム・デフォー
◆ロビン・ライト
◆グレゴリー・ドブリギン
◆ダニエル・ブリュール
◆ホマユン・エルシャディ
◆ニーナ・ホス
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
2014年2月に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作となった、ジョン・ル・カレの小説を実写化したスパイサスペンス。ドイツのハンブルクを舞台に、対テロ諜報(ちょうほう)チームを率いる男がテロリストの資金源となっている者の正体をつかんでいく。監督は『ラスト・ターゲット』などのアントン・コービン。『きみに読む物語』などのレイチェル・マクアダムス、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォーら実力派が共演。息詰まる展開に加え、ホフマンの熱演にも引き込まれる。
ドイツのハンブルグで諜報機関のテロ対策チームを指揮するバッハマンは、密入国した青年イッサをマークする。イスラム過激派として国際指名手配されているイッサは、人権団体の女性弁護士アナベルを通してイギリス人の銀行家ブルーと接触。ブルーの銀行にテロ組織の資金源である秘密口座の存在が疑われるため、バッハマンはその動向を監視していた。ドイツの諜報機関やCIAがイッサの逮捕に動き出す中、彼を泳がせることでテロ組織への資金援助に関わる大物を狙うバッハマン。だが、思いがけない事態が次々と巻き起こる……。

9.11以降の世界は明確に「イスラムは全て敵」のようなムードが漂い、特にドイツは9.11の主犯格モハメド・アタが活動していたこともあり、この映画もドイツが舞台でありチェチェンとロシアの混血青年の動向を追っているのも偶然ではないだろう。そこでドイツ諜報部とCIAがハンブルクで共に暗躍するのだが、互いのテロやスパイに対するスタンスは片や出来る限り泳がせて有効な情報を掴もうとするのに対してテロの芽を小さいうちに摘むとの相反する考えを持っている。だが、どちらも間違いではないし正解でもない。そんな中で亡くなってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンが熱演しているのだが、もう、彼の演技が見られるのも公開前の「ハンガー・ゲーム」シリーズの続編だけなのは寂しい、あちらはファンタジー映画だから、やはり彼の真骨頂は今回の様なスパイ映画で発揮できていると思うのでね。
ホフマン演じるバッハマンが率いるドイツ情報部のテロ対策チーム、おなじドイツの諜報機関、CIAらが絡み、イッサの動向を常に注視していたバッハマンだったが、最後の最後にどんでん返しがありCIA,モア率いる諜報機関に食らわされてしまい地団駄を踏んで終わる。

それにしてもフィリップ・シーモア・ホフマンは体型は中年太りしてきたものの、その演技は全身から漲るエネルギーがスクリーンに投影されていて、スパイ映画には打ってつけの名優だった。そんなホフマンが薬物摂取が原因で亡くなったと報道で知った時はショックだった、まだまだ円熟味を増して来る年齢だったし、どんなジャンルの作品でも彼がスクリーンに映し出された瞬間、その存在感に圧倒されていた。改めて冥福を祈りたい。

「ラッシュ」では主役級だったドイツ人のダニエル・ブリュールがここではバッハマンの一スタッフという地味な役だった。


映画『悪童日記』を観て

2014-10-18 14:34:07 | ヨーロッパ映画

14-82.悪童日記
■原題:Le Grand Cahier(英題:The Notebook)
■製作年、国:2013年、ドイツ・ハンガリー
■上映時間:111分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月18日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督・脚本・製作総指揮:ヤーノシュ・サース
□脚本:アンドラーシュ・セーケル
◆アンドラーシュ・ジェーマント
◆ラースロー・ジェーマント
◆ピロシュカ・モルナール
◆ウルリッヒ・トムセン
◆ウルリッヒ・マテス
◆ギョングベール・ボグナル
◆オルソルヤ・トス
◆ザビン・タンブレヤ
◆ペーター・アンドライ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
第二次世界大戦末期の1944年8月14日。双子の兄弟は母親に連れられ、村人から“魔女”と呼ばれる祖母が暮らす国境に近い田舎へ疎開する。母親と別れた兄弟に与えられた仕事は、薪割りと水汲み、そして鶏や豚への餌やり。
祖母の家の敷地には川があり、その先は外国だった。やがて仲良くなった隣家の少女と一緒に、町の酒場で寸劇などをして小銭を稼ぎ始める。また、森の中では兵士の遺体を発見し、そこから武器を盗む。その一方で、母親が自分たちに送ってくれた物資を祖母が隠していたことを知る。いつまでも迎えに来ない母親を忘れるため、精神を鍛える訓練で母の手紙と写真を焼き、残酷さに慣れる訓練として虫や魚などの生き物を殺す。兵士の遺体から奪った手榴弾を司祭館のストーブに投げ入れた兄弟は、女中に大火傷を負わせたことから警察に連行され、拷問を受ける。2人を助けたのは、祖母の家の離れに住む外国人将校だった。

戦争が終わったとの噂を耳にして、祖母と一緒に収容所を見に行くが、そこには何も残っていなかった。そして、外国語を話す軍隊がやって来る。その戦車に乗せてもらった隣の女の子は、死体になって帰ってきた。死にたいと言う女の子の母親の求めに応じて、家に火を点ける兄弟。やがて、赤ん坊を抱いた母親が車でやって来るが、空から落ちてきた爆弾で赤ん坊とともに命を落とす。2人の遺体を埋めていた祖母が、発作を起こして倒れる。そこへ、兵士として戦っていた父親が現れ、墓地に埋葬するために母の遺体を掘り起こすが、その際に赤ん坊の存在を知る。そして祖母が亡くなる。言われた通りに祖母の遺体を清め、母親の隣に埋めた兄弟は翌朝、逮捕を逃れるために逃亡を図る父親を国境の鉄条網へと案内する。だがそれは、2人にとって“別れ”という最後の訓練でもあった。

この作品には特定の場所は出てこないが、原作者の出身がハンガリーであることから、舞台はハンガリーの国境付近の寒村が舞台であることは容易に想像出来るし、外国軍というのも恐らくナチス・ドイツ軍であろう。だが、この映画はハンガリー対ナチス・ドイツがメインでは無い。こういう時代を生きることになった双子のお話であり、予期せぬ両親との別離、望まない祖母(母方)との陰湿な生活。だが、二人は誰に言われることもなく「一心同体」で成長していく。きつく当たる祖母を怨みながらも子供なりに祖母に逆らって叩き出されたら困るのは自分たちであると理解している。
そんな祖母との生活が続く中、戦争は終わり母が見知らぬ幼子を連れて迎えに来たが、あれほどまでに母の帰還を望んでいた双子達は憎んでいた筈の祖母との生活を選択、その最中に爆撃にあい母と幼子は即死する。そして祖母も心臓発作で亡くなり、帰還した父は身の危険を感じて国境を越えようと双子の案内で試みるが、二人はしたたかだった。悲しみを超えて時代を生き抜こうとする二人は父が超える事の出来なかった国境の鉄条網を超えて別々の人生を生きることになるのだろう。
映画は明確なラストを描いていないが、既に、人生の荒波を経験した二人がこれからも荒波を突き進み己の人生を築いて行くのだろう、そんな未来が待っていると自分は感じた。 


映画『荒野はつらいよ ~アリゾナより愛をこめて~』を観て

2014-10-13 22:16:54 | 映画・ドラマ、アクション

14-81.荒野はつらいよ
■原題:A Million Ways To Die In The West
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:116分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月12日、TOHOシネマズシャンテ(日比谷)

 

□監督・脚本・出演:セス・マクファーレン
□脚本:アレック・サルキン、ウェルスリー・ワイルド
◆シャーリーズ・セロン
◆リーアム・ニーソン
◆アマンダ・セイフライド
◆ジョヴァンニ・リビシ
◆二ール・パトリック・ハリス
◆サラ・シルヴァーマン
◆クリストファー・ヘイゲン
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
世界的大ヒットコメディー『テッド』で注目を浴びたセス・マクファーレン監督が放つ異色ウエスタン。無法者がのさばる西部開拓時代の田舎町を舞台に、さえないオタクの羊飼いが謎めいた美女と恋に落ちたばかりに、西部きっての極悪人から命を狙われるさまを描く。スゴ腕ガンマンが主人公という西部劇の常識を覆し、銃すら撃てないヘッポコ男の主人公をマクファーレン監督自ら演じるほか、オスカー女優シャーリーズ・セロン、『96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンら豪華キャストが共演。
1882年、西部開拓時代のアリゾナ。そこは、タフさが自慢の男と無法者が何かにつけて銃をぶっ放し、野生化した動物とモラルの低い民衆が溢れる、まさに“生活するには最悪な土地”だった。そんなアリゾナの田舎町で暮らす地味でオタクな羊飼いアルバートは、文化度が低く、危険な西部の町を心底嫌い、同じオタクの友人に愚痴をこぼす冴えない日々を送っていた。
銃すら撃った経験のない彼は、決闘を挑まれても屁理屈を並べて逃げ出す始末で、呆れたガールフレンドのルイーズにフラれてしまう。そんなある日、超一流の射撃の腕を持つミステリアスな美女アンナが町に現れ、アルバートはふとしたきっかけから彼女と急接近。やがて2人は恋に落ちる。時を同じくして町に乗り込んできたのが、西部最悪の大悪党クリンチ。彼は、アンナに近づいたアルバートをぶっ殺そうとしていた。果たしてアルバートは、極悪ガンマンを倒し、愛する女性をモノにする事が出来るのか……!?

「テッド」監督のセス・マクファーレンによる西部劇をパロディーにしたコメディー映画と言えば良いだろうか?シャーリーズ・セロンを筆頭に主役級が3人も出演しているのが見所だが、この手の映画の常でストーリーそのものは特段見所は無し。その三人の主役級は本来は演技派俳優で、この手のコメディー系作品への出演は稀だと思われるが、逆に、マクファーレンは監督としてそこが狙い目だったのかも知れない。いずれにせよ、これだけのメンツを集めたので、ストーリーは抜きにして俳優陣の異色作での演技を楽しむのがベストだろう。

それにしてもこの邦題は酷い!センスが無さ過ぎ。


映画『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』を観て

2014-10-12 17:23:13 | 映画・ドラマ、アクション

14-80.イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所
■原題:If I Stay
■製作国、年:2014年、アメリカ
■上映時間:107分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月12日、渋谷シネパレス(渋谷)

 

□監督:R.J.カトラー
◆クロエ・グレース・モレッツ
◆ミレイユ・イーノス
◆ジェイミー・ブラックリー
◆ジョシュア・レナード
◆リアナ・リベラト
◆ガブリエル・ローズ
◆ステイシー・キーチ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
ゲイル・フォアマンによるベストセラー「ミアの選択」を基に、昏睡(こんすい)状態に陥ったヒロインを『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツが演じたドラマ。チェロ奏者を目指すヒロインとその一家が交通事故に遭遇し、生と死のはざまにいるヒロインと彼女の17年間の人生を交錯させながら、彼女自身に委ねられた生死の行方をつづる。
17歳の高校3年生、ミアには、親友と呼べる友人と、付き合い始めて1年になるミュージシャンの彼氏がいる。将来の夢はチェロ奏者で、ジュリアード音楽院への入学をめざして猛練習中だ。ある雪の日、ミアと一家が乗った車に対向車が突っ込む事故が起こる。ミアは一瞬にして家族を失う。病院のベッドの上で、昏睡状態のミアが目にしたのは、ベッドに横たわる自分の姿と、幸せだったこれまでの人生、そして、彼女を死の淵から呼び戻そうとする人々の姿だった。いつもと変わりなく話しかけてくれるおばあちゃんと、「辛いならがんばらなくてもいい」と言って泣くおじいちゃん。親友のキムと、看護師の制止を振り切って最愛のアダムも駆けつける。彼らがミアに語ったこととは? そして、ミアは何を見るのか? 事故からミアの決断までの24時間が始まる……。

クロエ演じるチェロ大好き女子高生ミアは音楽好きの両親の下でチェロ演奏に励み、名門ジュリアード音楽院進学を目指している。だけど、冬の日の一家揃ってのドライヴで運悪く事故に遭遇して一家全員が死亡しミアも瀕死の重傷を負って意識不明の状態で搬送された。ここから幽体離脱したミアが第三者のような感じでICUで眠る自身と交際相手アダムとの楽しかった日々が交錯する、つまり、現在と過去をいったり来たりしながら何とか生還しようともがく様子をクロエが見事に演じきった。
中でも難しいチェロの演奏を彼女は3か月の練習で指の動きを習得し監督らスタッフを驚かしたそうだ。映画の中の演奏の音は本職の吹き替えらしいが、指を含めて演奏の形は彼女自身が演じているそうで、若いけどプロ根性が備わっている。

ストーリーとしてはバンドに夢中になっているアダムは地元中心に人気に火が付いてきてレコード会社との契約の話もまとまった。一方でアダムとの時間を大事にしたい気持ちのミアだが、家族が勧めるジュリアード音楽院のオーディションをサンフランシスコに祖父と一緒に受けに行く。結果通知が気になる中での事故だったので彼女自身は結果を知らない。が、一度は破局したアダムが彼女の自宅に届いた通知書を持ちかえり、ICU室で「合格だったよ」と耳元で囁く。そしてアダムがベッド脇で彼女の為に作った自作曲をギターで披露する。その曲を演奏中に彼女は昏睡状態から抜け出し、めでたく意識が回復してジ・エンド。

美少女クロエが同世代の役柄を演じている内容は、幽体離脱した自身と事故前の元気だったころの自分というまるで一人二役のような役柄を見事に演じ分けていた。まだまだあどけなさの残る表情の中にも成長した大人の女性の雰囲気も徐々に備わっていて、失速気味の元祖天才少女ダコタ・ファニングを追い抜く存在になりそうだ。


映画『ミリオンダラー・アーム』を観て

2014-10-09 21:16:29 | 映画・ドラマ、アクション

14-79.ミリオンダラー・アーム
■原題:Million Dollar Arm
■製作国、年:2014年、アメリカ
■上映時間:124分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月9日、TOHOシネマズみゆき座(日比谷)

 

□監督:クレイグ・ギレスピー
◆ジョン・ハム
◆レイク・ベル
◆アラン・アーキン
◆ビル・パクストン
◆スラージ・シャルマ
◆マドゥル・ミッタル
◆アシフ・マンドゥヴィ
◆ピトバッシュ
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
野球未開の地・インドから初のメジャーリーガーを発掘したエージェントの奇想天外な実話を基にしたスポーツドラマ。キャリアのどん底にあったスポーツエージェントがインドのクリケット選手をスカウトすることを思い付き、さまざまなトラブルに遭いながらも、前代未聞の挑戦に挑む様子を描く。メガホンを取るのは『ラースと、その彼女』などのクレイグ・ギレスピー。『スラムドッグ$ミリオネア』などのA・R・ラフマーンが音楽を担当する。主演は、テレビシリーズ「MAD MEN マッドメン」などのジョン・ハム。

ロサンゼルスのスポーツ・エージェント、JB・バーンスタインは、莫大な利益をもたらすアメフトの超有望選手をクライアントとして獲得寸前だったが、ライバル企業に横取りされ、危機に陥る。そんなある夜、自宅で何気なくクリケットのテレビ中継を眺めていた彼は、起死回生の策を思いつく。それは、野球不毛の国インドで未知なる剛速球投手を発掘し、同国初のメジャーリーガーを誕生させるという途方もない計画だった。
早速、とあるメジャー球団のアジア系オーナーの賛同を取りつけると、『ミリオンダラー・アーム(=100万ドルの剛腕)』というリアリティ・ショー番組を企画。お調子者のアシスタント、アミトと元一流スカウトマンのレイの協力を得て、インドのムンバイで第一歩を踏み出す。
優勝賞金10万ドルを目指してインド各地から腕に覚えのある若者が番組に参加。その結果、独特のフラミンゴ投法を駆使するサウスポーのリンク・シンが優勝し、2位のディネシュ・パテルともに、メジャー・リーグ入団テストへの挑戦権を獲得する。ロサンゼルスを訪れたリンクとディネシュは、経験豊富なトム・ハウスをコーチにトレーニングを開始。入団テストまでわずか6ヵ月。野球経験のない彼らが、プロ並みの技術を習得するのは容易ではなかった。様々な苦難を乗り越えて迎えた入団テストの日。緊張しきったリンクとディネシュは、本来の実力を発揮できず、結果は“不合格”。宣伝効果の大きさから球団オーナーは番組継続を決定したものの、JBの胸中は複雑だった。やがて隣人の医学生ブレンダやレイのサポートを得て一念発起したJBは、2人の入団テスト再挑戦に向けて奔走。それは仲間との友情や絆の尊さを知った彼自身にとっても、人生の再起を賭けた最後のチャンスだった……。

MLBにインド選手がいるという事実はこの映画の存在で初めて知りましたね。MLBには多くの外国出身選手がプレーしていますが、その大半は中南米やカリブ海諸国出身でアジアでは日本と韓国からの選手がいますがインドから直接入団していたという事実は驚きでした。
インドではイギリス植民地時代の名残でクリケットが盛んで、そのクリケットは野球のルーツとも言われていて(諸説あり)そこに目を付けて野球未開の地でTV番組の発掘企画と言う事でインドでトライアウトを実施。だが、野球を全く知らない国民性から、米国からわざわざ同行したスカウトもこれには呆れかえるしかなかった。そんな中で2人の気になる人物を発掘しロスへと連れて行くことになった。その二人がリンク・シンとディネシュ・パテルだった。
インドから来た二人は大都会のロスでの生活に慣れるのに苦労した。そんな中でもトム・ハウス(彼はMLBでも有名な投手コーチ)のコーチを受けて少しずつ才能を発揮するようになった。エージェントであるバーンスタインは忙しさから二人に構う時間が減っていくことを周囲は懸念する。そして、いよいよ大勢のスカウトが見守る中で二人は実技披露を行うが緊張のあまり力を発揮出来ず周囲をがっかりさせる。それでも2度目の挑戦でMLB球団から入団の誘いが来た。

結果的に二人はパイレーツ傘下とマイナー契約をしてリンク・シンはマイナーで頑張ったが、パテルは帰国し母国で野球を教えている。

ストーリーとしては実話に基づいたディズニー映画なのですが、どこまでが事実で脚色されたのかは分かりませんが、二人の物語にスカウトしたバーンスタインの私生活物語でもあり、隣家に住む美女と最後に結ばれたり大学生のスカウトに失敗する話も絡んで退屈させない構成は良かった。ただ、主役のバーンスタインを演じていたジョン・ハムは馴染みが薄い俳優だが、老スカウトを演じていたアラン・アーキンはここでも個性的な演技を披露していたのは流石だった。


映画『ジャージー・ボーイズ』を観て

2014-10-04 15:54:36 | 映画・ミュージカル、音楽題材

14-78.ジャージー・ボーイズ
■原題:Jersey Boys
■製作年、国:2014年、アメリカ
■上映時間:134分
■料金:1,800円
■鑑賞日:10月4日、TOHOシネマズ六本木ヒルズ(六本木)

 

□監督・製作:クリント・イーストウッド
◆ジョン・ロイド・ヤング
◆エリック・バーゲン
◆マイケル・ロメンダ
◆ヴィンセント・ピアッツァ
◆クリストファー・ウォーケン
◆エリカ・ピッチニーニ
◆レネー・マリーノ
◆マイク・ドイル
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
『グラン・トリノ』などの名匠クリント・イーストウッドが監督を務め、ブロードウェイの大ヒットミュージカルを基に描くドラマ。1960年代にザ・ビートルズと並ぶほどの人気を誇ったアメリカのポップスグループ、ザ・フォー・シーズンズの光と影を数々の名曲と共に映し出す。ブロードウェイ版同様ジョン・ロイド・ヤングが、バンドのリードボーカル役を担当。

ニュージャージー州の貧しい地区に生まれたフランキー・ヴァリ、ボブ・ゴーディオ、ニック・マッシ、トミー・デヴィート。希望のない町に生まれた4人は、自分たちの音楽だけで夢のような成功をつかみ取る。彼らはザ・フォー・シーズンズとして、『シェリー』、『恋はヤセがまん』、『恋のハリキリ・ボーイ』、『悲しき朝焼け』、『悲しきラグ・ドール』、『バイ・バイ・ベイビー』、『愛はまぼろし』、『君の瞳に恋してる』といった数々の名曲をヒットさせ、音楽界に不滅の伝説を打ち立てていく。しかし、そのまばゆいばかりの栄光ゆえに、裏切りと挫折、別離、家族との軋轢といった不幸が彼らを襲う……。

クリント・イーストウッド監督の最新作はミュージカル作品の劇場版でしたので、彼らしい緻密なストーリー構成とか演出に期待せずに観た方が良い作品でしょう。フォーシーズンズというコーラス・グループについての予備知識は残念ながら殆どありませんでしたが、彼らのレパートリーの数曲は知っていました。そして、ハイライトにもなっているフランキー・ヴァリのソロ作品として発表された「君の瞳に恋してる」の裏話として彼の娘の悲話があったことは知りませんでした。この曲はダンスナンバーとして個人的にはボーイズ・タウン・ギャングのカバーの方が馴染みがありますが、それがヒットしていた当時もカバーだったことは知っていてもフォーシーズンズの事は疎かった管理人です。

ストーリーとしては元々はトミーが主導していたグループにフランキー・ヴァリがリード・ヴォーカリストとして加わり、更に、ボブ・ガウディオがソングライターとして加入したことでグループはヒット街道に乗る。ここからはヒットの連続でガウディオとプロデューサーでもあり作詞担当のボブ・クルーの紡ぎだすメロディーでグループは頂点を極める。だが、その裏ではトムの借金問題などグループはぎくしゃくしてくる。ただこのぎくしゃくした頃の描き方はイーストウッド作品にしては珍しく中だるみ気味なパートだったが、この部分がグループの崩壊とフランキーのソロ転向にも繋がるので重要なパートでもあります。
フランキーは娘の死に打ちひしがれ私生活も不安定になるなかで「君の瞳に恋してる」が発表され、再び表舞台に返り咲くことに。

メンバーの脱退もあったフォーシーズンズは1990年のロック殿堂入り記念コンサートで再会、このシーンは良かったですね。その後のメンバーたちの近況が字幕で紹介されましたが、残念ながら作詞担当のボブ・クルーは認知症を患って9月11日に亡くなっていました。因みにフランキー・ヴァリは今でも現役で歌っているそうです。


映画『ファーナス/訣別の朝』を観て

2014-10-01 18:07:31 | 映画・ドラマ、アクション

14-77.ファーナス/訣別の朝
■原題:Out Of The Furnace
■製作年、国:2013年、アメリカ
■上映時間:116分
■料金:1,000円
■鑑賞日:10月1日、新宿ピカデリー(新宿)

 

□監督・脚本:スコット・クーパー
□脚本:ブラッド・インゲルスビー
◆クリスチャン・ベール
◆ケイシー・アフレック
◆ウディ・ハーレルソン
◆ウィレム・デフォー
◆フォレスト・ウィテカー
◆ゾーイ・サルダナ
◆サム・シェパード
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
レオナルド・ディカプリオやリドリー・スコットが製作に回り、オスカー俳優クリスチャン・ベイル主演で放つドラマ。アメリカの片田舎で暮らす主人公が、ささいなことをきっかけに転落の人生を歩む姿をつぶさに映し出す。弟を『ジェシー・ジェームズの暗殺』などのケイシー・アフレックが演じ、ウディ・ハレルソンやウィレム・デフォーら怪優たちが共演。
アメリカ・ペンシルヴェニア州の田舎町ブラドックはかつて鉄鋼の町として知られていたが、不況の波が押し寄せていた。ラッセルは白煙を吐き出す溶鉱炉が立ち並ぶこの町で生まれ育ち、老いた父の世話をしながら製鉄所で働いていた。さらにイラクから帰還した弟のロドニーはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しんでおり、ラッセルは彼の面倒も見るようになる。家族や恋人のレナとのつつましいながらも愛情に満ちた暮らしは、ある日突然暗転する……。

拡大公開系の作品では無かったけど出演陣のクレジットをみたらこれが凄い。俳優のギャラだけで製作費の半分以上は軽く飛んでしまいそうな感じですが、主演はあくまでもクリスチャン・ベールでそこに弟役でケイシー・アフレックなどが絡んでくる展開と言える。
物語の背景として安い中国製に押されて閉鎖寸前の鉄工所、イラク帰りの弟がPTSDであったりと現在のアメリカ社会の暗部が描かれている点にも注目したい。ベール演じる兄は父と同じく地元の鉄工所で働き恋人との間も上手くいっていたが事件に巻き込めれて刑務所へ。出所したら病身の父は死亡、かつての恋人も警察官と同棲し妊娠してしまう。元恋人と橋の上で久しぶりに会うシーンは切なかったね気の毒に思えた。イラク帰還兵の弟はその肉体と闘争本能を買われてギャンブルでかさんだ借金返済の為に八百長ボクシングに身を転じるも、騙された揚句に山間部を牛耳るハンランのグループに殺害されてしまう。
最後は弟の仇打ちに燃える兄がハンランを騙して町に誘い、壮絶な撃ち合いを制し最後はふらふらになったハンランは絶命するが、それを何とか阻止しようと元恋人の夫となる警察官が後を追うが間に合わないのは当然か?
ストーリー的には派手さは無いが、このキャストの演技を観るだけでこの映画を観た価値がある。クリスチャン・ベールの演技は相変わらず納得させられるが、フォレスト・ウィテカーやウィレム・デフォーらの渋い演技派も目立たないが素晴らしかった。

追加:極悪犯のハンランらの一味が、ある方向へと夜道を進もうとすると「そっちは黒猫がいて不吉だから」と言って別の方向へと行くのは可笑しかった。黒猫ってキリスト教世界では「悪魔の使い」とされているくらいだからね。


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