kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

「モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新」を観賞して

2014-01-03 22:15:22 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

今日は、国立西洋美術館企画展の「モネ、風景をみる眼-19世紀フランス風景画の革新(2013.12.7-2014.3.9)」(Monet,An Eye For Landscapes:Innovation In 19th Century French Landscape Paintings)を観賞に行った。


モネは印象派代表するフランスの画家。時間や季節とともに移りゆく光と色彩の変化を生涯にわたり追求した画家であった。モネは印象派グループの画家のなかではもっとも長生きし、20世紀に入っても『睡蓮』の連作をはじめ多数の作品を残している。モネは終生印象主義の技法を追求し続けた、もっとも典型的な印象派の画家であった。

今回の展示会は以下のコーナーに分かれています
第1章:現代風景のフレーミング
第2章:光のマティエール
第3章:反映と反復
第4章:空間の深みへ
第5章:石と水の幻影


今回の展示会は国内有数のモネ・コレクションを誇る国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画であり、絵画空間の構成という観点から、他の作家の作品との比較を通して、風景に注がれたモネの「眼」の軌跡をたどっている。モネの作品だけを展示するのではなく、同時代に影響を与えあってきた画家たちシスレー、ブータン、ゴーガン(ゴーギャン)、セザンヌ、ピサロ、コロー、クールベ、ピカソ、シニャック、ゴッホ、ガレらの作品も同時に展示することで、モネの作品の特徴を浮き彫りにしていっています。
モネと言えば「睡蓮」の連作が直ぐに思い出されますが、今回の展示会は「睡蓮」だけが目的の展示会では無いのですが、第4章で3作品が展示されていました。個人的には第5章で展示されていたロンドン旅行の際に描いた1902年作の「ウォータールー橋、ロンドン」が一番印象に残りました。僅かに赤味を帯びた色彩で描かれ、橋の上の通行人や馬車がロンドン特有の霧を背景に浮かびあがらせ幻想的な風景を見事に描いています。この一枚に目が釘付けになりました。

最近は中々美術館の展示会に行く機会が無く、野球がオフの時期に良い展示会があればもっともっと足を運びたいです。


「エル・グレコ展」を観賞して

2013-01-24 18:31:46 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

今日は有給休暇を取得して、東京都美術館企画展示室で開催中の「エル・グレコ展(1/19-4/7)」(El Greco's Visual Poetics)を観賞に行った。自分の記憶ではエル・グレコだけにスポットを当てたこの規模での展覧会はここ数年、記憶にないので興味を持った。

エル・グレコの本名は「ドメニコス・テオトコプーロス」(1541年-1614年)といいエル・グレコとは彼がスペインのトレドに居を構えた時に、スペイン語で「ギリシャ人」を意味するこの名で活動していたからだ。彼の活躍した時期は日本では戦国時代から江戸幕府初期の頃である。

今回の展示会は以下のコーナーに分かれています
第1章-1:肖像画家エル・グレコ(El Greco,The Painter And The Portraitist)
第1章-2:肖像画家としての聖人像(Saints as Portraitists)
第1章-3:見えるものと見えないもの(The Visible And The Invisible)
第2章:クレタからイタリア、そしてスペインへ(From Crete To Italy and Spain)
第3章:トレドでの宗教画:説話と祈り(Devotional Images In Toledo:Telling Stories)
第4章:近代芸術化エル・グレコの祭壇画:画家、建築家として(The Altarpieces Of A Modern Artist:Painter And Architect)

彼は生地でキリスト教にまつわる図像を描くイコン画家として画業をスタートさせ、その後イタリアで西欧絵画の技法を習得し、35 歳頃スペインのトレドにたどり着きます。細長くデフォルメされた人体や超自然的な光の効果を特徴とする独自の様式によって、対抗宗教改革のカトリック的熱情と神秘を反映した宗教画を描いたことで知られる、この時代を代表する西洋美術史上最も偉大な画家の一人と称されている。
今回の展示作品は51点で、その中でも目玉は高さ3メートルを超す大作にして最高傑作の一つ「無原罪のお宿り」(写真参照)(1607~1613年)をはじめ、肖像画の傑作「修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像」(1611年)、聖人像の傑作「悔悛するマグダラのマリア」(1576年)が挙げられる。

今日は公開間もない平日とあって比較的空いていて混雑も無く落ち着いて観賞することが出来た。フェルメール展は、押すな押すなの混雑でしたので、いつも今日くらいの人数だと嬉しいです。

この展示会では他の展示会で有りがちな映像コーナーは廃し、新たな試みとして注目度の高い画はA3サイズの解説ボードがコーナーにあるのが目立った。これは例えば、その画の人物像や背景などを解説しており、音声ガイドと合せると理解度が深まる。更に、グレコの軌跡に関する解説、彼が最後に過ごしたマドリード郊外のトレドについての写真も展示。特に、私は20数年前にトレドに行ったことがあるので懐かしかった。
最後に、意外だったのが肖像画家だった彼は家族に関する画を一切描いていないことである。その対象は宗教画が中心であるということと、教会の祭壇などに飾る画は、画がどのように飾られるのかまでを頭に入れながら製作していたという。画家でありながらプロデューサーのように、祭壇の衝立の設計まで手掛けるなど総合芸術家であったのは目新しい発見だった。


マウリッツハイス美術館展で「真珠の耳飾りの少女」を観賞

2012-09-14 12:51:16 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

日本人に大人気のフェルメール、その生涯に描いた作品は30数点と寡作であるため、その作品の持つ価値は高い。その中でも最も人気が高い(値段も高い?)作品が、この展示会の目玉でもある「真珠の耳飾りの少女」(Girl With A Pearl Earring)なのは間違いない。
「オランダ・フランドル絵画の至宝 マウリッツハイス美術館展」(Masterpieces From The Royal Picture Gallery MAURITSHUIS)は、オランダのハーグ(The Hague)にあるマウリッツハイス美術館の改修工事に伴う一時休館するのに伴い、美術館が所蔵する中から48点を選りすぐって、東京都美術館のリニューアルオープンの第一弾の特別展の目玉として来日展示会が実現。そうでもなければこの国宝級作品が海外に貸し出される機会はゼロに近いでしょうが、よくぞ日本に来てくれたとオランダ政府には感謝したいです。



オランダには旅行で1991年に行ったことがあるのですが当時は美術鑑賞に関心が薄かったので、この美術館に行くことはありませんでした。今回の展示会はこの作品と「ディアナとニンフたち」を含む2作品が展示されているが、後者のは以前別の展示会で観たので今回は2度目です。
48点の作品の中には他にハルス、ライスダール、ルーベンス、 デ・ホーホ、ヤン・ステーン、ヤン・ブリューゲル(父)らと共にレンブラントの最晩年作品「自画像」を始めとして6点が展示されています。

今回の展示会は以下の6コーナーから構成されています。

第1章:美術館の歴史(The History Of The MAURITSHUIS)
第2章:風景画(Landscapes And Seascapes)
第3章:歴史画(物語画)(History Paintings)
第4章:肖像画と「トローニー」(Portraits And Tronies)
「真珠の耳飾りの少女」はこのコーナーに展示されていますが、作品はその一角に他の作品と離した位置で展示されています。私が訪れた際には行列が出来ていました。この作品を観ていると、いつまでもずっとその場に立ちすくんで離れられないような何かを感じました。時間があればこの作品の前で1時間見とれていたかも知れませんが、その後の予定もあったので20分位は立って見ていました。警備の方が立ち止まらないように急かす声がうるさかったですが、私は一歩後方で観ました。もし、静かな環境でみることが出来たら1時間以上観ていたかな?
第5章:静物画(Still Lifes)
第6章:風俗画(Genre Paintings)

この展示会は9月17日までと残り僅かとあってか、9時半からの開館に対して私は10時丁度に着きました。だが、既に入場券購入まで約10分、その後の入場まで40分以上待たされました。この機会を逃したら、次はオランダにまで行かないと観ることが出来ないと思うと、やはりこの機会を逃す訳には行きませんでした、もし逃したら一生後悔するところでしたからね。

最後に余談ですが、この作品をモチーフにした同名映画が2003年に公開されていました。フェルメールを演じたのはコリン・ファースで「英国王のスピーチ」で主役の国王を演じた俳優で、少女役はスカーレット・ヨハンソンでした。映画では少女はフェルメール家で女中として働いていたのですが、フェルメールが彼女の感性を気に入り、それに対して妻が嫉妬するという様な内容でした。映画ではフェルメール作品がそのまま映像になったようなシーンがとても印象に残っています。


「ベルリン国立美術館展」を観賞

2012-07-13 21:51:30 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

国立西洋美術館で開催されている『ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ美術の400年』を観賞に有給休暇を取得した。
この展示会のパンフレットには「初来日、フェルメールの『真珠の首飾りの少女』」in「ベルリン国立美術館展」とあるように、フェルメールの「真珠の首飾りの少女」が最大の目玉である。フェルメール好きの日本人の心をくすぐる展示会で、これと並行して別の展示会では国宝級の「真珠の耳飾りの少女」も来日中であるが、そちらは公開からまだ日が浅いので、いずれ行くとして...。

今回の展示会は以下の6コーナーから構成されています。

第1部.絵画/彫刻
 第1章.15世紀:宗教と日常生活
 第2章.15-16世紀:魅惑の肖像画
 第3章.16世紀:マニエリスムの身体
 第4章.17世紀:絵画の黄金時代
 第5章.18世紀:啓蒙の近代へ
第2部.素描
 第6章.魅惑のイタリア・ルネサンス素描

これからも判るように、その壮大なコレクションの中から、15世紀から18世紀までのヨーロッパ美術を網羅している。ボッティチェリを始めミケランジェロを含む珠玉のイタリア・ルネサンスの素描や板絵の他、オランダ黄金期の巨匠レンブラントとフェルメール。僅か36点とも言われるフェルメール作品群の中でも「真珠の首飾りの少女」は日本初公開なので、観に行かない手はない。



「真珠の首飾りの少女」は第4章の1コーナーに飾られているが、他の彼の作品同様非情に小さな額に飾られている。1662年から1665年頃の作品とされていて、一見して彼の作品と判る構図で、タイトル通り真珠の首飾りを纏った少女が鏡に向かって自分の姿を見つめているところに、陽がさしこんでいる様子を描いている。絵全体でみると少女と窓の間には空白の部分が大きいのが特徴だが、これは陽の光を強調する?大胆な構図でもあり、逆に左下半分は暗く描かれている。鏡の真下には中国製?の置物が何気なく置かれていて当時のオランダが東方貿易で栄えていた様子をさり気なく物語っているようでもある(私の勝手な想像です)。

この作品以外にはこれと言って目立つようなものは残念ながら少ないのですが、それでもテーマごとに判り易く纏まっており、有料の音声ガイド(案内役は小雪!)と一緒に観賞して良かったと思います。
平日の開館(金曜日は09:30-20:00)直後の10:00前に着いたので思っていたほど混雑も無く落ち着いて観賞出来たが、フェルメールの作品の前だけは流石に混雑していました。


「フェルメールからのラブレター展」を観賞

2012-01-28 18:45:36 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

bunkamuraザ・ミュージアムにて2011/12/23から開催されている「フェルメールからのラブレター展」(Communication:Visualizing The Human Connection In The Age Of Vermeer)を昨日、休暇を申請して観に行きました。

この展示会の目玉は何と言ってもタイトルにあるようにヨハネス・フェルメールの作品が3点も出展されていることです。フェルメールの現存する30数点の作品の中でも、日常生活に密やかなドラマをもたらす手紙のテーマは、彼の作品の中でも2割近くを占めている。

今回出展されたフェルメール3作品は:

①手紙を読む青衣の女(制作:1663-64年頃)アムステルダム国立美術館所蔵

②手紙を書く女(制作:1665年頃)ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵

③手紙を書く女と召使い(制作:1670年頃)ダブリン、アイルランド国立絵画館所蔵

Ⅰ.人々のやりとり-しぐさ、視線、表情(Personal Relationships:Gestures,Glances and Facial Expressions)
ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンらを中心に11作品を展示。仕事や余暇を楽しむ民衆の姿を描いているが、その多くが、オランダの諺や格言、道徳的なメッセージを示唆している。画家らが描いた場面はアトリエで考案されたものであるとされている。

Ⅱ.家族の絆、家族の空間(Familian Ties,Family Members)
ここでも前述のデ・ホーホやステーンらを中心に11作品を展示。描かれている家族の肖像画の中には女性達の家事の様子を描いたものが目立つ。一部には召使いと女主人のやり取りを描いたものもあるが、当時の家庭で召使いがいたのは1~2割程度とされている。

Ⅲ.手紙を通したコミュニケーション(Personal Communications Through Letters)
ここでフェルメールの3作品を含めて8作品が展示されている。今でこそe-mailがコミュニケーションの主要手段であるが、やはりこの時代におけるオランダはヨーロッパでも識字率が高く手紙のやり取りが急速に発達した時代であり、そんな中で手紙は個人の気持ちや強い感情を伝える手段としては最適だった。
フェルメール作品では手紙を読んだり、書いたりする若い女性の物思いに沈む美しい姿を描いている。「手紙を書く女と召使い」では手紙を感情に任せて書く女主人を急かすように背後に立っている召使いの表情がユニークだ。どの作品もフェルメールらしい背景、色遣い、構図、表情が見事に描かれている。
「手紙を読む青衣の女」は作品の修復が2年ほどかけて終了したばかりで、世界に先駆けて修復されて見事に蘇った作品が今回日本で公開されています。会場ではその修復の過程がパネルで詳しく紹介されていました。

Ⅳ.職業上の、あるいは学術的コミュニケーション(Professional/Scholary Communication)
オランダでは当時高い識字率を誇っていたが、それらを支えていたのは弁護士や公証人、著述業などが、商売に関わるコミュニケーションや経営の手助けをした。
ここではヤン・リーフェンス、ヘリット・ダウらの11作品が展示されているが、中でもリーフェンスの「机に向かう簿記係」のモデルとなっている老人の表情やひげの描写は秀逸で、今まで観た作品の中で一番印象に残ったひげです(笑)。


「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」を観賞

2012-01-20 22:37:04 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

今日、仕事は有給休暇を取得して休み、この雪の中を上野・国立西洋美術館で開催されている「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」(Obras Museo Del Prado,Goya:Luces y Sombras)に行ってきました。開催期間が1/29までなので今日の日を逃すと、自分の予定では観に行くことが出来ないので楽しみにしていました。
この展示会の最大の目玉は言うまでもなくフランシスコ・デ・ゴヤ(1746-1828)作の「着衣のマハ」です。余りにも有名なこの作品は「裸のマハ」と対をなす作品でもありますが、「裸」の方の展示は今回は無く「着衣」の方が日本に来ている訳です。

ヨーロッパ絵画の宝庫として名高いマドリードのプラド美術館のコレクションから選ばれた油彩画、素描など72点を中心に加えて、国内の美術館などが所蔵する版画約50点を加えた展示会です。
私は20年ほど前にマドリードに行った際に実際にプラド美術館にて「着衣のマハ」「裸のマハ」の2作品をこの目で観てきましたが、当時の私はまだまだ美術に関しては素人以下の知識しか持ち合わせていませんでした(今でも大して変りませんが興味は現在の方が格段にあります)が、それでもこの2作品の印象は強烈に残っていました。「着衣のマハ」を東京で観賞できるとは思ってもいなかったので、20年ぶりに観れると思いワクワクして行きました。

 今回の展示会は以下の14コーナーから構成されています

Ⅰ.かくある私―ゴヤの自画像
Ⅱ.創意と実践―タピスリー用原画における社会批判
Ⅲ.嘘と無節操―女性のイメージ:〈サンルーカル素描帖〉から私室の絵画へ
<着衣のマハ>はこのコーナーで29番目の作品として展示されていました
Ⅳ.戯画、夢、気まぐれ―〈ロス・カプリーチョス〉の構想段階における自由と自己検閲
Ⅴ.ロバの衆:愚鈍な者たち―〈ロス・カプリーチョス〉における人間の愚行の諷刺
Ⅵ.魔物の群れ―〈ロス・カプリーチョス〉における魔術と非合理
Ⅶ.「国王夫妻以下、僕を知らない人はいない」―心理研究としての肖像画
Ⅷ.悲惨な成り行き―悲劇への眼差し
Ⅸ.不運なる祭典―〈闘牛技〉の批判的ヴィジョン
Ⅹ.悪夢―〈素描帖C〉における狂気と無分別
Ⅺ.信心と断罪―宗教画と教会批判
Ⅻ.闇の中の正気―ナンセンスな世界の幻影
ⅩⅢ.奇怪な寓話―〈ボルドー素描帖G〉における人間の迷妄と動物の夢
ⅩⅣ.逸楽と暴力―〈ボルドー素描帖H〉における人間たるものの諸相

ゴヤについては最近も映画化されていたのでその範囲のことなら知っていました。この展示会では油彩画や素描などがどちらかと言えば中心で、「着衣のマハ」は集客上の目玉と言った扱いでしょうか?その素描ではテーマを決めての展示なので、ゴヤが描いた時期や背景も理解できる内容でした。それでもやはり20年ぶりの対面となった「着衣のマハ」の前で足は自然にストップしますね。こうした名画は観賞者を無条件で理屈抜きに惹きつける何かがあります。

当時のスペインはナポレオンの侵略によりナポレオンの兄がスペイン王として君臨していた時代でもあり、スペイン社会は不安定だった。宮廷画家として確固たる地位を占めていたゴヤは、自身の画の中で社会を風刺するものを多く描いておりそれは素描を通じて知ることが出来る。宮廷画家としては王室や権力者の肖像画を沢山描いていて、「スペイン王子フランシスコ・デ・パウラの肖像」では幼い王子の性格までをも見透かしたかのような一枚だ。

ヨーロッパの画家の展示会では、フランスの印象派などの画家たちのが人気がありますが、ゴヤに焦点を当てた展示会って自身は記憶にないので、こうした展示会は勉強になりました。


フェルメール「地理学者」とオランダ・フランドル絵画展を観賞

2011-05-15 21:27:53 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

フェルメールといえばオランダを代表する画家であり、その展示会は作品数は「37点」と極めて少ないが、その37点にも異説があり一体何作あるのか掴めていない、その出生と共に謎の多い画家である。
「フェルメール「地理学者」とオランダ・フランドル絵画展」は渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催されていて、閉幕が近くなってきたので、ル・シネマでの映画観賞と併せて行ってきた。
この展示会は
ドイツのフランクフルトのシュテーデル美術館の所蔵品から選りすぐられた95点の作品が展示されていて、「地理学者」はその中の目玉作品である。フェルメール以外ではレンブラント、ルーベンス、フランス・ハルスの作品も展示されている。

この展示会は以下のテーマに分かれている。
1.歴史画と寓意画
2.肖像画
3.風俗画と室内画
4.静物画
5.地誌と風景画
フェルメールの「地理学者」(1669年)は3のテーマの中の一枚として展示されている。フェルメールの作品は、ここ最近の展示会に出品されたものは全て観賞しているが、この作品も決して大きなサイズの作品では無い。この作品には地球儀、世界地図、コンパスと定規、地理学者が身に付けている上着は「日本の着衣」と呼ばれるもので、出島を通して日本との貿易でオランダにもたらされた日本の着物や模造品を指していて、当時それらは裕福な市民階級の間で流行し、ステータス・シンボルとなっていたもの。

今回の展示品には
フェルメール作品以外ではレンブラント関係のも数点展示されていたのだが、フェルメール作品以外はどれもインパクトがもう一つだった。どの作品も個々の完成度は高いのだが、やはり、オランダの画風はどちらかと言えば暗い色調のものが中心である半面、宗教色はそれほど濃厚に反映されてはいない。

フェルメール作品の展示会だが、同じ文化村で12/23-2012 3/14の間で開催される「フェルメールからのラブレター展」では「手紙を書く女」と「手紙を書く女と召使い」の2点が展示されるそうだ。こちらも、是非、観にいきたくなってきました。


「ゴッホ展」を観賞して

2010-11-09 00:00:00 | 博物館・美術館・芸術鑑賞

11月1日、有給休暇を利用して国立新美術館で開催されている「ゴッホ展」に行ってきました。

 

これまでゴッホ関連の展示品はいくつか観てきましたが、今回の展示会は「ゴッホ自身」にスポットをあてているので、早速平日の朝から行きました。10時開場の所を、ほぼ10時には着いたのですが、既に10分待ちでした。平日なので行列にはおばさん達がずらりと並んでいました。

展示場は以下の6つのテーマに分かれています。

1.伝統-ファン・ゴッホに対する最初期の影響
2.若き芸術家の誕生
3.色彩理論と人体の研究-ニューネン
4.パリのモダニズム
5.真のモダン・アーティストの誕生-アルル
6.さらなる探求と様式の展開-サン=レミとオーヴェール=シュル・オワーズ

ゴッホの作品と言えばどうしてもアルルに移ってからの作品が有名な様で、個人的にもオランダ時代の若いころの作品は見覚えが無かったので、その辺が分かったので良かったです。
彼が静物画を数多く描いていたことや、ミレーの影響も受けていた様子が理解出来る構成になっていて、私の様に絵画初心者には分かりやすかった。また、これも初耳でしたが、日本の浮世絵から学んだ平坦で強烈な色彩や大胆な構図、それまでに彼が吸収したあらゆる要素が、アルルで一気に開花したのですね。

この第5章では、有名な「アルルの寝室」(1888年)をほぼ実物大でこの部屋を再現する試みは興味深かった。絵をこうして立体的にみると、この部屋が狭かったことが分かるのと、細部に渡って絵に忠実に再現している点は評価したい。従来の展示会でこのような企画は無かっただけに、このアイデアは素晴らしい。
最後に、ゴッホは御存知のようにアルルに移り住みゴーギャン(ゴーガンとも表するようです)と共同生活をするのですが、価値観の違いなどで直ぐに破綻し、その後、精神的にも不安定になり終末を迎えます。
そのゴッホが弟のテオに宛てた手紙が数多く展示されていました。こうすることで一人の偉大な画家の足跡と、彼に影響を与えた画家たちとの関係が垣間見えた、そんな展示会でした。

因みにヘッドホンの解説(500円)はTBS安住紳一郎アナのナレーションで、音声ガイドシート式です。

 


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