「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

側湾症67度の女性が、基本指圧により自然分娩を

2022年04月25日 | 指圧の活動

 報告が遅くなりました。 患者のK(翻訳家)さんは3月14日が出産予定日でしたが、少し遅い19日に待望の赤ちゃんを出産しました。お父さまの嬉しそうな電話で、出産報告をいただきました。
 4年半前、Kさんのお父様から、「脊椎側弯症に指圧治療は有効でしょうか?」とお尋ねがありました。今までも改善した例がありましたし、なかには都内のS病院整形外科で、「治っています」と認められたこともあるので、彼女にお会いした印象で、35~40度くらいかな? と思い受けることにしました。

 脊椎側弯症は、整形外科では、治らないといわれているそうです。症状が進むとオーダーのコルセット装着を勧められ、もっと進むと手術をするしか方法がありません。整形外科では、いちばん難しい手術といわれます。

 彼女の角度は、何と67度と聞いて驚きました! 今までは48度までの改善経験があります。48度でもすでに手術の範囲なので愕然としました。彼女は学校時代の身体検査時に指摘され、都内J病院で受診しました。しかし家族の総意でコルセット装着も、手術もしないと決めていたそうです。
 でもさすがに67度の指圧治療は経験したことがなく、いろいろな問題が出てくるかもわかりません。私の頭の中では、指圧治療による側弯症に対応するシステムはできあがっているつもりでした。ただ、67度とは! いかにしたものか?

 出会いは、4年半前です。治療は2週ごとに行いましたが、側弯の捻れの強さにはさすがに往生しました。基本になっている骨格は、一つ一つの骨の向きがバラバラです。胸椎後半と腰椎に至っては、骨と骨が手で触れても一塊になっているような状態で、捻れ自体がハッキリしません。
 この塊状になってしまっている骨格をその「形」にしていく作業は、とても根気のいる仕事でした。この作業の結果、やっと頚椎、胸椎、腰椎、仙骨と独立した形になるまでに要した期間は、約2年でした。ここから治療効果が、外見で本格的に分かるようになり始めるのです。この変化は、触れても即分かるほどの変化なので、ご本人にもとても喜んでもらえました。
 治療開始から2年経過して、Kさんは結婚。その後北京語習得のために台湾留学。帰国後、また治療は続行され何と妊娠できました。嬉しい出来事ではありますが、頭によぎるのは「側弯症」による「帝王切開」でした。出産までの限られた時間を大事に、心を込めて圧すのみでした。

 治療を始めて4年半、側弯症67度が改善でき、夢のような自然分娩が叶いました。元気な男の子の誕生です。予定日を5日間過ぎたこの日、待ち望んでいた結果に心からホッとしました。しかし「ハッピー・エンド」ではありますが、宿題が一つ残りました。
 彼女の側弯症は完治したわけではありません。かなりよくなっていますが、まだ治療を続ける余地があります。これからは子育てがメインになるのでしょうか。もしかしたらキャリアを続けていくのかもしれません。落ち着いたら、残る宿題のお手伝いをすることを楽しみにしています。

 Kさん、ご家族の皆様。ほんとうにおめでとうございました。指圧を通してこの喜びに連なれた幸せをかみしめています。ありがとうございました。

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